国際収支・経常収支・資本収支 | 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策

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「経常収支の黒字と資本収支の赤字が対応する」と教科書で読んだとき、最初は「どういうこと?」と止まってしまいました。でも「日本が輸出で稼いだドルをどこかに投資している」と考えると、両方を天秤の左右に乗せたイメージがつながりました。国際収支は、国全体のお金の流れを記録した家計簿です。

目次

国際収支の全体構造

国際収支(Balance of Payments)とは、一定期間における一国の対外取引を体系的に記録したものです。IMF基準(第6版)では以下の3つに大別されます。

国際収支の3区分(IMF第6版基準)
区分内容プラスの意味
経常収支モノ・サービス・所得・移転の取引海外からの受け取り超過
資本移転等収支資本の無償移転(海外援助など)受け取り超過
金融収支対外金融資産・負債の増減資産の取得超過(海外投資超)
基本恒等式——経常収支 + 資本移転等収支 + 金融収支 = 0(誤差脱漏を除く)
日本が貿易黒字(経常収支プラス)を稼ぐと、そのお金は海外への投資(金融収支プラス)として出ていきます。天秤の左右が必ずつり合う仕組みです。

経常収支の4つの内訳

経常収支は診断士試験で最も問われる区分です。4つの項目に分かれています。

項目内容日本の例
貿易収支財(モノ)の輸出入の差額自動車・機械の輸出 − 原油輸入
サービス収支輸送・旅行・金融・知財使用料の収支訪日観光客の消費(プラス)、ロイヤリティ支払(マイナス)
第一次所得収支雇用者報酬・投資収益の収支海外子会社からの配当・利子収入
第二次所得収支対価を伴わない移転(ODA・送金)政府開発援助の拠出(マイナス)
近年の日本の特徴——貿易収支は赤字基調(資源輸入増・円安)でも、第一次所得収支の黒字が大きいため経常収支全体はプラスを維持しています。「日本は貿易で稼いでいる」は今や半分正確で、実態は「海外投資からの利子・配当で稼いでいる」国になっています。

経常収支と金融収支の関係——天秤の左右

国際収支の恒等式から、経常収支と金融収支は必ず逆符号の関係になります(資本移転等収支を無視した場合)。

経常収支 黒字(プラス)のとき
海外から受け取るお金が多い状態。
→ そのお金は海外投資・外貨建て資産の取得に使われる。
金融収支もプラス(資産取得超)になって相殺。
経常収支 赤字(マイナス)のとき
海外へ支払うお金が多い状態。
→ 不足分は海外からの借入・外国人の国内投資で賄われる。
金融収支もマイナス(負債増加)になって相殺。
「双子の赤字」とは——アメリカが1980年代に経験した、財政赤字(政府)と経常赤字(対外)が同時進行する状態。財政赤字→高金利→資本流入→ドル高→輸出競争力低下→経常赤字、という連鎖で説明されます。
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IMF第5版と第6版で金融収支の符号の定義が変わっています。旧基準では「資本収支」と呼ばれ、黒字・赤字の意味が逆でした。過去問の年度によって基準が異なるため、問題文の前提を確認することが大切です。

過去問で確認する

中小企業診断士 1次試験 経済学・経済政策 国際収支・経常収支
国際収支に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 経常収支が黒字のとき、金融収支も必ず黒字になるとは限らない。
  • イ 貿易収支はモノとサービスの両方の輸出入を記録する。
  • ウ 経常収支と金融収支(資本移転等収支を除く)の合計はゼロになる恒等関係が成立する。
  • エ 第一次所得収支には、ODAなどの政府開発援助が含まれる。
解答・解説
正解:ウ
ア:国際収支の恒等式より、経常収支が黒字(プラス)なら金融収支もプラス(資産取得超)になります。必ず対応します。
イ:貿易収支はモノ(財)のみです。サービスの収支は「サービス収支」として別に記録されます。
ウ:正しい。経常収支+資本移転等収支+金融収支=0(誤差脱漏除く)が成立します。
エ:ODAなど対価を伴わない移転は「第二次所得収支」に分類されます。第一次所得収支は投資収益・雇用者報酬です。
中小企業診断士 1次試験 経済学・経済政策 経常収支の内訳
経常収支の内訳に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 訪日外国人が日本国内で支出した観光費用は、貿易収支に計上される。
  • イ 海外子会社からの配当金の受け取りは、第二次所得収支に計上される。
  • ウ 日本企業が海外に支払う特許権使用料は、サービス収支のマイナス要因となる。
  • エ 政府開発援助(ODA)の拠出は、資本移転等収支に計上される。
解答・解説
正解:ウ
ア:訪日外国人の国内消費は「旅行サービスの輸出」としてサービス収支のプラスに計上されます。
イ:海外子会社からの配当金は投資収益として第一次所得収支のプラスに計上されます。
ウ:正しい。特許権使用料などの知的財産権使用料は「知的財産権等使用料」としてサービス収支に計上されます。支払いはマイナスです。
エ:ODAは対価を伴わない移転として第二次所得収支に計上されます。

整理メモ

  • 国際収支 = 経常収支 + 資本移転等収支 + 金融収支 = 0
  • 経常収支の4項目:貿易収支・サービス収支・第一次所得収支・第二次所得収支
  • ODA → 第二次所得収支 / 海外投資収益 → 第一次所得収支 / 観光収入 → サービス収支
  • 経常収支黒字 ⇔ 金融収支プラス(資産取得超)が対応
  • IMF第5版(旧)と第6版(新)で金融収支の符号定義が異なる点に注意

関連ツール

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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