システムの信頼性・稼働率——MTBF・MTTR・直列並列計算 | 中小企業診断士1次試験 経営情報システム

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「稼働率0.9のシステムを並列に2台つなぐと稼働率はいくつ?」——経営情報システムでほぼ毎年出る計算です。MTBF・MTTRから稼働率を求め、直列・並列の公式をマスターしましょう。

目次

稼働率の基本——MTBF と MTTR

📌 稼働率の定義

システムがある時間帯に「正常に動いている確率(割合)」のことを稼働率(Availability)といいます。

指標正式名称意味計算のポイント
MTBF平均故障間隔
Mean Time Between Failures
故障から次の故障までの平均時間(正常稼働の平均時間)大きいほど「壊れにくい」
MTTR平均修復時間
Mean Time To Repair
故障してから修復完了までの平均時間小さいほど「すぐ直る」
稼働率(A)= MTBF / (MTBF + MTTR)

計算例:MTBF = 90時間、MTTR = 10時間 の場合

稼働率 = 90 / (90 + 10) = 90/100 = 0.9(90%)

この場合、システムは平均的に時間全体の90%は動いており、10%は修理中ということになります。

MTBF が大きいほど(壊れにくい)、MTTR が小さいほど(すぐ直る)、稼働率は高くなります。高信頼性システムを設計する際は、この2つをともに改善することが基本戦略です。

直列システムの稼働率計算

複数のコンポーネントがすべて正常に動いてはじめてシステムが動作する構成を直列システムといいます。

A(R₁)
B(R₂)
C(R₃)
直列の稼働率 R = R₁ × R₂ × R₃ × …
⚠️ 直列では全パーツの稼働率の積になるため、パーツ数が増えるほど必ず稼働率が下がります(各 R < 1 なので積は必ず小さくなる)。

計算例①:3つのサーバーが直列に接続

サーバーA(稼働率0.9)→ サーバーB(0.8)→ サーバーC(0.95)

システム全体の稼働率 = 0.9 × 0.8 × 0.95 = 0.684(68.4%)

3台すべて高性能でも、直列では合計稼働率が下がる点に注意が必要です。

計算例②:同じ稼働率 0.9 のパーツを2台直列

R = 0.9 × 0.9 = 0.81

並列システムの稼働率計算

複数のコンポーネントのうち1つでも正常に動いていればシステムが動作する構成を並列システムといいます。冗長化(バックアップ)の考え方です。

📌 並列の計算:「どちらも故障する確率」を引く

並列システムが故障するのは「すべてのコンポーネントが同時に故障したとき」だけです。

並列の稼働率 R = 1 − (1−R₁)(1−R₂)(1−R₃)…

計算例①:稼働率0.9のサーバー2台を並列構成

故障確率 = (1 − 0.9) × (1 − 0.9) = 0.1 × 0.1 = 0.01

稼働率 = 1 − 0.01 = 0.99(99%)

1台のとき90%だったのが、並列にすることで99%に向上!

計算例②:稼働率0.8のコンポーネント3台を並列

稼働率 = 1 − (1−0.8)³ = 1 − 0.2³ = 1 − 0.008 = 0.992

⚠️ 並列ではパーツを追加するほど稼働率が上がりますが、コストも増えます。実務では「どこまで冗長化すれば十分か(費用対効果)」の判断が重要です。

直列と並列の組み合わせ計算

試験では直列と並列が組み合わさった複合システムの問題がよく出ます。「内側から外側へ」順番に計算するのがコツです。

計算例:A直列(B並列C)

・AとBの稼働率 = 0.9、Cの稼働率 = 0.8

・BとCが並列:R(BC) = 1−(1−0.9)(1−0.8) = 1−0.1×0.2 = 1−0.02 = 0.98

・Aと(BC)が直列:R(システム) = 0.9 × 0.98 = 0.882

計算例:(A並列B)直列C

・A・Bの稼働率 = 0.8、Cの稼働率 = 0.9

・AとBが並列:R(AB) = 1−(1−0.8)² = 1−0.04 = 0.96

・(AB)とCが直列:R(システム) = 0.96 × 0.9 = 0.864

構成稼働率の変化コスト
直列(パーツ追加)低下(確実)増加
並列(冗長化)向上増加
パーツの品質向上向上増加(場合による)

フォールトトレランスと高可用性

📌 高信頼性を実現する設計概念
用語意味具体例
フォールトトレランス
(耐障害性)
障害が発生してもシステムが継続して動作し続ける能力RAID構成、冗長電源、クラスター構成
フォールトアボイダンス
(障害回避)
そもそも障害が起きないように高品質な部品を使う高信頼性部品の採用、定期保守
フェールセーフ障害発生時に安全な状態に移行する信号機が故障→全方向赤信号
フェールソフト障害発生時に機能を縮退させても動作を継続する一部機能が停止しても主要機能は維持
フールプルーフ誰が操作しても誤動作しないように設計ドアが閉まらないと起動しない洗濯機

RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)

RAID レベル構成特徴
RAID 0ストライピング性能向上(冗長性なし)
RAID 1ミラーリング1台が故障しても継続(コスト高)
RAID 5分散パリティ1台故障に耐えられる(バランス良)
RAID 6二重分散パリティ2台故障に耐えられる

バスタブ曲線——故障率の時間的変化

📌 バスタブ曲線(Bathtub Curve)

