U財務分析の比率って、種類が多くてどこから覚えればいいのか迷いますよね。過去問を解いていると「収益性・安全性・効率性」の3軸で問われることが多いとわかってきたので、今回はその3軸を軸に整理してみました。
この記事でわかること
・収益性・安全性・効率性・成長性の4軸と主要比率
・各比率の計算式と「高い・低いどちらが良いか」
・ROE・ROAの構造分解(デュポン分析)
・診断士試験での出題パターンと比較問題の解き方
・収益性・安全性・効率性・成長性の4軸と主要比率
・各比率の計算式と「高い・低いどちらが良いか」
・ROE・ROAの構造分解(デュポン分析)
・診断士試験での出題パターンと比較問題の解き方
目次
財務分析の「3+1軸」で全体像を掴む
財務分析比率は多数ありますが、すべて「この会社は儲かっているか・倒れないか・資産を使いこなしているか・成長しているか」を見るための道具です。この4軸を意識すると、各比率がどの問いに答えるものかが整理できます。
収益性
売上高総利益率(粗利率)
売上総利益 ÷ 売上高
売上高営業利益率
営業利益 ÷ 売上高
売上高当期純利益率
当期純利益 ÷ 売上高
ROA(総資本利益率)
利益 ÷ 総資産
ROE(自己資本利益率)
当期純利益 ÷ 自己資本
安全性
流動比率
流動資産 ÷ 流動負債 ×100
当座比率
当座資産 ÷ 流動負債 ×100
自己資本比率
自己資本 ÷ 総資産 ×100
負債比率
負債合計 ÷ 自己資本 ×100
固定比率
固定資産 ÷ 自己資本 ×100
効率性(活動性)
総資産回転率
売上高 ÷ 総資産
棚卸資産回転率
売上高 ÷ 棚卸資産
売上債権回転率
売上高 ÷ 売上債権
棚卸資産回転日数
365日 ÷ 棚卸資産回転率
固定資産回転率
売上高 ÷ 固定資産
収益性比率:どこで稼いで、最終的にどれだけ残るか
売上高総利益率(粗利率)
売上高総利益率 = 売上総利益(粗利)÷ 売上高 × 100(%)
仕入れコストを差し引いた後の利益率。本業のビジネスモデルの強さを測る基本指標。一般に製造業より卸売業が低く、サービス業が高い傾向があります。粗利率が高いほど競争力のある商品・サービスを持っていると解釈できます。
高いほど良い
売上高営業利益率
売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100(%)
販管費(人件費・広告費等)まで差し引いた後の利益率。経営効率の全体像を測る。粗利率が高くても、販管費が多すぎると営業利益率は下がります。診断士試験では「粗利率は高いのに営業利益率が低い→販管費が問題」という分析設問が出ることがあります。
高いほど良い
ROA(総資本利益率)
ROA = 営業利益(または当期純利益)÷ 総資産 × 100(%)
会社が持っている資産全体でどれだけ稼いでいるかを示す指標。資金の調達方法(借入か自己資本か)に関係なく、資産の運用効率を評価できます。診断士では分子を「営業利益」とする場合と「当期純利益」とする場合があり、問題文の指示に従います。
高いほど良い
ROE(自己資本利益率)
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本(純資産)× 100(%)
株主が投資したお金(自己資本)でどれだけ稼いだかを示す。投資家目線の重要指標で、日本企業の平均は10%前後が目安とされています。レバレッジ(借入活用)で高めることもでき、後述のデュポン分析につながります。
高いほど良い
ROEをデュポン分析で3つに分解する
ROEを「なぜ高いのか・低いのか」と分析するとき、デュポン分析(デュポン式)が非常に有効です。ROEを3要素に分解することで、改善ポイントが明確になります。
ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
(当期純利益÷売上高)× (売上高÷総資産)× (総資産÷自己資本)
= 当期純利益 ÷ 自己資本
= 当期純利益 ÷ 自己資本
| 構成要素 | 意味 | 改善策 |
|---|---|---|
| 売上高純利益率 | 稼ぐ力。コスト削減・価格競争力 | コストカット・高付加価値化 |
| 総資産回転率 | 資産の使いこなし力。少ない資産で多くの売上 | 不要資産の売却・在庫削減 |
| 財務レバレッジ | 借入活用度。負債が多いほど高くなる | 適度な借入活用(ただし安全性低下に注意) |
試験での出題パターン:「A社とB社のROEを比較すると、A社は財務レバレッジが高いためROEが高いが、自己資本比率は低い」といった複合分析問題が出ます。高いROEが必ずしも良い企業とは限らない点がポイントです。



デュポン分析は「なぜROEが高い(低い)のか」を深掘りするための道具だとわかってから、財務分析の問題が解きやすくなりました。ROEだけ見ても判断が難しい理由が、分解するとわかります。
安全性比率:短期・長期の支払能力を測る
流動比率
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%) 目安:200%以上
1年以内に支払わなければならない負債(流動負債)に対して、1年以内に換金できる資産(流動資産)がどれだけあるかを示します。200%以上が理想とされますが、業種によって差があります。
高いほど安全
