U過去問で「支配戦略」という言葉が出てきたとき、最初は何のことかさっぱりでした。でも利得行列を一度自分で書いてみたら、ゲーム理論の考え方がスッと腑に落ちたんです。一緒に整理してみましょう。
ゲーム理論の基本概念(利得行列・支配戦略・ナッシュ均衡)/ 囚人のジレンマの構造と意味 / 繰り返しゲームと協調の可能性 / 身近な場面での応用 / 中小企業診断士1次試験での出題ポイント
ゲーム理論とは何か
ゲーム理論は、「自分の利益が相手の行動にも依存する」状況を分析するための経済学の道具です。通常の需要・供給分析では「自分の行動が市場全体に影響しない(完全競争)」という前提がありますが、現実のビジネスでは「ライバルが値下げしたら自分はどうするか」「協定を守るかどうか」といった、相手の動きを読みながら意思決定する場面が多くあります。
利得行列(ペイオフマトリクス)の読み方
ゲーム理論の分析は、利得行列(ペイオフマトリクス)と呼ばれる表からスタートします。企業Aと企業Bが「値下げ」と「現状維持」のどちらを選ぶかを例に見てみましょう。
表の読み方:(企業Aの利得,企業Bの利得)
| 企業B:現状維持 | 企業B:値下げ | |
|---|---|---|
| 企業A:現状維持 | (50,50) | (10,80) |
| 企業A:値下げ | (80,10) | (30,30)★ |
支配戦略とナッシュ均衡
| 概念 | 定義 | 相手の行動依存 | 試験でのポイント |
|---|---|---|---|
| 支配戦略 | 相手がどう動いても最善の戦略 | 依存しない | あればそれを選ぶ |
| ナッシュ均衡 | 誰も逸脱する誘因がない状態 | 依存する | 複数存在する場合もある |
| 支配戦略均衡 | 全員が支配戦略を選んだ結果 | 依存しない | ナッシュ均衡でもある |



「ナッシュ均衡 = 社会的に最善の結果」ではない、という点が試験でよく問われます。上の例でいえば、両者が協調して「現状維持」を選べば(50,50)なのに、ナッシュ均衡は(30,30)になってしまうんですよね。ここが囚人のジレンマの核心です。
囚人のジレンマ
囚人のジレンマは、ゲーム理論で最も有名な例題です。2人の容疑者が別々の取調室で尋問を受け、それぞれ「黙秘」か「自白」を選ぶ場面を想定します。
刑期の行列(年数。少ない方が得)
| 容疑者B:黙秘 | 容疑者B:自白 | |
|---|---|---|
| 容疑者A:黙秘 | (1年,1年) | (10年,0年) |
| 容疑者A:自白 | (0年,10年) | (5年,5年)★ |
| 場面 | 協調(黙秘に相当) | 裏切り(自白に相当) |
|---|---|---|
| 価格競争 | 高値維持(カルテル) | 値下げで客を奪う |
| 軍備競争 | 軍縮で平和・節約 | 相手が軍縮中に増強 |
| 環境問題 | 排出削減(コスト増) | 削減しない(コスト減) |
| 広告費競争 | 広告費節約で利益確保 | 広告費増で市場シェア拡大 |
繰り返しゲームと協調の可能性
1回限りのゲームでは裏切りが支配戦略でも、同じ相手と何度も取引を繰り返す「繰り返しゲーム」では事情が変わります。「今裏切ったら、次回から相手も裏切ってくる」という将来への影響を考慮できるからです。
コンビニの価格競争で考えてみると
近所にセブンとローソンが並んでいる場面を想像してみてください。どちらも「弁当を定価で売るか、夕方に値引きするか」を毎日決めています。
毎日続くなら:「今日値引きを我慢すれば、明日も相手は定価を維持してくれる」という暗黙の協調が生まれやすくなります。現実に多くのコンビニが価格競争を避けて品揃えやサービスで差別化するのは、繰り返しゲームの中での均衡とも解釈できます。
試験対策のポイント
ゲーム理論は1次試験の経済学・経済政策で出題されます。利得行列を見て素早く判断する練習をしておきましょう。
- 利得行列の読み方:(自分の利得,相手の利得)の順に確認する
- 支配戦略 ⊂ ナッシュ均衡(支配戦略均衡はナッシュ均衡の一種)
- ナッシュ均衡は必ずしも社会的最適ではない(囚人のジレンマがその例)
- 繰り返しゲームでは協調均衡が成立しうる(将来の影響を考慮できるため)
- 有限繰り返しゲームは逆帰納法で崩れる点に注意
まとめ
- ゲーム理論は相手の行動を考慮した意思決定を分析するモデル
- 支配戦略:相手がどう動いても常に最善の戦略
- ナッシュ均衡:誰も一方的に戦略を変える誘因がない状態
- 囚人のジレンマ:個人合理性の追求が集団最適を損なう構造
- 繰り返しゲームでは将来への影響を考慮した協調均衡が成立しうる



利得行列を前にすると最初は「どこから見ればいいの?」と感じますが、「まず支配戦略があるか確認→次にナッシュ均衡を探す」という手順を覚えると、かなりスムーズに解けるようになりました。過去問の利得行列も、ぜひ手を動かして確認してみてください。
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