PERT・CPM(クリティカルパス)| 中小企業診断士1次試験 運営管理

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「クリティカルパス」という言葉は知っていても、なぜその経路が「クリティカル(重大)」なのかが、最初はピンときませんでした。引っ越しの準備で考えてみたら、急に身近に感じられました。今回はその話から整理します。

「急いでも間に合わない」工程がある

来月引っ越すことになったとします。やることは山積みです——引っ越し業者の予約、荷造り、役所への転居届、子どもの転校手続き、インターネット回線の移転申請……。

ここで気づくことがあります。荷造りはいつ始めてもいいけれど、役所の手続きは平日しかできない。インターネット回線の移転工事は工事日の予約が必要で、2〜3週間待ちになることもある。どれだけ他のことを急いでも、この2つを後回しにした瞬間、引っ越し全体が遅れます。

プロジェクト管理でも、まったく同じことが起きます。全体の完了日を決定しているのは、「一番時間のかかる作業の連なり」です。この連なりをクリティカルパスと呼び、それを分析する手法が PERT・CPMです。

目次

PERTとCPMの違い——まず全体像を押さえる

手法正式名称特徴もともとの用途
PERTProgram Evaluation and Review Technique作業時間にばらつきがある場合に対応。楽観値・最悲観値・最頻値から期待値を計算。米海軍のミサイル開発(1950年代)
CPMCritical Path Method作業時間が確定的な場合に使う。クリティカルパスを特定してコストと日程を最適化。建設・製造プロジェクト

診断士試験では「PERT図(アローダイアグラム)を使ってクリティカルパスを求める」問題が頻出です。両者の違いより、クリティカルパスの求め方を確実に習得することが優先です。

アローダイアグラムの読み方

PERTでは作業を「矢印(アロー)」で、作業の開始・終了を「丸(ノード・結合点)」で表します。

A(5日) C(8日) E(4日) B(3日) D(4日)

青い矢印がクリティカルパス(①→②→④→⑤)。灰色の経路(①→③→④)は余裕があります。

この図では2つの経路があります。

クリティカルパス
①→②→④→⑤
17
A(5) + C(8) + E(4) = 17日
この経路が全体の完了日を決定する
非クリティカルパス
①→③→④→⑤
11
B(3) + D(4) + E(4) = 11日
6日の余裕(フロート)がある
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「全経路の中で一番長い経路」がクリティカルパスというシンプルな定義なのですが、試験では「フロート(余裕時間)はいくらか」という問いが多いです。フロートは「クリティカルパスの長さ − その経路の長さ」で求められます。

フロート(余裕時間)の計算——どれだけ遅らせても大丈夫か

クリティカルパス上の作業のフロートはゼロです。1日でも遅れると全体が遅れます。一方、非クリティカルな経路の作業には「遅らせても全体に影響しない余裕」があります。

フロート(余裕時間)の定義
トータルフロート = クリティカルパスの所要時間 − その経路の所要時間

上の例で ①→③→④→⑤ のトータルフロート:
17日(CP)− 11日(この経路)= 6日
つまりB・D作業を合計6日まで遅らせても、全体の完了日に影響しない。
用語意味クリティカルパス上では
クリティカルパス最長経路。全体の完了日を決定する。このパスそのもの
トータルフロートプロジェクト全体の遅れに影響しない余裕時間= 0
フリーフロート後続作業に影響しない余裕時間(より限定的)= 0

クリティカルパスの求め方——手順を整理する

01
全ての経路を列挙する
スタートからゴールまでの経路をすべて書き出します。複雑な図では、上流から順に「最早結合点時刻(EST)」を計算していく方法が確実です。
02
各経路の所要時間を計算する
経路上のすべての作業時間を足し合わせます。分岐がある場合は複数の経路それぞれで計算します。
03
最長経路がクリティカルパス
所要時間が最も長い経路がクリティカルパスです。この値がプロジェクト全体の最短完了日数になります。
04
フロートを計算する
非クリティカルな各経路のフロート = クリティカルパスの長さ − その経路の長さ。クリティカルパス上の作業のフロートは必ずゼロ。

過去問で確認する

中小企業診断士1次試験 運営管理クリティカルパス
下記のアローダイアグラムにおいて、クリティカルパスの日数として最も適切なものはどれか。

作業A(①→②):4日 作業B(①→③):2日
作業C(②→④):6日 作業D(③→④):5日
作業E(④→⑤):3日

※①がスタート、⑤がゴール
  • ア 10日
  • イ 12日
  • ウ 13日
  • エ 14日
解説
経路①:①→②→④→⑤ = A(4) + C(6) + E(3) = 13日
経路②:①→③→④→⑤ = B(2) + D(5) + E(3) = 10日

最長経路は13日(①→②→④→⑤)。クリティカルパスはウの13日。
非クリティカルな経路②のフロート = 13 − 10 = 3日。
中小企業診断士1次試験 運営管理フロート
クリティカルパスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア クリティカルパスはアローダイアグラム内に必ず1本だけ存在する。
  • イ クリティカルパス上の作業を短縮しても、プロジェクト全体の完了日は変わらない。
  • ウ クリティカルパス上の作業のフロートはゼロである。
  • エ 非クリティカルな経路の作業が遅れても、プロジェクト完了日には影響しない。
解説
ウが正解。クリティカルパス上の作業はフロート=0であり、1日でも遅れると全体が遅れます。

ア:複数のクリティカルパスが同時に存在することがあります(最長経路が2本以上ある場合)。
イ:クリティカルパス上の作業を短縮すれば、プロジェクト全体の完了日を早められます。
エ:非クリティカルな作業でも、フロートを超えて遅れるとクリティカルパスが変わって全体に影響します。

まとめ——PERT・CPMの要点

用語定義・ポイント
クリティカルパススタートからゴールまでの最長経路。全体の完了日数を決定する。
フロート(余裕時間)クリティカルパスの長さ − その経路の長さ。クリティカルパス上はゼロ。
アローダイアグラム作業を矢印、結合点を丸で表したネットワーク図。PERTで使用。
PERT作業時間にばらつきがある場合の確率的手法。期待値=(楽観値+4×最頻値+悲観値)÷6。
CPM作業時間が確定的な場合の手法。コストと日程の最適化に使用。
  • クリティカルパス = 最長経路 = プロジェクト全体の最短完了日数
  • フロートは「クリティカルパス − その経路」で求める。クリティカルパス上はゼロ。
  • クリティカルパスは複数存在することもある(同じ長さの経路が2本ある場合)
  • PERT期待値の計算式:(楽観値 + 4×最頻値 + 悲観値)÷ 6

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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