今回は、運営管理の中でも過去問で比較的よく問われる一方、このセッションではまだ扱いが少ない「設備保全」から出題します。
次の文章のうち、TPMに関する説明として最も適切なものはどれか。
ア TPMは、設備の故障が発生した後に、できるだけ短時間で修理することを主目的とする保全方式である。
イ TPMは、保全部門だけが設備管理を担当し、生産部門は生産活動に専念することで設備効率を高める活動である。
ウ TPMは、設備の総合効率を高めるために、製造部門を含む全員参加で、故障、不良、段取りロスなどの損失を減らしていく活動である。
エ TPMは、設備投資額を最小化するために、老朽化した設備を可能な限り長期間使用し続ける管理手法である。
正解だと思う選択肢を、ア・イ・ウ・エの中から選んでください。
U全然わかりません
大丈夫です。
これは、まず言葉の意味から押さえるとかなり見えやすくなります。
TPMは、Total Productive Maintenance の略です。
日本語では、全員参加の生産保全と考えると理解しやすいです。
設備保全というと、つい「機械が壊れたら修理すること」と思いやすいのですが、TPMはそれだけではありません。
工場では、機械が止まると生産が止まります。
機械が動いていても、スピードが遅ければ生産量が落ちます。
さらに、機械の調子が悪くて不良品が出れば、作り直しや廃棄が発生します。
つまり、設備の問題は「故障」だけではなく、
機械が止まる
動きが遅い
不良品が出る
段取り替えに時間がかかる
ちょこちょこ停止する
立ち上がりが安定しない
といった形で、利益や生産性を削っていきます。
TPMは、こうした設備に関する損失を、現場の人も含めて全員で減らしていく活動です。
そのため、今回の正解は、
ウ TPMは、設備の総合効率を高めるために、製造部門を含む全員参加で、故障、不良、段取りロスなどの損失を減らしていく活動である。
です。
アは違います。
「故障が発生した後に修理する」という考え方は、事後保全です。壊れてから直す、という発想です。TPMは、壊れてから直すだけではなく、壊れにくくし、設備の力を十分に引き出す活動です。
イも違います。
「保全部門だけが設備管理を担当する」とありますが、TPMは全員参加が大きな特徴です。保全部門だけではなく、実際に機械を使う製造部門の人も、日常点検や清掃、異常の早期発見に関わります。
エも違います。
TPMは、古い設備を無理に使い続けるための方法ではありません。目的は、設備の総合効率を高めることです。必要な保全や改善を行い、故障や不良、停止時間を減らしていきます。
ここで一番大事なのは、TPMを「修理」ではなく「設備を止めず、ムダなく、良いものを作るための全員参加活動」と見ることです。
試験で迷ったときは、次のように判断してください。
TPMときたら、まず思い出す言葉は「全員参加」です。
次に「設備の総合効率」です。
そして「故障・不良・停止・段取りロスなどを減らす活動」です。
逆に、次のような表現が出たら注意です。
「壊れてから直す」なら事後保全です。
「保全部門だけ」ならTPMではありません。
「古い設備を長く使うことが目的」でもTPMではありません。
TPMは、工場の機械を単なる道具として見るのではなく、利益を生む大事な資産として、現場全体で育てていく考え方です。


TPMは、中小企業診断士一次試験の「運営管理」の論点です。
運営管理の中でも、主に「生産管理」の分野に入ります。
位置づけとしては、次のようになります。
中小企業診断士一次試験
運営管理
生産管理
設備管理・設備保全
TPM、予防保全、事後保全、保全予防、設備総合効率など
TPMは、工場や生産現場で使う設備をどう管理し、生産性を上げるかというテーマです。
試験では、次のような形で問われやすいです。
TPMは全員参加の活動である
保全部門だけでなく、製造部門も関わる
目的は設備の総合効率を高めること
故障、不良、停止、段取りロスなどを減らす
壊れてから直すだけの事後保全とは違う
かなりざっくり言うと、
財務・会計がお金の管理
企業経営理論が人・組織・戦略の管理
運営管理が現場の管理
です。
その中でTPMは、「工場の機械を止めず、品質よく、効率よく動かすための考え方」と押さえると理解しやすいです。


運営管理は範囲が広いので、まず「生産管理」と「店舗・販売管理」に分けると覚えやすくなります。試験では、現場の流れをどう整えるかを見る科目です。
運営管理は、大きく分けると「工場の管理」と「お店・流通の管理」です。中小企業診断士一次試験では、前半に生産管理、後半に店舗・販売管理が出やすい構成です。二次試験では、生産管理が事例Ⅲ、店舗・販売管理が事例Ⅱにつながります。
運営管理
工場とお店の「現場」を整える科目
生産管理
製造業・工場の論点
まずは、生産の基本です。
ここでは、どのような形でモノを作るかを学びます。
受注生産と見込生産
個別生産、ロット生産、連続生産
ライン生産、セル生産
多品種少量生産
少品種大量生産
QCD、PQCDSME
4M
5S
ECRS
ざっくり言うと、工場の作り方そのものを理解する分野です。
たとえば、注文を受けてから作るのか、売れると見込んで先に作るのか。ひとつずつ作るのか、まとめて作るのか。人を固定してラインで流すのか、少人数で柔軟に作るのか。こうした違いが問われます。
次に、生産計画と生産統制です。
これは、いつ、何を、どれだけ、どの順番で作るかを決める論点です。
生産計画
日程計画
大日程計画・中日程計画・小日程計画
進捗管理
余力管理
現品管理
手配管理
ラインバランシング
スケジューリング
PERT
