独占・寡占市場・価格支配力とゲーム理論 | 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策

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完全競争市場と独占市場の違いを整理していて、「なぜ独占だと価格が高くなるのか」「寡占市場ではなぜ価格が下がりにくいのか」という疑問が出てきました。ゲーム理論のナッシュ均衡と組み合わせて整理すると、価格の「粘着性」の理由が見えてきます。

この記事でわかること
  • 完全競争・独占・寡占・独占的競争の違い
  • 独占企業がなぜ価格を高く設定できるのか(限界収入と限界費用)
  • ナッシュ均衡:寡占市場でなぜ価格が下がりにくいのか
  • 囚人のジレンマ:協調が崩れる理由
  • 過去問で問われるパターン
目次

市場構造の4分類:競争の度合いで市場を分ける

市場構造売り手の数製品の差別化価格支配力
完全競争多数同質財なし(プライステイカー)農産物・外国為替
独占的競争多数差別化あり小さい飲食店・美容院
寡占少数(数社)同質・差別化両方中程度(相互依存)自動車・航空・通信
独占1社唯一大きい(プライスメイカー)特定の公共事業・特許品

独占市場:限界収入と限界費用で利潤最大化を決める

完全競争市場では、企業は「市場価格=限界費用」になるまで生産します。しかし独占企業は価格を自分で決められるため、「限界収入(MR)=限界費用(MC)」になる数量を選び、そこに対応する価格を設定します。

独占企業の利潤最大化のポイント
  • 独占市場では需要曲線がそのまま企業の直面する需要曲線
  • 限界収入(MR)は需要曲線より急な傾きで下にある(MR < P)
  • MR=MCとなる数量で生産し、その数量に対応した需要曲線上の価格を設定
  • 結果:完全競争より価格が高く、生産量が少ない → 死荷重(厚生損失)が発生
完全競争市場
P = MC(社会的最適)
超過利潤はゼロ(長期均衡)
社会的余剰が最大
死荷重なし
独占市場
P > MC(価格が高すぎる)
超過利潤が継続
社会的余剰が損失
死荷重(厚生損失)が発生

寡占市場とゲーム理論:なぜ価格が下がりにくいのか

寡占市場(数社が競合する市場)では、各企業が「相手の行動を考慮しながら」意思決定します。これを分析するのがゲーム理論です。特に「ナッシュ均衡」と「囚人のジレンマ」は試験頻出の概念です。

囚人のジレンマ:価格競争ゲームの例
B社:高価格維持
B社:値下げ
A社:高価格維持
A社:100億円
B社:100億円
(協調・最善)
A社: 20億円
B社:140億円
A社に不利
A社:値下げ
A社:140億円
B社: 20億円
B社に不利
A社: 60億円
B社: 60億円
(ナッシュ均衡)

「相手がどう動くかにかかわらず、自分にとって値下げが得」という構造のため、両社とも値下げを選ぶ。結果として協調よりも悪い均衡(各60億)に落ち着く。

ナッシュ均衡とは

すべてのプレイヤーが「相手の戦略を所与として、自分の戦略を変更しても利益にならない」状態。囚人のジレンマでは「両社とも値下げ」がナッシュ均衡。

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コンビニチェーン各社が値引き合戦を避けて「定価販売」を維持するのも、囚人のジレンマの逆応用(繰り返しゲームで協調を維持)と見ることができます。「なぜコンビニのおにぎりはいつも同じ価格帯なのか」という問いに、ゲーム理論で答えが出てくると面白いですよね。

過去問で確認:独占・寡占の分析

過去問チェック①:独占の利潤最大化 経済学・経済政策
独占市場における利潤最大化の条件として、最も適切なものはどれか。
  • ア 価格=限界費用
  • イ 価格=限界収入
  • ウ 限界収入=限界費用
  • エ 平均費用=限界費用
解説
完全競争ではP=MCが最適化条件ですが、独占では価格を自分で決められるため「MR=MC」が利潤最大化の条件。価格P>MRとなるため、P>MCとなる点で生産が止まります。正解はウ。
過去問チェック②:ナッシュ均衡 経済学・経済政策
ゲーム理論におけるナッシュ均衡の説明として、最も適切なものはどれか。
  • ア 全プレイヤーの利得の合計が最大になる状態。
  • イ 一方のプレイヤーのみが戦略を変更することで利得が改善する状態。
  • ウ どのプレイヤーも相手の戦略を所与として、自分の戦略を一方的に変更しても利得が増加しない状態。
  • エ すべてのプレイヤーが協調することで達成される状態。
解説
ナッシュ均衡は「相手の戦略を固定したうえで、自分が戦略を変えても得をしない」状態。必ずしも全体最適ではなく、囚人のジレンマでは非協力均衡がナッシュ均衡になる。正解はウ。

まとめ:独占・寡占・ゲーム理論のポイント

  • 市場構造:完全競争・独占的競争・寡占・独占の4分類
  • 独占の利潤最大化:MR=MC。P>MCとなり死荷重が発生
  • ナッシュ均衡:誰も一方的に戦略を変えて得しない状態
  • 囚人のジレンマ:個別最適≠全体最適。協調が壊れる構造
  • 寡占では相互依存のため価格が「粘着」しやすい
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ゲーム理論は経済学だけでなく、交渉・競合分析にも使える思考ツールです。診断士試験の範囲では「ナッシュ均衡・囚人のジレンマ・支配戦略」を押さえておくと安心です。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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