U選択肢に「株式交換」「株式移転」が並ぶと、どっちがどっちか混乱していました。整理してみると「会社が消えるかどうか」という一点が、すべての手法を区別するカギだと気づきました。今回はその視点から組織再編を整理してみます。
あなたが地域大手のスーパーA社の経営者だとします。近所の競合スーパーB社を「グループに取り込みたい」と考えました。選択肢は大きく2つあります。
「会社が消えるか・残るか」——このたった一点が、組織再編を使い分けるいちばんシンプルな基準です。試験に出る4つの手法も、この観点で整理すると一気に見通しがよくなります。
合併——会社が「吸収」されるか「消えて新会社が生まれる」か
合併には2種類あります。どちらも「ある会社の法人格が消滅する」点は共通です。違いは「既存の会社が吸収するか、新しい会社を作るか」だけです。
| 種別 | 消滅する会社 | 存続(または設立)する会社 | 実務での多さ |
|---|---|---|---|
| 吸収合併 | B社(消滅) | A社(存続) | 多い |
| 新設合併 | A社・B社(両方消滅) | C社(新設) | 少ない |
会社分割——「会社ごと」ではなく「事業の一部」を切り出す
合併は会社まるごとの統合ですが、会社分割は「事業の一部」だけを別会社に移せる仕組みです。たとえば「コンビニ事業だけを切り出して子会社にしたい」という場面で使います。
会社分割でも「吸収(既存会社に移す)か、新設(新会社を作って移す)か」という構造は合併と同じです。この対応関係に気づくと、4種類がすっきり整理できます。
| 種別 | 移転先 | A社(分割元)は? |
|---|---|---|
| 吸収分割 | 既存のB社 | 存続(事業の一部を失う) |
| 新設分割 | 新設C社 | 存続(C社の親会社になる) |



合併と会社分割、それぞれ「吸収型」と「新設型」がある——という対称性に気づいたとき、頭の中が整理されました。あとは株式交換・株式移転の区別が残るだけです。こちらは「完全子会社化」がキーワードです。
株式交換・株式移転——「完全子会社化」をスムーズに実現する
株式交換と株式移転は、どちらも会社を完全子会社(100%子会社)にする手法です。B社の株主から株式を強制的に取得できるため、少数株主問題を解消しつつグループ化できます。
| 手法 | 親会社 | B社(子会社)は? | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 株式交換 | 既存のA社 | 存続(完全子会社になる) | 既存グループへの取り込み |
| 株式移転 | 新設の持株会社 | 存続(完全子会社になる) | 持株会社体制の構築 |
4手法を俯瞰して比べる
4つの手法をまとめて比較すると、「会社が消えるか・残るか」と「対象が会社まるごとか・事業の一部か」という2軸で整理できます。
| 手法 | 対象 | 会社の消滅 | 典型的な使い場面 |
|---|---|---|---|
| 吸収合併 | 会社まるごと | 消滅会社あり | 競合他社の完全統合 |
| 新設合併 | 会社まるごと | 両社消滅 | 対等な経営統合 |
| 吸収分割 | 事業の一部 | なし | 事業ポートフォリオの組み換え |
| 新設分割 | 事業の一部 | なし | 子会社スピンオフ |
| 株式交換 | 会社まるごと | なし | 既存グループへの100%子会社化 |
| 株式移転 | 会社まるごと | なし | 持株会社体制の構築 |
過去問で確認する
- ア 吸収合併では、消滅会社の権利義務は個別に承継手続きを行う必要がある。
- イ 新設合併では、合併当事会社の少なくとも1社が存続する。
- ウ 株式交換では、完全子会社となる会社の法人格は消滅しない。
- エ 吸収分割では、分割会社は消滅し、承継会社が事業を引き継ぐ。
イ:誤り。新設合併ではすべての当事会社が消滅し、新設会社のみが存続します。
ウ:正しい。株式交換は「A社がB社の全株式を取得する」手続きであり、B社の法人格はそのまま残ります。
エ:誤り。吸収分割では分割会社(A社)は消滅しません。事業の一部だけが承継会社に移ります。
- ア 株式移転では、移転会社の株主は保有する株式を消滅させる。
- イ 株式移転では、移転会社の完全親会社となる新会社が設立される。
- ウ 株式移転は、既存の会社を完全親会社とする場合に用いる手法である。
- エ 株式移転では、移転会社は解散し清算手続きに入る。
ア:株主は株式を「移転(持株会社に渡す)」しますが、消滅させるわけではなく持株会社の株式を受け取ります。
ウ:既存の会社を親会社にするのは「株式交換」です。株式移転は新設の持株会社がキーです。
エ:移転会社(子会社)は存続します。解散・清算はしません。









