U架空の家具工場の発注担当になったとしたら——「来月は椅子を300脚出荷する必要がある。では木材は何本、ネジは何本、いつまでに手配すれば間に合うか」。この問いを整理するのが、生産計画とMRPの仕事なのだと気づいたとき、ずっとバラバラに見えていた用語が一本の線でつながってきました。
生産計画・MRP・生産統制は、運営管理(オペレーション管理)の中でも「何を・いつ・いくつ作るか」という計画と「計画通りに進んでいるか」という統制を担う領域です。大日程から始まり部品の所要量計算まで、階層をたどると全体がきれいにつながります。1次試験では計算問題としても出題されますので、仕組みの理解と計算手順をセットで整理しておくと安心です。
生産計画の全体像
生産計画は「大日程→中日程→小日程」という3層の階層構造になっています。上位の計画が決まって初めて下位の計画が立てられるという順序が、試験でも問われる基本の考え方です。
| 計画の種類 | 対象期間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 大日程計画 | 数か月〜1年 | 生産品目・生産量・時期を大まかに設定する。設備投資・人員計画にも連動 |
| 中日程計画 | 月〜数週間 | 品目別・工程別の生産量と時期を決める。基準生産計画(MPS)がここに相当 |
| 小日程計画 | 週〜日 | 作業者・機械への具体的な作業割当。ガントチャートで可視化されることが多い |
MRP(資材所要量計画)の仕組み
MRP(Material Requirements Planning)は、完成品の生産計画(MPS)をもとに、必要な部品・原材料の所要量と発注タイミングを自動的に計算する手法です。まず「需要の種類」を理解しておくと、なぜMRPが必要なのかが見えてきます。
部品表(BOM)とは
例:椅子1脚のBOM
└ 座面パネル ×1
└ 脚フレーム ×4(フレーム1本あたり木材 ×1、ネジ ×2)
└ クッション ×1
所要量計算のステップ
総所要量 = 親品目の生産量 × BOM上の使用数量
正味所要量 = 総所要量 − 手持ち在庫 − 注文残



BOMという概念を初めて学んだとき、「製品の設計図と在庫管理が組み合わさった台帳なのか」と少し驚きました。BOMがなければMRPは計算できませんし、BOMに誤りがあれば所要量もすべてずれてしまう——それだけBOMの正確さが重要なのだと、整理してみて改めて感じています。
生産統制と進捗管理
計画を立てたら、それを実行・管理するのが生産統制です。「手配管理」「現品管理」「進捗管理」の3種類を理解しておくと、試験の選択肢で迷わなくなります。
ガントチャートの使い方
ガントチャートは横軸に時間、縦軸に作業(または機械・工程)を置き、計画と実績を棒で表した図です。進捗管理で「遅れ・余裕」を一目で把握するために使われます。
| 工程 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
|---|---|---|---|---|---|
| 切断 | |||||
| 加工 | |||||
| 組立 | |||||
| 検査 |
身近な場面で考えてみると
お弁当屋さんの仕込み計画を例に、MRPの考え方を当てはめてみます。難しく感じた方も、この場面に置き換えると少しイメージがつかみやすくなるかもしれません。
シナリオ:明日の昼に幕の内弁当を50個販売する
これが「MPS(基準生産計画)」に相当します。50個という数字が確定すると、必要な材料の計算が始められます。
50個
おかず 50人前
容器 50個
正味所要量
=総量−在庫
今朝6時に
仕入れ手配
・幕の内弁当50個が「独立需要(最終製品の需要)」
・米・おかず食材・容器が「従属需要(BOM展開で算出)」
・冷蔵庫の在庫を引いて初めて「今日仕入れるべき量(正味所要量)」が確定する
・食材の仕入れに1時間かかるなら「開店2時間前には発注」——これがリードタイムを遡る考え方
過去問で確認する
実際の試験ではどのような形で問われるか、出題傾向をイメージした問題で確認してみます。
- ア 大日程計画は、作業者・機械への具体的な作業割当を行う最も詳細な計画である。
- イ 中日程計画は、品目別・工程別の生産量と時期を月〜数週間単位で決定する計画である。
- ウ 基準生産計画(MPS)は中日程計画の中核であり、最終製品の「何を・いつ・何個」生産するかを確定させたものである。
- エ 小日程計画は、設備投資や人員計画を長期的視点で立案する計画である。
イ:中日程計画の説明としては概ね正しいですが、「月〜数週間」は範囲の一例です。
ウ:正しい記述です。MPSは中日程計画に位置し、MRPの起点となります。
エ:設備投資・人員計画は大日程計画の連動領域であり、小日程計画とは異なります。
- ア MRPは、最終製品に対する市場需要(独立需要)を直接扱い、需要予測に基づいて生産量を決定する手法である。
- イ MRPは、MPS・BOM・在庫情報を入力として、部品・原材料の正味所要量と発注タイミングを算出する。
- ウ 正味所要量とは、総所要量に手持ち在庫と注文残を加算して求める。
- エ MRPでは、部品のリードタイムを考慮せずに発注指示を出すことが特徴とされる。
イ:正しい記述です。MPS(何を何個いつ)×BOM(構成数量)−在庫情報=正味所要量、という計算フローがMRPの基本です。
ウ:正味所要量は「総所要量 マイナス(手持ち在庫+注文残)」で求めます。加算ではありません。
エ:リードタイムを遡って発注日を決定することがMRPの重要な機能の一つです。



「正味所要量は総所要量から在庫を引くのに、ウの選択肢には”加算”と書いてあった」——こういう引っかけは、計算式の向きをしっかり覚えていないと迷いやすいです。MRPの計算問題は式の構造を整理した上で、何度か手を動かして確かめておくと安心だと感じています。
まとめ
- 生産計画は「大日程→中日程(MPS)→小日程」の3層構造。上位が決まってから下位を立てる
- MRPの入力は「MPS・BOM・在庫情報」の3つ。この組み合わせを押さえておくと選択肢が絞れる
- 独立需要=最終製品(市場から来る)、従属需要=部品・原材料(計算で求まる)
- 正味所要量=総所要量−手持ち在庫−注文残。マイナスであることに注意
- 発注タイミングはリードタイムを遡って決める。「いつ入庫したいか」から逆算する
- 生産統制は「手配管理・現品管理・進捗管理」の3種類。それぞれの内容を区別できるようにしておく
- ガントチャートは横軸=時間、縦軸=工程で計画と実績を対比する進捗管理ツール









