物流管理まとめ|5大機能・3PL・物流コスト削減の考え方を図解で整理

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ネット通販で注文した翌日に荷物が届く。当たり前のように感じているけれど、あれは一体どうやって実現しているのか。倉庫・トラック・仕分け・梱包……関わる工程を分解して調べていくうちに、「物流の5大機能」という整理の仕方に行きつきました。診断士試験の運営管理でも問われるテーマなので、コストの構造まで含めてまとめてみます。

物流とは、生産者から消費者へ物を届けるまでの一連の活動です。輸配送・保管・荷役・包装・流通加工という5大機能が組み合わさって「翌日配送」が実現されます。近年は3PL(第三者物流)による業務委託が広がり、物流コストの削減と品質維持を同時に追求する取り組みが中小企業にも求められています。中小企業診断士試験の運営管理では、機能の定義・3PLの特徴・コスト構造と削減策が頻出です。
目次

物流とは|定義・商流との違い・コストの重要性

物流(ロジスティクス)は「物的流通」の略で、製品を生産地点から消費地点まで移動させるすべての活動を指します。しばしば混同される「商流」とは役割が異なります。

物流(ロジスティクス)
モノの流れ

製品・原材料が実際に移動する流れ。輸配送・保管・荷役・包装・流通加工の5機能で構成される。コスト管理と効率化が主な課題となる。

商流(取引の流れ)
所有権の流れ

製品の所有権・代金・情報が移転する流れ。契約・発注・請求・決済が含まれる。物流と商流は方向が逆向きになることもある(代金は消費者→生産者方向)。

物流コストの規模感

5〜8%
売上高に占める物流コスト比率
製造業・卸売業の平均値。業種によっては10%を超えるケースもある
約40%
物流コスト中の輸送費割合
輸配送費が最大の構成要素。ドライバー不足・燃料費高騰で上昇傾向
2024年
物流2024年問題
ドライバーの時間外労働規制強化により輸送能力が不足する問題が顕在化
試験のポイント:物流コストは「見えにくいコスト」として経営圧迫要因になりやすい。売上高の5〜8%という水準を覚えておくと、コスト削減施策の重要性を問う問題に対応しやすくなります。

物流の5大機能|輸配送・保管・荷役・包装・流通加工

物流は5つの機能に分解されます。それぞれが独立した専門性を持ちながら連携することで、製品が生産地点から消費地点まで確実に届けられます。

機能 01
輸配送
製品を生産地点から消費地点(倉庫・店舗・消費者宅)まで移動させる機能。トラック・鉄道・船舶・航空の4モードがある。物流コストの中で最大の構成要素。
具体例:宅配便による宅配、幹線輸送トラック、フェリーによる長距離輸送
機能 02
保管
製品を倉庫や配送センターで一時的に保管する機能。需要と供給のタイミングのズレを調整し、品切れや過剰供給を防ぐ。適切な温度・湿度管理も含まれる。
具体例:冷蔵倉庫での食品保管、DC(配送センター)での一時保管、自動倉庫
機能 03
荷役
倉庫・輸送手段への積み込み・積み降ろし・仕分け・ピッキングなど、物の取り扱いに関する作業全般。人手がかかりやすく、機械化・自動化が進む領域。
具体例:フォークリフトによるパレット積み降ろし、自動仕分けコンベア、ピッキングロボット
機能 04
包装
製品を保護し、輸送・保管に耐えられる状態にする機能。個装(個別製品の包装)・内装(複数個まとめ)・外装(輸送用ダンボール等)の3層で構成される。
具体例:緩衝材入りの個装、ダンボール箱への詰め合わせ、パレット積み付け
機能 05
流通加工
倉庫や配送センターで行う加工・組み立て・ラベル貼り・セット組みなどの付加価値活動。製造と小売の間で「現地の需要に合わせた形に仕上げる」役割を担う。
具体例:値札貼り・ギフトラッピング・セット組み・食品スライス・PCのBTO対応
5大機能の覚え方:輸・保・荷・包・流」(ゆ・ほ・に・ほう・りゅう)と頭文字でまとめると整理しやすいのです。試験では「荷役」の読み方(にやく)と具体例が問われることがあります。

