セグメント情報 | 中小企業診断士1次試験 財務・会計


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「この会社、全体では黒字なのにどの事業が儲かっているの?」——セグメント情報は、連結財務諸表だけでは見えない各事業の実態を開示するものです。マネジメント・アプローチによる報告区分の決定方法と、10%ルール・75%ルールの量的閾値が試験頻出です。計算パターンを押さえておきましょう。

セグメント情報とは、企業グループ全体の財務諸表(連結財務諸表)では見えにくい、各事業・地域ごとの業績や財政状態を開示する情報です。企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」に基づき、上場会社は有価証券報告書にセグメント情報を記載することが義務付けられています。診断士試験では量的閾値(10%ルール・75%ルール)の計算と、マネジメント・アプローチによる報告セグメントの決定方法が頻出です。

目次

セグメント情報の基本概念——3種類の区分

セグメント情報の3区分:事業セグメント——製品・サービスの種類別(例:食品事業・医薬品事業)②地域セグメント——地理的所在地別(例:国内・アジア・北米)③主要顧客——単一顧客への売上高が連結売上高の10%以上の場合に開示。診断士試験では主に事業セグメントの報告基準が問われます。
用語定義試験での着眼点
事業セグメント収益を稼ぎ費用を発生させる事業活動の構成単位。最高経営意思決定者(CODM)が業績評価・経営資源の配分決定に使用している単位マネジメント・アプローチにより「経営者の内部管理に使っている区分」が基準
報告セグメント量的閾値(10%ルール)を満たす事業セグメント。外部に開示する対象となるもの量的閾値の計算問題が頻出
その他の区分報告セグメントに含まれない重要性の低い事業セグメントをまとめたもの「その他」として一括開示。内訳は原則開示不要
CODM(最高経営意思決定者)Chief Operating Decision Maker。CEOや社長・経営会議など実際に意思決定する機能を指す。必ずしも特定の役職者ではないマネジメント・アプローチの主体として定義を押さえる

マネジメント・アプローチ——報告セグメントの決定方法

マネジメント・アプローチとは:CODMが内部管理・業績評価に使用している区分と同じ区分をセグメント情報として外部開示する考え方。「外部報告目的の区分」ではなく「経営者が実際に使っている区分」を開示することで、財務諸表利用者に経営者と同じ視点の情報を提供します。
1
事業セグメントの識別:CODMが業績評価・資源配分に使用している内部管理単位(事業部・子会社・製品グループ等)を識別する
2
集約の検討:経済的特性が類似し、製品・サービス・生産プロセス・顧客・流通・規制環境が似ているセグメントは1つに集約できる
3
量的閾値の適用(10%ルール):売上高・利益/損失・資産のいずれかが全セグメント合計の10%以上なら報告セグメントとして開示義務
4
75%ルールの確認:報告セグメントの外部顧客への売上高合計が連結売上高の75%以上になるまで報告セグメントを追加する

量的閾値——10%ルールと75%ルールの計算

量的閾値の判定基準(試験頻出)

10%ルール

次のいずれかを満たすセグメントを報告セグメントとして開示する:
①売上高(外部+内部)が全セグメント合計売上高の10%以上
②利益/損失の絶対値が全利益または全損失のうち大きい方の10%以上
③資産が全セグメント合計資産の10%以上

75%ルール

報告セグメントの外部顧客への売上高合計が連結売上高全体(外部顧客分のみ)の75%以上になるよう報告セグメントを選定する。
75%に届かない場合は、10%基準を満たさないセグメントも追加で報告セグメントにする必要がある

10%ルールの計算例

セグメントA〜Eの売上高合計が1,000億円の場合:

  • A:300億(300/1,000=30%)→ 報告セグメント
  • B:200億(200/1,000=20%)→ 報告セグメント
  • C:150億(150/1,000=15%)→ 報告セグメント
  • D:80億(80/1,000=8%)→ 10%未満:その他
  • E:50億(50/1,000=5%)→ 10%未満:その他

75%ルールの確認

報告セグメントの外部売上合計÷連結売上高(外部)が75%以上か確認:

  • 上記例でA+B+Cの外部売上合計が連結売上高の75%以上なら追加不要
  • 75%未満なら、DまたはEを報告セグメントに追加する
  • 追加する場合はどちらをどの基準で追加するか経営者が判断
注意点——売上高の10%ルールは「外部+セグメント間取引」を含む:10%ルールの売上高判定は、外部顧客への売上高だけでなくセグメント間の内部売上高(振替売上高)も含めます。ただし75%ルールの判定は外部顧客への売上高のみで判定します。この違いが試験でよく問われます。

