U過去問を解いていて「定期発注と定量発注、どっちがどっちだっけ」と手が止まったことがありました。名前は知っているのに、計算式が出てくると急に自信がなくなる——そんな方に向けて、コンビニの棚を例に丁寧に整理してみました。
発注管理は運営管理の中でも計算問題が頻出のテーマです。「定期発注か定量発注か」「EOQ(経済的発注量)の公式は何だっけ」「安全在庫はどう計算するの」——この記事では、3つの問いにまとめて答えられるよう、図と計算式を使って整理しました。試験直前の確認にも、初めて学ぶ方の入門にもお役立てください。
定期発注と定量発注——2つの方式の根本的な違い
一言で覚えるなら、「定期=タイミング固定・量変動」、「定量=量固定・タイミング変動」です。「定期」という言葉につられて「量も定期的に一定」と思い込みやすいのですが、逆なんですね。最初に気づいたとき、少し驚きました。
定期発注方式:発注量の計算式を丁寧に分解する
定期発注では、「発注した分が届くまでの間(リードタイム)に売れる量」と「次の発注周期中に売れる量」をカバーできるだけ注文します。現在の在庫が多ければ少なく注文し、少なければ多く注文する——その調整式が以下です。
定量発注方式とEOQ:発注点と経済的発注量の計算
定量発注のポイントは2つあります。「いつ発注するか(発注点)」と「何個発注するか(EOQ)」です。
次に「何個まとめて注文するか」ですが、これが試験頻出の EOQ(Economic Order Quantity:経済的発注量) です。
S(Setup / Ordering Cost)= 1回あたりの発注費用
H(Holding Cost)= 1個あたり年間保管費用
読み方:「2DS をH で割ったものの平方根」。2乗根なので試験では√を忘れずに。
EOQの直感的な意味は「発注費用と保管費用が最もバランスする発注量」です。たくさんまとめて発注すれば保管費用が増え、少量を頻繁に発注すれば発注費用が増える。その両者が交差する最適点を数式で求めたものがEOQです。
安全在庫の計算:統計的アプローチで品切れリスクを管理する
標準偏差(σ):需要量のばらつき具合。ばらつきが大きいほど安全在庫は増える。
√L:リードタイムが長いほどばらつきが積み重なるため、平方根でスケーリングします。
| サービス率 | 安全係数(z)の目安 | 意味 |
|---|---|---|
| 90% | 1.28 | 10回に1回は品切れを許容 |
| 95% | 1.65 | 20回に1回は品切れを許容 |
| 99% | 2.33 | 100回に1回は品切れを許容 |
試験では「安全係数」「標準偏差」「リードタイム」が数値で与えられ、計算させる問題が出ます。公式の構造を覚えておくと、数値を当てはめるだけで解けます。



「なぜリードタイムに√をつけるの?」と思ったとき、少し立ち止まりました。統計的には、独立した複数期間のばらつきは足し算ではなく「分散の加算→標準偏差は√でスケール」という性質があるためです。試験でロジックまで問われることはほぼないですが、なぜ√なのかを知っておくと公式が忘れにくくなると感じています。
コンビニのおにぎりと飲料で考えてみる
コンビニをイメージしてみてください。おにぎりと清涼飲料水では、発注の仕方が根本的に違います。
どちらの方式を選ぶかは「需要のばらつきの大きさ」と「管理にかけられる手間のバランス」で決まる、ということが実感できます。
在庫コストのトレードオフ:3種類のコストを理解する
在庫管理の本質は「3種類のコストのバランスをとること」です。EOQも安全在庫も、このトレードオフを数式で解いたものです。
発注量を増やす → 保管費用が増える・発注回数が減り発注費用は下がる
発注量を減らす → 保管費用が下がる・発注回数が増え発注費用は上がる・品切れリスクが増す
EOQはこの「発注費用と保管費用の合計が最小になる点」を数学的に求めた値です。
ABC分析との組み合わせ:品目の重要度で発注方式を変える
すべての品目に同じ管理工数をかけることは非効率です。ABC分析で品目を3グループに分け、管理密度を変えることが実務でも試験でも重要なポイントです。
A品は需要変動が大きく単価も高いため、在庫の状態を見ながら毎回量を調整できる「定期発注」で手厚く管理します。C品は需要が安定しているため、発注量を固定して自動的に補充できる「定量発注」で管理工数を下げます。
試験頻出ポイントの整理
- EOQ公式の√を忘れない:「√(2DS/H)」。Dは年間需要量、Sは1回発注費用、Hは年間保管費用。数値を代入して計算する問題が頻出。
- 定期発注の発注量計算:「(発注周期+リードタイム)× 日需要量 + 安全在庫 − 現在庫」という構造を理解していれば数値が変わっても対応できます。
- 安全在庫の計算:「z × σ × √L」。安全係数・標準偏差・リードタイムが与えられるパターンで出題されます。
- ABC分析との組み合わせ:「A品→定期発注」「C品→定量発注」という対応関係は選択肢問題で問われます。理由(需要変動の大小・管理密度)とセットで押さえましょう。
- 3コストのトレードオフ:「発注費用は発注量を増やすと下がる、保管費用は発注量を増やすと上がる」——この逆方向の動きを理解していると、EOQの意味が腹落ちします。
まとめ:発注方式の全体像を振り返る
- 定期発注はタイミング固定・量変動。定量発注は量固定・タイミング変動
- 定期発注の発注量 = (発注周期+リードタイム)× 日需要量 + 安全在庫 − 現在庫
- EOQ = √(2DS/H)。発注費用と保管費用の合計が最小となる発注量
- 安全在庫 = z × σ × √L。サービス率と需要ばらつき・リードタイムで決まる
- ABC分析:A品は定期発注(手厚く管理)、C品は定量発注(省力化)が基本
- 在庫コストは発注費用・保管費用・品切れコストの3つ。量を増減するとそれぞれ逆方向に動く
計算問題に備えるなら、まず「発注費用 vs 保管費用のトレードオフ」という骨格を頭に入れてから公式に進むと、数字がどこから来るのかが見えてくると思います。過去問で演習する際は、ぜひ「なぜその公式なのか」を確認しながら解いてみてください。









