カスタマージャーニー・カスタマーエクスペリエンス(CX) | 中小企業診断士1次試験 企業経営理論

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新しいカフェが気になって検索して、口コミを読んで、迷って、やっと訪れて、帰り道にInstagramに投稿する——私たちはいつも何かしらの「旅」をしています。お客さまがブランドと出会い、購入し、その後どう行動するかを一本の旅として描いたのが、カスタマージャーニーです。

マーケティング戦略を立てるとき、「誰に売るか」「何を売るか」だけでなく、「お客さまがどんな旅をしているか」を把握することが重要です。カスタマージャーニーを可視化すると、どのフェーズで顧客が離れているか、どこに打ち手があるかが見えてきます。

目次

カスタマージャーニーマップの構成要素

カスタマージャーニーマップとは、顧客が購買に至るまでの一連のプロセスを、フェーズ・タッチポイント・顧客の感情・課題という軸で可視化した図です。縦軸に「感情の高さ(満足度)」、横軸に「購買プロセスのフェーズ」を取り、曲線で感情の波を描くイメージです。

認知
興味
比較検討
購入
利用
推薦
SNS広告・口コミ・検索で存在を知る
ウェブサイトや口コミページを調べる
競合と比較し、レビューを読み込む
EC・店舗で購入する
実際に使ってみる。問い合わせも発生
満足なら口コミ・SNS投稿・紹介
?
↓迷い
↑期待
?現実
→継続

マップを作る意義は「感情の谷(落胆・迷い)」を見つけることです。比較検討フェーズで迷いが生じているなら、比較しやすい資料やFAQの整備が打ち手になります。利用フェーズで満足度が下がっているなら、オンボーディングの改善が必要です。

4つの構成要素を整理すると:①フェーズ(購買プロセスの段階)、②タッチポイント(顧客とブランドが接触する場面)、③感情曲線(各フェーズでの満足度・感情の変化)、④課題・機会(感情の谷を改善するための打ち手)です。

AIDMA vs AISAS——SNS時代に何が変わったか

消費者行動モデルの変化は、試験頻出の比較テーマです。AIDMAはマスメディア時代、AISASはインターネット・SNS時代に対応したモデルです。

モデル 頭文字の展開 時代背景・特徴
AIDMA Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(購買) テレビ・新聞広告が主流の時代。記憶(Memory)が購買行動を橋渡しする
AISAS Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(共有) インターネット普及後。検索で情報収集し、購入後にSNSで共有する行動が加わる
SIPS(参考) Sympathize(共感)→ Identify(確認)→ Participate(参加)→ Share(共有・拡散) SNSが中心化した時代。共感が起点になり、コミュニティへの参加・拡散が軸になる

AISASのポイントは2点あります。ひとつは「Search(検索)」が購買前に必ず挟まること。もうひとつは「Share(共有)」が購買後の行動として組み込まれ、次の誰かの認知につながる循環構造になっていることです。

身近な場面で考えてみると——新しいコーヒーメーカーが欲しくなった(Attention)→比較サイトやYouTubeレビューを検索する(Search)→購入後にツイートやブログに感想を投稿する(Share)。この「購入後の発信がまた誰かの認知になる」ループがSNS時代のマーケティングの根本です。

CX(カスタマーエクスペリエンス)の定義と測定指標

CX(Customer Experience:顧客体験)は、顧客がブランドと接触するすべての場面での体験の総体を指します。製品の品質だけでなく、購入前の情報収集体験・店舗での応対・配送・アフターサポートまでを含む広い概念です。

CXを測定する主要指標として以下の3つが頻出です。

NPS
Net Promoter Score
「このブランドを友人・知人に推薦しますか?」を0〜10点で問う指標。9〜10点の推薦者比率から0〜6点の批判者比率を引いて算出。長期的なロイヤルティの代理指標として広く活用される。
CSAT
Customer Satisfaction Score
特定の接触場面(購入・問い合わせ対応等)での満足度を問うスポット調査指標。5段階評価などで測定。取引直後の短期満足度の把握に適している。
CES
Customer Effort Score
顧客が目的を達成するためにどれだけの「努力(手間)」が必要だったかを測る指標。「問い合わせの解決は簡単でしたか?」のように問う。手間が少ないほどロイヤルティが高まるとされる。

