UPM理論の「P」と「M」が何の略か、試験中に頭が真っ白になったことがあります。それをきっかけに、リーダーシップ理論を一度ちゃんと整理しようと思いました。特性理論から始まり、PM理論・マネジリアル・グリッド・SL理論・変革型リーダーシップまで、体系として頭に入ると、個別の理論が格段に覚えやすくなります。
リーダーシップ理論の体系|3段階の発展
「優れたリーダーとは何か」という問いへの答えは、時代とともに変化してきました。各アプローチがどのような問題意識から生まれたかを押さえると、個別理論の意味が見えやすくなります。
- 特性理論:個別の特性名よりも「限界(状況を考慮しない)」を理解しておく
- 行動理論:PM理論の4類型とその名称、マネジリアル・グリッドの座標と5類型が出やすい
- 状況理論:SL理論は「成熟度と4スタイルの対応」が最頻出、逆対応に注意
PM理論|三隅二不二の行動類型
PM理論は、日本の社会心理学者・三隅二不二(みすみ じゅうじ)が提唱した理論です。リーダーシップ行動を「P機能」と「M機能」の2軸で評価し、その大小の組み合わせで4類型に分類します。日本発の理論であることも押さえておきたいポイントです。
大文字(P/M)は機能が高いことを示し、小文字(p/m)は機能が低いことを表します。PM型が4類型中で最も有効とされますが、三隅はどの型が「正しい」かより「それぞれの状況でどう補完するか」を重視しました。
マネジリアル・グリッド|ブレーク&ムートンの5類型
ブレーク(Blake)とムートン(Mouton)が提唱したマネジリアル・グリッドは、「業績(仕事)への関心」と「人間への関心」をそれぞれ1〜9の9段階で評価し、マトリクス上の座標でリーダーシップスタイルを表します。PM理論との違いは、各軸が9段階のグラデーションを持つ点です。試験では主要5スタイルの座標と名称が問われます。
(無関心型)
(タスク型)
(人間関係型)
(組織人間型)
(理想型)
PM理論とマネジリアル・グリッドの共通点:どちらも「仕事(課題・業績)への関心」と「人間(関係・維持)への関心」の2軸でリーダーシップを評価します。違いは評価スケール(2値 vs 9段階)と提唱者です。試験では混同しないよう、三隅=PM理論、ブレーク&ムートン=マネジリアル・グリッドと結びつけて覚えておきましょう。
SL理論|部下の成熟度に応じた4スタイル
ハーシー(Hersey)とブランチャード(Blanchard)が提唱したSL理論(Situational Leadership)は、「唯一最善のリーダーシップスタイルは存在せず、部下の成熟度(レディネス)に応じてスタイルを変えるべきだ」という考え方です。行動理論への反省から生まれた、条件適合理論の代表例として頻出します。
変革型リーダーシップ vs 取引型リーダーシップ
バーンズ(Burns)が提唱し、バス(Bass)が発展させた変革型リーダーシップ(Transformational Leadership)は、部下の価値観・信念・ニーズを変革し、期待以上のパフォーマンスを引き出す点が特徴です。これに対し、報酬と努力を交換する取引型(Transactional)との対比で理解するのが効果的です。
| 比較軸 | 変革型リーダーシップ | 取引型リーダーシップ |
|---|---|---|
| 基本原理 | 部下の価値観・動機・ニーズを変革し、内発的な献身を引き出す | 報酬(給与・昇進・称賛)と努力・業績の交換関係を基盤にする |
| 焦点 | 長期的・変革的。ビジョンで組織を変える | 短期的・維持的。既存システムの範囲内で機能する |
| 動機づけ | 内発的動機。使命感・共有ビジョンへの共感 | 外発的動機。報酬・ペナルティへの反応 |
| 部下への影響 | 期待を超えた成果(Extra Performance)を生み出す | 期待どおりの成果(Expected Performance)にとどまりやすい |
| 危機・変革期 | 特に有効。不確実性の高い環境で組織を方向づける | 安定・効率が求められる環境に適している |
| 代表的行動 | 4I(理想化された影響力・鼓舞するモチベーション・知的刺激・個別配慮) | 条件的報酬・例外管理(積極的/消極的) |
- 「理(Idealized)・鼓(Inspirational)・知(Intellectual)・個(Individualized)」— 理・鼓・知・個の4文字で覚える
- または「カリスマ・ビジョン・疑問・個別」という行動の内容で記憶するのも有効
- 試験では「4I」の名称の日本語訳と、それぞれがどんな行動かを問われるパターンが多い
サーバントリーダーシップとリーダーシップ vs マネジメントの違い
サーバントリーダーシップはロバート・グリーンリーフ(Greenleaf)が1970年代に提唱した概念で、「リーダーはまず奉仕者(servant)であるべき」という逆転の発想に基づきます。また、リーダーシップとマネジメント(管理)は異なる概念であることも、試験で問われるポイントです。
- リーダーは地位・権限を使って部下を「支配」するのではなく、部下の成長・ニーズへの「奉仕」を第一義とする
- 部下が自律的に働けるよう環境を整え、障壁を除去することがリーダーの役割
- リーダー自身の権力や利益よりも、フォロワーと組織全体のウェルビーイングを優先する
- 傾聴・共感・説得による影響力を行使し、命令・強制を最小化する
- 傾聴(Listening)
- 共感(Empathy)
- 癒し(Healing)
- 気づき(Awareness)
- 説得(Persuasion)
- 概念化(Conceptualization)
- 先見力(Foresight)
- 執事役(Stewardship)
- 人々の成長への関与(Commitment to Growth)
- コミュニティの構築(Building Community)
- 組織のビジョン・方向性を設定する
- 変化・革新を主導し、現状に挑戦する
- フォロワーの内発的動機を引き出す
- 「なぜその方向か」を示す(Why)
- 正式な権限がなくても発揮できる
- 不確実・変革的な状況で特に発揮される
- 計画・予算・スケジュールを策定する
- 組織・人員・リソースを調整する
- 進捗を管理・統制し、問題を修正する
- 「どのように達成するか」を担う(How)
- 正式な役職・権限と結びつきやすい
- 安定・継続的な業務運営で中心的役割を果たす
過去問で確認する
PM理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- Pは「People function(人間関係機能)」を、Mは「Mission function(使命遂行機能)」をそれぞれ表す。
- PM型よりもpM型の方が、長期的な組織成果において有効とされる。
- PM理論はPとMの機能を組み合わせた4類型でリーダーシップを分類し、PM型が最も効果的とされる。
- PM理論はアメリカの研究者ブレーク&ムートンによって提唱された。
ハーシーとブランチャードのSL(Situational Leadership)理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 部下の成熟度が最も高い段階(M4)では、リーダーはタスク志向・関係志向ともに高い「参加的スタイル」をとるべきとされる。
- 部下の成熟度に応じてリーダーシップスタイルを変えるべきであり、成熟度が最も高い段階(M4)では委任的スタイルが有効とされる。
- SL理論では、いかなる状況でもタスク志向の高いスタイルが有効であるとしている。
- SL理論はコッターによって提唱され、行動理論の延長として位置づけられる。
変革型リーダーシップの特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 報酬と業績の交換関係を基盤とし、外発的動機づけによって部下の行動を管理する。
- 部下の現状の目標・ニーズの充足を優先し、期待どおりの成果を引き出すことに専念する。
- タスク志向と関係志向の2軸でリーダー行動を分類し、(9,9)型が最も理想的とされる。
- 理想化された影響力・鼓舞するモチベーション・知的刺激・個別配慮(4I)によって、部下に期待以上の成果をもたらす。









