Uハーズバーグの理論を初めて読んだとき、少し驚きました。
「給料を上げてもモチベーションは上がらない」という主張が書いてあって、え、本当に?と思って。
でもよく読むと、「不満を取り除くこと」と「やる気を引き出すこと」は、まったく別の話なんですね。
モチベーション理論は、企業経営理論の「組織論」の中核テーマです。出題される理論は複数ありますが、大きく「内容理論(何がやる気を生むか)」と「プロセス理論(どのようにやる気が生まれるか)」の2軸で整理すると、混乱せずに覚えられます。
内容理論
マズロー欲求5段階説
ハーズバーグ2要因理論
プロセス理論
ブルーム期待理論
アダムス公平理論
ロック目標設定理論
目次
マズローの欲求段階説
自己実現欲求
自分の可能性を最大限に発揮したい。成長・創造・達成への欲求。
資格合格・社会貢献
承認(尊厳)欲求
他者から認められたい、尊重されたいという欲求。
昇進・表彰・評価
社会的欲求(所属)
集団に属したい、仲間と関わりたいという欲求。
チーム・友人関係
安全欲求
身体的・経済的な安全を確保したいという欲求。
雇用安定・保険
生理的欲求
食事・睡眠・休息など、生命維持に必要な最も基本的な欲求。
食事・睡眠・給与
※ マズローの理論では、低次の欲求が満たされると次の層の欲求が生まれるとされる。
※ 第1〜4層を「欠乏欲求」、第5層を「成長欲求」と区分する場合もある。
ハーズバーグの2要因理論
衛生要因(Hygiene Factor)
不満を取り除く要因。充足しても満足にはならない。
- 給与・賃金水準
- 会社の方針・管理体制
- 上司との人間関係
- 作業環境・労働条件
- 雇用の安定性
キーワード:「不満の除去」。これが不十分だと不満が生まれるが、十分に満たしてもモチベーションは上がらない。
動機づけ要因(Motivator Factor)
積極的な満足・やる気を生む要因。
- 達成感・成果の実感
- 承認・評価される経験
- 仕事そのものへの興味
- 責任の付与・権限委譲
- 昇進・成長の機会
キーワード:「満足の付与」。これが充実していると積極的な動機づけが生まれる。仕事の内容・質に関わる要因が中心。
プロセス理論3つを比較する
期待理論(Expectancy Theory)
動機づけ
= 期待 × 道具性 × 誘意性
= 期待 × 道具性 × 誘意性
期待:努力すれば成果が出るという見込み
道具性:成果が報酬につながるという見込み
誘意性:その報酬に対してどれだけ魅力を感じるか
3つのかけ算なので、どれか1つがゼロだと動機づけもゼロになる。「頑張っても無駄」「評価されない」「報酬に魅力がない」のいずれかで意欲は消える。
道具性:成果が報酬につながるという見込み
誘意性:その報酬に対してどれだけ魅力を感じるか
3つのかけ算なので、どれか1つがゼロだと動機づけもゼロになる。「頑張っても無駄」「評価されない」「報酬に魅力がない」のいずれかで意欲は消える。
試験頻出:「期待理論の3要素」を選択肢から選ばせる問題が多い。
公平理論(Equity Theory)
自分の比率
= 他者の比率?
(成果/投入)の比較
= 他者の比率?
