U「ジニ係数が高い国は格差が大きい」と聞いたことがあっても、その数字がどうやって計算されるのか気になっていました。ローレンツ曲線という図を知ってから、格差の「大きさ」を面積で表せると知り、なるほどと思いました。
「格差が大きい」「格差が縮小した」という話はニュースでよく見かけます。でも「どのくらい大きいのか」を数値で示すには、何らかの指標が必要です。経済学ではローレンツ曲線とジニ係数がその役割を担っています。
ローレンツ曲線とは何か
ローレンツ曲線は、所得の分布を視覚化するグラフです。横軸に「所得の低い人から順に並べた累積人口比率(%)」、縦軸に「その人々の累積所得比率(%)」を取ります。
例えば「所得が低い下位50%の人々が、全体の所得の何%を得ているか」という問いに答えるグラフです。
完全平等線(対角線)は、全員が同じ所得を得ている状態を示します。例えば人口の30%が所得全体の30%を得ている、というように、常に人口比率=所得比率になります。
実際の社会では、低所得者が多い分だけローレンツ曲線は対角線より下方に膨らみます。格差が大きいほど曲線は対角線から離れ、弓なり(下方)が強くなります。
ジニ係数:格差を0〜1の数値に変換する
クラスの成績分布で考えてみると
30人のクラスで国語のテストをしたとします。
- ケースA(平等):全員が60点。ジニ係数≒0。誰が何%を占めるかを計算すると常に人口比率=得点比率になる
- ケースB(格差あり):上位5人が90点、残り25人が50点。上位5人(人口の17%)が全体の得点の約23%を占める。ローレンツ曲線は下方にたわむ
- ケースC(極端な格差):1人が満点100点、残り29人が5点ずつ。1人が全体の約41%を占める。曲線はさらに大きくたわむ
この「たわみの大きさ」をひとつの数値に集約したものがジニ係数です。
日本のジニ係数と国際比較
| 国・地域 | ジニ係数(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 北欧(デンマーク等) | 0.28〜0.29 | 再分配政策が充実。格差が小さい |
| 日本 | 0.33〜0.38 | 再分配前後で差あり。高齢化が影響 |
| アメリカ | 0.39〜0.41 | 市場所得格差が大きい |
| 南アフリカ・ブラジル | 0.50以上 | 歴史的・構造的な格差 |



ジニ係数は0に近いほど平等、1に近いほど不平等。シンプルな指標ですが「どの所得(市場所得か再分配後か)で測るか」によって値が変わる点が試験でも問われるポイントです。
ローレンツ曲線の読み方:試験に出るポイント
| 状況 | ローレンツ曲線 | ジニ係数 |
|---|---|---|
| 再分配政策の強化 | 対角線に近づく(上方シフト) | 低下(格差縮小) |
| 高所得者のみ所得増加 | 対角線から離れる(下方シフト) | 上昇(格差拡大) |
| 低所得者のみ所得増加 | 対角線に近づく | 低下 |
| 全員が均等に所得増加 | 変化なし | 変化なし |
過去問で確認する
- ア ジニ係数が1に近いほど所得分配が平等であることを示す。
- イ ローレンツ曲線が対角線(完全平等線)に近づくほど、格差が大きくなる。
- ウ ジニ係数は、ローレンツ曲線と完全平等線の間の面積を三角形全体の面積で割った値である。
- エ 所得の再分配によって格差が縮小した場合、ローレンツ曲線は下方にシフトする。
ア:ジニ係数が0に近いほど平等(1に近いほど不平等)。
イ:対角線に近づくほど格差が小さくなります(逆)。
エ:格差が縮小するとローレンツ曲線は上方(対角線に近い方向)にシフトします。
- ア ローレンツ曲線は下方にシフトし、ジニ係数は上昇する。
- イ ローレンツ曲線は対角線(完全平等線)方向に上方シフトし、ジニ係数は低下する。
- ウ ローレンツ曲線は変化しないが、ジニ係数は低下する。
- エ ローレンツ曲線は対角線に重なり、ジニ係数はゼロになる。
まとめ
- ローレンツ曲線:横軸=累積人口比率、縦軸=累積所得比率。格差が大きいほど対角線から離れる
- 完全平等線(対角線):全員が同じ所得の場合に一致する
- ジニ係数 = 面積A ÷(A+B)= 2×面積A(0〜1の値)
- ジニ係数0=完全平等、ジニ係数1=完全不平等
- 再分配強化→ローレンツ曲線が上方シフト→ジニ係数低下(格差縮小)
- 日本のジニ係数は再分配前後で差が大きく、高齢化の影響を受けている









