SLP(システマティック・レイアウト・プランニング)——工場レイアウト設計の手法 | 中小企業診断士1次試験 運営管理
「SLPって何の略?」「4つのレイアウトが全部似て見える……」と過去問で詰まった経験があります。SLPは工場のレイアウトを科学的に設計する手法で、「どこに何を置くか」を系統的に決める流れが特徴です。手順と4レイアウトの対応関係を整理してみました。
SLP(Systematic Layout Planning=システマティック・レイアウト・プランニング)は、アメリカのリチャード・マザーズが1961年に体系化した工場レイアウト設計の手法です。「なんとなく機械を並べる」のではなく、物の流れ・アクティビティ間の関連度・面積要件を系統的に分析して最適なレイアウトを導き出します。
目次
SLPの分析ステップ——7段階の手順を順番に追う
SLPには定められた分析手順があります。この手順を知らずに「レイアウトを決めた」では、試験では得点できません。P-Q分析から始まり、レイアウト案の評価までの流れを確認しましょう。
P-Q分析(品種-数量分析)
生産する品種(Product)と数量(Quantity)の関係を分析する。少品種多量か多品種少量かを把握し、最適なレイアウト型を絞り込む入口になる。
物の流れ分析(フロムツーチャート)
各工程間の物の移動量・頻度を分析する。フロムツーチャート(どこからどこへどれだけ移動するかを示す行列表)を作成し、工程間の近接度の目安にする。
アクティビティ相互関係分析(関連線図)
物の流れだけでなく、騒音・臭気・安全性・情報のやり取りなど、非物的な理由による部門間の近接度を分析する。A(Absolutely necessary)〜U(Unimportant)のランクで表す。
アクティビティ相互関係ダイヤグラム
STEP2・3の結果をもとに、各アクティビティ(部門・設備)の物理的な近接関係を視覚化したダイヤグラムを作成する。まだ面積は考慮しない。
面積要求事項の検討
各アクティビティが必要とする面積を算出する。機械のサイズ・作業スペース・通路幅・在庫スペース等を考慮して必要面積を決定する。
制約条件の検討
建屋の形状・柱位置・天井高・法規制・予算など、レイアウトに影響する制約条件を整理する。
レイアウト案の作成と評価・選択
複数のレイアウト代替案を作成し、評価基準(コスト・柔軟性・安全性等)に基づいて比較・選択する。
試験頻出:SLPの手順は「P-Q分析→物の流れ分析→アクティビティ相互関係分析→ダイヤグラム→面積→制約→評価」という流れで出題されます。ステップの順序を入れ替えた選択肢に惑わされないよう注意が必要です。
4つの基本レイアウト——P-Q分析の結果がレイアウト型を決める
P-Q分析の結果(少品種多量か多品種少量か)によって、適切なレイアウト型が変わります。4つの基本レイアウトのそれぞれの特徴と適用条件を押さえることが試験の核心です。
レイアウト 01
製品別レイアウト(ライン型)
製品の製造工程順に機械・設備を一列に並べる。流れ作業(コンベア方式)に代表される。
適用条件:少品種多量生産
長所:運搬距離短縮・生産効率高い・作業管理容易
短所:品種変更に対応しにくい・機械故障で全ライン停止リスク
少品種多量生産向け
レイアウト 02
工程別レイアウト(機能別レイアウト)
同じ機能(旋盤・フライス・溶接等)の機械をグループにまとめて配置する。
適用条件:多品種少量生産
長所:設備汎用性高い・多様な品種に対応しやすい
短所:運搬距離が長くなりやすい・仕掛品(在庫)が増える
多品種少量生産向け
レイアウト 03
固定位置型レイアウト
製品(対象物)が固定され、作業者・機械・材料が製品のもとへ移動して作業する。
適用条件:超大型・移動困難な製品(船舶・航空機・大型建設機械)
長所:大型製品・一品物に対応
短所:設備の移動コストが高い・生産効率は低い
一品物・超大型製品向け
レイアウト 04
セル型レイアウト(GT型)
類似した製品群をグループ(セル)にまとめ、セル内に複数工程の機械を配置。1人または少人数が多工程を担当(多能工)。
適用条件:中品種中量生産(多品種少量でも有効)
長所:製品別と工程別の長所を融合・仕掛品削減・リードタイム短縮
中品種中量・多品種少量向け
| レイアウト型 |
適した生産形態 |
運搬距離 |
設備汎用性 |
品種変化への対応 |
| 製品別(ライン型) |
少品種多量 |
短い |
低い(専用機) |
困難 |
| 工程別(機能別) |
多品種少量 |
長くなりやすい |
高い(汎用機) |
容易 |
| 固定位置型 |
一品物・超大型 |
作業者が移動 |
高い |
一品物なので該当なし |
| セル型(GT型) |
中品種中量・多品種少量 |
セル内は短い |
中程度 |
比較的容易 |
フロムツーチャートと物の流れ分析——数量の視覚化ツール