ガントチャート
ここは、試験ではやや計算や図の読み取りが絡みます。現場が混乱しないように、仕事の順番と負荷を整える分野です。
次に、資材管理・在庫管理です。
材料や部品を、必要なときに、必要な量だけそろえるための論点です。
MRP
部品表
基準生産計画
発注方式
定量発注方式
定期発注方式
経済的発注量
安全在庫
ABC分析
在庫回転率
棚卸
JIT
かんばん方式
ここは頻出です。財務・会計のようなお金の計算ではなく、「モノを持ちすぎない、でも足りなくしない」という現場の調整として見ると理解しやすくなります。
次に、IE、作業管理です。
IEは Industrial Engineering の略で、作業を観察し、ムダを見つけ、改善するための考え方です。
工程分析
動作研究
時間研究
稼働分析
作業測定
標準時間
レイティング
余裕率
ワークサンプリング
連合作業分析
流れ線図
マンマシンチャート
ここは、最初は難しく感じやすいですが、要するに「人や機械の動きにムダがないか」を見る分野です。作業者が歩き回りすぎていないか、機械が止まっていないか、待ち時間が多くないかを分析します。
次に、品質管理です。
不良品を減らし、品質を安定させるための論点です。
QC七つ道具
新QC七つ道具
管理図
ヒストグラム
パレート図
特性要因図
散布図
チェックシート
層別
抜取検査
工程能力指数
標準化
QCサークル
TQM
ここも出題されやすいです。暗記に見えますが、「不良の原因を見つける道具」「ばらつきを見る道具」「改善案を整理する道具」と分けると覚えやすくなります。
次に、設備管理・保全です。
今回扱ったTPMもここに入ります。
設備保全
事後保全
予防保全
保全予防
改良保全
TPM
設備総合効率
故障ロス
段取りロス
チョコ停
設備のライフサイクル
ここでは、「壊れてから直す」のか、「壊れる前に防ぐ」のか、「そもそも壊れにくい設備にする」のかという違いが問われます。TPMは、設備の総合効率を高めるために、製造部門も含めて全員で取り組む活動です。
次に、生産情報システムです。
工場を情報で管理する分野です。
CAD
CAM
CAE
CIM
FA
FMS
NC工作機械
PLC
MES
POP
POSとの違い
IoT
RFID
ここは略語が多いので、丸暗記だけだと混乱します。設計、製造、管理、現場データ収集のどこに使う技術なのかで整理すると理解しやすくなります。
店舗・販売管理
小売業・流通業の論点
ここからは、お店や流通の管理です。
まずは、店舗施設・店舗設計です。
どのような店を作り、商品をどう見せ、顧客をどう動かすかを学びます。
店舗立地
商圏分析
動線計画
店舗レイアウト
ゾーニング
陳列
照明
色彩
什器
ファサード
バックヤード
売場効率
これは、スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどを思い浮かべると理解しやすい分野です。入口付近に何を置くか、通路をどう作るか、目立つ棚をどう使うか、といった話です。
次に、マーチャンダイジングです。
商品を仕入れ、価格を決め、販売し、売れ残りを管理する論点です。
商品計画
品ぞろえ
商品構成
仕入管理
販売計画
価格政策
値入率
粗利益率
交差比率
GMROI
相乗積
売価還元法
商品回転率
人時生産性
ここも頻出です。特に、粗利益率、値入率、商品回転率、交差比率、人時生産性などは計算問題として出やすいです。
次に、販売促進・売場管理です。
どうすれば顧客に商品を見つけてもらい、買ってもらえるかを考える論点です。
インストアプロモーション
POP広告
チラシ
クーポン
ポイントカード
陳列方法
関連購買
非計画購買
ID-POS分析
FSP
ここは企業経営理論のマーケティングともつながります。ただし、運営管理では「売場でどう実行するか」という現場寄りの視点で問われます。
次に、物流管理です。
商品を仕入先から店舗や顧客へ届ける仕組みを学びます。
物流センター
配送管理
共同配送
一括物流
クロスドッキング
ピッキング
流通加工
ユニットロード
パレチゼーション
3PL
SCM
静脈物流
コールドチェーン
物流は、近年の小売業やECとも関係が深い分野です。試験では、物流センターの役割、在庫削減、配送効率化などが問われます。
次に、販売流通情報システムです。
店舗や流通をデータで管理する分野です。
POS
JANコード
GTIN
バーコード
QRコード
RFID
EDI
EOS
VAN
ID-POS
CRM
FSP
需要予測
ここは略語が多いですが、「レジで売上を集める」「商品を識別する」「企業間で受発注データをやり取りする」「顧客別に購買を分析する」と役割で分けると整理しやすくなります。
次に、店舗・流通に関する法律です。
大規模小売店舗立地法
中心市街地活性化法
都市計画法
建築基準法
消防法
食品表示法
景品表示法
法律分野は経営法務にも見えますが、運営管理では店舗運営に関わる法律として出てきます。特に、大型店の出店、まちづくり、表示、売場の安全などが関係します。
運営管理で特に優先したい論点は、次のあたりです。
生産管理では、生産形態、ラインバランシング、MRP、経済的発注量、IE、標準時間、品質管理、設備保全、TPM。
店舗・販売管理では、マーチャンダイジング、粗利益率・値入率、交差比率、物流、POS、店舗レイアウト、陳列、店舗関連法規。
覚え方としては、運営管理を「工場」と「お店」に分けてください。
工場では、作る流れを整える。
お店では、売る流れを整える。
この視点で見ると、バラバラの用語がつながってきます。











