製品ライフサイクル(PLC)まとめ|イノベーター理論・キャズムを図解で整理

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「キャズム」という言葉を初めて聞いたとき、「溝」という意味だと知って、なるほどと思いました。

新しい製品がアーリーアダプターまでは売れても、そこで急に失速してしまう——その「なぜ?」がイノベーター理論とつながった瞬間、PLCの形が急に立体的に見えてきました。

製品ライフサイクル(PLC)・イノベーター理論・キャズム理論は、それぞれ単独で問われることも多いですが、「製品がどう普及するか」という同じ現象を別の角度から見た理論です。3つを重ねて理解すると、試験での応用問題にも対応しやすくなります。
THEORY 01
製品ライフサイクル(PLC)
導入→成長→成熟→衰退の4段階。段階ごとに戦略を変える必要がある。
THEORY 02
イノベーター理論
消費者を採用の早さで5分類。各層の特性に合わせたアプローチが必要。
THEORY 03
キャズム理論
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に存在する「越えられない溝」。
目次

製品ライフサイクル(PLC)の4段階

導入期 成長期 成熟期 衰退期 売上・利益
STAGE 01
導入期
売上低い
利益赤字〜微益
競合少ない
認知獲得が最優先。高価格(スキミング)または普及価格(ペネトレーション)を選択。
STAGE 02
成長期
売上急増
利益増加
競合参入増加
シェア拡大が優先。流通チャネルの拡充、製品バリエーションの拡大。
STAGE 03
成熟期
売上横ばい
利益減少傾向
競合激化
差別化・コスト削減・新用途開発。撤退の判断も必要になる段階。
STAGE 04
衰退期
売上減少
利益低下・赤字
競合撤退相次ぐ
撤退・縮小・リポジショニング。残存者利益を狙う戦略も。

各段階のマーケティング戦略

段階 製品(Product) 価格(Price) 流通(Place) 販促(Promotion)
導入期 基本仕様・品質確保 高価格 or 浸透価格 限定的・選択的 認知拡大・教育的広告
成長期 バリエーション拡大 市場浸透価格 チャネル拡充 ブランド選好の形成
成熟期 差別化・改良 競合対抗・値下げ 集中的配荷 スイッチング促進
衰退期 絞り込み・廃番 低価格維持 or 撤退 選択的に縮小 必要最小限

イノベーター理論——5つの採用者分類

2.5%
13.5%
34%
34%
16%
2.5%
イノベーター
新しもの好き。リスクを厭わず最初に採用する革新者。
13.5%
アーリー
アダプター
オピニオンリーダー。周囲への影響力が大きい意見先導者。
34%
アーリー
マジョリティ
慎重だが平均より早い。実績や口コミを見てから採用。
34%
レイト
マジョリティ
懐疑的。多数派になってから採用する保守的な層。
16%
ラガード
最後まで採用しない遅滞者。伝統・慣習を重視。

キャズム理論——越えられない溝

キャズム(Chasm)理論 — ジェフリー・ムーア
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に存在する「深い溝」
キャズムの左側(初期市場)
イノベーター・アーリーアダプター
新しさ・可能性を買う層
実用性より革新性を重視
キャズム
キャズムの右側(メインストリーム市場)
アーリーマジョリティ以降
実績・安心感・サポートを重視
「みんなが使っているから」が動機
なぜ溝が生まれるか:初期市場と主流市場では、製品に求めるものがまったく異なる。アーリーアダプターは「可能性」を買うが、アーリーマジョリティは「確実な実績」がないと動かない。この価値観のギャップがキャズムの正体。
試験のポイント:「キャズムを越える」ためには、ニッチ市場に集中してリファレンス(実績)を作り、そこからメインストリームへ橋頭堡を築くことが重要とされる。
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スマートフォンが出てきたとき、最初は「マニア向けのおもちゃ」と言われていたのに、今や全員が使っていますよね。あれがキャズムを越えた瞬間だったのかな、と思うと理論が急に身近になります。

スマートフォンで考えてみると

初代iPhoneから現在まで——3つの理論がすべて当てはまる
導入期(2007〜2009年頃)
イノベーターが飛びつく。「なぜこんな高いのを買うの?」と言われながらも、アーリーアダプターが口コミで広める。
成長期(2010〜2013年頃)
キャズムを越え、アーリーマジョリティが「じゃあ私も」と動く。競合(Android)が続々参入し市場が急拡大。
成熟期(2014年〜現在)
普及率が飽和し、差別化(カメラ・バッテリー)が競争軸に。レイトマジョリティ・ラガードも含め全員が使う状態。
キャズムを越えた要因
App Storeのエコシステム整備・キャリアの割引施策・「周囲が使い始めた」という安心感がアーリーマジョリティを動かした。

過去問で確認する

企業経営理論 — 製品ライフサイクル 令和元年度 第32問
製品ライフサイクルの各段階における特徴と戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 導入期には多くの競合他社が市場に参入するため、差別化戦略が最も重要になる。
  • イ 成長期には競合他社の参入が増加し、市場シェアの拡大と流通チャネルの拡充が重要な課題となる。
  • ウ 成熟期には売上が急増するため、大規模な設備投資と生産能力の増強が優先される。
  • エ 衰退期には競合他社が増加するため、積極的な新製品開発が求められる。
解説
正解は。成長期は売上が急増し競合が参入してくる段階。シェア拡大のためにチャネルを広げる戦略が適切。
ア:競合が多く参入するのは成長〜成熟期。導入期の競合はまだ少ない。
ウ:売上が横ばい・減少に転じるのが成熟期の特徴。急増するのは成長期。
エ:衰退期に競合が増えるのではなく、むしろ撤退が相次ぐ。
企業経営理論 — イノベーター理論・キャズム 平成27年度 第33問
イノベーター理論とキャズム理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア アーリーマジョリティはオピニオンリーダーとして機能し、周囲への影響力が最も大きい。
  • イ キャズムとは、イノベーターとアーリーアダプターの間に存在する深い溝のことである。
  • ウ ラガードは新製品を積極的に採用するため、市場導入後すぐにターゲットとすべき層である。
  • エ キャズムを越えるためには、特定のニッチ市場に集中して実績を作り、そこを足がかりにメインストリーム市場へ展開することが有効とされる。
解説
正解は。キャズムを越える戦略として、ムーアはニッチへの集中→リファレンス構築→主流市場への展開を提唱。
ア:オピニオンリーダーはアーリーアダプターの特徴。
イ:キャズムはアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間の溝。
ウ:ラガードは最後まで採用しない層。導入直後のターゲットにはならない。

Uのメモ

MEMO — 整理してわかったこと
  • PLCの4段階は「導入→成長→成熟→衰退」——各段階の売上・利益・競合の状態をセットで覚える
  • 導入期の価格戦略は「スキミング価格(高価格)」と「ペネトレーション価格(浸透価格)」の2択が頻出
  • イノベーター理論の比率は「2.5→13.5→34→34→16」——全部足すと100%になる確認で覚えやすい
  • キャズムの「溝」は「アーリーアダプター↔アーリーマジョリティ」の間——「イノベーター↔アーリーアダプター」ではない点に注意
  • 3理論の関係:PLC(時間軸)+イノベーター理論(採用者分類)+キャズム(溝の説明)は同じ現象を補完し合う

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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