U「会社は登記した瞬間に生まれる」——この一文を読んだとき、少し不思議な感覚がしました。出生届を出した瞬間に戸籍ができるのと同じように、法人格が誕生する瞬間があるんですよね。設立手続きの流れを、赤ちゃんの誕生届にたとえながら整理してみます。
会社法に基づく株式会社の設立には、定款作成→公証人認証→出資履行→登記申請という一連の流れがあります。設立登記完了の時点で会社が成立し、法人格が発生します。この「順番」と「各ステップで何が起きるか」が試験でよく問われます。
目次
赤ちゃんの誕生届と会社設立は似ている
赤ちゃんが生まれても、出生届を提出するまでは戸籍に登録されません。会社も同じで、どれだけ準備を重ねても、法務局に設立登記を申請して受理されるまでは「会社」として存在しません。
| 赤ちゃんの誕生 | 会社の設立 |
|---|---|
| 赤ちゃんの誕生(出産) | 発起人が集まり設立を決意 |
| 名前・家族構成を決める | 定款作成(商号・目的・機関設計などを記載) |
| 役所に出生届を提出 | 法務局に設立登記を申請 |
| 戸籍に記載→法的に「人」として認められる | 登記完了→法人格が発生、会社が「成立」 |
株式会社設立の手続きフロー
01
定款作成
発起人が定款を作成する
定款とは会社の「憲法」。商号・目的・本店所在地・発行可能株式総数・発起人の氏名など絶対的記載事項を記載しなければならない。これが欠けると定款自体が無効になる。
02
定款認証
公証人による定款の認証
作成した定款を公証人役場で認証してもらう。電子定款の場合は収入印紙代(4万円)が不要になる点が試験でよく問われる。認証なしでは次のステップに進めない。
03
出資の履行
発起人が出資金を払い込む
発起設立の場合は発起人全員が出資。募集設立の場合はさらに株式引受人を募集する。出資の払い込みは設立時取締役選任前に行う。現物出資の場合は検査役の調査が必要(ただし一定の例外あり)。
04
機関設計
設立時取締役(・監査役)の選任
発起設立では発起人が設立時役員を選任。選任後、設立時取締役が「設立事項の調査」を行い、問題があれば発起人に通知する義務がある。
05
設立登記
法務局へ設立登記申請→会社成立
設立登記の申請日が会社成立日となり、法人格が発生する。代表取締役の住所・氏名、資本金額、役員など登記すべき事項が登記簿に記載される。



「発起設立と募集設立の違い」を最初ごっちゃにしていました。発起人だけで全株式を引き受けるのが発起設立、外部からも引受人を募るのが募集設立。手続きが複雑になるのは当然募集設立の方です。シンプルで早いのが発起設立、と整理したら混乱がなくなりました。
定款の記載事項:絶対的・相対的・任意的
定款の記載事項は3種類に分類されます。試験では各種類の具体例が問われます。
絶対的記載事項
必ず記載しなければ定款無効
①商号 ②目的 ③本店の所在地 ④設立に際して出資される財産の価額または最低額 ⑤発起人の氏名・住所
→ これが1つでも欠けると定款全体が無効になる
→ これが1つでも欠けると定款全体が無効になる
相対的記載事項
記載しないと効力を生じない事項
現物出資・財産引受・発起人の報酬・設立費用など(変態設立事項)。
→ 定款に書かないと、その事項の効力が生じない(会社成立後に別途決議しても無効)
→ 定款に書かないと、その事項の効力が生じない(会社成立後に別途決議しても無効)
任意的記載事項
書いても書かなくてもよい事項
取締役の員数・株券発行の定め・事業年度など。
→ 記載すれば定款の効力として扱われ、変更には株主総会特別決議が必要になる
→ 記載すれば定款の効力として扱われ、変更には株主総会特別決議が必要になる
過去問でよく問われるポイント
出題パターン:設立手続きの正誤
頻出
株式会社の設立に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 定款は公証人の認証を受けなくても有効である
イ 発起設立では、発起人全員が設立時発行株式の全部を引き受ける
ウ 会社は設立登記申請日に成立する
エ 現物出資は定款に記載しなくても有効に行える
ア 定款は公証人の認証を受けなくても有効である
イ 発起設立では、発起人全員が設立時発行株式の全部を引き受ける
ウ 会社は設立登記申請日に成立する
エ 現物出資は定款に記載しなくても有効に行える
正解と解説
ウが正解。
ア:誤り。定款は公証人の認証が必須(電子定款も同様)。
イ:正確には「発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける」。必ずしも全員が均等に引き受ける必要はない。
エ:誤り。現物出資は相対的記載事項のため、定款に記載しなければ無効。
ア:誤り。定款は公証人の認証が必須(電子定款も同様)。
イ:正確には「発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける」。必ずしも全員が均等に引き受ける必要はない。
エ:誤り。現物出資は相対的記載事項のため、定款に記載しなければ無効。
まとめ
- 会社の成立 = 設立登記申請日(この一点が最重要)
- 定款は公証人認証が必須。電子定款なら収入印紙代4万円が不要
- 定款記載事項:絶対的(欠けると無効)・相対的(書かないと効力なし)・任意的(任意)
- 現物出資は変態設立事項(相対的記載事項)→ 定款記載が必須
- 発起設立(発起人のみ)vs 募集設立(外部引受人を募る)
Uのメモ
設立手続きの問題は「何が欠けると何が無効になるか」という論点が多いです。絶対的記載事項は「定款そのものが無効」、相対的記載事項は「その事項の効力がない」、という違いを意識すると選択肢を正確に判定できます。現物出資が相対的記載事項であることは特に問われやすいので押さえておきたいです。