(成果/投入)の比較
自分の「投入(努力・時間)÷ 成果(報酬・評価)」の比を、他者と比べて不公平と感じたとき、緊張・不満が生じてモチベーションが低下する。
公平感を回復するために、①努力を減らす ②成果を要求する ③比較対象を変える などの行動をとる。
公平感を回復するために、①努力を減らす ②成果を要求する ③比較対象を変える などの行動をとる。
試験頻出:「他者との比較」がポイント。不公平感の解消行動まで問われる。
目標設定理論(Goal Setting Theory)
明確で挑戦的な目標
+ フィードバック
→ 高い業績
+ フィードバック
→ 高い業績
曖昧な目標より具体的で困難な目標の方が、高い業績につながる。ただし目標が難しすぎると逆効果。
条件:①目標が明確 ②難易度が適切 ③本人が目標を受け入れている ④進捗フィードバックがある
条件:①目標が明確 ②難易度が適切 ③本人が目標を受け入れている ④進捗フィードバックがある
試験頻出:「目標の明確性・困難性」の組み合わせと、「フィードバックの重要性」が問われる。



ハーズバーグの「給料を上げても満足にはならない」という主張は、自分の勉強に当てはめるとよくわかる気がします。テキストの環境を整えること(衛生要因)は必要でも、それだけでは勉強が楽しくはならない。問題が解けた達成感(動機づけ要因)があってこそ、もっとやりたいと思える。
自分の勉強で考えてみると
SELF-APPLY — ハーズバーグで自分の学習を分析
診断士の独学で感じる「不満の除去」と「やる気の源泉」は別物だった
テキストを揃えて、静かな勉強場所を確保して(衛生要因)——それだけでは全然やる気が出なかった。でも過去問を解いて「あ、これ解けた」という瞬間(動機づけ要因)があると、次の問題を解きたくなる。環境整備は不満を消すだけで、やる気の火はまた別のところから生まれると実感しています。
衛生要因(不満の除去)
静かな場所・テキストの揃え・時間の確保。足りないと集中できないが、揃えてもやる気は生まれない。
動機づけ要因(やる気の源泉)
過去問が解けた達成感、理解できたときの「つながる感覚」、ブログで整理できたときの充実感。
過去問で確認する
企業経営理論 — モチベーション理論
令和2年度 第16問
ハーズバーグ(F. Herzberg)の動機づけ・衛生理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 給与水準の改善は、従業員の積極的な動機づけにつながる動機づけ要因である。
- イ 衛生要因は、それが不十分なとき不満を引き起こすが、改善しても満足や動機づけにはならない。
- ウ 動機づけ要因と衛生要因は独立したものであり、「満足」と「不満足」は対極にあるのではなく別の次元にある。
- エ 上司との人間関係は、仕事の充実感をもたらす動機づけ要因である。
解説
正解はウ。ハーズバーグの核心は、「満足の反対は不満足ではない」という点。動機づけ要因が満たされると「満足」、衛生要因が不足すると「不満足」が生まれ、この2軸は独立している。
ア:給与は衛生要因です。
イ:前半は正しいが「改善しても満足にならない」のがポイントで、このイ自体の記述は不完全ではないが、ウの方がより核心を突いている。
エ:上司との人間関係は衛生要因です。
ア:給与は衛生要因です。
イ:前半は正しいが「改善しても満足にならない」のがポイントで、このイ自体の記述は不完全ではないが、ウの方がより核心を突いている。
エ:上司との人間関係は衛生要因です。
企業経営理論 — 期待理論
平成30年度 第14問
ブルーム(V.H. Vroom)の期待理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 動機づけの強さは、欲求の強度と欲求を満たす物の存在確率の和によって決まる。
- イ 人は他者との比較において、自分の投入と成果の比率が公平かどうかを評価する。
- ウ 動機づけの力は、期待・道具性・誘意性の積によって決まり、どれかひとつがゼロであれば力はゼロとなる。
- エ 明確かつ困難な目標が設定されることにより、高い業績が生み出される。
解説
正解はウ。ブルームの期待理論は「期待 × 道具性 × 誘意性」の積で動機づけの力が決まる。かけ算なのでいずれかがゼロなら結果もゼロになる点が重要。
ア:「和」ではなく「積」です。
イ:アダムスの公平理論の説明です。
エ:ロックの目標設定理論の説明です。
ア:「和」ではなく「積」です。
イ:アダムスの公平理論の説明です。
エ:ロックの目標設定理論の説明です。
Uのメモ
MEMO — 整理してわかったこと
- 内容理論(マズロー・ハーズバーグ)は「何がやる気を生むか」、プロセス理論(ブルーム・アダムス・ロック)は「どうやる気が生まれるか」で区別する
- ハーズバーグは「衛生要因の充足=不満の除去」「動機づけ要因の充足=満足の付与」と2軸が独立している点が核心
- 期待理論は「積」なのでどれかゼロなら全部ゼロ——この構造が試験でよく問われる
- 公平理論は「他者との比較」が本質。不公平感が生じたときの解消行動まで押さえておく
- 目標設定理論は「明確+困難+受け入れ+フィードバック」の4条件をセットで覚える