これら3指標の使い分けのポイントは:NPSは長期的なブランド愛着の把握、CSATは特定接触点の満足度把握、CESは「摩擦の少なさ」の把握です。試験では「どの指標が何を測るか」という組み合わせ問題が出やすいです。

タッチポイント設計とオムニチャネルへの接続

タッチポイントとは、顧客とブランドが接触するすべての接点です。購買フェーズによって接触チャネルが異なり、それぞれに異なる体験設計が必要です。

認知・興味
SNS広告検索結果プレスリリースインフルエンサー投稿TV/ラジオCM
比較検討
公式サイト比較サイトレビューYouTube解説動画資料ダウンロード
購入
ECサイト実店舗電話注文カタログ通販
利用・サポート
メールサポートチャットボットFAQアプリ内通知定期フォロー
推薦・継続
ロイヤルティプログラムSNS投稿誘導紹介キャンペーンコミュニティ

オムニチャネルとは、これらすべてのタッチポイントをシームレスに統合し、顧客がどのチャネルを使っても一貫した体験を受けられるようにする戦略です。

マルチチャネル(複数チャネルで販売)とオムニチャネルの違いは「統合されているかどうか」です。マルチチャネルは各チャネルが独立して運営されますが、オムニチャネルでは在庫・会員情報・購入履歴が一元管理され、ECで注文して店舗で受け取る(BOPIS)などのシームレスな体験が可能になります。

VOC(顧客の声)の収集とデータ活用

VOC(Voice of Customer:顧客の声)は、アンケート・レビュー・SNS投稿・問い合わせログなど多様なソースから顧客の意見・要望・不満を収集・分析する取り組みです。

VOCの収集手段 特徴 活用できる場面
顧客アンケート 設計次第で定量・定性両方取得可能 製品改善、NPS/CSAT測定
SNSモニタリング 自発的な声が集まる。ネガティブも拾える ブランド評判管理、トレンド把握
問い合わせログ分析 実際の困りごとが直接わかる FAQ整備、製品欠陥の早期発見
ユーザーインタビュー 深い文脈・理由まで把握できる 新製品開発、UX改善
行動データ(ウェブ解析) 顕在化していない行動パターンを把握 離脱ポイント特定、UX改善

VOCをカスタマージャーニーマップに重ねると、「感情の谷」の原因が明確になり、改善施策の優先順位をつけやすくなります。試験では「VOCを活用したCX改善の流れ」として、収集→分析→施策立案→効果測定のサイクルが問われることがあります。

試験での出題ポイントを整理する

出題テーマ 確認すべきポイント 引っかかりやすい誤り
AIDMA vs AISAS Memoryが抜けてSearch・Shareが入る変化 「Action=購買で終わり」と誤解(AISASはShareまで続く)
NPS・CSAT・CES それぞれ何を測るか(ロイヤルティ/満足度/努力量) 「NPSは満足度指標」と誤解(NPSは推薦意向)
オムニチャネル vs マルチチャネル チャネル統合の有無が違い 「複数チャネル=オムニチャネル」と誤解
タッチポイント設計 フェーズによって最適な接触チャネルが異なる 購入後のタッチポイントが設計から抜ける

まとめ:カスタマージャーニー・CXチェックリスト

  • カスタマージャーニーマップは「フェーズ・タッチポイント・感情曲線・課題」の4軸で構成する
  • AIDMA(Memory重視)→ AISAS(Search・Share追加)への進化はSNS・インターネット普及が背景
  • NPS=ロイヤルティ(推薦意向)、CSAT=接触点満足度、CES=努力量(手間の少なさ)
  • オムニチャネルはマルチチャネルより進んだ概念——チャネル間の情報が統合されシームレスな体験を実現
  • VOC(顧客の声)を収集・分析してジャーニーの「感情の谷」を改善するサイクルが重要
  • CXは製品品質だけでなく、購入前後の全接触体験の総体(購入後のフォローアップも含む)
U のメモ
AIDMA・AISASの並び替え問題では、まず「頭文字が何の略か」を確認するより「何が追加・変化したか」を意識すると選択肢を絞りやすいです。AISASはSearch(購買前の情報収集)とShare(購買後の拡散)が加わった点が核心で、これがデジタル時代のマーケティングを変えました。NPS・CSAT・CESの3指標は「何を測るか」の対応関係をセットで覚えておくと、複数の測定指標を並べた選択肢で迷いにくくなります。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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