【図解で説明】知的財産権の練習問題| 中小企業診断士1次試験 経営法務

今回は、過去問で出題されやすく、ここではまだ比較的扱いが少ない「経営法務・知的財産権」から出題します。

目次

知的財産権 | 経営法務の練習問題

中小企業診断士試験
経営法務 知的財産権

次のうち、特許権・実用新案権・意匠権・商標権に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 特許権は、物品の形状、模様、色彩などのデザインを保護する権利であり、登録日から一定期間保護される。

イ 実用新案権は、物品の形状、構造または組合せに係る考案を保護する権利であり、技術的アイデアのうち比較的小発明に相当するものを対象とする。

ウ 意匠権は、商品やサービスを他者のものと区別するための文字、図形、記号などを保護する権利である。

エ 商標権は、自然法則を利用した高度な技術的思想の創作を保護する権利であり、発明を独占的に実施できる権利である。

回答と解説

U

イ?

正解です。イが最も適切です。

実用新案権は、物品の形状、構造、組合せに関する考案を保護する権利です。特許庁も、実用新案権は物品の形状、構造、組合せに関する考案を保護すると説明しています。

各選択肢は、次のように入れ替わっています。

<選択肢>

ア 特許権は、物品の形状、模様、色彩などのデザインを保護する権利であり、登録日から一定期間保護される。

アは意匠権の説明です。
物品の形状、模様、色彩などのデザインを保護するのは、特許権ではなく意匠権です。

イ 実用新案権は、物品の形状、構造または組合せに係る考案を保護する権利であり、技術的アイデアのうち比較的小発明に相当するものを対象とする。

イは正しいです。
実用新案権は、物品の形状・構造・組合せに関する考案を保護します。特許よりも、比較的小さな技術的工夫をイメージすると区別しやすいです。

ウ 意匠権は、商品やサービスを他者のものと区別するための文字、図形、記号などを保護する権利である。

→ウは商標権の説明です。
商品やサービスを他者のものと区別する文字、図形、記号などを保護するのは、意匠権ではなく商標権です。

エ 商標権は、自然法則を利用した高度な技術的思想の創作を保護する権利であり、発明を独占的に実施できる権利である。

→エは特許権の説明です。
自然法則を利用した高度な技術的思想の創作、つまり発明を保護するのは、商標権ではなく特許権です。

覚え方は、この4つを「何を守るか」で分けると整理しやすいです。

特許権は、発明。
実用新案権は、物の形や構造の工夫。
意匠権は、デザイン。
商標権は、商品やサービスの目印。

この問題は、内容自体は難しくありませんが、選択肢で権利名だけを入れ替えてくる典型的な引っ掛けです。試験では「特許=発明」「実用新案=物の形や構造の工夫」「意匠=デザイン」「商標=マーク」と、まず一語で対応させると崩れにくくなります。

経営法務の重要論点

経営法務は暗記科目に見えますが、実際は「会社を作る・動かす・守る・取引する・海外に出す」という流れで見ると整理しやすくなります。重要論点を試験目線でまとめます。

経営法務は、中小企業診断士試験の第1次試験科目のひとつで、令和8年度試験でも「E 経営法務」として60分・100点で実施されます。企業経営に関係する法律、制度、手続きの実務知識を問う科目です。

大きく分けると、次のような領域があります。

会社法・組織再編

経営法務の中心論点です。株式会社の設立、株式、株主総会、取締役、取締役会、監査役、機関設計、剰余金配当、組織再編などが出ます。

特に重要なのは、株式会社の機関設計です。

取締役会を置く会社か、監査役を置く会社か、公開会社か非公開会社か、大会社かどうかによって、必要な機関が変わります。

試験では、次のような形で問われやすいです。

取締役会設置会社には、原則として監査役または会計参与などが必要である

公開会社と非公開会社では、株式譲渡制限の有無が違う

大会社では、会計監査人が必要になる場合がある

株主総会と取締役会の権限を混同させる

ここは、経営法務の中でもかなり重要です。単なる丸暗記ではなく、「誰が会社の意思決定をするのか」「誰が経営者を監視するのか」という役割で見ると理解しやすくなります。

知的財産権

先ほど出題した論点です。特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、不正競争防止法などが中心です。

