Uマンデル=フレミングモデルは、「開放経済(貿易や資本移動がある世界)で財政政策・金融政策がどれだけ効くか」を分析するフレームワークです。IS-LMモデルに「国際資本移動」を加えた発展版で、固定相場制と変動相場制で結論が逆になる点が印象的でした。
この記事でわかること
- マンデル=フレミングモデルの前提(完全資本移動・小国開放経済)
- 変動相場制での財政政策・金融政策の効果
- 固定相場制での財政政策・金融政策の効果
- IS-LMモデルとの違いと比較ポイント
目次
マンデル=フレミングモデルとは
IS-LMモデルは「閉じた経済」を前提にしていました。しかし実際の経済は貿易を行い、国際間で資金が自由に行き来します(資本移動)。マンデル=フレミングモデルはこの「開放経済」の状況で、財政・金融政策がどれだけ効果を持つかを分析します。
モデルの前提条件
①完全資本移動:資金が国際間で完全に自由に動く(金利差があれば即座に資金が移動)②小国開放経済:世界の金利(r*)は所与(自国の政策では変えられない)
③均衡条件:国内金利 = 世界金利(r = r*)が常に成立
この前提から導かれる重要な含意があります。「もし国内金利を上げようとしても、世界から資金が流入して元に戻る」ということです。この資本移動の自動的な調整が、政策効果を決定的に変えます。
変動相場制での政策効果
財政政策(変動相場制)→ 無効
① 政府支出増加 → IS曲線右シフト
② 国内金利上昇 → r > r*
③ 海外から資本流入 → 自国通貨高(円高)
④ 純輸出減少 → IS曲線が左に戻る
⑤ 結果:GDPは変わらない(完全クラウディングアウト)
金融政策(変動相場制)→ 有効
① 貨幣供給増加 → LM曲線右シフト
② 国内金利低下 → r < r*
③ 海外へ資本流出 → 自国通貨安(円安)
④ 純輸出増加 → IS曲線右シフト
⑤ 結果:GDP拡大(金融政策が最大効果)
変動相場制のポイント
- 財政政策が無効:拡張財政 → 通貨高 → 輸出減 → IS曲線が元に戻る(クラウディングアウトの国際版)
- 金融政策が有効:緩和 → 通貨安 → 輸出増 → GDP拡大の正のスパイラル



IS-LMモデルでは「財政政策は有効、金融政策も有効」でしたが、変動相場制の開放経済では「財政政策が無効」という結論が出るのが驚きです。為替レートの変動が財政拡大を打ち消してしまうわけですね。
固定相場制での政策効果
財政政策(固定相場制)→ 有効
① 政府支出増加 → IS曲線右シフト
② 国内金利上昇 → r > r*
③ 資本流入 → 通貨高圧力
④ 中央銀行が為替介入(売り介入)→ 貨幣供給増 → LM右シフト
⑤ 結果:GDP拡大(財政政策が最大効果)
金融政策(固定相場制)→ 無効
① 貨幣供給増加 → LM曲線右シフト
② 国内金利低下 → r < r*
③ 資本流出 → 通貨安圧力
④ 中央銀行が為替介入(買い介入)→ 貨幣供給減 → LM元に戻る
⑤ 結果:GDPは変わらない
固定相場制のポイント
- 財政政策が有効:拡張財政 → 通貨高圧力 → 中銀が介入で貨幣供給増 → LMが追随してGDP拡大
- 金融政策が無効:為替固定のために中銀が逆方向に介入 → 元に戻る(金融政策の独立性を失う)
試験対策:4つのケースを一覧で整理
| 政策 | 変動相場制 | 固定相場制 |
|---|---|---|
| 財政政策(拡張) | 無効(通貨高 → 輸出減でクラウドアウト) | 有効(中銀介入でLMが追随) |
| 金融政策(緩和) | 有効(通貨安 → 輸出増でGDP拡大) | 無効(中銀の逆介入で元に戻る) |
IS-LMモデルとの比較(重要)
- 閉鎖経済(IS-LM):財政政策は(クラウディングアウトの程度で)部分的に有効、金融政策も有効
- 変動相場制開放経済:財政政策は完全無効、金融政策は最大効果
- 固定相場制開放経済:財政政策は最大効果、金融政策は完全無効
Uのメモ
学習メモ
- 変動相場制:財政無効(通貨高→輸出減)・金融有効(通貨安→輸出増)
- 固定相場制:財政有効(中銀がLMを追随させる)・金融無効(中銀が逆介入で元に戻す)
- 覚え方:「変動は金融、固定は財政」が有効
- 前提:完全資本移動・小国開放経済(世界金利r*は所与)
- IS-LMと比べると正反対の結論になるケースがある点に注意









