創業支援まとめ|認定特定創業支援等事業・登録免許税軽減・支援機関を図解で整理
過去問を解いていて「認定特定創業支援等事業の認定を受けた創業者が受けられる特典」という選択肢が並んだとき、登録免許税の軽減率が合同会社と株式会社で違うことに気づいていませんでした。「半額になる」という大まかな記憶だけでは選択肢を絞れないので、制度の全体像から数字の根拠まで、一度丁寧に整理してみることにしました。
「創業支援」という言葉は広く使われますが、試験で問われるのは制度の名称・根拠法・具体的な要件と特典の数字です。国・都道府県・市区町村の3層それぞれに異なる支援メニューがあり、なかでも「認定特定創業支援等事業」は登録免許税軽減との組み合わせで頻出しています。全体像を地図として把握してから各制度の詳細に入ると、記憶の定着がずいぶん楽になりました。
目次
創業支援の全体像
国レベル
産業競争力強化法 / 日本政策金融公庫
▼ 認定・委託
都道府県レベル
中小企業支援センター / 産業振興公社
▼ 計画認定・支援実施
市区町村レベル
認定特定創業支援等事業(商工会議所・金融機関・NPO等が実施)
試験で最も頻出なのは市区町村レベルの「認定特定創業支援等事業」です。根拠法(産業競争力強化法)・認定主体(市区町村)・実施機関・特典の3点をセットで押さえておくと選択肢を絞りやすくなります。
MENU 01
認定特定創業支援等事業
市区町村が認定した機関による継続的支援。登録免許税軽減・信用保証特例など複数の優遇措置が連動する制度。
MENU 02
日本政策金融公庫 新創業融資
無担保・無保証人で利用できる政策金融。創業前〜創業後3期未満が対象。民間銀行では融資を受けにくい創業期の資金調達を補完。
MENU 03
小規模事業者持続化補助金
創業枠が設けられており、販路開拓・集客施策の経費を補助。上限50万円(通常枠)。創業後まもない事業者でも申請可能。
MENU 04
よろず支援拠点・創業スクール
国(中小企業庁)が都道府県ごとに設置するワンストップ相談窓口。創業の相談から専門家派遣まで無料で対応。創業スクール等と連携する場合もある。
認定特定創業支援等事業とは
0.35%
(通常 0.7%)
株式会社設立の登録免許税率
3万円
(通常 6万円)
合同会社設立の登録免許税
根拠法は産業競争力強化法(2014年施行)。市区町村が「創業支援等事業計画」を策定し国の認定を受け、計画に基づいて支援機関が創業者へ継続的な支援を実施する仕組みです。
経営
事業計画の策定、経営分析、マーケティング戦略の構築支援
財務
資金調達計画、財務諸表の読み方、キャッシュフロー管理の支援
人材育成
採用計画、労務管理の基礎、従業員育成に関するノウハウ支援
販路開拓
顧客獲得戦略、販売チャネル構築、PR・プロモーション手法の支援
上記4分野について、1回限りではなく継続的・計画的な支援を受けることが認定の条件です。「セミナーに1回参加した」だけでは対象外となります。支援機関と計画的に複数回のセッションを行い、市区町村から認定を受けた創業者が特典の対象になります。
登録免許税の軽減(認定を受けた場合)
高頻度難易度 ★★☆
株式会社を設立する場合
通常の税率
0.7%
認定後の税率
0.35%(1/2)
最低税額
7.5万円→ 3.75万円相当
合同会社を設立する場合
通常の税額
6万円
認定後の税額
3万円(1/2)
軽減額
3万円の節約
信用保証の特例:通常、創業関連保証(無担保保証)の上限は2,000万円ですが、認定を受けた創業者は創業2ヶ月前から利用できる創業関連保証(特例)の対象となり、保証枠が拡充されます。創業前から資金手当ができる点が重要な特典です。
登録免許税が半額になるのは、市区町村から認定を受けた場合に限られます。「創業支援を受けた」だけでは対象外で、認定証を法務局に提出することで初めて軽減措置が適用されます。試験では「都道府県の認定を受けた場合」という誤った選択肢が出ることがあるので、認定主体が市区町村であることは確実に押さえておきたいポイントです。
創業に関するその他の支援制度
試験での頻出度(参考)
日本政策金融公庫 新創業融資制度
創業前〜創業後3期未満(または税務申告2期未満)を対象とした無担保・無保証人融資。民間金融機関からの借入が難しい創業期に政策金融公庫が対応。融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)。自己資金要件があり、創業資金の1/10以上の自己資金が必要。
創業スクール・インキュベーター施設
創業に必要な知識・スキルを体系的に学ぶ「創業塾(創業スクール)」は市区町村・商工会議所・よろず支援拠点などが主催。インキュベーター施設は創業初期の企業に低廉な賃料でオフィスを提供し、専門家による支援も受けられる。
補助金(小規模事業者持続化補助金・創業枠)
創業後間もない事業者向けの「創業枠」では補助上限が拡充される場合があります。販路開拓や集客施策の経費(広告宣伝・ウェブサイト制作・展示会出展等)が対象。認定特定創業支援等事業の認定証を持つ場合は加点措置が設けられることもあるため、制度を組み合わせて活用することが推奨されます。
