U過去問を解いていて、EVM(アーンドバリュー・マネジメント)の計算問題で手が止まりました。PV・EV・ACという3つの数値が出てきた瞬間、「これは何を意味しているのか」がぼんやりしていて。図で整理し直したら、プロジェクト管理の全体像がすっきりとつながったのです。PMBOKからWBS・ガントチャートまで、一度まとめておきたいと思って整理しました。
プロジェクト管理は、中小企業診断士1次試験「経営情報システム」の中でも計算問題が出る数少ない分野のひとつです。PMBOK・WBS・ガントチャートといった概念の定義問題だけでなく、EVM(アーンドバリュー・マネジメント)ではSPI・CPIの数値計算も問われます。この記事では、プロジェクト管理の全体像を図解で整理し、計算例とあわせて確認していきます。
プロジェクト管理とは
プロジェクトには、次の3つの特性があります。
明確な開始と終了がある
毎回異なる成果物を生み出す
進行とともに計画を精緻化する
PMBOKについて
PMBOKとは「Project Management Body of Knowledge」の略で、プロジェクト管理に関する知識体系(フレームワーク)です。特定の手法や方法論ではなく、「何を知っておくべきか」をまとめた標準的なガイドラインにあたります。米国のPMI(Project Management Institute)が整備・発行しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | PMBOK Guide(PMBOKガイド) |
| 性格 | 知識体系・フレームワーク(特定の手法ではない) |
| 発行元 | PMI(Project Management Institute) |
| 構成 | 5つのプロセス群 × 10の知識エリア |
| 試験との関係 | 1次試験「経営情報システム」で基本概念が出題される |
PMBOKの5つのプロセス群
PMBOKでは、プロジェクトの活動を5つのプロセス群に分類しています。プロジェクトの流れに沿って順番に把握しておくと、全体像が見えやすくなります。
コントロール
監視・コントロールは立上げ以外のすべてのプロセスと並行して行われます。計画を立てたら終わりではなく、実行中も継続的に状況を把握し続けることがポイントです。
WBS(作業分解構造)
WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造)は、プロジェクトのスコープを管理可能な単位に分解するための手法です。ここで重要なのは、WBSが分解するのは「タスク」ではなく「成果物」である点です。



WBSとガントチャートの関係で最初に混乱したのですが、整理すると「WBS=何をつくるか(成果物の分解)」「ガントチャート=いつ作業するか(時系列の計画)」という順序になっています。WBSで成果物を洗い出してから、それを作る作業をスケジュールに落とし込むのですね。
スケジュール管理
スケジュール管理では、WBSで定義した成果物を実際にいつ・どの順番で作業するかを計画します。主要な手法として、ガントチャートとPERT/CPMが試験に頻出です。
進捗管理がしやすい一方で、タスク間の依存関係が見えにくいという欠点があります。
クリティカルパスとは
ネットワーク図上のすべての経路の中で、所要時間の合計が最大となる経路のこと。クリティカルパス上のタスクが1日でも遅延すると、プロジェクト全体の完了が遅れます。逆に言えば、クリティカルパス外のタスクには「余裕時間(フロート)」があります。
| 手法 | 特徴 | 得意なこと |
|---|---|---|
| ガントチャート | 棒グラフ形式・視覚的にわかりやすい | 進捗の見える化・報告資料 |
| PERT | ネットワーク図・確率的な所要時間推定 | 不確実性が高いプロジェクト |
| CPM | ネットワーク図・確定的な所要時間 | クリティカルパスの特定・短縮策の検討 |
PERT/CPMの詳しいネットワーク図の解き方は、「PERT・クリティカルパス法」の記事で計算例とあわせて整理しています。試験の計算問題対策にはあわせてご確認ください。
EVM(アーンドバリュー・マネジメント)
EVM(Earned Value Management:アーンドバリュー・マネジメント)は、スケジュールとコストを同時に監視するプロジェクト管理手法です。3つの基本指標を使って、現在の進捗と予算消化の状況を数値で把握できます。1次試験でも計算問題として出題されることがある重要テーマです。
SPI・CPIの計算式
計算例:Webサイト制作プロジェクトで確認する
リスク管理と品質管理
プロジェクト管理では、スケジュール・コスト管理に加えてリスク管理と品質管理も重要な知識エリアです。試験では特にリスク対応戦略の4分類が問われやすい内容です。
リスク対応の4戦略
品質管理との関係
| 概念 | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 品質計画 | 品質基準・測定方法・管理手法を定義する | 計画プロセス |
| 品質保証(QA) | プロセスが品質基準に従っているか監査する | 実行プロセス |
| 品質コントロール(QC) | 成果物が品質基準を満たしているか検査する | 監視・コントロール |
QC(品質コントロール)に関連するツールとして、特性要因図・管理図・ヒストグラム・パレート図などのQC7つ道具が挙げられます。これらはオペレーション管理(運営管理)の品質管理分野とも重なります。



リスク対応の4戦略は「回避・転嫁・軽減・受容」と4文字で覚えていますが、試験では各戦略の事例がどれに当たるかを問われることが多いのです。「外注に依頼した」は転嫁、「プロトタイプで早期検証した」は軽減、といった具合に事例と対応づけて整理しておくと、問題文を読んだときに迷いにくくなりました。
過去問で確認する
プロジェクト管理の出題は、概念の定義問題とEVMの計算問題の両方が確認されています。特にEVMの計算は手を動かして解いてみると定着しやすいです。
- ア 立上げプロセス群では、プロジェクトのWBSを作成する。
- イ 計画プロセス群は、プロジェクトマネジメントプロセス群の中でプロセス数が最も多い。
- ウ 実行プロセス群では、スコープのコントロールを行う。
- エ 終結プロセス群では、リスク対応策の立案を行う。
ア:WBSの作成は計画プロセス群。ウ:スコープのコントロールは監視・コントロールプロセス群。エ:リスク対応策の立案は計画プロセス群。
- ア WBSとは、プロジェクトのスケジュールを時系列で表すガントチャートの別名である。
- イ WBSは、プロジェクトで行うべき作業(タスク)を時間軸に沿って分解したものである。
- ウ WBSは、プロジェクトのスコープを成果物志向で階層的に分解したものである。
- エ WBSの最下位の要素をクリティカルパスと呼ぶ。
ア:ガントチャートは別のスケジュール管理ツール。イ:WBSは時間軸ではなく成果物の分解。エ:WBSの最下位要素は「ワークパッケージ」。クリティカルパスはPERT/CPMの概念。
- ア SPI=0.80、CPI=0.914
- イ SPI=0.80、CPI=0.914(正解は同じ値だが選択肢の意味の説明が問われる)
- ウ SPI=1.25、CPI=1.09
- エ SPI=0.80、CPI=1.09
CPI = EV ÷ AC = 640 ÷ 700 ≒ 0.914(1未満 → コスト超過気味)
SPI<1かつCPI<1という状態は、進捗が計画より遅れていて、かつコストも予算を上回っているという二重の問題を示しています。プロジェクトの立て直しが急務な状況です。
- PMBOKは「手法」ではなく「知識体系(フレームワーク)」
- WBSが分解するのは「タスク」でなく「成果物」
- EVM3指標:PV(計画)・EV(出来高)・AC(実際コスト)
- SPI = EV÷PV、CPI = EV÷AC(いずれも1以上が良好)
- リスク対応4戦略:回避・転嫁・軽減・受容









