景気動向指数(DI・CI)と先行・一致・遅行指標 | 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策

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景気が「今どこにいるのか」を判断するのは難しいですよね。景気動向指数(DI・CI)は、複数の経済統計を組み合わせて景気局面を判断するための指標です。先行・一致・遅行という3グループの違いを整理しておくと、試験でも迷わなくなります。

景気は「今どの局面なのか」すぐにはわかりません。GDPの速報値は四半期に一度しか出ず、しかも後で改定されます。そこで政府は複数の経済統計を組み合わせた景気動向指数を毎月発表し、景気の現状と方向性を判断しています。

DI
Diffusion Index
景気の「方向性」を示す。改善している指標の割合(50%超=景気拡張)
CI
Composite Index
景気の「強さ・テンポ」を示す。指標の変化量を合成した指数
DIとCIの使い分け
現在はCIが主役です。CIは量的な変化を測るため景気の勢いをより正確に把握できます。DIは「50%を上回ったか下回ったか」で景気の方向性(拡張か後退か)を判断するシンプルな指標として補助的に使われています。
目次

先行・一致・遅行の3つのグループ

景気動向指数は30の経済統計で構成され、景気との時間的な関係によって先行系列・一致系列・遅行系列の3グループに分類されます。

先行系列(11系列)
景気に先んじて動く
東証株価指数(TOPIX)
新規求人数(除学卒)
新設住宅着工床面積
機械受注額(製造業)
消費者態度指数
一致系列(10系列)
景気と同時に動く
鉱工業生産指数
有効求人倍率(除学卒)
大口電力使用量
中小企業売上高(製造業)
営業利益(全産業)
遅行系列(9系列)
景気に遅れて動く
完全失業率(逆サイクル)
消費者物価指数(生鮮食品除く)
法人税収入
常用雇用指数(製造業)
家計消費支出
「逆サイクル」とは
完全失業率は景気が悪化すると上昇(逆方向に動く)ため、「逆サイクル」と表示されます。景気動向指数では方向を反転させて組み入れることで、「下がる=景気改善」として他の指標と同じ方向で扱われます。

「天気予報」で考えるとわかりやすい

先行・一致・遅行の関係は、天気予報の仕組みに似ています。

系列 天気の例え 景気での役割
先行系列気圧配置・天気図(明日の天気を予測)これから景気がどう動くかを先取りする。政策立案の参考
一致系列今日の気温・降水量(今の天気を確認)現在の景気局面を把握する。景気基準日付の認定に使う
遅行系列翌日の気温(昨日の天気の影響)景気の変化を後から確認・検証する

特に一致系列が重要で、内閣府が景気の山・谷(景気基準日付)を認定する際に一致系列のCIを主な根拠とします。先行系列は景気予測の補助として使われます。

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株価が先行系列に入っているのは、投資家が将来の景気を先読みして売買するためなんですね。株価が先に上がり始めて、しばらく経ってから景気の回復が確認される、という流れがあるわけです。

DI(ディフュージョン・インデックス)の計算方法

DI の計算式
DI=(改善している指標数 + 横ばいの指標数×0.5)÷ 採用指標の総数 × 100
各系列の構成指標について、前月と比べて「上昇(改善)した」ものを1点、「横ばい」を0.5点、「低下(悪化)した」を0点として合計し、総数で割ります。

DI>50%:半数以上の指標が改善 → 景気は拡張局面
DI<50%:半数以上の指標が悪化 → 景気は後退局面

例えば一致系列(10系列)のDIが60%なら、「10指標のうち6指標以上が改善」を意味します。この場合は景気拡張と判断されます。

景気循環の4局面と指数の使い方

局面 一致CI 先行CI 状況の目安
回復(谷→)上昇先に上昇済み生産・雇用が回復し始める
拡張(→山)上昇傾向ピークに達する・下降し始める好景気。DI>50%の状態が続く
後退(山→)下降先に下降済み生産・雇用が減少し始める
収縮(→谷)下降傾向谷に達する・上昇し始める不況。DI<50%の状態が続く

過去問で確認する

景気動向指数 — 典型問題① 1次試験 経済学
景気動向指数に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア DIは景気の強さ(量的変化)を示す指標であり、現在は主要な景気判断に使われている。
  • イ 一致系列のDIが50%を超えているとき、景気は後退局面にある。
  • ウ 先行系列は景気に先行して動くため、今後の景気動向を予測する参考として使われる。
  • エ 完全失業率は景気が悪化すると低下するため、一致系列に組み入れられている。
正解:ウ
先行系列は景気より先に動くため、将来の景気予測の参考として使われます(ウが正解)。
ア:DI(Diffusion Index)は景気の「方向性」を示す指標。景気の「強さ・量的変化」を示すのはCI(Composite Index)です。現在はCIが主役。
イ:DI>50%は景気拡張局面(改善している指標が多数)。DI<50%が後退局面。
エ:完全失業率は景気が悪化すると上昇(逆方向)するため「逆サイクル」として遅行系列に入っています。
先行・一致・遅行系列の識別 — 典型問題② 1次試験 経済学
景気動向指数の構成指標とその分類の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
  • ア 東証株価指数(TOPIX)— 一致系列
  • イ 鉱工業生産指数 — 遅行系列
  • ウ 有効求人倍率(除学卒)— 一致系列
  • エ 消費者物価指数(生鮮食品除く)— 先行系列
正解:ウ
有効求人倍率(除学卒)は景気と同時に動くため一致系列です(ウが正解)。
ア:TOPIX(株価)は将来を先読みして動くため先行系列。
イ:鉱工業生産指数は景気と同時に動くため一致系列。
エ:消費者物価指数は景気変化に遅れて動くため遅行系列。

まとめ

  • 景気動向指数はDI(方向性)とCI(強さ・量的変化)の2種類。現在はCIが主役
  • 先行系列:景気に先行して動く。株価・新規求人数・新設住宅着工床面積など
  • 一致系列:景気と同時に動く。鉱工業生産指数・有効求人倍率など。景気基準日付の認定に使用
  • 遅行系列:景気に遅れて動く。完全失業率(逆サイクル)・消費者物価指数など
  • DI>50%→景気拡張局面、DI<50%→景気後退局面
Uのメモ
試験では「どの指標がどの系列か」という個別の識別問題が出ることがあります。完全失業率が「遅行系列・逆サイクル」である点、株価が「先行系列」である点は特に頻出です。天気予報の例え(先行=天気図、一致=今日の気温、遅行=翌日の影響)でイメージを持っておくと記憶に残りやすいです。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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