中小企業基本法とは
中小企業基本法は、中小企業に関する施策の基本方針を定める根拠法です。1963年に制定された後、経済環境の変化を受けて1999年に抜本的に改正されました。この改正によって基本理念が根本から変わっており、診断士試験では「改正の前後でどう変わったか」が頻出テーマとなっています。
→ 背景:高度経済成長期、大企業と中小企業の「二重構造」が社会問題化
→ 理念:格差是正・近代化・二重構造の解消
1999年:中小企業基本法 全面改正
→ 背景:バブル崩壊後、大企業のリストラが相次ぎ中小企業の重要性が再評価
→ 理念:「多様で活力ある独立した中小企業の成長発展」へ転換
2014年:小規模企業振興基本法 制定(中小企業基本法の姉妹法)
基本理念の転換|1963年 vs 1999年
1999年改正の最大のポイントは基本理念の転換です。ひと言で表すなら、「大企業との格差を埋める」考え方から「中小企業の個性・独立性を尊重する」考え方への大きな方向転換です。
4つの基本方針
基本理念を具体化するための方向性として、第5条に4つの基本方針が定められています。それぞれがどのような施策に対応するかまで押さえておくと、記述問題にも対応しやすくなります。
創業の促進
自己資本の充実
適応の円滑化
中小企業者の定義
中小企業基本法では、中小企業者を業種ごとに資本金または従業員数で定義しています。2つの基準は「OR条件」であり、どちらか一方を満たせば中小企業者に該当します。数字は試験頻出のため、正確に記憶しておく必要があります。
| 業種 | 資本金(または出資の総額) | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 その他(左記以外) |
3億円以下または | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下または | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下または | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下または | 50人以下 |
なお、大企業が実質的に支配している会社(大企業の子会社等)は、たとえ数字上の要件を満たしていても中小企業基本法の対象外となる場合があります。
小規模企業者の定義
中小企業基本法の中には、さらに規模の小さい「小規模企業者」の定義も置かれています。中小企業者の定義と混同しやすいため、それぞれを整理して覚えることが大切です。
小規模企業振興基本法との関係
2014年に制定された小規模企業振興基本法は、中小企業基本法とは独立した法律です。中小企業基本法が中小企業全般を対象とするのに対し、こちらは「小規模企業者」に特化した支援の根拠法として位置づけられています。
過去問で確認する
- ア.中小企業基本法(1963年制定)の基本理念は、中小企業の多様で活力ある成長発展であった。
- イ.1999年の改正により、基本理念が「格差の是正・近代化」から「多様で活力ある独立した中小企業者の自主的な努力を促進する」方向へ転換された。
- ウ.中小企業基本法においてサービス業の資本金基準は1億円以下とされている。
- エ.小規模企業振興基本法は、中小企業基本法の一部改正として2013年に制定された。
ア:「多様で活力ある成長発展」は1999年改正後の理念。旧法(1963年)の理念は「格差の是正・近代化」。
イ:正しい。1999年改正の核心は基本理念の転換にある。
ウ:サービス業の資本金基準は5,000万円以下(1億円は卸売業)。
エ:小規模企業振興基本法は2014年に独立した法律として制定された。中小企業基本法の一部改正ではない。
- ア.小売業は、資本金の額または出資の総額が5,000万円以下、または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人。
- イ.製造業は、資本金の額または出資の総額が1億円以下、または常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人。
- ウ.卸売業は、資本金の額または出資の総額が1億円以下、または常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人。
- エ.サービス業は、資本金の額または出資の総額が1億円以下、または常時使用する従業員の数が50人以下の会社および個人。
ア:小売業の従業員数基準は50人以下(100人以下はサービス業・卸売業)。
イ:製造業の資本金基準は3億円以下(1億円は卸売業)。
ウ:正しい。卸売業は資本金1億円以下または従業員100人以下。
エ:サービス業の資本金基準は5,000万円以下、従業員基準は100人以下(50人以下は小売業)。
- ア.製造業その他の業種では、常時使用する従業員の数が10人以下の事業者を小規模企業者とする。
- イ.商業・サービス業では、常時使用する従業員の数が10人以下の事業者を小規模企業者とする。
- ウ.小規模企業者の定義は、資本金と従業員数のいずれか一方を満たせばよいOR条件で定められている。
- エ.商業・サービス業では常時使用する従業員の数が5人以下、製造業その他では20人以下の事業者が小規模企業者に該当する。
ア:製造業その他の小規模企業者は20人以下(10人以下ではない)。
イ:商業・サービス業の小規模企業者は5人以下(10人以下ではない)。
ウ:小規模企業者の定義は従業員数のみで判断する。資本金基準は設けられていない。
エ:正しい。商業・サービス業5人以下、製造業その他20人以下が小規模企業者の基準。
まとめ
- 中小企業基本法は1963年制定・1999年全面改正。改正の最大の意義は基本理念の転換にある
- 旧法「格差是正・近代化・二重構造」→ 新法「多様で活力ある独立した中小企業者の自主的な努力の促進」
- 4つの基本方針:①経営革新・創業 ②経営基盤の強化 ③資金調達・資本充実 ④環境変化への適応(カッキシテキ)
- 定義の数字:製造業3億/300人・卸売1億/100人・サービス5000万/100人・小売5000万/50人(OR条件)
- 小規模企業者:製造業20人以下・商業サービス5人以下(資本金基準なし、従業員数のみ)
- 小規模企業振興基本法は2014年に独立した法律として制定。理念は「持続的発展」(基本法の「成長発展」と区別)

