U「CPUってよく聞くけど、何をする部品なの?」「メモリとストレージの違いが曖昧…」という方へ。今日はハードウェアの基礎——CPU・メモリ階層・補助記憶・処理方式をゼロから整理します。試験頻出のRAIDも含めて完全攻略です。
CPUの基本動作——フェッチからライトバックまで
CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)はコンピュータの「頭脳」です。プログラムの命令を読み込み、解読し、実行する役割を担います。計算・論理判断・データ転送の制御など、コンピュータのほぼすべての処理を行います。
CPUが1つの命令を実行するまでには4つのステップがあります。これが繰り返されることでプログラムが実行されます。
プログラムカウンタ(PC)が示すアドレスから、次に実行すべき命令をメモリから読み込む。読み込んだ命令は命令レジスタ(IR)に格納される。その後PCを自動インクリメント(次の命令アドレスに進める)。
命令レジスタに格納された命令を解析し、「何をすればよいか(加算か?比較か?メモリ読み書きか?)」「オペランド(演算対象)はどこか」を解読する。命令デコーダが担当。
ALU(演算論理装置)が算術演算(加算・減算・乗算)や論理演算(AND・OR・XOR)を実行する。また、メモリアクセス命令の場合はメモリへの読み書きを行う。
実行した結果をレジスタまたはメモリに書き戻す。レジスタへの書き込みは極めて高速。メモリへの書き込みはキャッシュを経由することが多い。
CPUの性能指標
| 指標 | 意味 | 単位 | 試験での注意点 |
|---|---|---|---|
| クロック周波数 | CPUが1秒間に実行できるサイクル数。高いほど高速 | GHz(ギガヘルツ) | 「クロック周波数が高いほど処理が速い」は同一アーキテクチャ内でのみ成立 |
| MIPS | 1秒間に実行できる命令の数(Million Instructions Per Second) | MIPS(百万命令/秒) | 異なるアーキテクチャ間の比較には不適(命令セットが異なるため) |
| コア数 | CPU内の処理コアの数。コアが多いほど並列処理能力が高い | コア数 | マルチコアでも全コアを使うにはマルチスレッド対応アプリが必要 |
| CPI | 1命令あたりの平均クロック数(Cycles Per Instruction) | クロック/命令 | CPIが低いほど効率が高い。RISC vs CISCの比較でよく使う |
CISC(Complex Instruction Set Computer):複雑な命令セット。1命令で多くの処理ができる。Intel x86アーキテクチャが代表例。
RISC(Reduced Instruction Set Computer):シンプルな命令セット。1命令を短時間で実行。ARM(スマートフォン・Apple M1/M2チップ)・MIPS・PowerPCが代表例。
近年はRISCベースのARMが電力効率の高さからモバイル・データセンターで普及しています。Apple M1チップもARMアーキテクチャです。
メモリの階層——レジスタからハードディスクまで
コンピュータのメモリは「速さ」と「容量」のトレードオフで階層化されています。CPUに近いほど高速・小容量・高コスト。CPUから遠いほど低速・大容量・低コストです。CPUは常に「より速い層のメモリ」から命令やデータを読み込もうとします。
↑ 高速・小容量・高コスト 低速・大容量・低コスト ↑
| 階層 | アクセス速度 | 容量の目安 | 揮発性 | 役割 |
|---|---|---|---|---|
| レジスタ | 約0.3ns(最速) | 数十〜数百バイト | 揮発性 | CPU内部の作業領域。演算の入出力を一時保持 |
| L1キャッシュ | 約1ns | 32KB〜256KB | 揮発性 | コアごとに搭載。命令キャッシュ・データキャッシュ |
| L2キャッシュ | 約3〜10ns | 256KB〜数MB | 揮発性 | コアごと又は共有。L1ミス時にアクセス |
| L3キャッシュ | 約10〜30ns | 数MB〜数十MB | 揮発性 | 全コア共有。LLC(Last Level Cache)とも呼ぶ |
| 主記憶(RAM) | 約50〜100ns | 4GB〜数百GB | 揮発性 | 実行中のプログラムとデータを格納 |
| 補助記憶(SSD) | 約50〜200μs | 数百GB〜数TB | 不揮発性 | OS・アプリ・ファイルを永続的に保存 |
| 補助記憶(HDD) | 約5〜20ms | 数百GB〜数十TB | 不揮発性 | 大容量データの長期保存。SSDより低コスト |