注意点:「特定創業支援等事業の認定を受けた創業者」は補助金の加点対象になることがありますが、これは補助金要件の個別設定によります。試験では混同させる選択肢が出るため、各制度の対象・主体・要件を切り離して整理することが大切です。
創業支援機関の種類
機関 01
商工会・商工会議所
小規模事業者の経営支援が主軸。商工会は町村部、商工会議所は市部に設置。経営改善普及事業(経営指導員による巡回指導)を実施。マル経融資の推薦機関でもある。創業支援等事業では主要な実施機関となっている。
機関 02
よろず支援拠点
国(中小企業庁)が各都道府県に1ヶ所以上設置するワンストップ相談窓口。費用・回数の制限なしで相談可能。中小企業診断士・税理士等の専門家が常駐。創業前の事業計画相談から既存事業の課題解決まで対応。
機関 03
中小企業支援センター(都道府県)
都道府県・市区町村が設置する総合的な中小企業支援機関。経営相談・研修・専門家派遣・インキュベーション施設の運営など多岐にわたる。地域によって名称が異なる(産業振興公社、産業支援センター等)。
機関 04
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)
中小企業支援法に基づき国が認定した専門機関。税理士・公認会計士・中小企業診断士・金融機関などが認定を受けている。経営革新計画・事業承継・補助金申請等で中小企業をサポート。創業支援にも積極的に関与する機関が多い。
主要支援機関の比較
| 機関名 |
設置主体 |
主な対象 |
特徴的なサービス |
費用 |
| 商工会議所 |
地域の事業者(市部) |
小規模〜中小企業 |
経営指導・マル経融資推薦・創業支援等事業実施 |
会員制(低廉) |
| 商工会 |
地域の事業者(町村部) |
小規模事業者 |
経営改善普及事業・マル経融資推薦・創業支援 |
会員制(低廉) |
| よろず支援拠点 |
国(中小企業庁) |
中小企業全般 |
回数制限なし無料相談・専門家チーム対応 |
無料 |
| 中小企業支援センター |
都道府県・市区町村 |
中小企業・創業者 |
経営相談・専門家派遣・インキュベーター運営 |
無料〜低廉 |
| 認定支援機関 |
国(経済産業省認定) |
中小企業全般 |
経営革新計画・補助金申請支援・財務指導 |
有料(専門家報酬) |
| 日本政策金融公庫 |
国(政府系金融機関) |
中小企業・創業者 |
新創業融資・無担保融資・経営支援 |
融資(低利) |
試験のポイント:「よろず支援拠点の設置主体は国(中小企業庁)」「商工会は町村部、商工会議所は市部」「よろず支援拠点は無料・回数制限なし」という3点が選択肢の判断基準になることが多いです。
過去問で確認する
産業競争力強化法において、市区町村が定める「創業支援等事業計画」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 創業支援等事業計画の認定は都道府県が行う。
- イ 市区町村は創業支援等事業計画を作成し、国の認定を受けることができる。
- ウ 認定を受けた創業者は株式会社設立時の登録免許税が免除される。
- エ 支援の対象は創業後1年以内の事業者に限られる。
正解と解説
正解:イ
創業支援等事業計画は市区町村が策定し、国(経済産業大臣等)が認定します。アは誤り(都道府県ではなく国が認定)。ウは誤り(免除ではなく軽減——株式会社0.7%→0.35%、合同会社6万円→3万円)。エは誤り(創業予定者も対象に含まれる)。「誰が認定するか」と「免除ではなく軽減」の2点が引っかけポイントです。
認定特定創業支援等事業を利用した創業者が受けられる優遇措置に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 株式会社設立時の登録免許税率は通常の1/3に軽減される。
- イ 合同会社設立時の登録免許税は2万円に軽減される。
- ウ 株式会社設立時の登録免許税率は通常の1/2(0.35%)に軽減される。
- エ 認定を受けた翌年以降も軽減措置が継続して適用される。
正解と解説
正解:ウ
株式会社:0.7%→0.35%(1/2)。アの「1/3」、イの「2万円」、エの「継続適用」はすべて誤りです。合同会社の場合は6万円→3万円(1/2)が正確な数字です。「1/2」という割合と、株式会社・合同会社それぞれの具体的な数字を両方覚えておく必要があります。
認定特定創業支援等事業における支援内容に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 支援は経営と財務の2分野に限られる。
- イ セミナーへの1回参加で認定を受けることができる。
- ウ 経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野について継続的に支援を受けることが条件となる。
