U競争戦略を学んでから、ニュースを読むたびに「このコンビニの新業態、移動障壁を越えようとしているな」とか「この業界、サプライヤーが強くなりすぎている」と感じるようになりました。
フレームワークが「見る目」そのものを変えてくれる感覚があります。
ファイブフォース分析|5つの競争要因で業界構造を読む
ポーターは、企業の収益性を決めるのは業界内での競争だけではないと主張しました。業界の利益水準は、5つの競争要因(ファイブフォース)によって構造的に決まるという視点がこの分析の出発点です。5つの力が強いほど競争は激しくなり、利益は出にくくなります。



5つの力すべてが「どれだけ利益が取りにくい構造か」を示しているというのが見方のコツです。
「自社が置かれた業界はどの力が一番きついか」を起点に考えると、整理しやすくなります。
戦略グループ・移動障壁・撤退障壁
同一業界内でも、企業は似た戦略をとるグループ(戦略グループ)を形成します。グループ間の移動を阻む要因が移動障壁、業界そのものから撤退できなくする要因が撤退障壁です。これらが存在すると、特定グループや業界内で競争が長期化・激化しやすくなります。
ポーターの3つの基本戦略|どこで・どのように戦うかを決める
競争環境を分析したうえで、次に「自社がどのポジションで戦うか」を決めます。ポーターは、競争優位のタイプ(コスト優位 vs 差別化)とターゲットの幅(業界全体 vs 特定セグメント)の2軸から、3つの基本戦略を導きました。
| ターゲットの幅 | 競争優位のタイプ | ||
|---|---|---|---|
| コスト優位 | 差別化 | ||
| 業界全体 |
STRATEGY 01
コストリーダーシップ
業界全体を対象に、競合より低コストで提供する。規模の経済・経験曲線効果を最大活用。
例:トヨタの大量生産体制 / IKEA
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STRATEGY 02
差別化戦略
業界全体を対象に、他社が真似しにくい独自価値を提供。顧客が高価格を受け入れる状態を作る。
例:Apple(デザイン・エコシステム)/ スターバックス
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| 特定セグメント |
STRATEGY 03-A
コスト集中
特定のセグメントに絞り、そこでコスト優位を実現する。
例:地域限定の格安スーパー
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STRATEGY 03-B
差別化集中
特定セグメントのニーズに特化し、そこで際立つ独自価値を提供する。
例:高級時計ブランド / ニッチ向けSaaS
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診断士の試験では「この企業の戦略はどれか」を問う問題がよく出ます。
事例企業の特徴を読み取って「コスト優位か差別化か」「広いターゲットか絞っているか」の2軸で判断するのがコツです。
バリューチェーン|どこで価値を生んでいるかを分解する
競争優位がどの企業活動から生まれているかを可視化する枠組みがバリューチェーンです。活動を主活動(価値を直接生み出す流れ)と支援活動(主活動を支えるインフラ)に分け、どの部分でコスト優位または差別化が実現されているかを分析します。
ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)|市場集中度の測り方
業界の競争構造を定量的に把握するための補助指標がハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)です。各企業の市場シェアを二乗して合計した値で、独占度・集中度を数値化します。
- HHI = 10,000:完全独占(1社が100%のシェアを持つ)
- HHI が高いほど市場集中度が高く、少数企業が支配している
- HHI が低いほど多くの企業がひしめき合い、競争が激しい
HHI = 50² + 30² + 20² = 2,500 + 900 + 400 = 3,800
→ 中程度の集中。上位3社で市場の大半を占める寡占状態。
まとめ
- ファイブフォース分析:業界の収益水準は5つの競争要因(業界内競争・新規参入・代替品・売り手・買い手)の強さで構造的に決まる
- 5つの力が強いほど競争は激しく、利益は出にくくなる。分析の目的は「競争を回避できる構造を見つけること」
- 移動障壁:戦略グループ間の移動を阻む要因。撤退障壁:収益悪化でも撤退できなくする要因。どちらも競争の形を左右する
- 3つの基本戦略:コストリーダーシップ(業界全体×コスト)・差別化(業界全体×独自価値)・集中(特定セグメント)の3択。中途半端(スタック・イン・ザ・ミドル)が最も危険
- バリューチェーン:主活動(購買物流→製造→出荷物流→販売→サービス)と支援活動(インフラ・人事・技術・調達)に分解し、競争優位の源泉を特定する
- HHI:各企業のシェアの二乗和。高いほど独占度が高く、低いほど競争が激しい市場構造を示す



ポーターの理論は「どこで戦うか(業界・グループ選択)」と「どのように戦うか(3基本戦略)」がセットになっています。
バリューチェーンはその「どのように」を内側から分解するツールです。3つが一本の線でつながって見えると、試験でも実務でも使いやすくなります。