特に重要なのは、次の区別です。

特許権は、発明を守る

実用新案権は、物品の形状・構造・組合せの工夫を守る

意匠権は、デザインを守る

商標権は、商品やサービスの目印を守る

著作権は、登録しなくても創作時に発生する

不正競争防止法は、周知表示の混同惹起、著名表示冒用、営業秘密の不正取得などを扱う

ここは選択肢の入れ替え問題が多いです。たとえば「意匠権なのに商標権の説明をしている」「実用新案なのに特許の説明をしている」といった形です。

契約・取引関係

中小企業が日常的に関わる契約や取引のルールです。民法、商法、消費者契約法、下請法、独占禁止法などが関係します。

重要論点は、契約の成立、意思表示、代理、時効、債務不履行、危険負担、売買契約、請負契約、委任契約などです。

診断士試験では、法律家のような細かい条文解釈よりも、「企業同士の取引で何が問題になるか」という実務寄りの形で問われます。

たとえば、下請法では、親事業者が下請事業者に対して代金の支払いを遅らせる、返品する、買いたたく、不当なやり直しを求める、といった行為が問題になります。

資本市場・金融商品取引法

上場、株式公開、金融商品取引法、インサイダー取引、ディスクロージャーなどに関する論点です。

中小企業診断士試験では、細かい証券法務というよりも、企業が資金調達をするときに必要な制度や、投資家保護の考え方が問われます。

重要なのは、次のような視点です。

株式を発行して資金調達する

社債を発行して資金調達する

上場会社には情報開示義務がある

未公表の重要事実を知って株式売買をすると、インサイダー取引になる場合がある

企業再編・事業承継・倒産法制

合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡、事業承継、民事再生、会社更生、破産などです。

ここは、名前が似ていて混同しやすい分野です。

特に、合併と事業譲渡、会社分割の違いは重要です。

合併は、会社そのものが一体化する

事業譲渡は、会社の一部または全部の事業を売買する

会社分割は、事業に関する権利義務を別会社に承継させる

試験では、「包括承継か個別承継か」「株主総会の特別決議が必要か」「債権者保護手続が必要か」といった形で問われます。

民法の基礎

経営法務では、民法も出ます。特に、意思表示、代理、時効、債権、契約、相続あたりが重要です。

ただし、診断士試験では司法試験のような深い民法ではなく、企業経営に必要な範囲で問われます。

たとえば、代理では次のような点が問われます。

本人の代わりに代理人が契約する

代理権がない人が契約すると無権代理になる

相手が代理権があると信じる事情があると、表見代理が問題になる

ここは言葉が硬いので苦手に感じやすいですが、「誰が契約したことになるのか」を追うと理解しやすくなります。

消費者保護・個人情報保護・景品表示法

近年の企業活動では、消費者対応や個人情報の扱いも重要です。法律改正の影響を受けやすい領域なので、学習時は最新版の教材で確認する必要があります。

重要論点は、次のあたりです。

消費者契約法

特定商取引法

景品表示法

個人情報保護法

電子契約・電子商取引

特に景品表示法では、優良誤認、有利誤認、過大な景品類などが問われやすいです。

「実際より著しく良い商品に見せる」
「実際より著しく有利な条件に見せる」

この2つを区別するのが基本です。

英文契約・国際取引

経営法務では、英文契約や国際取引に関する問題も出ます。

たとえば、契約書の基本用語、準拠法、裁判管轄、仲裁、インコタームズ、秘密保持契約などです。

英語が得意かどうかよりも、契約書でよく使う表現を知っているかが問われます。

たとえば、次のような用語です。

NDAは秘密保持契約

Governing Lawは準拠法

Jurisdictionは裁判管轄

Force Majeureは不可抗力

Terminationは契約解除

この分野は、出題数は多くない年もありますが、出ると差がつきやすいです。

NDA

U

NDAは何の略ですか?

NDAは、Non-Disclosure Agreementの略です。

日本語では、秘密保持契約と訳されます。

読み方は、ノン・ディスクロージャー・アグリーメントです。

意味は、仕事や取引の中で知った秘密情報を、第三者に勝手に話したり、外部へ漏らしたりしないための契約です。

たとえば、次のような情報を守るために使われます。

新商品の情報

顧客リスト

価格や仕入れ条件

社内のノウハウ

開発中の技術

事業計画

つまりNDAは、取引や共同作業を始める前に、相手に見せる情報を守るための約束です。経営法務では、英文そのものよりも、NDAが秘密保持契約を意味すること、そして秘密情報を第三者に開示しないための契約であることを押さえておくと理解しやすくなります。

勉強方法のコツ

優先順位をつけるなら、まず押さえるべきは次の順番です。

最優先は、会社法と知的財産権です。

この2つは出題頻度が高く、経営法務の得点源になります。会社法は機関設計、株式、株主総会、取締役、組織再編。知的財産権は、特許・実用新案・意匠・商標・著作権・不正競争防止法です。