キャッシュメモリの仕組み
CPUが主記憶にアクセスする前にまずキャッシュを確認します。目的のデータがキャッシュにある場合をキャッシュヒット、ない場合をキャッシュミス(キャッシュフォルト)と言います。キャッシュヒット率が高いほど主記憶へのアクセスが減り、処理が高速になります。局所参照性(最近アクセスしたデータや、アクセスしたデータの近隣データを再びアクセスする傾向)を利用してキャッシュ効率を高めます。
主記憶の種類——DRAMとSRAMの比較
| 種類 | 正式名称 | 構造 | 速度 | コスト | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| DRAM | Dynamic RAM | コンデンサ+トランジスタ。定期的リフレッシュが必要 | 中程度(SRAMより遅い) | 低い(大容量化しやすい) | 主記憶(RAM)として使用。PCのメモリスティック |
| SRAM | Static RAM | フリップフロップ回路。リフレッシュ不要 | 高速 | 高い(回路が複雑で大容量化困難) | CPUのキャッシュメモリ |
| ROM | Read Only Memory | 読み取り専用(書き換え不可または難) | 中程度 | 低い | BIOS・ファームウェアの格納。電源断でも消えない |
| フラッシュメモリ | — | 電気的に読み書き消去可能。不揮発性 | 中程度 | 中程度 | SSD・USBメモリ・SDカード・スマートフォン |
DRAMはコンデンサ(電荷)にデータを格納しますが、コンデンサは自然放電するため数ミリ秒ごとに電荷を補充(リフレッシュ)する必要があります。このリフレッシュ動作中はメモリアクセスができないため、SRAMより速度が劣ります。ただし、1セルあたりのトランジスタ数がSRAM(6個)に比べてDRAM(1個)のほうが少ないため、大容量化・低コスト化が容易という優位性があります。
補助記憶装置の比較とRAID
主要な補助記憶装置の比較
| 種類 | 記録方式 | アクセス速度 | 耐衝撃性 | 容量単価 | 特徴・用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| HDD (ハードディスク) | 磁気記録。磁気ディスクを回転させ、読み書きヘッドでアクセス | 遅い(シークタイム・回転待ち時間が発生) | 低い(物理的衝撃で破損しやすい) | 最も安い | 大容量データの長期保存・バックアップ・サーバー用途 |
| SSD (ソリッドステートドライブ) | フラッシュメモリ(電気)。可動部なし | 高速(HDDの数十〜数百倍) | 高い(衝撃に強い) | HDDより高い(差は縮小中) | OS・アプリのインストール先。ノートPC・スマートフォン |
| 光学ディスク (CD・DVD・Blu-ray) | レーザー光で読み書き | 遅い | 中程度 | 安い(メディアのみ) | ソフトウェア配布・音楽・映像・アーカイブ |
| 磁気テープ | 磁気テープに順次記録 | シーケンシャルアクセスのみ(ランダムアクセス不可) | 中程度 | 最も安い大容量 | 長期バックアップ・大規模アーカイブ |
RAID——試験最頻出の補助記憶論点
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks:廉価なディスクの冗長アレイ)は、複数のHDD/SSDを組み合わせて「信頼性向上」または「性能向上」を実現する技術です。診断士試験ではRAID0・RAID1・RAID5の3種類が頻出です。
| RAIDレベル | 構成 | 耐障害性 | 容量効率 | 読み書き性能 | 用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| RAID 0 (ストライピング) | データを複数ディスクに分散して書き込む(冗長なし) | ✕ 1台故障でデータ全損 | ◎ 100%(無駄なし) | ◎ 最も高速(並列読み書き) | 一時ファイル・ゲームデータ(失ってもよいデータ) |
| RAID 1 (ミラーリング) | 同じデータを2台以上のディスクに複製する | ◎ 片方が故障しても継続動作 | △ 50%(もう1台分は冗長) | ○ 読み込みは高速、書き込みは同速 | 基幹系・会計データ・重要データ |
| RAID 5 (パリティ分散) | データとパリティ(誤り訂正情報)を全ディスクに分散 | ○ 1台故障まで復元可能 | ○ (N-1)/N(3台なら67%) | ○ 読み込み高速・書き込みやや低速 | ファイルサーバー・NAS・汎用用途 |
