Uまとめシートで中小企業政策を勉強していたとき、「経営革新」「事業承継」「BCP」「補助金」が別々のページに散らばっていて、全体像がつかみにくいと感じました。
一度、4つのテーマを横断して整理してみたら、「中小企業を守り、育て、次世代につなぐ」という施策の大きな流れが見えてきた気がします。
中小企業政策の試験では、「どの施策が・誰に・どんな支援をするか」をセットで覚えることが得点への近道です。このページでは、1次試験に頻出の4テーマを要件・承認機関・数値目標を中心に整理しています。
経営革新計画とは
「経営革新計画」は、中小企業が新事業活動を通じて経営の相当程度の向上を図る計画を策定し、都道府県知事等の承認を受けることで、低利融資・信用保証の特例・補助金申請の優遇などの支援措置を受けられる制度です。根拠法は「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(中小企業新事業活動促進法)」です。
事業承継の3つの方法
中小企業の経営者が引退する際、後継者に事業を引き継ぐことを「事業承継」といいます。方法は大きく3つに分類でき、それぞれにメリット・デメリットがあります。試験では3類型の特徴の違いや、税制上の扱いが問われることがあります。



事業承継税制の「特例措置」と「一般措置」の違いは、試験でよく問われます。特例措置では贈与税・相続税ともに100%が猶予されるのに対し、一般措置は贈与税100%・相続税80%という違いがあります。また「特例承継計画の提出期限(2027年3月末)」は数字として押さえておきたいところです。
BCP(事業継続計画)とは
BCP(Business Continuity Plan)とは、地震・感染症・火災・サプライチェーン断絶などの緊急事態が発生した際に、重要な事業を継続または早期に復旧するための行動計画です。単なる「危機対応マニュアル」とは異なり、「何が止まると会社の存続に関わるか」という視点から重要業務を特定し、事前に対策を準備しておく計画です。中小企業基盤整備機構(中小機構)が策定支援ツールやセミナーを提供しています。
主な補助金・助成金の種類
中小企業向けの補助金・助成金は種類が多く、試験では「対象・上限額・目的」のセットで問われることがあります。補助金は事業終了後に実績報告が必要な「後払い」が基本で、採択率・審査があるものがほとんどです。
| 補助金名 | 主な対象 | 補助上限(目安) | 主な目的・用途 |
|---|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 750〜1,250万円 | 革新的な製品・サービス開発や生産プロセス改善のための設備投資 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者 | 50〜250万円 | 販路開拓・業務効率化のための取り組み(広告・設備・Webサイト等) |
| IT導入補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 最大450万円 | ITツール(会計ソフト・POSレジ・受発注システム等)の導入によるDX推進 |
| 事業再構築補助金 | 中小企業等 | 最大7,000万円〜 | 外部環境変化への対応として、新分野展開・業態転換・事業転換を支援 |
千葉の小さな食堂で考えてみると
千葉県のある小さな定食屋「U食堂」を想像してみてください。70代の大将が「そろそろ引退しようか」と考えているとします。
この状況に、4つの施策がどう関わるか整理してみます。
事業承継:身内・社内に後継者がいないなら、長年働いている従業員(類型②)か、外部の買い手へのM&A(類型③)を検討できます。事業承継・引継ぎ支援センターに相談すれば、マッチング支援を無料で受けられます。
経営革新計画:引退前に大将が「テイクアウト専門の弁当事業」を始めようとしていた場合、これは「新役務の開発・提供」にあたる新事業活動です。知事に承認を受ければ、低利融資の優遇措置を活用できます。
BCP:大将が急病になったとき、食堂はすぐ営業できなくなります。「主要レシピの引き継ぎ」「仕入先リストのバックアップ」「代替スタッフの手配先」など、事前に決めておくことがBCPの考え方です。
IT導入補助金:モバイルオーダーシステムやPOSレジを導入することで、業務効率化と後継者への引き継ぎがスムーズになります。IT導入補助金を活用すれば、導入費用の一部を補助してもらえます。
過去問で確認する
経営革新計画に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア. 経営革新計画の承認は、すべての場合において中小企業庁長官が行う。
- イ. 経営革新計画の計画期間は5年以上でなければならない。
- ウ. 経営革新計画では、付加価値額または経常利益の年率3%以上の向上を目標の一つとする。
- エ. 「新事業活動」として認められるのは、新商品の開発・生産のみである。
ア×:原則として都道府県知事が承認します(複数都道府県にまたがる場合は経済産業大臣等)。イ×:計画期間は3年〜5年です。エ×:新事業活動は新商品だけでなく、新サービス・新生産方式・新市場開拓・新組織管理方式の5種類があります。ウ○:付加価値額または経常利益が年率3%以上、かつ1人当たり付加価値額も年率3%以上向上することが数値目標の基準です。
非上場株式等にかかる事業承継税制(特例措置)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア. 特例措置では、相続税の80%が猶予される。
- イ. 特例措置の適用には、特例承継計画を2027年3月31日までに都道府県知事へ提出する必要がある。
- ウ. 事業承継税制は、上場企業の株式も対象となる。
- エ. 後継者は先代経営者の親族に限られる。
ア×:特例措置では贈与税・相続税ともに100%が猶予されます(一般措置は贈与税100%・相続税80%)。ウ×:対象は非上場株式等のみです。エ×:後継者は親族以外の役員・従業員でも対象になります。イ○:特例承継計画の提出期限は2027年3月31日です。
この4テーマで混乱しやすいのが「承認機関の使い分け」です。経営革新計画は都道府県知事(原則)、事業承継税制の特例承継計画も都道府県知事に提出します。一方、よろず支援拠点や中小機構への相談は「承認」ではなく「相談・支援」なので、「承認」という言葉が出てきたら知事等への申請を思い浮かべるとよさそうです。
補助金は毎年公募条件が変わるため、試験では「上限額の数字」より「対象・目的の組み合わせ」が問われることが多い印象です。まずは4種類の補助金の名前と目的をセットで整理することを優先しています。









