ローカルベンチマーク・経営改善計画——財務と非財務で企業の実力を診断する | 中小企業診断士1次試験 中小企業経営・政策


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「企業の実力を6つの指標で測る」——それがローカルベンチマーク(ロカベン)です。財務4指標と非財務2指標の合計6つを使って企業の健康診断を行うこの制度、試験では6指標の内容と経営改善計画との関係が問われます。指標の名称と意味をセットで覚えて得点しましょう。

ローカルベンチマーク(ロカベン)は、経済産業省が2016年に策定した企業の経営状態を可視化するためのツールです。財務4指標・非財務2指標の合計6つの指標を使い、企業の「健康診断」を行います。金融機関が取引先企業の事業性を評価する「事業性評価」に活用されるほか、経営改善計画の策定支援にも使われます。診断士試験では6指標の名称・計算式・意味が問われます。

目次

ローカルベンチマークとは——制度の目的と背景

ロカベンの位置づけ:金融庁・経済産業省が推進する「事業性評価」の文脈で生まれたツールです。銀行が担保・保証に頼らず、企業の事業内容や将来性を評価して融資・支援を行うために、共通言語となる指標を整備したものがロカベンです。企業・金融機関・支援機関が同じ指標を使って対話できるようにすることが狙いです。
項目内容
策定主体経済産業省
策定年2016年
目的企業の経営状態の「見える化」と事業性評価の共通ツールとしての活用
活用主体企業・金融機関・中小企業支援機関・税理士・中小企業診断士等
指標数財務4指標 + 非財務2指標 = 合計6指標

財務4指標——数字で企業の体力を測る

試験頻出:財務4指標はすべて名称・計算式・何を表すかをセットで覚えましょう。特に「EBITDA有利子負債倍率」の計算式は独特なため注意が必要です。

財務1売上高増加率

(当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100(%)

企業の成長性を示す指標。プラスであれば売上が伸びている。業界平均と比較することで競争力を評価できる。

財務2営業利益率

営業利益 ÷ 売上高 × 100(%)

本業の収益性を示す指標。高いほど本業で効率よく利益を稼いでいる。業界平均との比較で競争優位性を判断できる。

財務3労働生産性

営業利益 ÷ 従業員数(万円/人)

1人の従業員が生み出す営業利益。人的資本の活用効率を示す。高いほど従業員1人あたりの付加価値が大きい。

財務4EBITDA有利子負債倍率

有利子負債 ÷ EBITDA(倍)

有利子負債をEBITDA(利払い・税金・償却前利益)で割った値。借入金を何年で返せるかを示す。低いほど財務安全性が高い。EBITDA=営業利益+減価償却費。

非財務2指標——数字に表れない経営の質を測る

非財務指標の意義:財務指標だけでは見えない「ビジネスモデルの持続可能性」を評価します。取引先が集中している(特定の顧客に依存している)と、その取引先を失ったとき致命的になります。従業員数の増減は人材・組織の活力を示します。

非財務1取引先集中度(営業利益比)

特定取引先への売上 ÷ 総売上 × 100(%)

売上の特定取引先への依存度。集中度が高いほど取引先喪失のリスクが大きい。取引先の分散状況を把握し、リスク管理の指標とする。

非財務2従業員数増加率

(当期従業員数 − 前期従業員数)÷ 前期従業員数 × 100(%)

人材の確保・定着・増加のトレンドを示す。従業員が増えている企業は事業が拡大傾向にある。採用力・職場環境の評価指標ともなる。

6指標の暗記法——試験で混同しないための整理

区分指標名計算式何を見るか良い方向
財務売上高増加率(当期−前期)÷ 前期×100%成長性高いほど良い
財務営業利益率営業利益 ÷ 売上高×100%収益性高いほど良い
財務労働生産性営業利益 ÷ 従業員数効率性高いほど良い
財務EBITDA有利子負債倍率有利子負債 ÷ EBITDA安全性(返済能力)低いほど良い(何年で返せるか)
非財務取引先集中度特定先売上 ÷ 総売上×100%リスク分散度低いほど良い(分散しているほど安心)
非財務従業員数増加率(当期−前期)÷ 前期×100%人材・組織の活力高いほど良い(増えているほど良好)

商流・業務フロー——事業の全体像を把握する

ロカベンの4シート構成:6指標の数値だけでなく、ロカベンは「商流・業務フロー」と「4つの視点」という非定量的な分析も含みます。企業の事業モデル・強み弱み・環境認識を可視化することで、数字の背景にある実態を把握します。