| RAID 6 | パリティを2重に分散(RAID5の強化版) | ◎ 2台同時故障まで復元可能 | △ (N-2)/N | ○ | 大規模ストレージ・ミッションクリティカル |
処理方式——バッチ・リアルタイム・分散・並列処理
コンピュータシステムがどのように処理を行うかという「処理方式」も診断士試験の頻出分野です。業務システムの特性に合った処理方式を選択することが情報システム戦略の基礎です。
| 処理方式 | 概要 | メリット | デメリット | 典型的な用途 |
|---|---|---|---|---|
| バッチ処理 (一括処理) | データを蓄積し、まとめて一括処理する | CPU効率が高い。夜間など処理負荷が低い時間帯に実行可能 | リアルタイム性がない。処理完了まで結果を使えない | 給与計算・月次決算・銀行の夜間バッチ・メール一括配信 |
| リアルタイム処理 (オンライン処理) | データが発生した即時に処理する | 常に最新の結果が得られる | システムコストが高い。ピーク時の負荷に対応するため過剰スペックになりがち | ATM・POS・航空券予約・株式取引・ECサイト注文処理 |
| 分散処理 | 処理を複数のコンピュータに分散して実行する | 単一障害点をなくせる。スケールアウトが容易 | 通信コスト・整合性管理が複雑になる | クラウド・Webアプリケーション・マイクロサービス |
| 並列処理 | 1台のコンピュータ内で複数の処理を同時実行する | 処理時間を大幅に短縮できる | 並列化できるタスクに限る。設計・デバッグが複雑 | 科学技術計算・画像処理・機械学習・GPU活用 |
リアルタイム処理とバッチ処理の使い分け
- 在庫の即時更新が必要(ECサイトの在庫管理)
- 顧客が待てない(ATM・カード決済)
- 安全に直結(製造設備の監視・緊急停止)
- 金融取引(株式・FX・仮想通貨)
- 夜間に実行できる定型作業(給与計算・請求書生成)
- 大量データの集計・レポート作成
- EDI(電子データ交換)のデータ連携
- データ分析・機械学習のモデル再学習
リアルタイム処理のコストが高く、純粋なバッチ処理では遅すぎる場合の中間的な解決策として、数秒〜数分ごとに小さなバッチ処理を繰り返す「マイクロバッチ処理」があります。Apache SparkのStreaming処理などがこの方式を採用しています。診断士試験では出題頻度は高くありませんが、実務的な観点として知っておくと有用です。
試験対策——メモリ階層・RAIDの特徴まとめ
ハードウェア基礎の出題パターンを整理し、確実に得点できる論点を確認します。
| 出題パターン | 正解のポイント | よくある誤りの選択肢 |
|---|---|---|
| メモリ階層の順序 | レジスタ→キャッシュ→主記憶→補助記憶(CPU側から順に) | 「キャッシュは主記憶より大容量」は誤り(逆) |
| DRAM vs SRAM | DRAM=主記憶(低コスト大容量)、SRAM=キャッシュ(高速高コスト) | 「SRAMはリフレッシュが必要」は誤り(DRAMが必要) |
| RAID0の特徴 | 高速だが冗長性なし。1台故障でデータ全損 | 「RAID0は1台故障しても継続できる」は誤り |
| RAID1の特徴 | ミラーリング。容量効率50%。1台故障でも継続 | 「RAID1の容量はディスク台数分」は誤り(50%のみ使える) |
| RAID5の特徴 | パリティ分散。1台故障まで復元可能 | 「RAID5は2台同時故障でも復元できる」は誤り(RAID6が必要) |
| 処理方式の選択 | リアルタイム=即時性重視、バッチ=効率重視・夜間実行 | 「バッチ処理はリアルタイム性がある」は誤り |
CPU4ステップ:フェッチ→デコード→実行→ライトバック
メモリ階層:レジスタ(最速)→L1/L2/L3キャッシュ→RAM→SSD/HDD(最大容量)
DRAM:主記憶用、リフレッシュ必要、低コスト大容量
SRAM:キャッシュ用、リフレッシュ不要、高速高コスト
RAID0:速い・冗長なし。RAID1:ミラー・50%容量。RAID5:パリティ・1台故障まで復元
よくある質問(FAQ)
ハードウェアの基礎——CPU・メモリ・記憶装置・処理方式は、経営情報システムで確実に出題される分野です。CPUの4ステップ(フェッチ→デコード→実行→ライトバック)、メモリ階層の順序(レジスタ→キャッシュ→RAM→補助記憶)、DRAM(主記憶)とSRAM(キャッシュ)の違い、RAID0・RAID1・RAID5の特性、バッチ処理とリアルタイム処理の使い分けを確実に覚えて、得点源にしてください。









