立地理論・商圏分析 — ライリー・コンバース・ハフモデルを図解で整理 | 中小企業診断士1次試験 運営管理

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「家から歩いて5分の小さなスーパーより、車で15分かかる大型ショッピングモールに行く」という行動、日常的によく見かけます。なぜ遠い方に人が集まるのか、それを数式で説明しようとしたのが立地理論です。試験ではハフモデルの計算が出ることもあるので、3つの法則の流れを整理してみます。

ライリー
小売引力の法則
2都市が引き付ける購買力の比を人口と距離で算出。
コンバース
修正モデル
ライリーを発展。2都市間の商圏境界点(分岐点)を計算で割り出す。
ハフ
確率モデル
売場面積と距離から来店確率を計算。最も実用的な現代モデル。
目次

ライリーの小売引力の法則 — 人口が大きいほど購買力を引き寄せる

1931年にライリーが提唱した法則で、2つの都市が中間地点の消費者を引き付ける購買力の比は、人口の比に比例し、距離の二乗に反比例するというものです。物体の間に働く引力を模した「重力モデル」の考え方が応用されています。

ライリーの小売引力の法則
B_a ÷ B_b = (P_a ÷ P_b) × (D_b ÷ D_a)²
B_a:A市が引き付ける購買力 B_b:B市が引き付ける購買力
P_a:A市の人口 P_b:B市の人口
D_a:中間地点からA市までの距離 D_b:中間地点からB市までの距離
具体例
A市(人口40万人)とB市(人口10万人)の中間点Cに住む消費者がいる。A市まで20km、B市まで10km。それぞれの都市が引き付ける購買力の比は?
B_a ÷ B_b = (40万 ÷ 10万) × (10 ÷ 20)² = 4 × 0.25 = 1
→ A市とB市が引き付ける購買力は1:1(距離のハンデを人口の大きさが相殺した)

コンバースの修正モデル — 商圏の「引き分け地点」を計算する

ライリーの法則は「中間点」を前提にしていましたが、実際には商圏境界はどこにあるのかを直接求めたい場面があります。コンバースはライリーを発展させ、2都市間のちょうど「引き分け地点」(商圏分岐点)までの距離を計算できる式を導きました。

コンバースの修正モデル(商圏分岐点)
D_a = D ÷ (1 + √(P_b ÷ P_a))
D_a:A市から商圏分岐点までの距離
D:A市とB市の距離
P_a:A市の人口 P_b:B市の人口(P_a > P_b と想定)
具体例
A市(人口100万人)とB市(人口25万人)が60km離れている。商圏分岐点はA市から何kmか?
D_a = 60 ÷ (1 + √(25万 ÷ 100万)) = 60 ÷ (1 + 0.5) = 60 ÷ 1.5 = 40km
→ A市から40km地点が分岐点。B市から見ると20km地点。大都市A市の商圏が広いことがわかる。

ハフモデル — 「どの店に行くか」を確率で表す

ライリー・コンバースは都市間の比較でしたが、ハフモデルは「特定の消費者が複数の店舗からどの店を選ぶか」を確率として計算します。売場面積(魅力度)が大きいほど、距離が近いほど来店確率が上がります。

ハフモデル(来店確率)
P_ij = (S_j ÷ D_ij²) ÷ Σ(S_k ÷ D_ik²)
P_ij:地点iから店舗jへの来店確率
S_j:店舗jの売場面積(魅力度の指標)
D_ij:地点iから店舗jまでの距離
Σ:対象となるすべての店舗について合計(k = 1, 2, …)
※距離の指数(λ)は通常2を使用
具体例
自宅から店舗Aまで2km(売場面積500m²)、店舗Bまで4km(売場面積2,000m²)。それぞれへの来店確率は?
店舗Aの引力 = 500 ÷ 2² = 500 ÷ 4 = 125
店舗Bの引力 = 2000 ÷ 4² = 2000 ÷ 16 = 125
→ P_A = 125 ÷ (125 + 125) = 50% P_B = 50%
店舗Bは4倍遠いが、売場面積が4倍あるので引力が等しくなる。「遠くても大きい店」が近い小さな店と互角になる理由がここにあります。
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ハフモデルの計算は、「分子だけ計算してから全体で割る」という手順を押さえておくと試験でも落ち着いて解けます。売場面積を距離の二乗で割った値を「引力」と呼ぶイメージで覚えています。

3モデルの比較

モデル提唱者・年何を求めるか使う変数特徴
小売引力の法則ライリー(1931)2都市が引き付ける購買力の比人口・距離中間地点の消費者を前提とした比較
修正モデルコンバース(1949)商圏分岐点(境界)までの距離人口・距離ライリーを発展。境界点を直接算出
確率モデルハフ(1963)特定店舗への来店確率売場面積・距離複数店舗・確率で表現。最も実用的

まとめ

  • ライリー:購買力の比 = (人口A÷人口B) × (距離B÷距離A)²。遠い都市ほど距離の二乗でペナルティ。
  • コンバース:商圏分岐点 = D ÷ (1 + √(小都市人口÷大都市人口))。大都市の商圏が広い。
  • ハフ:来店確率 = (売場面積÷距離²) ÷ 全店舗の合計。面積が大きい遠い店も互角になりうる。
  • 3モデルの進化:ライリー(都市間比較)→ コンバース(境界点算出)→ ハフ(確率・複数店舗対応)。
  • 試験対策:数値計算が出ることがある。各式の「何を求める式か」をまず整理してから代入する。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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