機器・システムの故障率は、使用期間によって特徴的なパターンを示します。グラフの形がバスタブ(浴槽)に似ていることからこの名称があります。

フェーズ名称故障の原因対策
初期(使用開始直後)初期故障期製造不良、設計ミス、組み付けミスバーンイン(エージング)テスト
中期(安定稼働中)偶発故障期予測困難なランダム故障定期交換、バックアップ
後期(耐用年数超過)摩耗故障期部品の経年劣化、磨耗計画的な更新・リプレース
⚠️ 偶発故障期は「ランダム」に発生するため、故障率は時間に依存しない(一定)とみなします。MTBF の計算はこの偶発故障期を前提としています。

SLA・可用性の指標

実務では稼働率を「ダウンタイム(年間停止時間)」で表すことが多いです。試験でも「5ナイン(99.999%)」といった表現が登場します。

稼働率年間ダウンタイム(約)表現
99%(2ナイン)約87.6時間許容しにくい
99.9%(3ナイン)約8.76時間一般的なWebサービス
99.99%(4ナイン)約52.6分重要なシステム
99.999%(5ナイン)約5.26分金融・医療・通信インフラ
📌 SLA(Service Level Agreement)

サービス提供者と利用者の間で締結される「サービス品質の保証協定」です。稼働率・応答時間・障害時の対応時間などが明記されます。稼働率99.9%を下回った場合の「返金・ペナルティ」が盛り込まれることもあります。

試験で頻出の計算問題まとめ

問題①:MTBF・MTTRから稼働率を求める

MTBF = 450時間、MTTR = 50時間 のとき稼働率は?

A = 450 / (450 + 50) = 450/500 = 0.9

問題②:並列構成の稼働率

稼働率0.9のシステムを並列に2台構成したときの稼働率は?

R = 1 − (1 − 0.9)² = 1 − 0.01 = 0.99

問題③:直列+並列の複合構成

A(0.9)と、B(0.8)C(0.8)の並列が直列に接続されている場合

B・C並列:R(BC) = 1 − (0.2 × 0.2) = 1 − 0.04 = 0.96

A直列(BC):R = 0.9 × 0.96 = 0.864

問題④:目標稼働率に必要なMTBFを求める

MTTR = 1時間で稼働率99%を達成するためのMTBFは?

0.99 = MTBF / (MTBF + 1)

0.99 × (MTBF + 1) = MTBF

0.99 × MTBF + 0.99 = MTBF

0.99 = MTBF × (1 − 0.99) = 0.01 × MTBF

MTBF = 0.99 / 0.01 = 99時間

よくある疑問——FAQ

Q1. 直列と並列はどうやって見分けますか?
「全部動かないといけない」なら直列、「1つでも動けばOK」なら並列です。例えばサーバー→ルーター→クライアントという経路はすべて必要なので直列。同じサービスを提供する2台のサーバーのどちらかが動けばOKなら並列です。
Q2. MTBFは「故障しない時間」ですか?
「故障してから次に故障するまでの平均時間」です。修理中の時間(MTTR)は含まれません。例えばMTBF=90時間は「平均的に90時間に1回故障する」という意味で、90時間後に必ず故障するという意味ではありません。
Q3. 並列にすれば稼働率は必ず上がりますか?
理論上は上がります。ただし全く同じ稼働率(R=1.0)のコンポーネントを並列にしても意味がありません。また、共通部分(電源・ネットワーク接続など)が単一障害点(SPOF)になっている場合は、その部分の稼働率がボトルネックになります。
Q4. フォールトトレランスとフォールトアボイダンスはどう違いますか?
フォールトトレランス(耐障害性)は「障害が起きても動き続ける」設計。フォールトアボイダンス(障害回避)は「そもそも障害が起きないようにする」設計です。前者はRAIDや冗長化、後者は高品質部品の採用や厳密な品質管理が典型例です。
Q5. バスタブ曲線で一番長いのはどの期間ですか?
偶発故障期(安定稼働期)が最も長い期間です。初期故障期は機器の「慣らし」が終わるまでの短期間、摩耗故障期は耐用年数を超えてからで、通常は使い続ける前に機器を更新します。
Q6. RAIDはどのレベルが試験でよく問われますか?
RAID 0(ストライピング:冗長性なし・速度重視)、RAID 1(ミラーリング:複製で信頼性確保)、RAID 5(パリティで1台故障まで耐える・容量効率が良い)の3つが頻出です。特にRAID 1とRAID 5の違い(ミラーリング vs パリティ分散)は整理しておきましょう。

まとめ——稼働率計算の学習ポイント

📌 試験前に確認する重要ポイント
  1. 稼働率 = MTBF / (MTBF + MTTR):分子がMTBF(稼働)、分母が全体(稼働+修理)
  2. 直列:R = R₁ × R₂ × …(積。パーツ追加→必ず下がる)
  3. 並列:R = 1 − (1−R₁)(1−R₂)…(1 から全部故障の確率を引く)
  4. バスタブ曲線の3期:初期→偶発(最も長い)→摩耗
  5. フォールトトレランス vs フォールトアボイダンス:起きても動く vs そもそも起こさない

稼働率の計算はパターンが決まっているので、公式を正確に覚えれば確実に得点できます。「直列はかけ算、並列は1から引く」というキーフレーズとともに、複合問題も練習しておきましょう。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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