発注方式まとめ|定期発注・定量発注(EOQ)・安全在庫の計算を図解で整理

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過去問を解いていて「定期発注と定量発注、どっちがどっちだっけ」と手が止まったことがありました。名前は知っているのに、計算式が出てくると急に自信がなくなる——そんな方に向けて、コンビニの棚を例に丁寧に整理してみました。

発注管理は運営管理の中でも計算問題が頻出のテーマです。「定期発注か定量発注か」「EOQ(経済的発注量)の公式は何だっけ」「安全在庫はどう計算するの」——この記事では、3つの問いにまとめて答えられるよう、図と計算式を使って整理しました。試験直前の確認にも、初めて学ぶ方の入門にもお役立てください。

目次

定期発注と定量発注——2つの方式の根本的な違い

定期発注方式
発注タイミングが固定(毎週月曜、月1回など)
発注量はそのつど変わる(在庫状況を見て調整)
需要変動が大きい品目に向く
管理工数が高いが、きめ細かい在庫管理ができる
A品・重要品目向け
定量発注方式
発注量が固定(毎回100個など)
発注タイミングは変わる(在庫が発注点を下回ったら発注)
需要が安定している品目に向く
管理工数が低く、EOQとの組み合わせで効率化できる
C品・汎用品向け

一言で覚えるなら、「定期=タイミング固定・量変動」「定量=量固定・タイミング変動」です。「定期」という言葉につられて「量も定期的に一定」と思い込みやすいのですが、逆なんですね。最初に気づいたとき、少し驚きました。

定期発注方式:発注量の計算式を丁寧に分解する

定期発注では、「発注した分が届くまでの間(リードタイム)に売れる量」と「次の発注周期中に売れる量」をカバーできるだけ注文します。現在の在庫が多ければ少なく注文し、少なければ多く注文する——その調整式が以下です。

定期発注方式 — 発注量の計算式
発注量 = (発注周期 + リードタイム)× 1日あたり需要量 + 安全在庫 − 現在庫量
※「発注周期+リードタイム」が「補充すべき期間」。この間に需要が発生するため、その分を確保したうえで安全在庫を足し、今ある在庫を引きます。
01
補充すべき期間を求める
「今日発注して、次回発注品が届くまで」の期間 = 発注周期+リードタイム。この間は追加補充が来ないので、この期間分の在庫を確保します。
02
安全在庫を加える
需要が予測より多かった場合に備えるバッファです。安全在庫がないと、需要の山で品切れが起きやすくなります。
03
現在庫を引く
今すでに棚にある在庫分は追加注文が不要です。「必要量 − 手持ち量」が今回の発注量になります。

定量発注方式とEOQ:発注点と経済的発注量の計算

定量発注のポイントは2つあります。「いつ発注するか(発注点)」と「何個発注するか(EOQ)」です。

発注点(Reorder Point)の計算式
発注点 = リードタイム × 1日あたり需要量 + 安全在庫
在庫がこの水準まで下がったら発注します。「リードタイム中に売れる量+安全在庫」というシンプルな構造です。

次に「何個まとめて注文するか」ですが、これが試験頻出の EOQ(Economic Order Quantity:経済的発注量) です。

EOQ(経済的発注量)の公式
EOQ = 2 × D × S ÷ H
D(Demand)= 年間需要量
S(Setup / Ordering Cost)= 1回あたりの発注費用
H(Holding Cost)= 1個あたり年間保管費用

読み方:「2DS をH で割ったものの平方根」。2乗根なので試験では√を忘れずに。
D
年間需要量
1年間に何個売れるか
S
1回発注費用
注文書作成・受け取り等のコスト
H
年間保管費用
倉庫代・劣化・資金拘束コスト

EOQの直感的な意味は「発注費用と保管費用が最もバランスする発注量」です。たくさんまとめて発注すれば保管費用が増え、少量を頻繁に発注すれば発注費用が増える。その両者が交差する最適点を数式で求めたものがEOQです。

安全在庫の計算:統計的アプローチで品切れリスクを管理する

安全在庫の計算式
安全在庫 = 安全係数(z) × 需要の標準偏差(σ) × √リードタイム(L)
安全係数(z):欠品をどこまで許容しないか(サービス率)で決まる係数。サービス率95%なら z≒1.65、99%なら z≒2.33。
標準偏差(σ):需要量のばらつき具合。ばらつきが大きいほど安全在庫は増える。
√L:リードタイムが長いほどばらつきが積み重なるため、平方根でスケーリングします。
サービス率 安全係数(z)の目安 意味
90% 1.28 10回に1回は品切れを許容
95% 1.65 20回に1回は品切れを許容
99% 2.33 100回に1回は品切れを許容

試験では「安全係数」「標準偏差」「リードタイム」が数値で与えられ、計算させる問題が出ます。公式の構造を覚えておくと、数値を当てはめるだけで解けます。

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「なぜリードタイムに√をつけるの?」と思ったとき、少し立ち止まりました。統計的には、独立した複数期間のばらつきは足し算ではなく「分散の加算→標準偏差は√でスケール」という性質があるためです。試験でロジックまで問われることはほぼないですが、なぜ√なのかを知っておくと公式が忘れにくくなると感じています。

