U「なんとなく買った」と思っていても、振り返ると「問題を感じて→調べて→比べて→決めた」という流れがあったりします。診断士の勉強でこのプロセスを学んだとき、自分の買い物の動きがそのままモデルに当てはまっていて、妙に納得しました。
消費者行動論は「消費者がどのように購買を決定するか」を研究する分野です。コトラーの5段階購買意思決定プロセスを中心に、関与度・情報探索・購買後行動まで整理します。企業経営理論で毎年出題される頻出テーマです。
目次
購買意思決定の5段階プロセス
コトラーが提唱した購買意思決定プロセスは、消費者が購買に至るまでの心理的な流れを5段階で表したものです。すべての購買でこの段階を意識的に踏むわけではありませんが、特に関与度の高い製品では顕著に現れます。
01
問題認識(Problem Recognition)
現状と理想の状態のギャップを感じ、ニーズが発生する段階。マーケターはこの「問題に気づかせる」ことで購買プロセスを起動させます。
例:スマホの動作が遅くなってきた → 「新しいスマホが欲しい」という問題認識が生まれる
02
情報探索(Information Search)
問題を解決するための情報を集める段階。内部探索(記憶・経験)と外部探索(口コミ・広告・比較サイト)の2種類があります。
例:「スマホ おすすめ 2026」で検索し、口コミや比較サイトを調べる
03
代替品評価(Evaluation of Alternatives)
集めた情報をもとに、候補となる製品・ブランドを比較・評価する段階。消費者は自分なりの評価基準(価格・デザイン・機能など)で代替品を絞り込みます。
例:A社・B社・C社のスマホを価格・カメラ性能・バッテリーで比較する
04
購買決定(Purchase Decision)
最も好ましいと評価した代替品を購買する意図が形成される段階。ただし「購買意図」と「実際の購買行動」の間には、他者の態度や予期せぬ状況要因が介入します。
例:A社スマホに決めたが、店員に「在庫切れ」と言われてB社に変更するケースも
05
購買後行動(Post-Purchase Behavior)
購買後に満足・不満足を評価し、次の行動(リピート・口コミ・返品など)を決める段階。「期待と実績のギャップ」が満足度を決めます。
例:使ってみたら期待より良かった → 友人に口コミ・SNSで投稿する
試験のポイント:5段階の順序と各段階の名称・内容が問われます。特に「購買意図≠購買行動」という点(第4段階と第5段階の間に介入要因がある)と、購買後の認知的不協和(後悔・迷い)が頻出です。
関与度が高い購買・低い購買
消費者の「関与度(involvement)」によって、購買意思決定プロセスの深さが変わります。関与度とは、ある製品・購買に対してどれだけ関心・重要性を感じるかの度合いです。
高関与購買(精査型)
消費者が多くの時間・労力をかけて情報収集・比較を行う購買。5段階プロセスをフルに踏むことが多い。
- 住宅・マンションの購入
- 自動車の購入
- 高額家電(テレビ・冷蔵庫)
- 転職・進学などの意思決定
低関与購買(習慣型)
深く考えずに習慣や衝動で行う購買。情報探索・代替品評価をほぼスキップするルーティン購買が多い。
- コンビニでのドリンク購入
- 毎週の食料品の買い物
- 日用消耗品(シャンプー・洗剤)
- いつもの昼食の選択
情報探索の2種類と企業のマーケティング戦略
INTERNAL SEARCH
内部探索
消費者自身の記憶・経験・知識から情報を引き出す。過去の購買経験や、ブランドへの記憶が判断材料になる。
→ 企業はブランド認知・リピート購買を高めることで、内部探索の段階で選ばれやすくなる。
→ 企業はブランド認知・リピート購買を高めることで、内部探索の段階で選ばれやすくなる。
EXTERNAL SEARCH
外部探索
広告・口コミ・比較サイト・店員・家族の意見など、外部の情報源から情報を集める。高関与購買ほど外部探索の量が増える。
→ 企業はレビュー・SNS口コミ・比較コンテンツを整備することで外部探索時に選ばれやすくなる。
→ 企業はレビュー・SNS口コミ・比較コンテンツを整備することで外部探索時に選ばれやすくなる。
購買後の認知的不協和
認知的不協和とは
高関与購買の後に生じる「本当にこれで良かったか」という後悔・迷いの状態です。消費者は2つ以上の選択肢で迷った後に購買するため、「選ばなかった選択肢の良さ」が気になり始めます。
企業の対応策
購買後のアフターケア・お礼メール・満足度調査・使い方ガイドの提供などによって、消費者の不安を解消し満足度を高める。これがリピート購買・口コミにつながります。
