U花火大会を見ていたとき、「チケットを買わずに見ている人がたくさんいる」と気づきました。でも運営側は困らない——それって変じゃないの?と思ったところから、公共財の性質が腑に落ちました。
市場は多くの場合、効率的な資源配分を実現しますが、それが機能しない「市場の失敗」が存在します。その代表例が公共財とフリーライダー問題です。市場の失敗の全体像と合わせて整理しましょう。
財の分類:排除性と競合性の2軸
財を「排除性(対価を払わない人を排除できるか)」と「競合性(ある人が使うと他の人の使用量が減るか)」の2軸で分類すると、4種類に整理できます。
純粋私的財
排除性◯ / 競合性◯
例:コンビニの弁当・ペットボトル飲料。価格を払わないと買えず、自分が食べると他の人は食べられない。
例:コンビニの弁当・ペットボトル飲料。価格を払わないと買えず、自分が食べると他の人は食べられない。
クラブ財
排除性◯ / 競合性✗
例:有料テレビ・テーマパーク(混雑していない時)。料金で排除できるが、利用者が増えても互いの利益は減らない。
例:有料テレビ・テーマパーク(混雑していない時)。料金で排除できるが、利用者が増えても互いの利益は減らない。
コモンズ(共有資源)
排除性✗ / 競合性◯
例:公海の魚・牧草地。誰でも使えるが、使うほど他の人が使える量が減る。「共有地の悲劇」が発生。
例:公海の魚・牧草地。誰でも使えるが、使うほど他の人が使える量が減る。「共有地の悲劇」が発生。
純粋公共財
排除性✗ / 競合性✗
例:国防・灯台・花火大会・無料の地上波放送。対価を払わなくても利用できる(非排除性)し、使っても量が減らない(非競合性)。
例:国防・灯台・花火大会・無料の地上波放送。対価を払わなくても利用できる(非排除性)し、使っても量が減らない(非競合性)。
純粋公共財の2つの性質(試験最頻出):
① 非排除性(Non-excludability):料金を払わない人を利用から排除できない
② 非競合性(Non-rivalry):ある人が消費しても、他の人の消費可能量が減らない
この2つが揃うと市場での供給が困難になり、政府が供給主体となる理由です。
① 非排除性(Non-excludability):料金を払わない人を利用から排除できない
② 非競合性(Non-rivalry):ある人が消費しても、他の人の消費可能量が減らない
この2つが揃うと市場での供給が困難になり、政府が供給主体となる理由です。
目次
フリーライダー問題:なぜ民間では供給されないのか
フリーライダー(ただ乗り)とは、公共財の費用を負担せずに便益だけを享受する人のことです。非排除性があるため、誰も料金を払わなくても利用できてしまいます。
| ステップ | 何が起きるか |
|---|---|
| ステップ1 | 公共財(例:花火大会)を民間企業が提供しようとする |
| ステップ2 | 「どうせタダで見られるなら料金を払わなくていい」と人々が考える(フリーライダー) |
| ステップ3 | 誰も料金を払わないので企業の収入がゼロ → 提供不可能 |
| ステップ4 | 社会的に必要な財が市場では過少供給(または供給ゼロ)になる |
| 解決策 | 政府が税金を使って強制的に費用を徴収し、公共財を供給する |
花火大会で考えると:
打ち上げ費用を負担しないでも花火は見えます(非排除性)。どれだけ多くの人が見ても花火は減りません(非競合性)。
「見たければ100円払って」という仕組みは作れません。だから市区町村が税金で費用を賄うのです。
打ち上げ費用を負担しないでも花火は見えます(非排除性)。どれだけ多くの人が見ても花火は減りません(非競合性)。
「見たければ100円払って」という仕組みは作れません。だから市区町村が税金で費用を賄うのです。
市場の失敗の全体像
公共財はその一例です。市場が効率的な資源配分に失敗するケースを4つに整理します。
外部性(外部効果)
取引当事者以外に費用・便益が及ぶ。
・外部不経済:公害(過多生産)→ ピグー税
・外部経済:教育(過少生産)→ ピグー補助金
・外部不経済:公害(過多生産)→ ピグー税
・外部経済:教育(過少生産)→ ピグー補助金
公共財・フリーライダー
非排除性・非競合性の財は市場で過少供給。
政府供給 / 税による費用負担が必要。
例:国防・灯台・花火
政府供給 / 税による費用負担が必要。