当座比率
当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100(%) 目安:100%以上
流動資産から換金が遅い棚卸資産を除いた「当座資産」(現金・預金・受取手形・売掛金・有価証券)で流動負債をカバーできるかを見ます。流動比率より厳しい基準です。
高いほど安全
自己資本比率
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100(%)
資産全体のうち返済不要な自己資本がどの割合を占めるか。高いほど財務的に安定。日本の中小企業の平均は30〜40%程度。
高いほど安全
固定比率・固定長期適合率
固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100 固定長期適合率 = 固定資産 ÷(自己資本+固定負債)× 100
固定資産が長期的な資金(自己資本や固定負債)でまかなわれているかを確認します。固定比率100%以下が理想ですが、実務上は固定長期適合率が100%以下かどうかで判断することも多いです。
低いほど安全
効率性(活動性)比率:資産をどれだけうまく使っているか
効率性(活動性)比率は「同じ資産でどれだけの売上を生み出せるか」を測ります。回転率が高いほど資産を有効活用できていると言えます。
| 比率 | 計算式 | 意味・解説 |
|---|---|---|
| 棚卸資産回転率 | 売上高 ÷ 棚卸資産 | 在庫が年間に何回転したか。高いほど在庫が滞留していない。食品・コンビニは高く、不動産・造船は低い |
| 棚卸資産回転日数 | 365 ÷ 棚卸資産回転率 | 在庫が何日で売れるか。短いほど資金繰りが良い。「30日」なら約1か月で在庫が入れ替わるイメージ |
| 売上債権回転率 | 売上高 ÷ 売上債権 | 売掛金の回収スピード。高いほど早期に現金化できている |
| 売上債権回転日数 | 365 ÷ 売上債権回転率 | 売掛金が何日で回収できるか。長いほど回収が遅く資金繰りリスクが高まる |
コンビニ2社で比べてみると比率の意味がわかる
財務比率は「単独の数字」より「比較」して初めて意味を持ちます。仮にコンビニA社・B社で以下のような数字だったとします。
| 指標 | A社 | B社 | 読み取り |
|---|---|---|---|
| 売上高総利益率 | 32% | 28% | A社の方が仕入れコストを抑えているか、高付加価値商品を多く扱っている |
| 売上高営業利益率 | 5% | 7% | 粗利率はA社が高いのに営業利益率はB社が高い→A社は販管費が重い(店舗コスト等) |
| 棚卸資産回転日数 | 7日 | 12日 | A社は在庫回転が速い→食品廃棄が少なく鮮度管理が優秀か |
| 自己資本比率 | 40% | 25% | A社は財務的に安定。B社は借入が多く、財務レバレッジが高いとも言える |
比較分析のコツ:「どの比率が良い・悪い」より、「なぜその比率になっているのか(ビジネスモデルとの関係)」を考えることが診断士2次試験でも求められます。1次試験でも複数の比率をセットで読む問題が出題されます。
診断士1次試験の出題パターン
| 出題パターン | 内容・引っかけ |
|---|---|
| 計算式の確認 | 「ROAの分母は自己資本か総資産か」「当座比率の分子に棚卸資産は含むか」といった計算式の正誤 |
| 高い・低いの判断 | 「固定比率は高いほど安全」(×→低いほど安全)「棚卸資産回転日数は長いほど効率的」(×→短いほど) |
| デュポン分析 | ROE=収益性×効率性×財務レバレッジの分解。「A社はB社よりROEが高いが財務レバレッジが高いため」といった分析 |
| 2社比較問題 | 貸借対照表・損益計算書が2社分与えられ、複数の比率を計算して優劣を判断する |
| 業種との対応 | コンビニ・スーパーは棚卸資産回転率が高い、製造業は固定資産比率が高い等の業種特性 |
まとめ
- 財務分析比率は「収益性・安全性・効率性(活動性)・成長性」の4軸で整理すると覚えやすい
- ROE=売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ(デュポン分析)でROEの要因を分解できる
- 固定比率・固定長期適合率・負債比率は「低いほど安全」(他の安全性比率は高いほど安全)
- 棚卸資産回転日数・売上債権回転日数は「短いほど(日数が少ないほど)資金繰りが良い」
- 試験では2社比較問題とデュポン分析の組み合わせが頻出
Uのメモ
「高いほど良い比率」「低いほど良い比率」の混乱は最初はよくありました。固定比率・固定長期適合率・負債比率・棚卸資産回転日数・売上債権回転日数は「低い方が良い」というグループとして覚えておくと整理しやすいです。過去問を解く際は、比率の方向性(↑良 or ↓良)を問題文で確認する癖をつけると引っかかりにくくなります。
「高いほど良い比率」「低いほど良い比率」の混乱は最初はよくありました。固定比率・固定長期適合率・負債比率・棚卸資産回転日数・売上債権回転日数は「低い方が良い」というグループとして覚えておくと整理しやすいです。過去問を解く際は、比率の方向性(↑良 or ↓良)を問題文で確認する癖をつけると引っかかりにくくなります。









