UIS-LMは閉鎖経済の分析ですが、実際の経済は国際的につながっています。マンデル=フレミングモデルはそのIS-LMを開放経済(貿易・資本移動あり)に拡張したもの。「変動相場制か固定相場制か」で政策効果がガラリと変わるという点が面白いと感じました。
- ▸マンデル=フレミングモデルとIS-LMの違い
- ▸変動相場制での財政政策・金融政策の効果
- ▸固定相場制での財政政策・金融政策の効果
- ▸資本移動が完全な場合の「逆転」の理由
- ▸過去問で問われるパターンと解き方
マンデル=フレミングモデルとは:IS-LMを開放経済に拡張したモデル
マンデル=フレミングモデルは、IS-LMモデルに「国際資本移動」と「為替レート」を加えた開放経済のモデルです。IS-LMが閉鎖経済(貿易・資本移動がない)を前提にしているのに対し、現実の日本のような開放経済では国境を越えた資本の移動や貿易が政策効果に大きく影響します。
「資本移動が完全」という前提(どの国の金利が高くても即座に資本が移動する)のもとで、変動相場制と固定相場制のどちらかによって財政・金融政策の効果がまったく逆転するというのがこのモデルの核心です。
変動相場制での政策効果:財政政策は無効・金融政策は有効
固定相場制での政策効果:財政政策は有効・金融政策は無効
変動相場制とは逆に、固定相場制(為替レートを一定に保つ制度)では財政政策と金融政策の有効性が逆転します。
| 政策 | 変動相場制(資本移動完全) | 固定相場制(資本移動完全) |
|---|---|---|
| 拡張的財政政策 | 無効(為替appreciation→純輸出減少で相殺) | 有効(為替維持のため介入 → LM右シフト) |
| 金融緩和政策 | 有効(為替depreciation→純輸出増加で増幅) | 無効(為替維持のため売り介入 → LM左シフトで相殺) |
変動相場制では「金利差 → 為替変動 → 純輸出変化」というチャンネルが政策効果を強化・相殺する。固定相場制では「為替を維持するための介入」がLM曲線を動かすことで別の効果が生まれる。制度の違いが「どのチャンネルが機能するか」を決めるのです。



変動と固定で有効性が逆転するという点が最初は混乱しやすいのですが、「為替レートが自由に動けるか否か」という1点から考えると整理しやすいと感じています。変動相場制では為替が動いてしまうので財政政策の効果が打ち消され、固定相場制では為替を守るために当局が自動的に貨幣供給を増やすので財政政策が効くのですよね。
まとめ表:4つのケースを一覧で確認
| 相場制度 | 財政政策の有効性 | 金融政策の有効性 | キーとなる変化 |
|---|---|---|---|
| 変動相場制・資本移動完全 | 無効 | 有効(最大) | 為替レートの変動 |
| 変動相場制・資本移動なし | 有効 | 有効 | IS-LMと同じ(為替不変) |
| 固定相場制・資本移動完全 | 有効(最大) | 無効 | 介入によるLM自動調整 |
| 固定相場制・資本移動なし | 有効 | 有効 | IS-LMと同じ |
試験で最も出題頻度が高いのは「変動相場制・資本移動完全」と「固定相場制・資本移動完全」の2パターンです。この2つを確実に押さえることが優先です。
身近な場面で考えてみると:円安・円高ニュースとのつながり
2022〜2023年の急速な円安を覚えていますか?あの時期、FRBが急速に利上げを行いました。マンデル=フレミングのメカニズムで見ると:
- 米国が大幅利上げ → 米国の金利が日本より大幅に高くなる
- 日本から米国へ資本が流出(ドルを買い・円を売る)
- 円安が急速に進行(1ドル115円 → 150円超)
- 輸出企業の業績改善・輸入品の値上がり(エネルギー・食料品)
これはまさにマンデル=フレミングが示す「金利差 → 資本移動 → 為替変動 → 実体経済への影響」というチャンネルです。ニュースと理論が結びつくと記憶の定着が深まります。
過去問で確認:マンデル=フレミングの政策効果
- ア 国民所得は増加し、為替レートは減価(円安)する。
- イ 国民所得は増加し、為替レートは増価(円高)する。
- ウ 国民所得は変化せず、為替レートは増価(円高)する。
- エ 国民所得は減少し、為替レートは変化しない。
「国民所得は変化しない、ただし為替は円高になる」という結論を確実に押さえましょう。
- ア 国民所得は増加し、為替レートは維持される。
- イ 国民所得は変化せず、為替レートは維持される。
- ウ 国民所得は増加し、為替レートは減価(自国通貨安)する。
- エ 国民所得は減少し、為替レートは増価(自国通貨高)する。
「金融政策の効果が介入によって完全に打ち消される」という逆転の論理が固定相場制の核心です。
まとめ:マンデル=フレミングのポイント
- IS-LMを開放経済に拡張したモデル。BP曲線(国際収支均衡)が追加される
- 変動相場制・資本完全移動:財政無効・金融有効(為替変動がカギ)
- 固定相場制・資本完全移動:財政有効・金融無効(介入によるLM調整がカギ)
- IS-LMの「LM水平・垂直」とは逆の論理なので混同注意
- 円安・円高ニュースと結びつけると理論が定着しやすい



IS-LM(閉鎖経済)とマンデル=フレミング(開放経済)を並べると、相場制度という条件1つで有効性がガラリと変わるのが面白いですよね。IS-LM分析の記事もあわせてご覧いただくと、比較がしやすいと思います。