例:国防・灯台・花火
情報の非対称性
取引双方の情報格差が市場を歪める。
・逆選択(契約前)
・モラルハザード(契約後)
シグナリング・規制で対処
・逆選択(契約前)
・モラルハザード(契約後)
シグナリング・規制で対処
独占・寡占
少数企業が価格支配力を持ち、完全競争より高い価格・少ない産出量 → 死荷重発生。
独占禁止法・規制で対処
独占禁止法・規制で対処
共有地の悲劇(コモンズの悲劇)
コモンズ(共有資源)では、個人の合理的な行動が社会全体にとって最悪の結果をもたらす「共有地の悲劇」が生じます。
例:牧草地(共有地)に羊を放牧するケース
・1人の農夫が羊を増やすと、自分の収益は増える
・全員が同じことをすると、牧草地が過放牧で荒廃する
・個人の合理性 → 集団の不合理(ゲーム理論の囚人のジレンマと構造が同じ)
解決策:私有化(財産権の設定)・政府規制・コミュニティによる自主管理(オストロム)
・1人の農夫が羊を増やすと、自分の収益は増える
・全員が同じことをすると、牧草地が過放牧で荒廃する
・個人の合理性 → 集団の不合理(ゲーム理論の囚人のジレンマと構造が同じ)
解決策:私有化(財産権の設定)・政府規制・コミュニティによる自主管理(オストロム)
過去問で確認しよう
令和4年度 第8問
経済学・経済政策
公共財に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 公共財は排除性と競合性を持つ財である。
- イ フリーライダー問題が生じるのは、公共財が競合性を持つからである。
- ウ 純粋公共財は非排除性と非競合性を持ち、市場では過少供給になる傾向がある。
- エ 有料道路は純粋公共財の典型例である。
解説
ウが正解です。
ア:公共財は排除性・競合性を持たない(非排除性・非競合性)。
イ:フリーライダー問題は非排除性が原因(料金を払わなくても利用できるから)。競合性ではない。
ウ:純粋公共財の定義と市場の失敗(過少供給)の組み合わせ。正解。
エ:有料道路は排除性あり(料金所で排除可能)なのでクラブ財に近く、純粋公共財ではない。
ア:公共財は排除性・競合性を持たない(非排除性・非競合性)。
イ:フリーライダー問題は非排除性が原因(料金を払わなくても利用できるから)。競合性ではない。
ウ:純粋公共財の定義と市場の失敗(過少供給)の組み合わせ。正解。
エ:有料道路は排除性あり(料金所で排除可能)なのでクラブ財に近く、純粋公共財ではない。
令和2年度 第7問
経済学・経済政策
市場の失敗に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 外部不経済が存在すると、私的な生産は社会的に最適な水準より過少になる。
- イ 独占市場では完全競争市場に比べて産出量が過少になり、死荷重が発生する。
- ウ 公共財は排除性があるため、フリーライダー問題が発生しない。
- エ 情報の非対称性が存在しても、市場均衡は効率的である。
解説
イが正解です。
ア:外部不経済(負の外部性)があると私的費用<社会的費用 → 生産は社会的最適より過多になる(逆)。
イ:独占は完全競争より産出量を絞り(MR=MCで決まる少ない量)、価格を高く設定 → 死荷重が発生。正解。
ウ:公共財は非排除性があるのでフリーライダー問題が発生する。
エ:情報の非対称性は市場の失敗の一因であり、均衡は非効率になる。
ア:外部不経済(負の外部性)があると私的費用<社会的費用 → 生産は社会的最適より過多になる(逆)。
イ:独占は完全競争より産出量を絞り(MR=MCで決まる少ない量)、価格を高く設定 → 死荷重が発生。正解。
ウ:公共財は非排除性があるのでフリーライダー問題が発生する。
エ:情報の非対称性は市場の失敗の一因であり、均衡は非効率になる。
まとめ
- 純粋公共財 = 非排除性(排除できない)+ 非競合性(使っても減らない)
- フリーライダー問題:非排除性が原因。民間では公共財が過少供給 → 政府が供給
- 財の4分類:私的財(排除・競合)/ クラブ財(排除・非競合)/ コモンズ(非排除・競合)/ 公共財(非排除・非競合)
- 市場の失敗の4要因:外部性・公共財・情報の非対称性・独占(競争の欠如)
- 共有地の悲劇:非排除・競合のコモンズで発生。解決策は私有化・規制・自主管理