認知的不協和の試験ポイント:「購買後に生じる矛盾した認知を解消しようとする心理状態」として定義されます。企業はアフターフォローによってこの不協和を低減し、顧客満足→ロイヤルティ向上を図ります。「購買後行動」の段階で一緒に整理しておくと覚えやすいです。
過去問で確認する
企業経営理論 — 消費者行動論
令和4年度 第32問
消費者の購買意思決定プロセスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 低関与購買の場合、消費者は購買前に多くの代替品を比較・評価する傾向がある。
- イ 情報探索には、消費者自身の記憶や経験に基づく内部探索と、広告や口コミなど外部の情報源に基づく外部探索がある。
- ウ 購買後の認知的不協和は、購買関与度が低い製品で特に生じやすい。
- エ 購買意図が形成されても、他者の態度や予期せぬ状況要因によって実際の購買行動が変わることがある。
解説
・ア:低関与購買は代替品評価をほぼスキップする → 誤り
・イ:内部探索・外部探索の説明として正しい → 正解候補
・ウ:認知的不協和は高関与購買で生じやすい → 誤り
・エ:購買意図と購買行動の間に介入要因(他者の態度・状況要因)が入ることがある → 正しい
本問ではエが最も適切です。「購買意図≠購買行動」という点は、コトラーモデルの重要ポイントとして繰り返し出題されます。なおイも正しい内容ですが、選択肢の表現上エがより「プロセス論」の核心を突いている問いとして出題されています。
・イ:内部探索・外部探索の説明として正しい → 正解候補
・ウ:認知的不協和は高関与購買で生じやすい → 誤り
・エ:購買意図と購買行動の間に介入要因(他者の態度・状況要因)が入ることがある → 正しい
本問ではエが最も適切です。「購買意図≠購買行動」という点は、コトラーモデルの重要ポイントとして繰り返し出題されます。なおイも正しい内容ですが、選択肢の表現上エがより「プロセス論」の核心を突いている問いとして出題されています。
企業経営理論 — 関与度・認知的不協和
平成29年度 第30問
認知的不協和に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 高関与製品の購買後に生じやすく、消費者は不協和を解消しようとする動機を持つ。
- イ 認知的不協和は購買前の情報探索段階で生じる現象であり、購買後には発生しない。
- ウ 認知的不協和が高まると、消費者はその製品をリピート購買する傾向が強まる。
- エ 低関与製品のほうが高関与製品より認知的不協和が生じやすい。
解説
認知的不協和は「購買後」に「高関与製品」で生じやすいのが基本定義です。
・ア:正しい。高関与製品の購買後に生じ、解消しようとする動機を持つ ✅
・イ:購買「後」の現象 → 「前に生じる」は誤り
・ウ:不協和が高まるとリピートではなく、返品・後悔・ネガティブ口コミにつながる
・エ:低関与ではなく高関与製品で生じやすい
正解はア。「購買後・高関与・解消動機あり」の3点セットで覚えると確実です。
・ア:正しい。高関与製品の購買後に生じ、解消しようとする動機を持つ ✅
・イ:購買「後」の現象 → 「前に生じる」は誤り
・ウ:不協和が高まるとリピートではなく、返品・後悔・ネガティブ口コミにつながる
・エ:低関与ではなく高関与製品で生じやすい
正解はア。「購買後・高関与・解消動機あり」の3点セットで覚えると確実です。



「購買意図が形成されても実際の行動が変わることがある」という点が、当初は少し難しく感じました。でも「買おうと思ってたのに店頭で別の商品が目についてそっちにした」という経験は誰にでもあるので、そう考えると腑に落ちます。試験の答えを覚えるだけでなく、自分の経験と結びつけると記憶に残りやすいです。
U のまとめメモ
- 購買意思決定5段階:①問題認識 → ②情報探索 → ③代替品評価 → ④購買決定 → ⑤購買後行動。
- 購買意図と購買行動の間に「他者の態度・状況要因」が介入することがある(試験頻出)。
- 関与度が高いほど5段階を丁寧に踏む。低関与購買は習慣・衝動で段階をスキップ。
- 情報探索:内部探索(記憶・経験)と外部探索(広告・口コミ・比較サイト)の2種類。
- 認知的不協和:購買後に生じる後悔・迷い。高関与製品で生じやすい。企業はアフターフォローで解消を図る。
- STPで「誰に届けるか」を決め、消費者行動論で「どう届けるか(どの段階に働きかけるか)」を考える流れで整理すると繋がりやすい。









