会社の組織再編 | 中小企業診断士1次試験 経営法務

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選択肢に「株式交換」「株式移転」が並ぶと、どっちがどっちか混乱していました。整理してみると「会社が消えるかどうか」という一点が、すべての手法を区別するカギだと気づきました。今回はその視点から組織再編を整理してみます。

スーパーAとスーパーBの話

あなたが地域大手のスーパーA社の経営者だとします。近所の競合スーパーB社を「グループに取り込みたい」と考えました。選択肢は大きく2つあります。

合併する(B社は消える)
B社の法人格が消滅
B社の権利・義務がすべてA社に移転
B社ブランドを残せない
株式交換する(B社は残る)
B社の法人格は存続
B社はA社の完全子会社になる
B社ブランドをそのまま活かせる

「会社が消えるか・残るか」——このたった一点が、組織再編を使い分けるいちばんシンプルな基準です。試験に出る4つの手法も、この観点で整理すると一気に見通しがよくなります。

目次

合併——会社が「吸収」されるか「消えて新会社が生まれる」か

合併には2種類あります。どちらも「ある会社の法人格が消滅する」点は共通です。違いは「既存の会社が吸収するか、新しい会社を作るか」だけです。

MERGER TYPE 01
吸収合併
A社がB社を吸収。B社は消滅し、A社がB社の権利・義務をすべて承継する。既存の会社(A社)が存続するため、手続きが比較的シンプル。
MERGER TYPE 02
新設合併
A社もB社も消滅し、新たにC社を設立する。両社が対等な立場で統合するイメージ。手続きが複雑で実務では少ない。
試験のポイント
吸収合併:存続会社が消滅会社の権利義務を包括承継
「包括承継」= 個々の資産・負債・契約を一括で引き継ぐ。個別の移転手続きが不要。
種別消滅する会社存続(または設立)する会社実務での多さ
吸収合併B社(消滅)A社(存続)多い
新設合併A社・B社(両方消滅)C社(新設)少ない

会社分割——「会社ごと」ではなく「事業の一部」を切り出す

合併は会社まるごとの統合ですが、会社分割は「事業の一部」だけを別会社に移せる仕組みです。たとえば「コンビニ事業だけを切り出して子会社にしたい」という場面で使います。

SPLIT TYPE 01
吸収分割
A社の事業の一部を切り出し、既存のB社に吸収させる。A社は事業を失うが消滅はしない。B社は新たな事業を取得する。
SPLIT TYPE 02
新設分割
A社の事業の一部を切り出し、新しくC社を設立してそこに移す。A社のスピンオフ(子会社化)のイメージ。

会社分割でも「吸収(既存会社に移す)か、新設(新会社を作って移す)か」という構造は合併と同じです。この対応関係に気づくと、4種類がすっきり整理できます。

種別移転先A社(分割元)は?
吸収分割既存のB社存続(事業の一部を失う)
新設分割新設C社存続(C社の親会社になる)
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合併と会社分割、それぞれ「吸収型」と「新設型」がある——という対称性に気づいたとき、頭の中が整理されました。あとは株式交換・株式移転の区別が残るだけです。こちらは「完全子会社化」がキーワードです。

株式交換・株式移転——「完全子会社化」をスムーズに実現する

株式交換と株式移転は、どちらも会社を完全子会社(100%子会社)にする手法です。B社の株主から株式を強制的に取得できるため、少数株主問題を解消しつつグループ化できます。

株式交換
B社を既存のA社の完全子会社にする
A社がB社の全株式を取得する対価として、B社株主にA社株式を交付
A社・B社どちらも消滅しない
株式移転
A社・B社の上位に新しいホールディング会社を設立する
A社・B社の株主が株式を新設持株会社に移転
A社・B社はホールディング会社の完全子会社になるが消滅しない
一行で区別するなら
株式交換 = 既存の親会社に吸収 / 株式移転 = 新しい親会社(持株会社)を作る
どちらも子会社は消滅しない点が、合併との最大の違いです。
手法親会社B社(子会社)は?特徴
株式交換既存のA社存続(完全子会社になる)既存グループへの取り込み
株式移転新設の持株会社存続(完全子会社になる)持株会社体制の構築

4手法を俯瞰して比べる

4つの手法をまとめて比較すると、「会社が消えるか・残るか」と「対象が会社まるごとか・事業の一部か」という2軸で整理できます。

手法対象会社の消滅典型的な使い場面
吸収合併会社まるごと消滅会社あり競合他社の完全統合
新設合併会社まるごと両社消滅対等な経営統合
吸収分割事業の一部なし事業ポートフォリオの組み換え
新設分割事業の一部なし子会社スピンオフ
株式交換会社まるごとなし既存グループへの100%子会社化
株式移転会社まるごとなし持株会社体制の構築

過去問で確認する

中小企業診断士1次試験 経営法務組織再編
会社の組織再編に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 吸収合併では、消滅会社の権利義務は個別に承継手続きを行う必要がある。
  • イ 新設合併では、合併当事会社の少なくとも1社が存続する。
  • ウ 株式交換では、完全子会社となる会社の法人格は消滅しない。
  • エ 吸収分割では、分割会社は消滅し、承継会社が事業を引き継ぐ。
解説
ア:誤り。合併は包括承継であり、個別の手続きなく権利義務が一括移転します。
イ:誤り。新設合併ではすべての当事会社が消滅し、新設会社のみが存続します。
ウ:正しい。株式交換は「A社がB社の全株式を取得する」手続きであり、B社の法人格はそのまま残ります。
エ:誤り。吸収分割では分割会社(A社)は消滅しません。事業の一部だけが承継会社に移ります。
中小企業診断士1次試験 経営法務株式移転
株式移転に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 株式移転では、移転会社の株主は保有する株式を消滅させる。
  • イ 株式移転では、移転会社の完全親会社となる新会社が設立される。
  • ウ 株式移転は、既存の会社を完全親会社とする場合に用いる手法である。
  • エ 株式移転では、移転会社は解散し清算手続きに入る。
解説
イが正しい。株式移転では新たに持株会社を設立し、そこが完全親会社になります。
ア:株主は株式を「移転(持株会社に渡す)」しますが、消滅させるわけではなく持株会社の株式を受け取ります。
ウ:既存の会社を親会社にするのは「株式交換」です。株式移転は新設の持株会社がキーです。
エ:移転会社(子会社)は存続します。解散・清算はしません。

Uのメモ——整理のコツ

  • 合併:会社が「消える」——吸収合併(消滅1社)と新設合併(消滅2社)
  • 会社分割:会社は「消えない」——事業の一部を吸収分割か新設分割で切り出す
  • 株式交換:既存の親会社が完全子会社化——子会社は消滅しない
  • 株式移転:新設持株会社が完全親会社になる——子会社は消滅しない
  • 包括承継(合併)= 個別手続き不要でまとめて引き継ぐ、が頻出キーワード

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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