中小企業政策の支援機関まとめ|中小企業庁・中小機構・商工会議所・よろず支援拠点の違いを図解で整理

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「よろず支援拠点と商工会議所の違いを答えよ」という過去問で、手が完全に止まりました。どちらも「中小企業の相談窓口」というイメージで覚えていたせいで、設置主体や対象者の違いが頭に入っていなかったのです。この機会に、中小企業政策に登場する支援機関をひとつひとつ整理してみました。

中小企業診断士の試験では、「中小企業経営・中小企業政策」科目に支援機関に関する問題が繰り返し出題されています。中小企業庁・中小機構・商工会議所・商工会・よろず支援拠点など、名前が似ているためか混同しやすいのですが、設置主体・対象・業務内容・費用の4点を軸に整理すると、すっきりと見えてきます。

中小企業政策の3層構造

第1層|行政(政策立案)中小企業庁
第2層|推進機関(政策実施)中小機構 / 日本政策金融公庫
第3層|相談・支援窓口(現場支援)商工会議所 / 商工会 / よろず支援拠点 / 中小企業診断士・税理士等

国が政策を立案し(第1層)、独立行政法人や政策金融機関がその政策を実施し(第2層)、地域の相談窓口や専門家が現場で中小企業に直接関わる(第3層)という3層の構造になっています。試験ではこの「誰が設置したか」という視点が問われます。

目次

主要支援機関の役割と違い

機関 設置主体 対象 主な業務 費用
中小企業庁 国(経産省外局) 政策全般 法律・補助金制度の立案
中小機構 国(独立行政法人) 中小・小規模 経営支援・共済・研修・展示会 一部有料
商工会議所 民間(商工会議所法) 主に都市部の商工業者 経営相談・検定・融資あっせん 会員制
商工会 民間(商工会法) 主に町村部の小規模事業者 経営改善普及事業・小規模事業者支援 会員制
よろず支援拠点 国(中小機構が運営) 中小・小規模(誰でも) 無料の経営相談・専門家派遣 無料
日本政策金融公庫 国(政策金融機関) 中小・小規模 融資(創業・経営安定) 利子あり
信用保証協会 都道府県・市区町村 中小企業 融資の信用保証 保証料あり
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「民間なのに法律に基づく」という商工会議所・商工会の立ち位置が、最初は少し不思議に思えました。公的ではないけれど、法律によって設立された特別な民間組織なのですね。中小機構との違いも、「独立行政法人(国が設置)」か「民間の任意団体」かで整理すると、だいぶスムーズに頭に入ってきます。

よろず支援拠点とは

よろず支援拠点は、中小企業・小規模事業者の経営上の悩みに対応するために、国が各都道府県に1カ所ずつ設置した無料の総合経営相談窓口です。運営は中小機構が担っています。「よろず」の名の通り、特定の業種・業務に限らず幅広い相談を受け付けるのが特徴で、専門家(中小企業診断士・弁護士・ITコーディネータ等)が常駐・派遣されています。

47
拠点
全都道府県に各1カ所
515
カ所
商工会議所の全国拠点数
0
よろず支援拠点の相談費用

よろず支援拠点 vs 商工会議所(頻出の比較ポイント)

よろず支援拠点
設置主体:(中小機構が運営)
利用資格:誰でも(会員不要)
費用:完全無料
専門家が常駐・派遣
全国47拠点(都道府県各1)
商工会議所
設置主体:民間(商工会議所法に基づく)
利用資格:主に会員(地域の商工業者)
費用:相談無料・手続き等は有料
経営指導員が対応
全国515カ所
試験のポイント:「よろず支援拠点は国が設置した無料の総合相談窓口」「会員不要・完全無料」が答えるべき核心です。商工会議所は「民間・会員制・主に都市部」、商工会は「民間・会員制・主に町村部」という地域区分も押さえておきたいところです。

中小機構(中小企業基盤整備機構)の役割

中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)は、中小企業政策の実施機関として国が設置した独立行政法人です。よろず支援拠点の運営も担うほか、以下4つの業務を軸に活動しています。

FUNCTION 01
経営支援
専門家派遣・経営相談・各種研修プログラムの提供。よろず支援拠点の運営もここに含まれます。
FUNCTION 02
共済制度
小規模企業共済(小規模事業者の退職金制度代わり)と中小企業倒産防止共済(経営セーフティネット共済)を運営。どちらも頻出項目です。
FUNCTION 03
インキュベーション
起業家育成・ビジネスインキュベーターの運営。創業期の事業者に場所・ネットワーク・ノウハウを提供します。
FUNCTION 04
海外展開支援
海外ビジネスに関する情報提供・現地でのマッチング支援。中小企業の国際化を後押しする役割を担っています。