次に、民法・契約法務・取引法務です。

代理、時効、契約不適合責任、売買、請負、委任、下請法、独占禁止法あたりを押さえると、選択肢の判断がかなり楽になります。

その次に、倒産・事業承継・資本市場・英文契約です。

ここは細かい暗記もありますが、頻出の型を覚えると得点につながります。

経営法務は、「法律の名前を覚える科目」ではなく、「会社経営のどの場面で、どの法律が出てくるか」を整理する科目です。

会社を作るなら会社法。
商品名や技術を守るなら知的財産権。
取引先と契約するなら民法・商法・下請法。
広告を出すなら景品表示法。
顧客情報を扱うなら個人情報保護法。
資金調達するなら金融商品取引法。
会社をたたむ、立て直すなら倒産法制。

この流れで見ると、経営法務はかなり覚えやすくなります。

経営法務は、広く浅く出る科目ですが、得点源にしやすい場所と、毎回のように形を変えて問われる場所があります。まずは「会社法」と「知的財産権」を軸に見ると、全体が崩れにくくなります。

U

形を変えて…どんなパターンがあるのですか?

経営法務で「形を変えて問われる」とは、同じ知識をそのまま聞くのではなく、事例・当事者・手続き・タイミングを変えて、理解しているかを確認してくるという意味です。

特に多いのは、次のようなパターンです。

会社法では、株主総会・取締役・取締役会・監査役・機関設計が、設定を変えて何度も問われます。

たとえば、

株主総会で決議できることは何か。

普通決議なのか、特別決議なのか。

取締役会設置会社か、非設置会社か。

公開会社か、非公開会社か。

大会社か、それ以外か。

このあたりの条件が少し変わるだけで、答えも変わります。

つまり会社法では、「会社の種類」と「機関設計」を見落とすと間違えやすくなります。

次に多いのが、知的財産権です。

特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権を単純に暗記するだけでは足りません。

たとえば、

登録が必要かどうか。

保護される対象は何か。

権利の存続期間は何年か。

出願した人が守られるのか、創作した時点で守られるのか。

似た商品名やデザインを使われたとき、どの権利で対応するのか。

こうした形で問われます。

特に著作権は、登録しなくても発生する点が狙われやすいです。一方、特許権・意匠権・商標権などは、基本的に登録によって権利が発生します。この違いはよく問われます。

契約・債権関係では、「誰が誰に対して、何を請求できるか」が形を変えて出ます。

たとえば、

契約が成立したのか。

解除できるのか。

損害賠償を請求できるのか。

時効で権利が消えるのか。

相手が約束を守らないとき、どの対応ができるのか。

この分野は、言葉だけで覚えるよりも、登場人物を矢印で整理すると理解しやすくなります。

消費者保護・独占禁止法・景品表示法では、「やってよい広告か」「不当な取引ではないか」がよく問われます。

たとえば、

実際より良く見せる表示ではないか。

価格を安く見せかけていないか。

取引先に不利な条件を押しつけていないか。

競争を妨げる行為ではないか。

ここでは、企業側の都合ではなく、市場や消費者から見て問題があるかを考えると判断しやすくなります。

英文契約・国際取引では、英語力そのものより、契約で使われる定番語句の意味が問われます。

NDAは秘密保持契約。

Governing Lawは準拠法。

Jurisdictionは裁判管轄。

Arbitrationは仲裁。

Force Majeureは不可抗力。

Terminationは契約解除。

これらは、用語の意味だけでなく、「契約書のどの場面で使うのか」まで押さえると得点につながります。

経営法務でよくある引っかけ方は、かなり決まっています。

「できる」と「しなければならない」を入れ替える。

「原則」と「例外」を逆にする。

「登録が必要な権利」と「登録しなくても発生する権利」を混ぜる。

「普通決議」と「特別決議」を入れ替える。

「会社の種類」を変えて、必要な機関を変える。

「裁判」と「仲裁」を混同させる。

「契約解除」と「契約終了」をあいまいにする。

「権利の発生時点」と「権利の存続期間」を混ぜる。

このような問われ方が多いです。

勉強するときは、用語を一つずつ覚えるよりも、

誰の権利か。

何を守る制度か。

いつ発生するか。

どんな手続きが必要か。

例外はどこか。

この順番で見ると、問題文の形が変わっても崩れにくくなります。

経営法務は範囲が広いので、すべてを深く追うより、まずは会社法と知的財産権を中心に、「条件が変わると答えも変わる場所」を重点的に押さえるのが現実的です。

経営法務 | 出団頻度が高い中心論点とは?