3PL(サードパーティ・ロジスティクス)|1PL〜4PLとの違い・メリット

物流業務を誰が担うかによって、1PL〜4PLという段階的な分類があります。近年は物流の専門化・効率化を目的として、3PLの活用が広がっています。

1PL
自社物流(ファーストパーティ)
荷主企業が自社で物流設備(トラック・倉庫)を保有し、すべての物流業務を内製する形態。きめ細かな品質管理が可能な一方、固定費が高く柔軟性に欠けやすい。大企業や特殊品・高付加価値品の輸送に残存。
2PL
輸配送・保管業者への個別委託
輸配送は運送会社、保管は倉庫会社というように、機能ごとに別々の業者へ委託する形態。従来の「元請け」的な物流委託がこれに相当する。機能ごとに最適な業者を選べる反面、連携・調整コストが発生しやすい。
3PL
第三者による包括受託(サードパーティ)
荷主企業でも輸配送・保管の個別業者でもない第三者(専門物流事業者)が、物流業務全体を包括的に受託する形態。設計・最適化・実行までをワンストップで担う。荷主は物流の戦略立案に集中でき、コスト削減・サービス向上が期待できる。
4PL
物流全体のコーディネート(フォースパーティ)
複数の3PL事業者や物流リソースをまとめてマネジメントするコーディネーター的な役割。サプライチェーン全体の最適化を担う。ITシステムやコンサルティング機能が核になる。日本ではまだ普及段階。

3PLのメリットと注意点

観点 メリット 注意点
コスト 固定費の変動費化、規模の経済で単価低下 委託料の長期固定・追加費用の見落とし
専門性 物流ノウハウ・IT・人材を外部調達できる 社内に物流知識が蓄積されなくなるリスク
柔軟性 繁閑に応じた物流キャパシティの調整が可能 急な仕様変更への対応に時間がかかる場合も
コア集中 物流業務から解放され、本業に資源集中できる 情報セキュリティ・顧客情報の管理体制が必要
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1PL・2PL・3PLの違い、最初は混乱しました。「パーティ」は「当事者」という意味で、1PL=荷主自身(1当事者)、2PL=輸配送・保管の個別業者(2当事者的な委託)、3PL=荷主でも個別業者でもない第三者——と理解すると整理しやすかったのです。4PLはその3PLをまとめるコーディネーター、という位置づけで覚えています。

物流コストの構造と削減策|5区分とABC分析の活用

物流コストは5つの区分で構成されます。どのコストが大きいかを把握し、削減策を優先順位づけすることが重要です。ABC分析はこの優先順位づけにも活用できます。

物流コスト5区分の構成比率(目安)

物流コストの構成比率(製造業・卸売業の平均的な目安)
輸送費(幹線・配送含む)
約40%
最大の構成要素。燃料費・ドライバー人件費が主な変動要因
保管費(倉庫賃料・光熱費)
約20%
倉庫の立地と在庫量が直接影響する。適正在庫管理と連動
荷役費(積み降ろし・仕分け)
約18%
人件費が大半。自動化・機械化による削減余地が大きい領域
梱包費(資材・作業)
約12%
資材の規格統一・過剰梱包の削減で圧縮できる
管理費(システム・人件費)
約10%
WMS(倉庫管理システム)などのIT投資でかえって削減効果が出る

主な物流コスト削減策

コスト区分 主な削減策 効果のポイント
輸送費 積載率向上・共同配送・モーダルシフト 空車回送の削減が最も即効性が高い
保管費 適正在庫管理・倉庫統廃合・クロスドッキング 在庫回転率を上げると保管費と在庫リスクが同時に下がる
荷役費 パレット化・自動仕分け・ロボット導入 作業標準化と機械化が長期的なコスト構造を変える
梱包費 資材の規格統一・容積最適化・簡易包装化 規格統一はバルク購入による単価低下にもつながる
管理費 WMS導入・3PL活用・可視化システム データ活用で「見えないコスト」が顕在化し改善点が発見できる

ABC分析による物流コスト削減の優先順位づけ

在庫のABC分析と同様に、取引先・SKU(在庫管理単位)・配送先ルートにもABC分析を適用できます。Aクラス(物量・コスト貢献度が高い)の取引先や商品から重点的にコスト改善を図ることで、限られたリソースで最大の削減効果を得られます。

削減の鉄則:物流コスト削減は「輸送費の積載率向上」が最も効果が大きく、次いで「適正在庫による保管費削減」が続きます。一方、梱包費や管理費は比率が低いため、最初から細部に注力しすぎると全体最適を逃すことになります。

共同配送・モーダルシフト|物流効率化とCO2削減

個社での物流最適化に加え、業界全体・社会インフラ視点の効率化手法として「共同配送」と「モーダルシフト」が注目されています。どちらも物流コスト削減とCO2排出削減を同時に実現できる手法です。

共同配送
複数荷主で輸送を共有

複数の荷主企業が同一の配送車両・ルートを共有することで、積載率を高め輸送コストを分担する仕組み。1社単独では積載率が低くなるエリアや商品を共同化することで、全社コスト削減と環境負荷低減を同時に達成できる。

モーダルシフト
輸送手段の転換

トラック(道路)中心の輸送を、鉄道・船舶(内航海運)などへ切り替えること。トラックに比べてCO2排出量が大幅に少なく(鉄道は約1/8、船舶は約1/5)、ドライバー不足問題への対応にもなる。長距離・大量輸送ほど効果が出やすい。