セグメント情報の開示項目

開示項目内容注意点
売上高外部顧客への売上高とセグメント間取引を分けて開示セグメント間取引の価格は独立第三者間取引価格または原価基準等
セグメント利益(損失)各報告セグメントの利益または損失。CODMが業績評価に使う利益概念を使用営業利益・経常利益・純利益のいずれかでも可。採用した利益概念を注記
セグメント資産各報告セグメントに配分された資産の合計額全社費用・全社資産の配分方法を注記
セグメント負債CODMが定期的に検討する場合のみ開示。必須ではない任意開示項目(採用した場合は継続適用)
減価償却費各セグメントに含まれる減価償却費および償却費のれん償却・長期前払費用等も含む場合がある
資本的支出有形固定資産・無形固定資産の取得額(増加額)重要な非資金取引(ファイナンスリース等)は注記
のれん各セグメントに帰属するのれんの期末残高と減損損失のれんの帰属が困難な場合は全社で計上

セグメント間取引の消去——連結への調整

セグメント間取引の消去とは:セグメント情報ではセグメント間の取引(振替)を含む数値を開示しますが、連結財務諸表ではセグメント間取引を消去します。そのため、セグメント情報の合計と連結財務諸表の数値には差異が生じます。この差異を「調整額」として開示することが求められます。
項目セグメント情報の合計調整額連結財務諸表
売上高各セグメント売上高(内部取引含む)の合計△セグメント間内部取引の消去
△全社売上高の調整
連結売上高(外部顧客分のみ)
利益各セグメント利益の合計△セグメント間取引の未実現損益
△全社費用(管理本部・研究開発等)
連結営業利益等
資産各セグメント資産の合計△セグメント間の債権・投資の消去
+全社資産(余剰現金・投資有価証券等)
連結総資産

試験対策——計算問題のパターン整理

試験でよく出るパターン:5〜6個のセグメントの売上高・利益・資産が与えられ、①10%ルールで報告セグメントを判定する②75%ルールで追加が必要か確認する、という2段階の判定問題です。「売上高10%ルールは内部取引を含む」「75%ルールは外部売上高のみ」という点の区別が合否を分けます。

計算問題の解法手順

  • ①全セグメントの売上高(外部+内部)を合計する
  • ②各セグメントの売上高割合を計算:各÷合計
  • ③10%以上のセグメントを報告セグメントに選定
  • ④報告セグメントの外部売上高合計÷連結売上高(外部)で75%超過を確認
  • ⑤75%未満なら追加セグメントを選定

よくある引っかけポイント

  • 10%ルールは売上高・利益・資産のいずれか1つでも10%以上なら対象
  • 利益の10%ルールは全利益合計と全損失合計を別々に計算し絶対値が大きい方を使う
  • 75%ルールは外部売上高のみで判定(内部取引売上高は含めない)
  • 集約後のセグメント数が10を超えると実務上問題になるが、試験では単純化されることが多い
10%ルールの売上高判定で、セグメント間取引(内部売上)は含めますか?
含めます。10%ルールの売上高判定は外部顧客への売上高+セグメント間取引(内部振替)の合計で判定します。一方、75%ルールの判定は外部顧客への売上高のみで行います。この違いが頻出の引っかけポイントです。
マネジメント・アプローチとは何ですか?旧来の方法と何が違いますか?
マネジメント・アプローチとは、CODMが内部管理・業績評価に実際に使っている区分と同じ区分を外部開示に使う考え方です。旧来の「リスクと経済的特性が類似する事業や地域でセグメントを構成する」方法とは異なり、会社の内部管理構造がそのまま開示情報に反映されます。内部と外部で同じ情報を使うため、情報の一貫性が高まり財務諸表利用者が経営者と同じ視点で評価できる点がメリットです。
セグメント情報の「利益」は必ず営業利益ですか?
いいえ。セグメント情報の利益はCODMが業績評価に実際に使用している利益概念を使用します。営業利益・経常利益・純利益・EBITDA等のいずれでも構いません。ただし採用した利益概念は注記で説明し、財務諸表との調整も開示する必要があります。
主要顧客情報はどのような場合に開示が必要ですか?
単一の外部顧客への売上高が連結売上高の10%以上の場合に、その顧客に関する売上高と該当するセグメント名称を開示しなければなりません(顧客名の開示は任意)。複数のセグメントにまたがって取引がある場合は各セグメントの売上高も開示します。

試験直前チェックリスト:セグメント情報

  • マネジメント・アプローチ=CODMが内部管理に使う区分をそのまま外部開示する
  • 10%ルールの判定対象は売上高・利益/損失・資産の3指標のいずれか1つでも
  • 10%ルールの売上高は内部取引(セグメント間取引)を含む合計で判定
  • 75%ルールの判定は外部顧客への売上高のみ(内部取引を含めない)
  • 利益の10%ルール:全利益合計と全損失合計を別々に計算し絶対値が大きい方を使う
  • 主要顧客:単一顧客への売上が連結売上高の10%以上なら開示義務
  • セグメント間取引は消去して連結財務諸表と調整する。この差異を「調整額」として開示
  • セグメント負債は必須開示項目ではない(任意)
  • 採用した利益概念(営業利益/経常利益等)は注記で説明が必要

セグメント情報は「マネジメント・アプローチで区分を決め、量的閾値で開示対象を絞る」という2ステップが核心です。10%ルールと75%ルールの計算手順を正確に習得して、財務・会計の得点源にしてください。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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