経営法務で出題頻度が高い中心論点は、かなりはっきりしています。

最優先は、会社法と知的財産権です。

令和7年度の講評でも、会社法関連が7問、知的財産権関連が8問、民法が6問、その他が4問と整理されており、出題の中心は会社法と知的財産権関連だとされています。

経営法務の頻出論点は、優先順位をつけると次のようになります。

最優先
会社法

株式会社の設立、株式、株主総会、取締役、取締役会、監査役、機関設計、剰余金配当、組織再編が中心です。

特に出やすいのは、機関設計です。

たとえば、公開会社か非公開会社か、取締役会設置会社かどうか、大会社かどうかによって、必要な機関が変わります。ここは「会社の意思決定を誰が行い、誰が監督するのか」という視点で見ると理解しやすくなります。

よく問われる形は、次のようなものです。

取締役会を置く場合に必要な機関
株主総会と取締役会の権限の違い
公開会社と非公開会社の違い
大会社の機関設計
取締役の任期や責任
剰余金配当
合併、会社分割、株式交換、事業譲渡の違い

最優先
知的財産権

特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、不正競争防止法が中心です。

令和7年度も知的財産権関連は8問とされており、会社法と並ぶ中心分野です。

特に出やすいのは、産業財産権の区別です。

特許権は、発明を守る
実用新案権は、物品の形状・構造・組合せの工夫を守る
意匠権は、デザインを守る
商標権は、商品やサービスの目印を守る

この4つは、説明を入れ替える引っ掛けが非常に多いです。

さらに、存続期間、出願手続き、先願主義、登録要件、著作権の発生時期、不正競争防止法の営業秘密なども押さえる必要があります。

重要
民法・契約法務

民法は年によって出題数に差がありますが、令和7年度は6問と、前年度より増えたとされています。

出やすいのは、契約、代理、時効、保証、相続、債務不履行、売買、請負、委任、契約不適合責任などです。

診断士試験では、法律家のような深い条文解釈よりも、企業活動で起こる契約トラブルをどう判断するかが問われます。

特に混同しやすいのは、次のあたりです。

代理と無権代理
表見代理
時効の完成と更新
売買契約と請負契約
債務不履行と契約不適合責任
保証と連帯保証

重要
組織再編・事業承継

会社法の中でも、合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡は出題されやすいです。

ここは名称が似ているため、試験で混乱しやすい分野です。

合併は、会社同士が一体になる
会社分割は、事業を別会社に移す
事業譲渡は、事業を売買する
株式交換は、既存会社を完全親会社・完全子会社にする
株式移転は、新しく完全親会社を作る

特に、「包括承継か個別承継か」「株主総会の特別決議が必要か」「債権者保護手続が必要か」が問われやすいです。

重要
不正競争防止法・営業秘密

知的財産権とセットで出やすい論点です。

特に、営業秘密の3要件は頻出です。

秘密として管理されていること
事業活動に有用であること
公然と知られていないこと

営業秘密は、単に会社の中で大事な情報というだけでは足りません。秘密管理性、有用性、非公知性が必要です。

また、周知表示の混同惹起、著名表示冒用、商品形態模倣なども問われます。

準重要
消費者保護・取引規制

下請法、独占禁止法、景品表示法、消費者契約法、特定商取引法、製造物責任法などです。

令和7年度の講評でも、製造物責任法、下請法などのその他分野は出題があったとされています。

特に診断士試験で重要なのは、中小企業の実務に近い次の論点です。

下請法
親事業者による支払遅延、買いたたき、返品、不当なやり直し要求など

景品表示法
優良誤認、有利誤認、過大な景品類

製造物責任法
欠陥によって生命、身体、財産に損害が生じた場合の製造業者等の責任

消費者契約法
不当な勧誘や不当条項への対応

準重要
資本市場・金融商品取引法

株式、社債、上場、情報開示、インサイダー取引などです。

頻出度は会社法・知財ほど高くありませんが、出ると選択肢の判断に迷いやすい分野です。

特に、未公表の重要事実を知った会社関係者などが株式売買を行うインサイダー取引は、よく出るテーマです。

準重要
英文契約・国際取引

英文契約は、毎年大量に出るわけではありませんが、知っていれば取りやすい論点です。

押さえるべき用語は、次のあたりです。

NDA
秘密保持契約

Governing Law
準拠法

Jurisdiction
裁判管轄

Arbitration
仲裁

Force Majeure
不可抗力

Termination
契約解除

英語力そのものよりも、契約書で頻出する用語を知っているかが問われます。

学習優先順位としては、まず会社法と知的財産権を固めるのが一番効率的です。過去の受験指導記事でも、経営法務は会社法・知的財産権・民法の基礎部分に絞ると合格ラインを狙いやすいとされています。

