リレーションシップマーケティング・CRM|顧客との長期関係構築を図解で整理

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マーケティングって「新規顧客を獲得する」ことだとずっと思っていたんですよね。でも診断士の勉強を進めると「既存顧客を維持するほうがコスト効率が高い」という考え方が重要だとわかって。リレーションシップマーケティングとCRMは、その「関係性を継続的に育てる」思想を体系化したものです。

高頻度難易度 ★★☆
目次

リレーションシップマーケティングとは

リレーションシップマーケティング(Relationship Marketing)とは、顧客との長期的な関係を構築・維持することで、継続的な取引と収益を生み出すマーケティング手法です。1980年代以降に注目され、「新規顧客獲得」から「既存顧客との関係深化」へと重心を移した考え方です。

従来のマーケティング(取引型)
  • 新規顧客の獲得に注力
  • 個々の取引を最大化
  • 短期的な売上・シェアを重視
  • 製品・価格で差別化
リレーションシップマーケティング
  • 既存顧客との関係維持に注力
  • 長期的な関係から生まれる価値を重視
  • LTV(顧客生涯価値)を最大化
  • 信頼・絆・ロイヤルティで差別化
「新規顧客獲得コスト=既存顧客維持コストの5〜6倍」(1:5の法則)
既存顧客を1人維持するコストに対し、新規顧客を1人獲得するコストは約5〜6倍かかるとされる。また、既存顧客への再購入確率は60〜70%、新規への販売確率は5〜20%と大きな差がある。

顧客ロイヤルティの段階(顧客ラダー)

リレーションシップマーケティングでは、顧客との関係を段階的に深めることを「顧客ラダー(はしご)」と呼びます。

5
アドボケート(推奨者)
自発的に他者に推薦する最上位の顧客。口コミの発信源になる
4
パートナー(協力者)
企業と共同で価値を創造する関係。フィードバックや商品開発への参加
3
サポーター(支持者)
継続利用し、企業・ブランドへの好感を持つ顧客
2
クライアント(固定客)
複数回購入しているが、積極的な関係はまだない顧客
1
カスタマー(一般顧客)
一度だけ購入したことがある顧客。関係はまだ浅い

CRM(顧客関係管理)とは

CRM(Customer Relationship Management)は、リレーションシップマーケティングの考え方をIT・データを活用して実践するための仕組み・システムです。顧客情報を一元管理し、一人ひとりに最適なアプローチを実現します。

CRMの要素内容具体例
顧客情報の統合管理購買履歴・問い合わせ履歴・属性情報を一元管理Salesforce・HubSpot・kintone
セグメント配信顧客属性・行動に応じた個別コミュニケーションメルマガの条件分岐・LINEセグメント配信
購買予測・分析データから次の行動を予測し、先回りした提案レコメンド機能・離反予測モデル
サービス品質向上問い合わせ履歴の蓄積でクレーム対応・サポートを改善コールセンターCRM・チャットボット連携

LTV(顧客生涯価値)の考え方

リレーションシップマーケティングの核心的な指標がLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)です。

LTV = 平均購買単価 × 購買頻度 × 継続期間
例:平均5,000円 × 月2回 × 3年間 = 36万円

LTVを高める方法:① 購買単価を上げる(アップセル・クロスセル) ② 購買頻度を上げる(定期購入化) ③ 継続期間を延ばす(解約率低下・ロイヤルティ向上)

RFM分析

既存顧客を価値順に分類する代表的な手法がRFM分析です。

  • R(Recency):最終購買日。最近購買した顧客ほど高スコア
  • F(Frequency):購買頻度。よく購買する顧客ほど高スコア
  • M(Monetary):購買金額。累計購買金額が高い顧客ほど高スコア

RFMそれぞれにスコアをつけてセグメント化することで、「優良顧客へのプレミアム施策」「離反リスク顧客へのフォロー」など、顧客ごとに最適なアプローチが可能になります。

中小企業でのCRM活用

診断士の実務支援でも、中小企業へのCRM導入は主要テーマのひとつです。

  • 飲食店:LINE公式アカウントで来店履歴・誕生日クーポン配信 → 再来店率向上
  • EC・小売:購買履歴から「この商品も」レコメンド → クロスセル率向上
  • 美容院・サロン:施術履歴の蓄積でパーソナルな提案 → 顧客ロイヤルティ向上
  • BtoB製造業:営業活動履歴を蓄積し、次のアプローチを組織で共有

過去問で確認する

  • リレーションシップマーケティングに関する記述として最も適切なものはどれか。ア)新規顧客獲得のために広告費を集中投下する手法 イ)顧客との長期的関係構築により継続的収益を図るマーケティング ウ)製品の機能差別化で競合他社との競争優位を確立する戦略 エ)不特定多数に向けたマス広告を中心とした展開正解:イ
  • RFM分析のR・F・Mが表す指標の組み合わせとして適切なものを選べ。R3年度 類題
  • 顧客生涯価値(LTV)を高める施策として適切でないものはどれか。H29年度 類題

まとめ

リレーションシップマーケティング:既存顧客との長期関係を重視。LTV最大化が目標
顧客ラダー:カスタマー→クライアント→サポーター→パートナー→アドボケートの5段階
CRM:ITで顧客情報を一元管理し、個別最適なアプローチを実現する仕組み
RFM分析:Recency・Frequency・Monetary の3軸で顧客を分類・優先順位付け

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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