SLPのSTEP2で使うフロムツーチャート(From-To Chart)は、工程間の物の移動量を行列形式で表したツールです。「どの工程からどの工程へ、何単位(何回)移動するか」を一覧化します。
フロムツーチャートのイメージ
縦軸を「出発工程(From)」、横軸を「到着工程(To)」として、各セルに移動量を記入します。移動量が多い工程間は近くに配置すべきという判断ができます。
例:工程AからBへの移動量が多く、AからCへの移動量が少なければ、AとBを隣接させるレイアウトが物の流れの面で効率的です。
「物の流れ」と「アクティビティ関連」を両方分析する理由
工程間の関係は「物の移動量」だけでは決まりません。たとえば研磨工程と塗装工程は物の流れ上は近い方がよくても、粉塵と引火性塗料が共存するのは危険です。だから安全性・騒音・臭気などの非物的な要因もアクティビティ相互関係分析として別途行います。両方の分析結果を統合してダイヤグラムを作成するのがSLPの特徴です。
過去問で問われる頻出ポイント整理
SLPを体系化したのは誰ですか?
アメリカのリチャード・マザーズ(Richard Muther)です。1961年に体系化しました。試験では人名より手法の内容が問われますが、選択肢に「マザーズが体系化した」という記述が出た場合は正しい記述です。
製品別レイアウトと工程別レイアウトの使い分けは?
P-Q分析の結果で決まります。少品種多量生産→製品別レイアウト、多品種少量生産→工程別レイアウトが基本です。製品別は効率は高いが品種変更に弱く、工程別は汎用性が高いが運搬距離が長くなる傾向があります。
セル型レイアウトはどのような生産形態に適していますか?
中品種中量生産または多品種少量生産に適しています。セル内に異なる工程の機械をまとめ、多能工が担当することで、製品別レイアウトの効率性と工程別レイアウトの柔軟性を両立させます。GT(グループ・テクノロジー)を活用した形態とも言われます。
アクティビティ相互関係分析のランクA〜Uとは何ですか?
部門・設備間の近接度の重要性を示すランクです。A(Absolutely necessary=絶対に近接が必要)、E(Especially important)、I(Important)、O(Ordinary)、U(Unimportant)の5段階が基本で、X(Undesirable=近接させてはいけない)を加えた6段階とする場合もあります。物の流れ分析が量的・定量的な分析であるのに対し、これは質的・定性的な分析です。
SLP:マザーズが体系化した工場レイアウト設計手法(1961年)
手順:P-Q分析→物の流れ分析→アクティビティ相互関係分析→ダイヤグラム→面積→制約→評価
製品別レイアウト(少品種多量):効率最大・ライン型・品種変更に弱い
工程別レイアウト(多品種少量):汎用性高い・運搬距離長め・仕掛品増加
固定位置型(一品物・超大型):製品が固定、作業者・機械が移動する
セル型(中品種中量・多品種少量):多能工・製品別と工程別の長所を融合
Uのメモ——P-Q表をイメージしてからレイアウトを選ぶ
SLPの問題は「手順を覚えているか」と「4レイアウトの特徴と適用条件を対応させられるか」の2点が問われています。P-Qグラフをイメージすると判断が速くなります。
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P-Qグラフのイメージ:横軸=品種数、縦軸=数量。グラフの形で「少品種多量」「多品種少量」「中品種中量」を視覚的に把握してからレイアウト型を選ぶ
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フロムツーチャートの役割:「移動量が多い工程間を近くに置く」という判断ツール。作成できなくても「読み方と活用法」は理解しておく
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固定位置型の暗記:「船・飛行機・大型建設機械」——製品が動けないから作業者が動く、という逆転の発想で覚える
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セル型の強み:「製品別の効率+工程別の柔軟性」。多能工化と組み合わせて出題されることが多い
SLPは「P-Q分析から始まる7段階の手順」と「4つの基本レイアウトとその適用条件」の2点が試験の核心です。少品種多量なら製品別、多品種少量なら工程別、一品物・超大型なら固定位置型、中品種中量・多品種少量でセル型——この対応関係をP-Q分析の文脈で覚えることで、選択肢の正誤判断がスムーズになります。
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この記事を書いた人
中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。