整理すると、優先順位はこの順番です。

会社法
知的財産権
民法・契約法務
組織再編・事業承継
不正競争防止法
下請法・景品表示法・製造物責任法
資本市場・金融商品取引法
英文契約・国際取引

経営法務は、細かい法律名を大量に覚えるよりも、「会社のどの場面で使う法律か」で整理すると記憶に残りやすくなります。

会社を作る、株主と経営者の関係を決めるなら会社法。
発明、デザイン、ブランドを守るなら知的財産権。
取引先と約束するなら民法・契約法務。
広告や販売をするなら景品表示法・消費者法。
下請企業と取引するなら下請法。
海外取引をするなら英文契約。

このように、企業活動の流れに沿って覚えると、経営法務はかなり整理しやすくなります。

経営法務 | ひっかけ問題で出るのはどのようなパターン?

経営法務の引っ掛け問題は、法律知識そのものよりも、似ている制度を入れ替える形で出されることが多いです。

特に多いのは、次のパターンです。

会社法の引っ掛け

会社法では、公開会社と非公開会社、大会社とそれ以外、取締役会設置会社と非設置会社を混同させる問題がよく出ます。

たとえば、非公開会社なのに公開会社のルールを当てはめる、取締役会を置いていない会社なのに取締役会決議が必要だとする、といった形です。

よく狙われるのは、次のような違いです。

公開会社か非公開会社か
大会社か大会社でないか
取締役会設置会社かどうか
監査役、会計監査人、監査等委員会などの機関設計
株主総会と取締役会の権限の違い
普通決議、特別決議、特殊決議の違い

覚え方としては、会社法は「会社のタイプが変わると、必要な機関や決議が変わる」と見てください。

知的財産権の引っ掛け

知的財産権では、権利名と保護対象を入れ替える問題が定番です。

特許権は発明。
実用新案権は、物品の形状・構造・組合せの工夫。
意匠権はデザイン。
商標権は、商品やサービスの目印。
著作権は、創作された表現。
不正競争防止法は、営業秘密や商品表示の混同など。

たとえば、商標権の説明なのに意匠権と書いてある、実用新案権なのに高度な発明を保護すると書いてある、著作権なのに登録しないと発生しないと書いてある、という形です。

ここは「何を守る権利か」を一語で押さえるのが一番強いです。

特許は技術。
実用新案は物の工夫。
意匠は見た目。
商標は目印。
著作権は表現。
営業秘密は秘密管理された情報。

民法・契約法務の引っ掛け

民法では、似ている言葉の違いを問われます。

代理と使者。
無権代理と表見代理。
保証と連帯保証。
売買と請負。
委任と請負。
債務不履行と契約不適合責任。
時効の完成猶予と更新。

たとえば、請負は「仕事の完成」がポイントなのに、委任のように「事務処理を任せる契約」と説明する問題が出ます。

売買では、契約不適合責任が問われやすいです。「引き渡された物が契約内容に合っているか」を見る論点ですが、単なる品質の良し悪しではなく、契約で合意した内容と違うかどうかがポイントです。

組織再編の引っ掛け

合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡は、名前が似ているため非常に狙われやすいです。

合併は、会社同士が一体になる。
会社分割は、事業を別会社に移す。
事業譲渡は、事業を売買する。
株式交換は、既存会社を完全親会社にする。
株式移転は、新しく完全親会社を作る。

引っ掛けの中心は、「包括承継か個別承継か」です。

合併や会社分割は、権利義務をまとめて承継する包括承継です。
事業譲渡は、個別に契約を移す個別承継です。

ここを逆にしてくる問題が多いです。

下請法・独占禁止法・景品表示法の引っ掛け

取引規制では、「どの法律の問題か」を混同させます。

下請法は、親事業者と下請事業者の取引。
独占禁止法は、公正な競争の確保。
景品表示法は、広告表示や景品類の規制。
製造物責任法は、製品の欠陥による損害。
消費者契約法は、消費者との契約トラブル。

