中小企業の支援機関まとめ|よろず支援拠点・中小機構・商工会議所の役割と違いを図解

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過去問に「よろず支援拠点」という言葉が出てきたとき、正直ぴんとこなかったのですが、「何でも相談できる拠点」という意味だとわかって少し親しみが湧きました。

調べてみると、中小企業を支える公的機関にはいくつかの種類があり、それぞれ設置主体と役割が違います。混同しやすい部分を中心に整理してみます。

中小企業が経営の相談をしたいとき、頼れる公的機関はひとつではありません。国が設置した機関、都道府県ごとの機関、地域密着型の機関——それぞれが役割を分担して中小企業を支えています。試験では「どの機関が何をするのか」「誰が設置しているのか」が問われることが多いため、役割の違いを正確に把握しておくことが大切です。

中央省庁中小企業庁(経済産業省)
政策実施機関中小企業基盤整備機構(中小機構)
全都道府県よろず支援拠点・都道府県等中小企業支援センター
地域商工会議所・商工会・信用保証協会・日本政策金融公庫
目次

中小企業基盤整備機構(中小機構)とは

中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)は、中小企業政策を実施する中核的な機関です。2004年に「中小企業総合事業団」「地域振興整備公団の一部」「繊維産業構造改善事業協会」の3機関が統合して設立されました。経済産業省が所管し、全国47都道府県に拠点を置きます。

2004
年設立
3機関の統合により発足
47
都道府県
全国に事務所・拠点を設置
独立
行政法人
経済産業省所管

中小機構の主な業務は以下の4分野です。

01経営支援
よろず支援拠点の運営、専門家派遣、経営診断・助言を実施。中小企業の経営課題を多面的に支援する。
試験頻出
02共済事業
小規模企業共済(個人事業主・役員向け退職金制度)、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)を運営。
試験頻出
03人材育成・研修
中小企業大学校(全国9校)での研修・セミナーを通じた人材育成支援。
04海外展開・産業用地整備
海外への事業展開支援、工業団地・インキュベーション施設などの産業用不動産整備。

よろず支援拠点

よろず支援拠点は、中小企業・小規模事業者の「何でも相談窓口」として2013年度から全国47都道府県に設置されました。設置主体は中小機構で、各都道府県の専門機関に委託して運営されています。

47
都道府県
全国すべての都道府県に設置
無料
相談は何度でも費用がかからない
2013
年度〜
全国展開を開始した年度

よろず支援拠点では、次のような幅広い相談に対応しています。

  • 売上拡大・販路開拓(新規顧客の獲得、Webマーケティング活用など)
  • 経営改善・財務(資金繰り、コスト削減、収益性改善)
  • 創業・起業(事業計画の策定、資金調達の方向性検討)
  • 事業転換・事業承継(経営戦略の見直し、後継者問題の相談)

試験のポイント:よろず支援拠点の設置主体は「中小機構(独立行政法人)」です。「経済産業省が直接設置」「商工会議所が運営」などの誤りの選択肢に注意しましょう。

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「よろず」という名前から「何でも相談できる」というイメージは持ちやすいのですが、「設置主体は中小機構」という点が試験で問われやすいようです。運営の委託先は都道府県によって異なりますが、設置主体はどの都道府県でも中小機構に統一されています。

商工会議所と商工会

商工会議所と商工会は、地域の商工業者で構成される民間の経済団体です。名称が似ているため混同しやすいですが、設置エリアと根拠法が異なります。

比較項目商工会議所商工会
根拠法商工会議所法商工会法
設置エリア主に市(商工業が相当程度発達した地区)主に町・村(小規模市町村)
全国組織日本商工会議所(日商)全国商工会連合会
主な業務経営・税務・金融相談、各種検定試験(日商簿記等)の実施経営・税務・金融相談(小規模事業者が中心)
担当者経営指導員経営指導員

商工会・商工会議所の経営指導を受けた小規模事業者が利用できる融資制度として、「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」があります。

マル経融資のしくみ
商工会議所・商工会が経営指導を行い、その推薦を受けた事業者に対して日本政策金融公庫が融資を実施。無担保・無保証人で利用できる点が特徴。小規模事業者向けの重要な金融支援制度です。

その他の主要支援機関

上記以外にも、中小企業を支える公的機関があります。それぞれの役割を概観しておきましょう。

機関名主な役割設置主体
都道府県等中小企業支援センター都道府県レベルの経営相談・専門家派遣・窓口相談各都道府県
日本政策金融公庫(日本公庫)政策的な融資(創業融資・小規模事業者向け融資等)国(政府100%出資)
信用保証協会中小企業の融資を保証する信用補完制度を運営都道府県・政令指定都市(全国52機関)
中小企業診断士経営診断・助言・実行支援(民間の経営コンサルタント)民間(各種支援機関に登録・派遣)

身近な場面で考えてみると

近所でカフェを開業しようとしている方を例に、支援機関をどのように活用するかを考えてみます。

シナリオ:カフェ開業を目指す Aさんの場合
1
まず事業計画について相談したい。→ よろず支援拠点へ。無料で何度でも相談でき、必要に応じて専門家も紹介してもらえる。
2
開業資金の融資を受けたい。→ 日本政策金融公庫へ。創業者向けの低利融資を検討。信用保証協会の保証付き融資も選択肢に。
3
開業後、地元の経営者ネットワークに参加したい。→ 商工会議所(または商工会)へ入会。経営指導員への相談や、マル経融資の活用も視野に。
4
老後の備えを考えたい(小規模事業者の退職金制度)。→ 小規模企業共済(中小機構が運営)への加入を検討。

一人の起業家でも、目的に応じて複数の支援機関を使い分けていくことになります。各機関の特徴を理解しておくと、こうした活用イメージが自然と浮かぶようになります。

過去問で確認する

令和2年度 第9問(改題) 中小企業経営・政策
中小企業・小規模事業者向けの支援機関に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア よろず支援拠点は、経済産業省が直接設置・運営する相談窓口であり、年間で相談回数の上限がある。
  • イ 商工会議所は町・村に設置され、商工会は市に設置されている。
  • ウ よろず支援拠点は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が全国47都道府県に設置しており、中小企業・小規模事業者の経営上の悩みに何度でも無料で対応する。
  • エ マル経融資は、中小機構が直接融資する制度であり、担保が必要である。
正解:ウ
よろず支援拠点の設置主体は中小機構(独立行政法人)です。全国47都道府県に設置され、何度でも無料で相談できます。ア:経済産業省の直接設置ではなく中小機構が設置。イ:商工会議所は市(商工業が発達した地区)、商工会は町・村が主な設置エリアです。エ:マル経融資は日本政策金融公庫が融資する制度で、無担保・無保証人が特徴です。

まとめ

  • 中小機構(独立行政法人)は政策実施の中核機関。2004年設立、経営支援・共済・人材育成・海外展開を担う
  • よろず支援拠点は中小機構が設置。全47都道府県・無料・何度でも相談可能(2013年度〜)
  • 商工会議所(市・商工会議所法)と商工会(町村・商工会法)は設置エリアと根拠法が異なる
  • マル経融資は商工会・商工会議所の推薦を経て日本政策金融公庫が融資(無担保・無保証人)
  • 信用保証協会は融資の保証、日本公庫は融資を担う——金融支援の二本柱を区別して覚える
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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