Uマーケティングって「新規顧客を獲得する」ことだとずっと思っていたんですよね。でも診断士の勉強を進めると「既存顧客を維持するほうがコスト効率が高い」という考え方が重要だとわかって。リレーションシップマーケティングとCRMは、その「関係性を継続的に育てる」思想を体系化したものです。
リレーションシップマーケティングとは
リレーションシップマーケティング(Relationship Marketing)とは、顧客との長期的な関係を構築・維持することで、継続的な取引と収益を生み出すマーケティング手法です。1980年代以降に注目され、「新規顧客獲得」から「既存顧客との関係深化」へと重心を移した考え方です。
- 新規顧客の獲得に注力
- 個々の取引を最大化
- 短期的な売上・シェアを重視
- 製品・価格で差別化
- 既存顧客との関係維持に注力
- 長期的な関係から生まれる価値を重視
- LTV(顧客生涯価値)を最大化
- 信頼・絆・ロイヤルティで差別化
既存顧客を1人維持するコストに対し、新規顧客を1人獲得するコストは約5〜6倍かかるとされる。また、既存顧客への再購入確率は60〜70%、新規への販売確率は5〜20%と大きな差がある。
顧客ロイヤルティの段階(顧客ラダー)
リレーションシップマーケティングでは、顧客との関係を段階的に深めることを「顧客ラダー(はしご)」と呼びます。
CRM(顧客関係管理)とは
CRM(Customer Relationship Management)は、リレーションシップマーケティングの考え方をIT・データを活用して実践するための仕組み・システムです。顧客情報を一元管理し、一人ひとりに最適なアプローチを実現します。
| CRMの要素 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 顧客情報の統合管理 | 購買履歴・問い合わせ履歴・属性情報を一元管理 | Salesforce・HubSpot・kintone |
| セグメント配信 | 顧客属性・行動に応じた個別コミュニケーション | メルマガの条件分岐・LINEセグメント配信 |
| 購買予測・分析 | データから次の行動を予測し、先回りした提案 | レコメンド機能・離反予測モデル |
| サービス品質向上 | 問い合わせ履歴の蓄積でクレーム対応・サポートを改善 | コールセンターCRM・チャットボット連携 |
LTV(顧客生涯価値)の考え方
リレーションシップマーケティングの核心的な指標がLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)です。
例:平均5,000円 × 月2回 × 3年間 = 36万円
LTVを高める方法:① 購買単価を上げる(アップセル・クロスセル) ② 購買頻度を上げる(定期購入化) ③ 継続期間を延ばす(解約率低下・ロイヤルティ向上)
RFM分析
既存顧客を価値順に分類する代表的な手法がRFM分析です。
- R(Recency):最終購買日。最近購買した顧客ほど高スコア
- F(Frequency):購買頻度。よく購買する顧客ほど高スコア
- M(Monetary):購買金額。累計購買金額が高い顧客ほど高スコア
RFMそれぞれにスコアをつけてセグメント化することで、「優良顧客へのプレミアム施策」「離反リスク顧客へのフォロー」など、顧客ごとに最適なアプローチが可能になります。
中小企業でのCRM活用
診断士の実務支援でも、中小企業へのCRM導入は主要テーマのひとつです。
- 飲食店:LINE公式アカウントで来店履歴・誕生日クーポン配信 → 再来店率向上
- EC・小売:購買履歴から「この商品も」レコメンド → クロスセル率向上
- 美容院・サロン:施術履歴の蓄積でパーソナルな提案 → 顧客ロイヤルティ向上
- BtoB製造業:営業活動履歴を蓄積し、次のアプローチを組織で共有
過去問で確認する
- リレーションシップマーケティングに関する記述として最も適切なものはどれか。ア)新規顧客獲得のために広告費を集中投下する手法 イ)顧客との長期的関係構築により継続的収益を図るマーケティング ウ)製品の機能差別化で競合他社との競争優位を確立する戦略 エ)不特定多数に向けたマス広告を中心とした展開正解:イ
- RFM分析のR・F・Mが表す指標の組み合わせとして適切なものを選べ。R3年度 類題
- 顧客生涯価値(LTV)を高める施策として適切でないものはどれか。H29年度 類題
まとめ
顧客ラダー:カスタマー→クライアント→サポーター→パートナー→アドボケートの5段階
CRM:ITで顧客情報を一元管理し、個別最適なアプローチを実現する仕組み
RFM分析:Recency・Frequency・Monetary の3軸で顧客を分類・優先順位付け
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