たとえば、広告で実際より著しく良く見せる話なのに下請法の説明にする、親事業者の買いたたきなのに景品表示法の説明にする、といった入れ替えです。

景品表示法では、優良誤認と有利誤認の違いがよく狙われます。

優良誤認は、商品やサービスの品質・性能・内容を実際より良く見せること。
有利誤認は、価格や取引条件を実際より有利に見せること。

「品質がすごい」は優良誤認。
「今だけ安い、他社より得」は有利誤認。
この区別で覚えると崩れにくいです。

不正競争防止法の引っ掛け

不正競争防止法では、営業秘密の3要件が狙われます。

秘密管理性。
有用性。
非公知性。

単に「社外に知られたくない情報」だけでは営業秘密にはなりません。秘密として管理され、事業に役立ち、公に知られていないことが必要です。

試験では、秘密管理されていない顧客リストを営業秘密だとする、すでに公開されている情報を営業秘密だとする、という形で引っ掛けます。

著作権の引っ掛け

著作権では、「登録しないと権利が発生しない」とする選択肢がよくあります。

これは誤りです。著作権は、創作した時点で原則として発生します。登録は権利発生の要件ではありません。

また、アイデアそのものは著作権で保護されず、保護されるのは表現です。

つまり、「小説の具体的な文章」は著作物になり得ますが、「こんな物語を作りたい」というアイデアだけでは著作権の保護対象になりません。

英文契約の引っ掛け

英文契約では、単語の意味を取り違えさせます。

NDAは秘密保持契約。
Governing Lawは準拠法。
Jurisdictionは裁判管轄。
Arbitrationは仲裁。
Force Majeureは不可抗力。
Terminationは契約終了・解除。
Indemnificationは補償・免責に関する条項。

英語が難しいというより、契約書での定番語句を知っているかが問われます。

経営法務の引っ掛けを見抜くコツは、「誰の話か」「何を守る話か」「どの場面の法律か」を先に見ることです。

U

ちなみにこれら、何と読むのですか…?

NDA

正式表記は Non-Disclosure Agreement です。

読み方は、ノン・ディスクロージャー・アグリーメントです。

発音記号は、Non-Disclosure Agreement 全体では /ˌnɑːn dɪˈskloʊʒər əˈɡriːmənt/ に近いです。

NDAだけで読む場合は、エヌ・ディー・エーです。発音記号は /ˌen diː ˈeɪ/ です。

単語のイメージは、秘密を外に出さない約束です。Disclosure は開示、つまり情報を明らかにすることです。Non-Disclosure なので、開示しないという意味になります。Agreement は契約・合意です。

Governing Law

読み方は、ガヴァニング・ローです。

発音記号は、/ˈɡʌvərnɪŋ lɔː/ です。

単語のイメージは、この契約をどこの法律で判断するかを決める言葉です。

Governing は支配する、統治する、ルールとして働くという意味です。Law は法律です。契約書では、契約全体を支配する法律、つまり準拠法という意味になります。

Jurisdiction

読み方は、ジュリスディクションです。

発音記号は、/ˌdʒʊrɪsˈdɪkʃən/ です。

単語のイメージは、どこの裁判所がこの争いを扱うかです。

Jurisdiction には、裁判権、管轄、権限のある範囲という意味があります。契約でトラブルが起きたとき、日本の裁判所で扱うのか、海外の裁判所で扱うのかを決める場面で出てきます。

Arbitration

読み方は、アービトレーションです。

発音記号は、/ˌɑːrbɪˈtreɪʃən/ です。

単語のイメージは、裁判所ではなく、第三者に判断してもらう手続きです。

Arbitration は仲裁と訳されます。裁判よりも、当事者が選んだ仲裁人や仲裁機関に判断してもらうイメージです。国際取引では、相手国の裁判所に行くよりも中立的な手段として使われることがあります。

Force Majeure

読み方は、フォース・マジュールです。

発音記号は、/ˌfɔːrs mæˈʒɜːr/ に近いです。

単語のイメージは、当事者の努力では避けられない大きな出来事です。

もともとはフランス語由来の表現で、契約書では不可抗力を意味します。地震、洪水、戦争、感染症の拡大など、当事者の責任とは言いにくい事情で契約を守れなくなった場合に関係します。

Termination

読み方は、ターミネーションです。

発音記号は、/ˌtɜːrmɪˈneɪʃən/ です。

単語のイメージは、契約を終わらせることです。

Terminate は終わらせるという意味の動詞です。Termination はその名詞形で、契約終了、契約解除という意味で使われます。契約期間が満了して終わる場合にも、違反などを理由に途中で終わらせる場合にも関係します。

Indemnification

読み方は、インデムニフィケーションです。

発音記号は、/ɪnˌdemnɪfɪˈkeɪʃən/ です。

単語のイメージは、損害が出た人を守る、または損害を補うということです。

Indemnify は、損害を補償する、責任から保護するという意味です。Indemnification は、契約違反や第三者からの請求などで損害が出たときに、誰がどこまで補償するのかを決める条項です。

覚え方としては、英語の単語そのものを完璧に読むよりも、契約書の中で何を決める言葉なのかを結びつけると理解しやすくなります。

NDAは秘密を守る。

Governing Lawはどの法律で見るか。

Jurisdictionはどこの裁判所で扱うか。

Arbitrationは裁判ではなく仲裁で解決する。

Force Majeureは避けられない出来事。

Terminationは契約を終わらせる。

Indemnificationは損害や責任をどう補うか。

このように、音、意味、場面をセットで覚えると、経営法務の英文契約問題でも判断しやすくなります。

ひっかけパターンを見抜く方法は?