経営者への着目

経営者の理念・ビジョン・経営意欲・後継者の有無。経営者の資質が企業の将来を左右する。

事業への着目

製品・サービスの強み・競合との差別化・技術力・顧客の評判。事業の持続可能性を評価。

企業を取り巻く環境・関係者への着目

業界トレンド・市場環境・取引先・金融機関・地域との関係性。外部環境への適応力を評価。

内部管理体制への着目

組織体制・人材育成・IT化・情報管理・内部統制の整備状況。経営基盤の強さを評価。

経営改善計画との連携——金融機関活用の実務

ロカベンと経営改善の連携:ロカベンで自社の強み・課題を把握したうえで、経営改善計画(アクションプラン)を策定します。金融機関は経営改善計画の実現可能性・進捗状況を確認しながら、融資条件の見直し・経営支援を行います。中小企業診断士・税理士・信用保証協会等の支援機関がサポートします。
ステップ内容関与する機関
現状把握ロカベン6指標の計測・4つの視点によるヒアリング企業・金融機関・支援機関
課題抽出指標の低い項目・4つの視点での弱点を特定中小企業診断士・税理士等
改善計画策定数値目標の設定・アクションプランの立案企業・支援機関
計画実行・モニタリング定期的な指標の計測・進捗確認・計画の修正金融機関・支援機関
事業性評価への反映改善状況に応じて融資条件・支援内容を見直し金融機関

試験対策——頻出ポイントと確認事項

財務指標の計算式

  • 売上高増加率:成長性の指標
  • 営業利益率:本業の収益性
  • 労働生産性:営業利益÷従業員数
  • EBITDA有利子負債倍率:有利子負債÷EBITDA(低いほど良い)

非財務指標

  • 取引先集中度:低いほど良い(分散)
  • 従業員数増加率:高いほど良い(増加)
  • EBITDAと取引先集中度は逆方向に注意

EBITDAの計算

  • EBITDA=営業利益+減価償却費
  • 利払い・税金・償却前の稼ぐ力
  • 倍率=有利子負債÷EBITDA
  • 低いほど返済能力が高い(良い)

制度の基本情報

  • 策定:経済産業省・2016年
  • 合計6指標(財務4+非財務2)
  • 事業性評価・経営改善計画に活用
  • 4つの視点でヒアリング

よくある質問(FAQ)

ローカルベンチマークの「ロカベン」という名称はどこから来ていますか?
「ローカル(Local)」と「ベンチマーク(Benchmark:基準・指標)」を組み合わせた造語です。地域の中小企業が活用できるシンプルな評価指標という意味が込められています。経済産業省が中小企業・地域金融機関・支援機関が共通の「ものさし」として使えるよう設計しました。
EBITDA有利子負債倍率は何倍以下が目安ですか?
一般的には10倍以下が健全とされ、10倍超は要注意とされます。ただし業種によって適切な水準は異なります。重要なのは絶対値よりも「過去と比べて改善しているか」「同業他社と比べてどうか」という相対的な評価です。試験では計算式と「低いほど良い(返済能力が高い)」という方向性を覚えておけば十分です。
6指標はすべて財務諸表から計算できますか?
財務4指標(売上高増加率・営業利益率・労働生産性・EBITDA有利子負債倍率)は財務諸表(損益計算書・貸借対照表)から計算できます。非財務2指標のうち取引先集中度は売上データ、従業員数増加率は人事データが必要です。非財務指標は財務諸表には記載されないため、企業側が別途データを用意する必要があります。
事業性評価とは何ですか?
金融機関(銀行等)が、担保・保証に頼らず企業の事業の中身・将来性を評価して融資判断を行う方法です。金融庁が推進する「地域金融機関の本来の姿」として位置づけられています。ロカベンは事業性評価の際に使われる共通ツールの一つであり、数値的な裏付けと非財務的な実態把握の両方を行うための枠組みを提供します。
労働生産性の計算式は「付加価値÷従業員数」ではないのですか?
一般的な「労働生産性」の計算式は「付加価値÷従業員数」ですが、ロカベンでは「営業利益÷従業員数」を使用します。付加価値の算出は複雑なため、ロカベンではシンプルに営業利益で代用しています。試験でロカベンの労働生産性が問われた場合は「営業利益÷従業員数」と覚えておきましょう。

ローカルベンチマークは、「財務4指標+非財務2指標=合計6指標」という構成が試験の核心です。特に財務指標の計算式(EBITDAを使った有利子負債倍率)と、良い方向が逆になる指標(EBITDA有利子負債倍率・取引先集中度は低いほど良い)を確認しておきましょう。経営改善計画・事業性評価との連携という制度の位置づけも合わせて理解しておくと、応用問題にも対応できます。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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