事例IIは毎年「業種は違うけど問われていることは同じ」という構造になっていると気づいてから、過去問の使い方が変わりました。新しい事例を読んでも「またこのパターンだ」と反応できるようになったのは、傾向を整理してから意識的に解き直したおかげです。一緒に構造を見ていきましょう。
目次
事例IIの出題構造
事例IIは「中小企業のマーケティング・流通」を扱う事例です。与件文の業種は毎年異なりますが、設問の骨格はほぼ同じ。まず数字の全体像を押さえておくことで、本試験での見通しがぐっと安定します。
標準的な設問数
4 問
第1問〜第4問。設問ごとに配点が異なり、第1問は与件要約・SWOT的問いになりやすい
総配点
100 点
各設問20〜30点が目安。部分点を積み上げる戦略が有効。60点以上を目指す
設問あたり文字数目安
80〜140字
解答欄は80〜140字程度が多い。短すぎず、要点を詰め込みすぎず、論理の流れを保つことが重要
与件文の長さ(目安)
1,800〜2,200字
事例IIは事例IIIと比べて業種説明が丁寧。ターゲット・強み・競合の描写を丁寧に読み込む必要がある
令和以降の頻出テーマ
令和元年(2019年)から令和6年(2024年)までの6年分の出題を振り返ると、特定のマーケティングテーマが繰り返し問われていることがわかります。出題回数の多いテーマから優先的に押さえていきましょう。
グラフの読み方
令和元〜6年(2019〜2024年)の6年分の出題テーマを集計した目安です。毎年必ず問われるSTP・差別化は最優先。CRM・SNS・プロモーションは年によって設問の形が変わりますが、使う知識の骨格は共通しています。
舞台になる業種と設問パターンの傾向
事例IIでは毎年異なる業種の企業が登場しますが、大きく「飲食・小売・観光・サービス」の4カテゴリに分類できます。業種ごとに問われやすい設問パターンと使いやすいキーワードが異なるため、業種を見た瞬間に「このパターンだ」と対応できるようにしておくと、解答の構成がスムーズになります。
| 業種カテゴリ |
代表的な業種例 |
問われやすい設問テーマ |
頻出キーワード |
| 飲食系 |
食堂・カフェ・居酒屋・弁当屋・菓子製造販売 |
客単価向上・テイクアウト強化・リピーター獲得・地元食材活用の訴求 |
地産地消・健康訴求・テイクアウト・季節メニュー・体験型食事 |
| 小売系 |
食料品店・雑貨店・衣料品店・書籍店・農産物直売所 |
商品ミックスの見直し・新規ターゲット開拓・EC・デジタル化の活用 |
品揃えの差別化・地域限定商品・EC展開・ポイントカード・定期購入 |
| 観光系 |
宿泊業・体験施設・観光農園・温泉・地域物産館 |
インバウンド対応・非日常体験の設計・リピーター施策・認知拡大 |
体験価値・希少性・口コミ・SNS発信・地域ネットワーク活用 |
| サービス系 |
学習塾・整体院・美容院・クリーニング・フィットネス |
顧客の継続率向上・新規獲得チャネルの拡大・サービスメニューの再設計 |
顧客との関係性・信頼・個別対応・紹介制度・メニュー拡充 |
業種から設問への対応のコツ
業種が変わっても「誰に・何を・どう届けるか」の骨格は変わりません。たとえば飲食なら「地元シニア客のリピーター化」、観光なら「インバウンドへの体験訴求」というように、業種に合ったターゲット像とニーズを即座に当てはめる練習が傾向攻略の近道です。
傾向を整理してから過去問を解くと、「また飲食系でリピーター問題だ」「今年は観光系で体験訴求か」と確認作業のように解けるようになります。知識を使う前に「どのパターンか」を見極める練習を積むと、制限時間への不安が一気に減ります。
事例IIで必ず問われる「4つの定番設問」の型
令和以降の過去問を分析すると、設問文の表現は異なっていても、4つの型に集約されることがわかります。それぞれの型に対応した解答の骨格を身につけておけば、初見の事例でもベースとなる論理構成をゼロから組み立てる必要がなくなります。
型 01
ターゲット明示型 ― 「誰に売るかを答えよ」
「どのような顧客層をターゲットとするか」「新たなターゲットを明示した上で施策を述べよ」という問い方で登場します。STPの「T(ターゲティング)」を直接問う型で、解答には年齢・ライフスタイル・利用シーンを具体的に示すことが求められます。