モーダルシフト実施の検討ステップ

1
現状の輸送ルート・コストの可視化
現状のトラック輸送ルート・距離・積載率・コストをデータ化する。どの区間がモーダルシフトの対象になりうるかを把握する。
2
鉄道・船舶利用の可否判断
輸送量・頻度・リードタイム許容範囲・積み替え拠点の有無を確認する。鉄道や内航海運は定時性が高いが、ドア・ツー・ドアではないため積み替えコストが生じる。
3
トータルコスト・CO2排出量の比較
輸送費だけでなく積み替え費・リードタイム延長による在庫コスト増も含めたトータルコストで比較する。CO2排出量削減効果も数値化すると社内承認が得やすい。
4
パイロット導入と効果測定
一部ルートで試験的に導入し、コスト・リードタイム・品質の3点を検証する。データをもとに本格展開の可否を判断する。
試験のポイント:モーダルシフトは「トラックから鉄道・船舶への転換」が方向性です。CO2削減目的だけでなく、2024年問題(ドライバー不足)への対応策としても位置づけられている点を押さえておきましょう。
U

「共同配送」と「モーダルシフト」、どちらも「効率化」というくくりで混同しやすいのですが、整理してみると全然違うアプローチだと気づきました。共同配送は「誰と一緒に運ぶか」の話で、モーダルシフトは「どの手段で運ぶか」の話。このように軸を分けて覚えると試験でも引っかかりにくくなると思います。

過去問で確認する

運営管理 — 物流の5大機能 H28第22問 改
物流の機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 荷役とは製品を保護し輸送・保管に耐えられる状態にする機能であり、個装・内装・外装の3層で構成される
  • イ 保管とは倉庫や配送センターで行う加工・ラベル貼り・セット組みなどの付加価値活動を指す
  • ウ 流通加工は製造と小売の間で現地の需要に合わせた形に仕上げる機能であり、物流の5大機能のひとつに含まれる
  • エ 上記のうち、ウが正しく、ア・イは機能の説明が入れ替わっている
正解:エ(ウの記述が正しい) 解説
・ア:「製品を保護し輸送・保管に耐えられる状態にする」のは包装の説明。荷役は積み込み・積み降ろし・仕分けなどの取り扱い作業 → 誤り
・イ:「加工・ラベル貼り・セット組み」は流通加工の説明。保管は製品を倉庫で一時的に蓄えておく機能 → 誤り
・ウ:流通加工の定義として正しい記述。ギフトラッピング・値札貼り・食品スライスなども含まれる → 正解
物流5大機能(輸配送・保管・荷役・包装・流通加工)の定義の入れ替えは頻出パターン。各機能の具体例とセットで覚えることが大切です。
運営管理 — 3PLとモーダルシフト R3第24問 改
物流に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 3PLとは荷主企業自身が自社トラックと倉庫を保有して物流業務を完結させる形態である
  • イ モーダルシフトとは複数の荷主企業が同一の配送車両を共有して積載率を高める手法である
  • ウ 3PLは荷主でも輸配送・保管の個別業者でもない第三者が、物流業務を包括的に受託する形態である
  • エ モーダルシフトは主に都市内の短距離配送においてコスト削減効果が大きい
正解:ウ 解説
・ア:自社で物流設備を保有して内製する形態は1PL(自社物流)の説明 → 誤り
・イ:「複数の荷主が配送車両を共有して積載率を高める」のは共同配送の説明。モーダルシフトはトラックから鉄道・船舶への輸送手段の転換を指す → 誤り
・ウ:3PLの定義として正しい。サードパーティ(第三者)が包括的に物流業務を受託し、荷主はコア業務に集中できる → 正解
・エ:モーダルシフトは長距離・大量輸送ほど効果が出やすい。短距離ではトラックに対して鉄道・船舶の優位性が出にくい → 誤り
U のまとめメモ
  • 物流の5大機能は「輸配送・保管・荷役・包装・流通加工」。荷役=積み降ろし・仕分け(フォークリフト等)、包装=製品保護(個装・内装・外装)、流通加工=付加価値作業(値札・セット組み)の区別が頻出。
  • 物流コストは売上高の5〜8%が目安。構成比は輸送費(約40%)が最大で、保管費・荷役費・梱包費・管理費が続く。
  • 1PL=自社物流、2PL=機能別個別委託、3PL=第三者による包括受託、4PL=複数3PLをコーディネート。試験では3PL=「包括受託」という定義が核心。
  • 共同配送=複数荷主で車両を共有(積載率向上)。モーダルシフト=トラックから鉄道・船舶への転換(CO2削減・ドライバー不足対応)。二つの違いを混同しないことが大切。
  • 引っかけパターン:「1PLを3PLと混同する」「モーダルシフトと共同配送を入れ替える」「モーダルシフトが短距離に有効(×、長距離が正しい)」が頻出。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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