CVP分析(損益分岐点分析)とは?固定費・変動費・貢献利益をカフェの例で理解する

CVP分析 損益分岐点計算法のアイキャッチ画像
U

財務・会計を最初に見たとき、「アカウンティング」と「ファイナンス」の2つが混在していて、どこから手をつければいいのか途方に暮れました…。

でもCVP分析に入ったとき、「これはカフェを開いたら何杯売れば黒字になるか、という話だ」とわかった瞬間、一気に身近に。

目次

CVP分析とは

CVP分析とは、Cost(費用)・Volume(販売量)・Profit(利益)の3つの関係を分析する手法です。「最低いくら売れば損をしないか」「販売量が変わると利益はどう動くか」を数値で明らかにします。

診断士1次試験・財務会計では毎年出題される最頻出テーマのひとつで、2次試験の事例IVにも直結する重要項目です。計算の仕組み自体はシンプルですが、「固定費と変動費をどう分類するか」という理解が正確に問われます。

3つの基本用語を整理する

固定費(Fixed Cost)
販売量に関係なく一定の費用
売れても売れなくても必ず発生する費用。家賃・正社員の人件費・リース料などが代表例です。1個も売れなくても毎月かかります。
例:店舗家賃 100,000円 / 月
変動費(Variable Cost)
販売量に比例して増える費用
売れた分だけかかる費用。原材料費・仕入原価・販売手数料などが代表例です。1個も売れなければゼロになります。
例:材料費 300円 / 杯
貢献利益(Contribution Margin)
売上から変動費を引いた額
固定費の回収と利益の獲得に「貢献」する金額。1個売るたびに固定費がこの額だけ回収されていくイメージです。
貢献利益 = 売上高 − 変動費
U

最初「貢献利益」という言葉がピンとこなかったのですが、「1個売るごとに固定費をこの額だけ返済していく金額」と考えたら、急に整理できた気がしました…!

近くのカフェで考えてみると

少し具体的な場面で整理してみます。小さなカフェを開いて、コーヒーを1杯800円で販売するとします。

カフェの損益分岐点を計算する
販売価格(1杯)800円
変動費(豆・カップ・ミルク等)300円 / 杯
貢献利益(1杯あたり)500円 / 杯
貢献利益率62.5%
固定費(家賃・人件費等)150,000円 / 月
BREAK EVEN POINT
損益分岐点販売量
= 150,000 ÷ 500= 300 杯 / 月
損益分岐点売上高
= 150,000 ÷ 0.625= 240,000 円 / 月
月に300杯(売上24万円)売れば
ちょうど損も得もしない
CVP グラフ(カフェの例)
10万 20万 30万 40万 100 200 300 400 販売量(杯/月) 売上高 総費用 固定費 15万円/月 損益分岐点 300杯 / 24万円 損失ゾーン 利益ゾーン
U

グラフを見ると「売上高ラインが総費用ラインを上回った瞬間」から黒字になるのが視覚的にわかります。

損益分岐点より左が損失ゾーン、右が利益ゾーンです。

計算式を整理する

CVP分析 基本公式
貢献利益(1単位)= 販売価格 − 変動費(1単位)
貢献利益率= 貢献利益 ÷ 売上高 = 1 − 変動費率
損益分岐点販売量= 固定費 ÷ 貢献利益(1単位)
損益分岐点売上高= 固定費 ÷ 貢献利益率
目標利益達成の販売量=(固定費 + 目標利益)÷ 貢献利益(1単位)

「損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 貢献利益率」は特に重要です。貢献利益率が低いほど(変動費の割合が大きいほど)、同じ固定費を回収するのにより大きな売上が必要になります。

さらに2つの重要指標

試験では、損益分岐点の計算だけでなく「その企業はどのくらい安全か」を示す以下の2指標も頻出です。セットで理解しておくと安心です。

安全余裕率
安全余裕率
=(実際売上高 − 損益分岐点売上高)
 ÷ 実際売上高 × 100(%)
実際の売上高が損益分岐点をどれだけ上回っているかの割合です。値が高いほど余裕のある状態で、売上が多少落ちても赤字にならないことを意味します。
カフェ例:月400杯販売(売上32万円)の場合
=(320,000 − 240,000)÷ 320,000 × 100
25%(売上が25%落ちても黒字を維持)
損益分岐点比率
損益分岐点比率
= 損益分岐点売上高 ÷ 実際売上高 × 100(%)
= 1 − 安全余裕率
実際の売上に対して損益分岐点売上高が何%かを示します。値が低いほど収益力が高い状態で、企業の体力を示す指標としてよく使われます。
カフェ例(同じ条件)
= 240,000 ÷ 320,000 × 100
75%(安全余裕率25%の裏返し)
U

安全余裕率と損益分岐点比率は足すと必ず100%になります。

どちらか一方を計算できれば引き算でもう一方が出るので、問題文でどちらが問われているかをよく確認するようにしています。

過去問の出題パターン

実際の試験ではどのような形式で出題されるのでしょうか。典型的なパターンをひとつ整理してみます。

財務・会計 CVP分析 典型問題計算問題

ある小売店では、1個2,000円の商品を販売している。変動費率は45%、月間固定費は330,000円である。このとき、以下の各問いに答えよ。

(1)損益分岐点売上高を求めよ。
(2)現在の月間売上高が700,000円のとき、安全余裕率を求めよ。
(3)月間利益を110,000円にするためには、何個販売する必要があるか。

解答・解説
(1)損益分岐点売上高
貢献利益率 = 1 − 0.45 = 0.55(55%)
損益分岐点売上高 = 330,000 ÷ 0.55 = 600,000円

(2)安全余裕率
=(700,000 − 600,000)÷ 700,000 × 100 ≈ 14.3%

(3)目標利益達成の販売数量
貢献利益(1個)= 2,000 × 0.55 = 1,100円
販売数量 =(330,000 + 110,000)÷ 1,100 = 400個

(3)のポイントは「固定費に目標利益を加えた合計を貢献利益(1単位)で割る」こと。「固定費も目標利益も、最終的には貢献利益で回収・獲得する」というイメージを持っておくとミスが減ります。

2次試験(事例IV)との連動

CVP分析は2次試験の事例IVで毎年のように出題される最重要テーマです。1次試験では選択問題として出題されますが、2次試験では計算と記述の複合問題として出題されます。

事例IVでは「損益分岐点を下げるためにはどうすべきか」という提言を求める問題も出題されます。計算結果だけでなく、「固定費を削減する」「貢献利益率を上げる(変動費を下げる、または販売価格を引き上げる)」という方向性を文章で説明できるようにしておくと安心です。

まとめ

  • CVP分析は費用・販売量・利益の関係を分析し、「損しないための最低売上高」を明らかにする手法
  • 固定費は販売量に関係なく一定、変動費は販売量に比例して増減する
  • 貢献利益= 売上高 − 変動費。1個売るたびに固定費をこの額だけ回収していくイメージ
  • 損益分岐点売上高= 固定費 ÷ 貢献利益率(最重要公式)
  • 損益分岐点販売量= 固定費 ÷ 貢献利益(1単位)
  • 目標利益達成の販売量=(固定費 + 目標利益)÷ 貢献利益(1単位)
  • 安全余裕率は高いほど余裕あり。損益分岐点比率は低いほど収益力が高い状態
  • 2次試験(事例IV)では計算だけでなく、改善方向の提言も求められる
U

難しい単語が並びますが、バッチリ押さえておきたいところですね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

目次