【中小企業診断士試験 財務会計 解説】レバレッジ効果を図解で整理|DOL・DFL・DTLの計算式と営業利益・純利益への影響

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レバレッジという言葉は「てこ」という意味で、小さな力で大きな効果を得るというイメージがあります。財務会計でのレバレッジも同じ発想で、「売上の変動」や「固定費の存在」が利益の変動を増幅させる仕組みです。仕組みを図で整理したら、なぜDOLやDFLの式になるのかが自然に見えてきました。

レバレッジ効果は「固定費・固定利払いが存在するとき、売上高の変動が利益の変動を増幅させる」現象です。営業レバレッジ(DOL)は固定営業費が生み出す増幅効果、財務レバレッジ(DFL)は固定利払い(支払利息)が生み出す増幅効果です。

目次

レバレッジ効果の全体像

DOL
Degree of Operating Leverage
営業レバレッジ
固定営業費が原因
DFL
Degree of Financial Leverage
財務レバレッジ
固定利払いが原因
DTL
Degree of Total Leverage
総合レバレッジ
DOL × DFL
レバレッジ=「てこの原理」
固定費は売上が変動しても変わりません。そのため、売上が少し増えると、増えた分がそのまま利益の増加につながります(変動費しかかからないため)。逆に売上が少し減ると、固定費は変わらないので利益が大きく減ります。

固定費が大きいほど、てこの支点が遠く、利益の振れ幅が大きくなります。これがレバレッジ効果の本質です。

営業レバレッジ(DOL)の仕組みと計算式

DOL=貢献利益 ÷ 営業利益
DOL(営業レバレッジ)= 貢献利益 ÷ 営業利益
=(売上高 − 変動費)÷(売上高 − 変動費 − 固定費)
売上高変化率 × DOL = 営業利益変化率

DOLは「売上高が1%変化したとき、営業利益が何%変化するか」を表します。DOL=3なら、売上が10%増えると営業利益は30%増えます。

A社(固定費大)
売上高1,000
変動費▲ 200
貢献利益800
固定費▲ 700
営業利益100
DOL = 800 ÷ 100 = 8倍
B社(固定費小)
売上高1,000
変動費▲ 600
貢献利益400
固定費▲ 300
営業利益100
DOL = 400 ÷ 100 = 4倍
A社とB社の比較から読み取れること
A社(DOL=8):売上が10%増えると営業利益は80%増。しかし売上が10%減ると営業利益は80%減(リスクも大きい)。
B社(DOL=4):同様に売上10%増で営業利益は40%増。振れ幅が小さい分、安定している。

固定費が高い(設備集約型)ほどDOLが高く、好景気には有利ですが不景気には大きなリスクを負います。

財務レバレッジ(DFL)の仕組みと計算式

DFL=営業利益 ÷(営業利益 − 支払利息)
DFL(財務レバレッジ)= 営業利益 ÷(営業利益 − 支払利息)
= EBIT ÷(EBIT − 支払利息)
営業利益変化率 × DFL = 税引前当期純利益変化率

DFLは「営業利益が1%変化したとき、税引前当期純利益が何%変化するか」を表します。支払利息という固定的な財務費用が、利益の変動を増幅させます。

項目 C社(借入多) D社(借入少)
営業利益(EBIT)200200
支払利息▲ 150▲ 50
税引前純利益50150
DFL200 ÷ 50 = 4倍200 ÷ 150 = 1.33倍
財務レバレッジとROEの関係
ROE = ROA × 財務レバレッジ(= 総資産 ÷ 自己資本)

借入を増やす(他人資本を活用する)と財務レバレッジが高まり、ROEが押し上げられます。ただし、業績が悪化したときの損失も増幅されます。これが「レバレッジはリターンとリスクを同時に高める」という意味です。

総合レバレッジ(DTL)と3つの公式まとめ

営業レバレッジ(DOL)
固定営業費(固定製造原価+固定販管費)による増幅。売上→営業利益の変動倍率。
DOL = 貢献利益 ÷ 営業利益
財務レバレッジ(DFL)
固定利払い(支払利息)による増幅。営業利益→税引前純利益の変動倍率。
DFL = 営業利益 ÷(営業利益 − 支払利息)
総合レバレッジ(DTL)
DOLとDFLを掛け合わせたもの。売上→税引前純利益の変動倍率。
DTL = DOL × DFL
= 貢献利益 ÷(営業利益 − 支払利息)

試験でよく出る3つの罠

1
DOLの分子を「売上高」と間違える
DOL = 貢献利益 ÷ 営業利益、です。「売上高 ÷ 営業利益」ではありません。貢献利益(=売上高 − 変動費)を使うことで、固定費だけが分母と分子の差になり、レバレッジの仕組みが明確になります。
2
DFLの分母を「税引後純利益」と間違える
DFL = 営業利益 ÷(営業利益 − 支払利息)です。税金は変動費的に利益に比例して変化するため、DFLの計算には含めません。分母は「営業利益 − 支払利息」=税引前当期純利益(EBT)です。
3
「レバレッジが高い = 有利」と思い込む
レバレッジは利益の増幅効果ですが、損失方向にも同じ倍率で増幅します。DOL=5の企業は売上10%増で営業利益50%増ですが、売上10%減では営業利益50%減です。レバレッジは「プラスとマイナスを同時に増幅する両刃の剣」です。
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DOL・DFLの式は暗記しようとすると混乱しやすいのですが、「分母と分子のどちらが固定費の分だけ小さくなっているか」を考えると自然に導けます。DOLは固定営業費を引く前(貢献利益)と引いた後(営業利益)の比、DFLは支払利息を引く前(営業利益)と引いた後(EBT)の比、という構造です。

身近な例で考えると

自動化工場 vs 手作業工場

自動化工場(固定費大・変動費小)と手作業工場(固定費小・変動費大)を比べると、レバレッジ効果がよく分かります。

状況 自動化工場(DOL高) 手作業工場(DOL低)
通常時(売上100) 利益10 利益10
好景気(売上110 +10%) 利益18(+80%) 利益14(+40%)
不景気(売上90 −10%) 利益2(−80%) 利益6(−40%)

自動化工場は好景気に強く不景気に弱い。手作業工場は好景気の恩恵は少ないが、不景気でも安定します。どちらが良いかではなく、自社の事業環境に合った固定費・変動費の構成を選ぶことが経営判断です。診断士試験でも「どちらがリスクが高いか」という問われ方をすることがあります。

まとめ

  • DOL(営業レバレッジ)= 貢献利益 ÷ 営業利益。固定営業費が大きいほど高い
  • DFL(財務レバレッジ)= 営業利益 ÷(営業利益 − 支払利息)。借入が多いほど高い
  • DTL(総合レバレッジ)= DOL × DFL = 貢献利益 ÷(営業利益 − 支払利息)
  • 売上変化率 × DOL = 営業利益変化率、営業利益変化率 × DFL = 税引前純利益変化率
  • レバレッジはプラスもマイナスも同じ倍率で増幅する。固定費構造はリスクとリターンを同時に高める
Uのメモ
試験でDOLを問われたとき、式の分子が「貢献利益」か「売上高」か迷いました。「DOLのDはDegree(度合い)、つまり固定費という重荷を抱えたとき、売上変動が利益にどれだけ効くか」というイメージを持ってから間違えなくなりました。

ROEとの絡みで財務レバレッジが問われることも多いです。「ROE = ROA × 財務レバレッジ」という分解式と、DFLの式は別物ですが、どちらも「借入増 → 株主への増幅効果」という方向性は同じです。両方セットで整理しておくと理解が深まります。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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