株主総会の決議要件まとめ|普通決議・特別決議・特殊決議の違いを図解で整理

株主総会の決議要件まとめ
会社法の株主総会は「普通・特別・特殊」の3種類が登場して混乱しがちです。それぞれ「定足数」と「決議要件」という2つの数字を持ちますので、表で整理するとすっきり理解できます。
株主総会の決議要件は、中小企業診断士1次試験の経営法務において毎年出題される最重要テーマの一つです。普通決議・特別決議・特殊決議の3種類について、定足数・決議要件・対象事項をセットで整理しましょう。
目次

株主総会とは

株主総会は、会社の最高意思決定機関です。株式会社においては株主が出資者として経営に関与する場であり、会社法で定められた重要事項について決議を行います。

種類内容
定時株主総会 毎事業年度終了後、一定期間内(通常2か月以内)に招集。決算承認・役員選任等
臨時株主総会 必要が生じたときに随時開催。M&A・定款変更等の緊急事項
招集手続きの概要
要件公開会社非公開会社
招集通知期間 2週間前まで 1週間前まで(定款で短縮可)
招集権者 原則として取締役会(取締役会非設置会社は取締役)
少数株主の招集請求 議決権の3%以上(6か月前から保有)で招集請求可能

3種類の決議要件の比較

普通決議
定足数
議決権の過半数(定款で排除可)
決議要件
出席株主の議決権の
過半数(1/2超)
主な対象
役員選任・解任、計算書類承認、配当決議等
特別決議
定足数
議決権の過半数(定款で1/3まで緩和可)
決議要件
出席株主の議決権の
2/3以上
主な対象
定款変更、合併・解散、募集株式発行等
特殊決議
定足数
法定(排除・緩和不可)
決議要件
議決権の2/3以上
または全員一致
主な対象
全部取得条項付種類株式、非公開化等
比較のポイント:普通決議の「定足数を定款で排除できる」という点と、特別決議の「定足数を定款で1/3まで緩和できる(排除はできない)」という違いが頻出です。

普通決議の詳細

普通決議の要件
要件内容定款による変更
定足数 議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席 定款で排除可能または過半数未満に軽減可能
決議要件 出席した株主の議決権の過半数(1/2超)の賛成 定款でより多数を要求することも可能
普通決議の主な対象事項
対象事項備考
取締役・監査役の選任ただし累積投票の場合は別の手続き
取締役・監査役の解任(※)※監査役の解任は特別決議が必要な場合あり
計算書類(貸借対照表・損益計算書)の承認定時株主総会の主要議題
剰余金の配当取締役会設置会社では取締役会に委任可能な場合あり
役員報酬の決定定款または株主総会で決定

特別決議の詳細

特別決議の要件
要件内容定款による変更
定足数 議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席 定款で1/3以上まで緩和可能(排除は不可)
決議要件 出席した株主の議決権の2/3以上の賛成 定款でより多数を要求することも可能
特別決議の主な対象事項
対象事項解説
定款の変更目的・商号・発行可能株式数など。会社の根本ルール変更には2/3超の賛成が必要
合併・会社分割・株式交換・株式移転組織再編行為。特別決議で承認が必要
解散会社をなくす重大な決定
事業の全部・重要部分の譲渡コア事業の売却には特別決議が必要
監査役の解任監査役の独立性を守るために普通決議より高いハードル
資本金の減少(減資)債権者保護のため特別決議が必要
募集株式の発行(特定引受人への第三者割当)既存株主の持分希薄化を伴う場合
特別決議の対象事項は「会社の大きな変化を伴うもの」と覚えると整理しやすいです。定款変更・合併・解散・事業譲渡など、会社の根幹を変える事項はすべて特別決議です。また、普通決議では「定足数を排除できる」のに対し、特別決議では「1/3未満には緩和できない(排除不可)」という差異は頻出です。

特殊決議の詳細

特殊決議は特別決議よりもさらに厳格な要件を課す決議です。会社法では2種類の特殊決議が定められています。

種類決議要件主な対象事項
特殊決議① 議決権を行使できる株主の
過半数が出席し、
出席株主の議決権の2/3以上
かつ総株主の議決権の1/3以上
全部取得条項付種類株式の取得、株主の責任限定(非公開化に関連する事項)
特殊決議② 総株主(議決権ゼロ株主含む)の半数以上、かつ総株主の議決権の3/4以上の賛成 非公開会社(株式譲渡制限会社)において、剰余金配当等に関する株主ごとの異なる取扱いを定款に定める場合
試験では特殊決議の種類を詳細に問うよりも、「特別決議より厳格な要件が課される決議がある」「全員一致に近い同意が必要な事項がある」という理解を問うことが多いです。

種類株主総会・書面投票

種類株主総会

種類株式(優先株式・議決権制限株式等)を発行している会社では、種類ごとに種類株主総会を別途開催し、その種類の株主に影響を与える事項について決議が必要となる場合があります。

書面投票・電子投票
制度内容義務付けられる条件
書面投票 議決権を書面で行使する制度 議決権を行使できる株主数が1,000人以上の場合、書面投票制度の採用が義務
電子投票 電磁的方法による議決権行使 取締役会の決議で採用可能(義務ではない)
委任状 代理人に議決権行使を委任 定款に別段の定めがなければ代理人も株主でなければならない場合あり
書面投票の義務付け要件「株主数1,000人以上」はよく問われます。また、電子投票は義務ではなく任意採用という点も確認しておきましょう。

過去問で確認する

H27・第17問株主総会の決議に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 普通決議の定足数は、定款によっても排除することができない。
イ 特別決議の定足数は、定款で議決権の1/4以上に緩和することができる。
ウ 取締役の選任は普通決議で行うが、解任は特別決議を要する。
エ 定款変更は特別決議を要し、出席した株主の議決権の2/3以上の賛成が必要である。
正解:エ 定款変更は特別決議(出席株主の議決権の2/3以上)。ア:普通決議の定足数は定款で排除可。イ:特別決議の定足数は1/3以上まで緩和可(1/4は誤り)。ウ:取締役の解任も原則普通決議(監査役解任は特別決議)。
H30・第16問特別決議が必要な事項として、最も適切なものはどれか。
ア 取締役の選任
イ 計算書類の承認
ウ 剰余金の配当
エ 事業の重要な一部の譲渡
正解:エ 事業の重要な一部(またはすべて)の譲渡は特別決議を要します。ア・イ・ウはすべて普通決議で可能な事項です。
R3・第18問株主総会の決議要件に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 普通決議は、定款に別段の定めがない場合、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成で成立する。
イ 特別決議の定足数は、定款で3分の1以上に緩和できるが、排除することはできない。
ウ 特別決議の要件は、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成である。
エ 普通決議の定足数は、定款でいかなる変更もできない。
正解(最も不適切):エ 普通決議の定足数は定款で排除(ゼロに)することができます。「いかなる変更もできない」は誤りです。

まとめ

3種類の決議要件を一覧で確認します。

決議種類 定足数 決議要件 定款による変更 主な対象
普通決議 議決権の過半数 出席の過半数 定足数:排除可・軽減可 役員選任、計算書類承認、配当
特別決議 議決権の過半数 出席の2/3以上 定足数:1/3以上まで緩和可(排除不可) 定款変更、合併・解散、事業譲渡
特殊決議 法定(変更不可) 総株主の2/3以上 変更不可 全部取得条項、非公開化関連
最重要ポイント:
①普通決議の定足数は定款で排除できる(多くの上場企業が排除している)
②特別決議の定足数は1/3まで緩和できるが排除はできない
③特別決議の決議要件は出席株主の議決権の2/3以上
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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