会社の内部ルールなら会社法。
発明・デザイン・ブランドなら知的財産権。
取引先との約束なら民法・契約法務。
下請取引なら下請法。
広告表示なら景品表示法。
消費者との契約なら消費者契約法。
製品の欠陥なら製造物責任法。
営業秘密なら不正競争防止法。

問題文を読むときは、いきなり細かい条文に入らず、「これは会社の内部の話か、取引の話か、知的財産の話か」と分類すると、かなり間違いを減らせます。

経営法務の勉強方法・覚え方

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経営法務の勉強方法、覚え方を教えてください!

経営法務は、最初から細かい条文を覚えようとすると苦しくなります。

先に押さえるべきなのは、法律そのものではなく、「会社経営のどの場面で、その法律が出てくるのか」です。

会社を作る、株主と経営者の関係を決める、取締役を置く、配当する、会社を合併する。これは会社法です。

発明、デザイン、商品名、ロゴ、著作物、営業秘密を守る。これは知的財産権です。

取引先と契約する、商品を売る、仕事を請け負う、損害が出る、代金を払わない。これは民法や契約法務です。

広告で実際よりよく見せる、景品をつける、消費者に誤解を与える。これは景品表示法や消費者法です。

親事業者が下請事業者に無理な条件を押しつける。これは下請法です。

このように、「場面」から入ると、法律名がただの暗記ではなくなります。

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では、どんな順番で勉強したらよいですか?

経営法務の勉強は、次の順番が効率的です。

まず、会社法と知的財産権を最優先にします。

この2つは出題頻度が高く、点数に直結しやすい分野です。最初から民法、英文契約、金融商品取引法まで広げると、覚える範囲が散らかります。

会社法では、特に次の軸を押さえます。

公開会社か、非公開会社か。

大会社か、大会社ではないか。

取締役会設置会社か、取締役会非設置会社か。

株主総会で決めることか、取締役会で決めることか。

普通決議か、特別決議か。

会社法は、「会社の種類が変わると、必要な機関や決議が変わる」と考えると整理しやすくなります。

たとえば、取締役会を置く会社なのかどうかで、意思決定の流れが変わります。大会社かどうかで、監査の仕組みも変わります。ここを表で丸暗記するより、「会社が大きくなるほど、外からの監視が必要になる」と考えると、頭に残りやすくなります。

知的財産権は、「何を守る権利か」を一語で覚えます。

特許は、発明。

実用新案は、物の形や構造の工夫。

意匠は、デザイン。

商標は、商品やサービスの目印。

著作権は、表現。

不正競争防止法は、営業秘密や紛らわしい表示。

ここは長く説明を覚えるより、まず一語で反応できるようにします。問題文に「デザイン」と出たら意匠、「商品やサービスの目印」と出たら商標、「創作と同時に発生」と出たら著作権、という反射を作るのが大切です。

次に、民法・契約法務を「似ている言葉の違い」で覚えます。

民法は言葉が硬いため、最初から条文風に読むとつまずきます。診断士試験では、深い法律論よりも、企業取引で起こりやすい場面を判断できるかが問われます。

特に混同しやすいのは、次の組み合わせです。

代理と使者。

無権代理と表見代理。

売買と請負。

請負と委任。

保証と連帯保証。

債務不履行と契約不適合責任。

時効の完成猶予と更新。

覚えるときは、「似ている2つを並べて、違いだけを言えるようにする」のが効果的です。

たとえば、請負は仕事の完成が目的です。委任は事務処理を任せることが目的です。

家を建てる契約なら、完成が求められるので請負。法律相談や経営相談のように、一定の事務や判断を任せるなら委任。このように現実の場面に置き換えると、言葉が生きてきます。

組織再編は、「何が移るのか」で覚えます。

合併は、会社そのものが一体になる。

会社分割は、事業が別会社に移る。

事業譲渡は、事業を売買する。

株式交換は、既存の会社を完全親会社にする。

株式移転は、新しく完全親会社を作る。

ここで最も大事なのは、包括承継か個別承継かです。

合併や会社分割は、権利義務がまとめて移る包括承継です。事業譲渡は、契約を個別に移す個別承継です。

この違いは試験でよく狙われます。単語だけで覚えるより、「会社ごと飲み込むのか」「事業を切り出すのか」「契約を一つずつ移すのか」とイメージで整理すると間違いにくくなります。