主な補助金・政策金融の種類

中小企業向けの主な補助金と政策金融機関も、試験では名称・目的・対象をセットで問われます。補助金は「何のための資金援助か」、政策金融は「誰が保証・融資しているか」で分類しておくと整理しやすいのです。

主な補助金

補助金
ものづくり補助金
革新的な製品・サービス開発または生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者が対象。設備投資等を支援。
補助金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓・生産性向上の取り組みを支援。商工会・商工会議所が申請のサポートを行う。
補助金
IT導入補助金
業務効率化・デジタル化を目的としたITツール導入を支援。ソフトウェア・クラウドサービス等の費用が対象。
補助金
事業再構築補助金
新分野展開・事業転換・業態転換等、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援。

政策金融機関

政策金融
日本政策金融公庫
国が出資する政策金融機関。創業融資・経営安定融資など、民間では対応しにくい資金ニーズに応える。
信用保証
信用保証協会
都道府県・市区町村が設置。中小企業が金融機関から融資を受ける際の信用保証を行い、資金調達を支援。
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補助金の名称は似ているものが多く、どれが「製造」でどれが「販路開拓」なのか、最初は混乱しました。「ものづくり=製品・プロセス改善」「持続化=小規模の販路開拓」「IT導入=デジタル化」と、キーワードで対応づけるようにしてから格段に覚えやすくなりました。

過去問で確認する

平成26年度 第21問|中小企業経営・中小企業政策 商工会 vs 商工会議所
商工会と商工会議所に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 商工会は主に都市部の商工業者を対象とし、商工会議所は主に町村部の小規模事業者を対象とする。
  • イ 商工会は主に町村部の小規模事業者を対象とし、商工会議所は主に都市部の商工業者を対象とする。
  • ウ 商工会・商工会議所はともに国(独立行政法人)が設置した機関である。
  • エ 商工会・商工会議所はともに利用に費用がかからない。
正解:イ / 解説
商工会は主に町村部(市制未施行地域)の小規模事業者を対象とする民間団体で、「商工会法」に基づきます。商工会議所は主に都市部の商工業者を対象とし、「商工会議所法」に基づきます。どちらも「民間(法律に基づく)」である点、および地域区分(都市部 vs 町村部)の違いが問われる定番の設問です。
平成29年度 第22問|中小企業経営・中小企業政策 中小機構・共済制度
中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する共済制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 小規模企業共済は、中小企業者が連鎖倒産から身を守るための経営セーフティネット制度である。
  • イ 中小企業倒産防止共済(経営セーフティネット共済)は、小規模事業者の退職金制度として活用される。
  • ウ 小規模企業共済は小規模事業者の廃業・退職時の資金準備を目的とし、経営セーフティネット共済は取引先の倒産による連鎖を防ぐための制度である。
  • エ 両共済とも、加入に際して中小企業庁への申請が必要である。
正解:ウ / 解説
小規模企業共済=小規模事業者の退職金(廃業・引退時の備え)、経営セーフティネット共済(中小企業倒産防止共済)=取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための制度、と2つをセットで覚えておくことがポイントです。名称と役割を入れ替えた選択肢が頻出です。
令和3年度 第23問|中小企業経営・中小企業政策 よろず支援拠点
よろず支援拠点に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア よろず支援拠点は、商工会議所が独自に設置した有料の経営相談窓口である。
  • イ よろず支援拠点の利用は、会員として登録した中小企業者に限定される。
  • ウ よろず支援拠点は、国が各都道府県に設置した無料の総合経営相談窓口であり、誰でも利用できる。
  • エ よろず支援拠点は、全国47都道府県ではなく、政令指定都市のみに設置されている。
正解:ウ / 解説
「国が設置」「全都道府県(47拠点)」「無料」「誰でも利用可(会員不要)」が正答の核心です。商工会議所との混同を狙った選択肢ア・イが典型的なひっかけです。中小機構が運営主体であることも合わせて押さえておくとよいのです。
U のメモ

支援機関を整理してみて、「なぜ似たような窓口がいくつもあるのか」が少しわかった気がします。商工会・商工会議所は歴史的に地域の商工業者が自発的に組織した民間団体であるのに対して、よろず支援拠点は近年(2014年〜)に国が「誰でも使える相談窓口を整備しよう」という政策として作ったもので、生い立ちがまったく違うのです。

試験対策としては、「設置主体」「会員制か誰でも利用できるか」「費用」の3点を機関ごとにまとめた自分用のカードを作ると、覚えやすいと感じています。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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