- エ 支援機関は商工会議所に限定されている。
正解と解説
正解:ウ
4分野すべてを継続的に支援することが条件です。アは分野数が誤り(4分野)。イの「1回参加」は「継続的」という要件を満たさないため誤り。エは誤り——商工会議所のほか、金融機関・NPO法人・認定支援機関など多様な機関が実施機関になれます。
身近な場面で制度の流れを整理してみると
「認定特定創業支援等事業」という名前は長くて覚えにくいのですが、実際の流れを一度イメージすると、頭に残りやすくなりました。たとえばカフェを開業したいAさんの例で考えてみます。
Aさん、地元の商工会議所に相談へ
「カフェを開きたいけど何から始めればいいかわからない」と地元の商工会議所に足を運びます。ここは市区町村が認定した「特定創業支援等事業」の実施機関。無料で専門家(経営指導員)に相談できます。
4分野を複数回にわたって支援してもらう
「経営(事業計画)」「財務(初期費用と運転資金の計算)」「人材(採用と働き方)」「販路(集客・SNS戦略)」の4分野について、月1回×3ヶ月など計画的なセッションを重ねます。1回参加しただけでは認定の対象外です。
市区町村から「認定証」を受け取る
継続的な支援を修了すると、市区町村から認定証が発行されます。この証明書が登録免許税軽減の申請に必要になります。
合同会社設立時に法務局へ認定証を提出
AさんはLLCとして「カフェ合同会社」を設立することにしました。法務局への設立登記申請時に認定証を添付することで、登録免許税が通常6万円のところ3万円に軽減されます。節約した3万円でコーヒーメーカーが1台買えますね。
この流れで重要なのは、軽減措置は「認定を受けた後に設立する」場合に適用される点です。すでに設立済みの会社に後から適用することはできません。タイミングと手順の順序が試験でも問われることがあります。
創業支援活用のタイムライン(一般的な流れ)
STEP 1
創業支援等事業の相談・申込み
市区町村の窓口や商工会議所・よろず支援拠点に相談。認定事業の対象かどうかを確認する。
STEP 2
4分野の継続的支援を受ける
経営・財務・人材育成・販路開拓の各分野について、複数回のセッションを計画的に受講する。
STEP 3
市区町村より認定証の発行
支援が完了すると市区町村から「特定創業支援等事業による支援を受けた証明書」が交付される。
STEP 4
法人設立登記(認定証を添付)
法務局へ設立申請時に認定証を提出。株式会社なら登録免許税率0.35%、合同会社なら3万円が適用される。
AFTER
信用保証特例・補助金加点なども活用
認定証は信用保証の特例(創業関連保証の拡充)や補助金審査の加点要素としても使える場合がある。
3つの過去問を並べてみると、「誰が認定するか(市区町村、国)」「軽減率は1/2であり免除ではない」「4分野の継続支援が条件」「支援機関は商工会議所に限らない」という4点が繰り返し問われていることがわかりました。数字だけでなく、制度の仕組みの流れ(市区町村が計画策定→国が認定→支援機関が支援→創業者が認定証取得→法務局に提出)まで頭に入っていると、見慣れない選択肢に対しても判断しやすくなるようです。
「認定特定創業支援等事業」は中小企業政策の中で高頻出テーマ(TOP10入り)です。毎年とまではいかないものの、2〜3年に1回のペースで出題されており、2020年代に入ってからは創業・新事業系の出題が増加傾向にあります。
出題パターンは大きく2種類に分かれます。一つは「制度の仕組み(認定主体・対象・4分野の継続支援)」に関する問題、もう一つは「特典の具体的な数字(登録免許税率・軽減額)」を問う問題です。どちらも「正しい選択肢」と「惜しい誤り」を見分けるために数字と仕組みを両方押さえることが効果的です。
学習の順序としては、①全体の仕組みフロー(市区町村→国→支援機関→創業者)を図でつかむ→②登録免許税の数字(株式会社0.35%・合同会社3万円)を声に出して覚える→③過去問で「惜しい選択肢」に慣れる、という3段階が記憶に残りやすいと感じています。
-
根拠法は産業競争力強化法。市区町村が創業支援等事業計画を策定し、国の認定を受ける。
-
支援内容は経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野の継続的支援。1回参加は不可。
-
登録免許税軽減:株式会社は0.7%→0.35%、合同会社は6万円→3万円(いずれも1/2)。免除ではない。
-
認定主体は市区町村。都道府県や国の認定ではない点に注意。
-
支援機関は商工会議所だけでなく、金融機関・NPO法人・認定支援機関など多様。
-
日本政策金融公庫の新創業融資は無担保・無保証人。創業前〜創業後3期未満が対象。自己資金要件(1/10以上)あり。
-
よろず支援拠点の設置主体は国(中小企業庁)。無料・回数制限なし。
Post Views: 17
この記事を書いた人
中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。