下請法、景品表示法、製造物責任法、消費者契約法は、「誰を守る法律か」で覚えます。

下請法は、下請事業者を守る法律です。

景品表示法は、消費者が広告や表示にだまされないようにする法律です。

製造物責任法は、欠陥製品による被害者を守る法律です。

消費者契約法は、事業者より情報や交渉力が弱い消費者を守る法律です。

ここは法律名を暗記するより、「被害を受ける側は誰か」を見ると整理できます。

景品表示法では、優良誤認と有利誤認がよく出ます。

品質、性能、内容を実際より良く見せるのが優良誤認です。

価格、割引、取引条件を実際より得に見せるのが有利誤認です。

「すごく良い商品です」は優良誤認。「今だけ安い、他社より得です」は有利誤認。この違いだけでも、かなり選択肢を切れるようになります。

経営法務の暗記は、「長文で覚えない」のがコツです。

まずは、短い対応関係で覚えます。

特許は発明。

意匠はデザイン。

商標は目印。

著作権は表現。

請負は完成。

委任は事務処理。

合併は一体化。

事業譲渡は売買。

優良誤認は品質。

有利誤認は価格。

このように一語でつかんでから、過去問で文章に慣れていきます。

逆に、最初からテキストの長い説明を完璧に覚えようとすると、問題文の中で使えません。試験では、正確な文章を再現するより、「この選択肢はどこが入れ替わっているか」を見抜く力が必要です。

勉強の流れは、次の形がおすすめです。

最初に、テキストをざっと読む。

この段階では、覚えようとしなくて大丈夫です。会社法、知財、民法、取引法務、英文契約という全体の地図を作るだけで十分です。

次に、頻出分野だけをもう一度読む。

会社法と知的財産権を中心にします。ここは最初から少し丁寧にやります。

その後、過去問を解きます。

経営法務は、過去問に入るのが早いほど伸びます。なぜなら、テキストを読んでいるだけでは、どこが引っ掛けられるのか分からないからです。

過去問を解いたら、正解したかどうかよりも、「どの言葉で迷ったか」を記録します。

たとえば、特許と実用新案を迷った。
請負と委任を迷った。
普通決議と特別決議を迷った。
優良誤認と有利誤認を迷った。

この「迷った組み合わせ」が、自分専用の弱点リストになります。

経営法務は、間違えた問題をそのまま覚えるより、「何と何を混同したのか」を抜き出すほうが効果があります。

復習では、間違えた選択肢を一文で直します。

たとえば、

商標権はデザインを守る権利である。

この選択肢が出たら、ただ「誤り」とするのではなく、

商標権は商品やサービスの目印を守る。デザインを守るのは意匠権。

このように、正しい形に言い換えます。

これを繰り返すと、引っ掛け問題に強くなります。

経営法務で避けたい勉強法は、法律名だけを丸暗記することです。

たとえば、「会社法、民法、商法、下請法、景品表示法」と名前だけ覚えても、問題では使えません。

大事なのは、「その法律は、どんな場面で、誰を守り、何を規制するのか」です。

会社法は、会社の内部ルール。

知的財産権は、技術・デザイン・ブランド・表現を守るルール。

民法は、契約や権利義務の基本ルール。

下請法は、弱い立場の下請事業者を守るルール。

景品表示法は、消費者を誤解させる広告や景品を規制するルール。

不正競争防止法は、公正でない競争を防ぐルール。

このように、法律を「場面」と結びつけて覚えると、問題文を読んだときに使える知識になります。

試験直前期は、細かい論点を広げすぎないほうがよいです。

会社法なら、機関設計、株主総会、取締役、株式、組織再編。

知的財産権なら、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、不正競争防止法。

民法なら、代理、時効、契約、保証、請負、委任、契約不適合責任。

取引規制なら、下請法、景品表示法、消費者契約法、製造物責任法。

英文契約なら、NDA、準拠法、裁判管轄、仲裁、不可抗力、契約解除。

まずはこの範囲を、過去問で見たときに「あ、このパターンだ」と分かる状態にします。

経営法務は、満点を狙う科目ではありません。知らない細かい法律が出ることもあります。

そのため、勉強の目標は「すべてを覚える」ではなく、「頻出論点で落とさない」「似た制度の入れ替えに気づく」「迷ったときに分類できる」ことです。

特に大切なのは、次の3つです。

これは誰の話か。

これは何を守る話か。

これは会社のどの場面の話か。

この3つを意識して問題文を読むと、経営法務はかなり解きやすくなります。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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