プロジェクトマネジメントまとめ|WBS・PERT・EVM・アジャイルを図解で整理

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プロジェクトマネジメントは情報システムの科目で毎回出てくる分野です。WBS・PERT・EVMという3つの管理手法の役割を混同しやすいので、「何を管理する道具か」という視点で整理してみます。

高頻度難易度 ★★☆
この記事でわかること

WBS(作業分解構造)の概念と作り方、PERT図(アローダイアグラム)のクリティカルパスと余裕時間の計算、EVM(アーンドバリュー管理)の指標計算、ウォーターフォールとアジャイルの開発手法の比較を整理します。

目次

プロジェクトマネジメントの全体像

プロジェクトマネジメントの主要な管理ツールは、「何をするか」「いつまでにするか」「コストと進捗は合っているか」という3つの視点に対応しています。

ツール 何を管理するか 主なアウトプット
WBS(Work Breakdown Structure) スコープ管理(何をするか) 作業の階層的な分解リスト
PERT / アローダイアグラム スケジュール管理(いつまでに) クリティカルパス・余裕時間の計算
EVM(Earned Value Management) コスト・進捗の統合管理 SV・CV・SPI・CPI による状態把握
ガントチャート スケジュールの可視化 横棒グラフで各作業の開始・終了を表示

WBS(作業分解構造)

WBSは、プロジェクトの成果物と作業を階層的に分解したものです。「大きな目標を小さな作業単位に分けて全体を見える化する」ツールです。

WBS の階層構造イメージ
プロジェクト全体(例:新システム開発)
要件定義
設計
開発・実装
テスト
リリース
業務ヒアリング
要件書作成
レビュー
基本設計
詳細設計
単体テスト
結合テスト
WBSの最小単位「ワークパッケージ」

WBSの最下位レベルの作業単位を「ワークパッケージ」といいます。工数(人・時間)やコストを見積もり、担当者を割り当てられる粒度に分解したものです。試験では「WBSの最小単位は何か」という問い方で出題されます。

PERT図(アローダイアグラム)

PERTはプロジェクトの作業順序と所要時間を矢印で表した図です。「クリティカルパス」と「余裕時間(フロート)」の計算が試験の最頻出ポイントです。

クリティカルパス

開始から終了までの最長経路。ここを短縮しないとプロジェクト全体が短くならない。余裕時間ゼロの作業の連なり。

フリーフロート

後続作業の最早開始を遅らせずに、その作業を遅延させられる最大時間。作業固有の余裕時間。

トータルフロート

プロジェクト全体の完了を遅らせずに、その作業を遅延させられる最大時間。トータルフロート=最遅開始日-最早開始日。

クリティカルパスの計算手順

① 各経路の所要時間を合計する → ② 最長の経路がクリティカルパス → ③ 各作業のトータルフロート = 最遅完了日 − 最早完了日。クリティカルパス上の作業はトータルフロートが0。試験ではダミー矢印(依存関係を示す所要時間0の矢印)に注意。

EVM(アーンドバリュー管理)

EVMは、計画コスト・実際のコスト・完成した作業の価値(アーンドバリュー)の3軸でプロジェクトの進捗と予算を統合管理する手法です。

EVM の基本3指標
PV Planned Value(計画価値) この時点までに完成すべきだった作業のコスト予算
EV Earned Value(出来高) 実際に完成した作業のコスト予算(実績進捗に基づく価値)
AC Actual Cost(実コスト) 実際に使ったコスト
指標 計算式 正常値 意味
SV(スケジュール差異) EV − PV 0以上(プラス) プラス=進んでいる、マイナス=遅れている
CV(コスト差異) EV − AC 0以上(プラス) プラス=予算内、マイナス=予算超過
SPI(スケジュール効率) EV ÷ PV 1以上 1以上=計画より進んでいる
CPI(コスト効率) EV ÷ AC 1以上 1以上=予算内で進んでいる
EVM の覚え方

SV・CVはどちらも「EV − 何か」の引き算。EV(出来高)が PV(計画)より大きければスケジュール良好、AC(実コスト)より大きければコスト良好です。「EV が基準値になっている」と覚えると混乱しません。

システム開発手法:ウォーターフォールとアジャイル

ウォーターフォール開発
  • 工程を順番に進める(要件→設計→実装→テスト→リリース)
  • 前工程が完了してから次へ進む(後戻り困難)
  • 大規模・要件が明確なプロジェクトに適する
  • 進捗管理・品質管理がしやすい
  • 変更に弱い(後期の変更はコスト大)
アジャイル開発
  • 短い反復(スプリント)を繰り返して開発
  • 各スプリント(2〜4週間)で動くものをリリース
  • 要件変更に柔軟対応できる
  • スクラム・XP(エクストリームプログラミング)が代表的手法
  • 顧客との密なコミュニケーションが前提
スクラムの基本用語
  • プロダクトバックログ:実装すべき機能の優先順位付きリスト
  • スプリントバックログ:そのスプリントでやる作業リスト
  • スプリントレビュー:スプリント終了時の成果物レビュー
  • レトロスペクティブ:プロセス改善のふりかえり
プロトタイピングとスパイラル
  • プロトタイピング:試作品(プロトタイプ)を早期に作り要件を確認してから本開発
  • スパイラルモデル:リスク分析を繰り返しながらウォーターフォールとプロトタイピングを組み合わせる

過去問で確認する

R4年度 第22問(経営情報システム)

アーンドバリュー管理(EVM)に関する記述として適切なものはどれか。
ア. SV(スケジュール差異)はPV−EVで計算される。

ア は不適切。
SV = EV − PV(EV が基準)。PV − EV ではなく、EV − PV が正しい。SV がプラスならスケジュール前倒し、マイナスなら遅延。
H30年度 第23問(経営情報システム)

アローダイアグラム(PERT図)のクリティカルパスに関する問題。各経路の所要日数を計算し、クリティカルパスを求める。

解法:全経路の日数を計算し最大値の経路を選ぶ。クリティカルパス上の作業のトータルフロートは0。ダミー矢印(破線)は所要時間0の依存関係を表す。
R5年度 第21問(経営情報システム)

アジャイル開発に関する記述として最も適切なものを選ぶ問題。スプリント・プロダクトバックログの定義についての正誤。

ポイント:スプリントは通常2〜4週間の短い開発サイクル。プロダクトバックログは優先順位付きの機能要求リスト(スプリントごとに選択して実施)。ウォーターフォールとの違いは「変更への柔軟性」と「短サイクルでの動くものの提供」。

まとめ

整理ポイント
  • WBS:作業を階層的に分解。最小単位は「ワークパッケージ」
  • PERT:クリティカルパス=最長経路、余裕時間(フロート)=最遅完了−最早完了
  • EVM:SV=EV−PV(プラスで前倒し)、CV=EV−AC(プラスで予算内)
  • SPI=EV/PV(1以上で進んでいる)、CPI=EV/AC(1以上で効率的)
  • ウォーターフォール:順次進行・計画重視。アジャイル:反復・変化対応
  • スクラム:プロダクトバックログ→スプリントバックログ→スプリント→レビュー→ふりかえり
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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