U財務3表を勉強していて「貸借対照表の純資産の部が、なぜ前期から変わっているのか」がわからなくなったことがありました。損益計算書には当期純利益が出ているのに、純資産の動きの全体像がどこにも書いていない——そのとき必要なのが株主資本等変動計算書だと気づきました。「BSの残高が変わった理由を1行ずつ説明する書類」と理解してから、ようやく財務3表のつながりが見えてきました。
この記事では、株主資本等変動計算書の役割・構造・財務3表との接続・試験頻出ポイントを整理します。
BSだけでは見えない「なぜ変わったか」
家族の銀行通帳を想像してください。月末の残高が100万円から120万円に増えていたとします。残高だけを見ていると「20万円増えた」という事実しかわかりません。でも実際は「給料が30万円入り、家賃を10万円払った」という内訳があるはずです。
株式会社の貸借対照表も同じです。純資産の残高は期末の「今いくらあるか」しか見せてくれません。「なぜ変わったか」を説明するのが株主資本等変動計算書の役割です。
財務3表の中でのつながり
当期純利益
純資産の変動を整理
期末純資産残高
P/Lで計算された当期純利益は、SCEを経由してB/Sの利益剰余金に積み上がります。さらに、P/Lには出てこない「配当・新株発行・自己株式取得」などの変動もSCEで一覧化されます。
表の構造:縦が変動原因・横が純資産の区分
株主資本等変動計算書は、縦軸に変動の原因、横軸に純資産の各構成要素を並べた表形式です。
| 変動事由 | 株主資本 | 評価・換算差額等 | 純資産合計 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 資本金 | 資本剰余金 | 利益剰余金 | |||
| 期首残高 | 500 | 200 | 300 | 10 | 1,010 |
| 当期純利益 | — | — | +80 | — | +80 |
| 剰余金の配当 | — | — | −30 | — | −30 |
| 新株の発行 | +100 | +100 | — | — | +200 |
| 自己株式の取得 | — | −20 | — | — | −20 |
| 期末残高 | 600 | 280 | 350 | 10 | 1,240 |
※数値は説明用の例示です。
主な変動事由とその方向
- 当期純利益 → 利益剰余金を増加(純資産プラス)
- 剰余金の配当 → 利益剰余金を減少(純資産マイナス)
- 新株の発行 → 資本金・資本剰余金を増加(純資産プラス)
- 自己株式の取得 → 純資産合計を減少(株主への払戻しと同じ性質)
- その他包括利益 → 評価・換算差額等を変動(P/Lを通さず純資産へ直接計上)



「その他包括利益」という項目が出てきたとき、少し戸惑いました。損益計算書を通らずに直接純資産が変動する——ヘッジ会計の繰延ヘッジ損益や有価証券の評価差額がここに入るのだと理解してから、各財務諸表のつながりがよりクリアに見えてきました。
試験対策:頻出キーワード早見表
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 株主資本等変動計算書(SCE) | 純資産の部の変動を、変動原因ごとに示した財務諸表。会社法上の計算書類の1つ |
| 利益剰余金 | 過去の当期純利益の累積から配当等を差し引いた残額。SCEで最も変動が多い項目 |
| 剰余金の配当 | 株主への現金分配。利益剰余金を減少させる変動事由 |
| 自己株式 | 会社が自社の株式を取得したもの。純資産合計のマイナス項目として表示 |
| その他包括利益 | P/Lを通さず純資産に直接加減される損益。評価・換算差額等の変動原因 |
| 評価・換算差額等 | 有価証券評価差額金・繰延ヘッジ損益・為替換算調整勘定など。OCI計上項目の累積 |
| 包括利益計算書 | 当期純利益にその他包括利益を加えて包括利益を表示。SCEと連動 |
- SCEの役割:BSの純資産が「なぜ変わったか」を示す
- 縦=変動原因、横=純資産の区分(資本金・剰余金・評価差額等)
- P/L当期純利益 → SCE利益剰余金増加 → B/S純資産増加 の流れ
- P/Lを通らない変動(OCI)もSCEで捕捉される









