U「ITシステムを導入する」という言葉は知っていても、実際の手順がどうなっているのか、試験を通じて初めて体系的に整理できました。工務店に家を建ててもらうときの流れと重ね合わせてみると、RFP・SLA・ROIそれぞれの意味がぐっと実感しやすくなりました。
中小企業診断士1次試験の経営情報システムでは、情報システムの調達・評価に関する手順と概念が問われます。RFP・SLA・ROI・TCOといった用語の意味と使われる場面を整理しておきましょう。
「工務店に家を建ててもらう流れ」を思い浮かべながら読むと、各ステップが自然に頭に入ります。
目次
情報システム調達の6ステップ
情報システムの調達は、「家を建てる」プロセスとほぼ同じ流れをたどります。施主(発注者)が要件を整理し、業者(ベンダー)を選定して契約・開発・評価へと進みます。
01
要件定義
「何を作るか」を明確にするフェーズ。業務課題・必要機能・非機能要件(性能・セキュリティ等)を整理する。
家の比喩:「LDK20畳・風呂は広め・予算3,000万円」と要望をまとめる段階。
家の比喩:「LDK20畳・風呂は広め・予算3,000万円」と要望をまとめる段階。
成果物:要件定義書
02
RFP(提案依頼書)の発行
複数のベンダーに対して「要件・予算・スケジュール・評価基準」を示し、提案を求める文書。
家の比喩:要望書を複数の工務店に渡して「見積もりと設計案を出してください」と依頼する段階。
家の比喩:要望書を複数の工務店に渡して「見積もりと設計案を出してください」と依頼する段階。
RFP = Request for Proposal
03
ベンダー評価・選定
各社の提案書・見積もりを評価し、最適なベンダーを選ぶ。評価項目は技術力・価格・実績・サポート体制など。
成果物:評価表・選定レポート
04
契約・SLA締結
選定したベンダーと契約。SLA(サービスレベル合意書)で「稼働率・障害対応時間・性能基準」等の品質保証レベルを明文化する。
家の比喩:「工期・品質基準・保証内容」を明記した工事請負契約を結ぶ段階。
家の比喩:「工期・品質基準・保証内容」を明記した工事請負契約を結ぶ段階。
SLA = Service Level Agreement
05
開発・テスト・導入
実際のシステム開発と受け入れテスト。ユーザー受け入れテスト(UAT)で要件通りか確認してから本番稼働させる。
成果物:テスト結果・受け入れ確認書
06
評価・効果測定(ROI)
導入後に投資対効果を測定。ROI・TCOを使って「投資は回収できたか・総コストはいくらか」を検証する。
ROI = Return on Investment
ROI・TCO・SLAの計算と定義
試験では「ROI・TCO・SLAの定義と計算式」がよく問われます。それぞれの意味と使い方を整理しておきましょう。
ROI(投資利益率)
ROI(%)=(利益 ÷ 投資額)× 100
例:システム導入に500万円投資し、年間200万円のコスト削減を実現した場合
ROI = (200万 ÷ 500万)× 100 = 40%
家の比喩:賃貸物件を購入して家賃収入を得る「表面利回り」と同じ発想。
ROI = (200万 ÷ 500万)× 100 = 40%
家の比喩:賃貸物件を購入して家賃収入を得る「表面利回り」と同じ発想。
TCO(総保有コスト)
TCO = 初期導入コスト + 運用・保守コスト(全期間合計)
ポイント:購入価格だけでなく、運用・保守・トレーニング・廃棄コストまで含めた「一生涯のコスト」を見る考え方。
家の比喩:家を買う際に「購入価格+固定資産税+修繕費+管理費」まで含めて考えるのと同じ。
家の比喩:家を買う際に「購入価格+固定資産税+修繕費+管理費」まで含めて考えるのと同じ。
| 指標 | 正式名称 | 概要 | 試験での問われ方 |
|---|---|---|---|
| RFP | 提案依頼書 | 発注者がベンダーに提案を求める文書 | 「RFPに含める項目はどれか」 |
| SLA | サービスレベル合意書 | 稼働率・障害対応時間などの品質保証レベルを明文化 | 「SLAに定める項目はどれか」 |
| ROI | 投資利益率 | 投資に対する利益の割合(%) | 「ROIを高める方法はどれか」 |
| TCO | 総保有コスト | 導入〜廃棄までの全コスト合計 | 「TCOに含まれないものはどれか」 |
| KPI | 重要業績評価指標 | 目標達成度を測る定量的指標 | 「ITシステムのKPI設定例はどれか」 |
SLAの主な項目と稼働率計算
SLAに定める代表的な項目を押さえておきましょう。試験では「SLAに含まれる内容」や「稼働率の計算」が問われます。
| SLA項目 | 内容・例 |
|---|---|
| 稼働率 | 年間99.9%以上(ダウンタイム年間約8.7時間以内)などの可用性基準 |
| 障害対応時間(RTO) | 障害発生から復旧までの目標時間。例:4時間以内に復旧 |
| 目標復旧時点(RPO) | どこまでのデータを復元できるか。例:直前24時間以内のデータを保証 |
| 応答時間・レスポンス | システムの処理速度。例:通常時3秒以内にレスポンス |
| サポート時間 | ヘルプデスク対応時間。例:平日9〜18時 |
| ペナルティ条項 | SLA未達成時のクレジット返還・違約金などの取り決め |
稼働率の計算
稼働率 = 稼働時間 ÷(稼働時間 + 停止時間)
例:1ヶ月(720時間)のうち、障害で3時間停止した場合
稼働率 = 717 ÷ 720 ≒ 99.58%
稼働率 = 717 ÷ 720 ≒ 99.58%
まとめ:試験前チェックリスト
- 調達の流れ:要件定義→RFP発行→ベンダー選定→SLA契約→開発・テスト→ROI評価
- RFP=発注者がベンダーへ要件・予算・評価基準を示して提案を求める文書
- SLA=稼働率・障害対応時間・応答速度など品質保証レベルを明文化した合意書
- ROI=(利益÷投資額)×100。TCO=初期導入+運用・保守の全期間コスト
- 稼働率=稼働時間÷(稼働時間+停止時間)。99.9%なら年間約8.7時間のダウンタイムが許容