コンビニのおにぎりと飲料で考えてみる

日常の例で整理してみましょう

コンビニをイメージしてみてください。おにぎりと清涼飲料水では、発注の仕方が根本的に違います。

おにぎり(定期発注)
毎朝7時に配送が来ます。注文は前日の夜。「今日の残り在庫」「明日の曜日・天気・イベント」を見て、その日ごとに発注数を変えます。月曜の朝は多め、日曜の夜は少なめ——需要のばらつきが大きいため、タイミングを固定して量を都度調整する定期発注が向いています。
ペットボトル飲料(定量発注)
売れる量が比較的安定していて、置き場所(冷蔵ケース)も決まっています。棚の在庫が一定水準(発注点)を切ったらケース単位で同じ量を補充する——需要が安定していて管理を省力化できる定量発注が向いています。

どちらの方式を選ぶかは「需要のばらつきの大きさ」と「管理にかけられる手間のバランス」で決まる、ということが実感できます。

在庫コストのトレードオフ:3種類のコストを理解する

在庫管理の本質は「3種類のコストのバランスをとること」です。EOQも安全在庫も、このトレードオフを数式で解いたものです。

COST 1
発注費用(Ordering Cost)
1回発注するたびにかかるコスト。注文書の作成・送付・受入検品・伝票処理などの事務コスト。発注回数が増えるほど増大します。
COST 2
保管費用(Holding Cost)
在庫を持つことのコスト。倉庫賃料・保険料・管理人件費・劣化損失・在庫に拘束された資本の機会費用など。在庫量が増えるほど増大します。
COST 3
品切れコスト(Shortage Cost)
在庫がなくて販売機会を逃したときのコスト。顧客の信頼損失・緊急調達費用・販売損失など。在庫を減らしすぎると発生します。
トレードオフの構造:
発注量を増やす → 保管費用が増える・発注回数が減り発注費用は下がる
発注量を減らす → 保管費用が下がる・発注回数が増え発注費用は上がる・品切れリスクが増す

EOQはこの「発注費用と保管費用の合計が最小になる点」を数学的に求めた値です。

ABC分析との組み合わせ:品目の重要度で発注方式を変える

すべての品目に同じ管理工数をかけることは非効率です。ABC分析で品目を3グループに分け、管理密度を変えることが実務でも試験でも重要なポイントです。

A
重要品目
売上・金額への貢献が高い品目(全体の20〜30%品目で売上の70〜80%を占める)
定期発注方式
B
中間品目
AとCの中間。状況や品目特性によって発注方式を選択する
どちらでもよい
C
汎用品目
安定需要で管理を省力化できる品目(全体の品目数は多いが売上貢献は小さい)
定量発注方式

A品は需要変動が大きく単価も高いため、在庫の状態を見ながら毎回量を調整できる「定期発注」で手厚く管理します。C品は需要が安定しているため、発注量を固定して自動的に補充できる「定量発注」で管理工数を下げます。

試験頻出ポイントの整理

  • EOQ公式の√を忘れない:「√(2DS/H)」。Dは年間需要量、Sは1回発注費用、Hは年間保管費用。数値を代入して計算する問題が頻出。
  • 定期発注の発注量計算:「(発注周期+リードタイム)× 日需要量 + 安全在庫 − 現在庫」という構造を理解していれば数値が変わっても対応できます。
  • 安全在庫の計算:「z × σ × √L」。安全係数・標準偏差・リードタイムが与えられるパターンで出題されます。
  • ABC分析との組み合わせ:「A品→定期発注」「C品→定量発注」という対応関係は選択肢問題で問われます。理由(需要変動の大小・管理密度)とセットで押さえましょう。
  • 3コストのトレードオフ:「発注費用は発注量を増やすと下がる、保管費用は発注量を増やすと上がる」——この逆方向の動きを理解していると、EOQの意味が腹落ちします。

まとめ:発注方式の全体像を振り返る

  • 定期発注はタイミング固定・量変動。定量発注は量固定・タイミング変動
  • 定期発注の発注量 = (発注周期+リードタイム)× 日需要量 + 安全在庫 − 現在庫
  • EOQ = √(2DS/H)。発注費用と保管費用の合計が最小となる発注量
  • 安全在庫 = z × σ × √L。サービス率と需要ばらつき・リードタイムで決まる
  • ABC分析:A品は定期発注(手厚く管理)、C品は定量発注(省力化)が基本
  • 在庫コストは発注費用・保管費用・品切れコストの3つ。量を増減するとそれぞれ逆方向に動く
U のメモ
発注方式は公式だけ見ると「また暗記か」と思いがちですが、コンビニや近所のスーパーに置き換えると一気に身近になりました。「なぜおにぎりと飲料の補充の仕方が違うのか」を考えたとき、定期・定量の使い分けが自然に納得できたんです。

計算問題に備えるなら、まず「発注費用 vs 保管費用のトレードオフ」という骨格を頭に入れてから公式に進むと、数字がどこから来るのかが見えてくると思います。過去問で演習する際は、ぜひ「なぜその公式なのか」を確認しながら解いてみてください。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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