解答の骨格
ターゲットは〔年齢・性別・ライフスタイル〕の〔具体的な顧客像〕。同層は〔ニーズや特徴〕を持つため、自社の〔強み〕を活かした〔施策〕により〔効果〕が見込める。
STP
新規顧客
ターゲティング
型 02
差別化施策型 ― 「強みを活かして競合と差別化せよ」
「他社と差別化するための施策を述べよ」「自社の強みを活かして競争優位を築くには」という形で問われます。与件文の強み(S)を根拠に、競合が持たない差別化軸を論じる型です。強みをただ列挙するのではなく、「だからこの方向で差別化できる」という論理の接続が得点のカギです。
解答の骨格
競合が持たない〔自社固有の強み〕を活かし、〔ターゲット〕に対して〔価値・体験〕を提供することで、〔競合との違い〕を差別化軸とする。
差別化
強みの活用
ポジショニング
型 03
CRM・リピーター型 ― 「既存客との関係を深めよ」
「リピート率を高める施策を述べよ」「既存顧客との長期的な関係を構築するには」という問い方が典型です。CRM(顧客関係管理)の視点で、来店・購買の継続につながる接点づくりと関係強化施策を提案する型です。単発の施策よりも「継続的な接点の仕組み化」を解答に組み込むと評価が上がりやすくなります。
解答の骨格
〔既存顧客層〕に対して〔定期的な接点手段〕を通じ〔ニーズに合った情報・特典〕を提供することで、来店頻度・継続利用を高め、〔売上・口コミ〕につなげる。
CRM
リピーター
顧客関係
型 04
プロモーション・情報発信型 ― 「認知を広げる方法を述べよ」
「新規顧客の認知を高めるための施策を提案せよ」「SNSやデジタルを活用した集客施策を述べよ」という問い方で登場します。ターゲットに合ったメディア・チャネルの選定と、発信内容の方向性をセットで論じる型です。「SNSで発信する」だけで終わらず、何を・誰に向けて・どんな内容でという骨格を示すことが得点の分かれ目です。
解答の骨格
〔ターゲット〕が接触しやすい〔メディア・チャネル〕を通じ、〔自社の強み・世界観・体験価値〕を発信することで認知を広げ、来店・購買につなげる。
SNS
認知向上
プロモーション
まとめ
事例IIは「業種が違う」ように見えて、問われる構造は毎年ほぼ同じです。傾向を把握して4つの設問型に慣れておくことで、初見の与件文でも「どの型で解くか」をすぐ判断できるようになります。
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事例IIの標準構成(4設問・100点・設問あたり80〜140字)を把握したか
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STPと差別化が令和以降6年連続で問われていることを優先事項として認識したか
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飲食・小売・観光・サービスの業種別に問われやすいテーマを整理したか
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4つの定番設問型(ターゲット明示・差別化施策・CRM・プロモーション)の骨格を覚えたか
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傾向を把握した上で過去問を解き直し、「どの型か」を判断する練習を積んだか
私が傾向分析をして最初に気づいたのは、「STPと差別化が毎年必ず出ている」という事実でした。それまでは「今年はどんな業種だろう」と業種の新しさに引きずられていたのですが、フレームが毎年変わらないと気づいてからは、業種の違いを気にしなくなりました。飲食でも小売でも観光でも、使う論理の型は同じ。傾向を整理した後は「型の使い方を磨く」ことに集中できるようになりました。過去問は業種の多様さを体験する場ではなく、型を体に染み込ませる場として使うのが得点につながる道だと感じています。
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