ブランド戦略(ブランドエクイティ)まとめ|アーカーモデルを図解で整理

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近所のコンビニにも、スターバックスにも、コーヒーが売っています。値段は2〜3倍ほど違うのに、スタバには行列ができる。この「差」がずっと気になっていました。品質だけでは説明できない何かがある、と感じていたところで、ブランドエクイティという考え方に出会いました。

ブランドは、製品に「名前と意味」を与えるものです。同じカテゴリの製品でも、ブランドによって価格も顧客層も大きく変わります。中小企業診断士の試験では、ブランドエクイティの構成要素(アーカーモデル)やブランド拡張の戦略マトリクスが問われます。この記事では、ブランド戦略の基本から試験頻出のポイントまでを整理してみます。
目次

ブランドが果たす3つの機能

BRAND FUNCTION

ブランドはなぜ企業にとって重要なのでしょうか。まず、ブランドが消費者に対して果たす基本的な3つの役割から確認します。

識別機能
他の製品・サービスと区別するための「目印」として機能します。ロゴ・名前・パッケージデザインなどが該当します。
保証機能
「このブランドなら安心」という品質への信頼を提供します。消費者が初めての製品を選ぶときの情報コストを下げる働きをします。
想起・感情機能
ブランドに結びついたイメージや感情(「おしゃれ」「環境に優しい」など)を想起させます。プレミアム価格を正当化する源泉にもなります。

アーカーのブランドエクイティ

AAKER MODEL

デイビッド・アーカーは、ブランドが持つ資産価値(ブランドエクイティ)を4つの要素に整理しました。この4要素は診断士試験でも頻出です。

ブランドエクイティ(Aaker Model)
01
ブランド認知(Brand Awareness)
そのブランドがどれだけ多くの人に知られているかを示します。認知度が高いほど、購買候補リストに入りやすくなります。
例:「コーラといえば?」と聞かれて真っ先に浮かぶブランド
02
知覚品質(Perceived Quality)
消費者がブランドに対して感じる品質の評価です。実際の品質と異なる場合もあり、イメージや評判によって形成されます。
例:「あのブランドのものなら質が良いはず」という印象
03
ブランド連想(Brand Associations)
ブランド名を聞いたときに頭に浮かぶイメージ・感情・属性の総体です。「本物感」「高級感」「親しみやすさ」などが連想の例です。
例:アップルと聞いてシンプルさ・革新性を連想する
04
ブランドロイヤルティ(Brand Loyalty)
顧客が繰り返しそのブランドを選び続ける度合いです。ロイヤルティが高い顧客はスイッチングコストを感じており、価格競争の影響を受けにくくなります。
例:他社が安くても「いつものブランド」を選ぶ
試験のポイント:ブランドエクイティの4要素は「認知・品質・連想・ロイヤルティ」と覚えると整理しやすいです。また、ブランドエクイティが高い企業は、新製品へのブランド拡張(後述)が成功しやすくなります。
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「知覚品質」という言葉が印象的でした。実際の品質と消費者の認識がずれることがある、というのは、マーケティングの面白いところだと思います。良いものを作るだけでなく、「良い」と感じてもらう設計も必要なのですね。

ブランド拡張の4つの戦略

BRAND EXTENSION MATRIX

ブランドを新たな製品・市場に展開するとき、「既存のブランド名を使うか」「新しいカテゴリに進出するか」という2軸で4つの戦略に整理できます。コトラーのブランド拡張マトリクスとして試験に登場します。

既存ブランド名を使う 新しいブランド名を使う
既存製品カテゴリ
ライン拡張
同じカテゴリ内で、フレーバー・サイズ・対象ターゲットを広げる。
例:コカ・コーラ → コカ・コーラ ゼロ
マルチブランド
同じカテゴリ内で、異なるブランドを複数展開してセグメントを取りに行く。
例:P&G が洗濯洗剤で「アリエール」「ボールド」を並立
新製品カテゴリ
ブランド拡張
既存ブランドへの信頼を活かして、新しいカテゴリに進出する。成功すれば低コストで市場参入できる。
例:ヤマハ(楽器)→ ヤマハ(バイク・スポーツ用品)
新ブランド
新カテゴリへの進出に際し、ゼロから新しいブランドを立ち上げる。既存ブランドへのイメージ毀損リスクを避けられる。
例:トヨタが高級車市場向けに「レクサス」を設立
試験頻出:「ブランド拡張」と「ライン拡張」の違いは頻繁に問われます。カテゴリが変わるかどうかが判断の鍵です。既存カテゴリ内 = ライン拡張、新カテゴリ = ブランド拡張と覚えておくと整理しやすいです。

スタバとコンビニで考えてみると

REAL EXAMPLE

コンビニコーヒー(約180円)とスターバックスのラテ(約500〜600円)。中身のカフェインや材料はそれほど変わらなくても、価格差は3倍近くあります。この差を、アーカーの4要素で読み解いてみます。

スターバックス
ブランド認知:世界規模で名前が通っており、「コーヒーといえばスタバ」という連想が定着している
知覚品質:「バリスタが丁寧に作る」「豆にこだわっている」という品質認識が形成されている
ブランド連想:「おしゃれ」「自分へのご褒美」「居心地の良い空間」というイメージが根付いている
ブランドロイヤルティ:スターバックスカードやスタープログラムが継続購買を促す仕組みになっている
コンビニコーヒー
ブランド認知:「セブンのコーヒー」として広く知られているが、独立したコーヒーブランドとしての認知は弱い
知覚品質:「手軽で十分においしい」という評価。品質の認知はあるが「特別感」は少ない
ブランド連想:「コスパが良い」「忙しいときにサッと飲む」という機能的な連想が中心
ブランドロイヤルティ:利便性による継続購買が多く、情緒的なロイヤルティは形成しにくい

このように同じ「コーヒー」でも、ブランドエクイティの4要素の差がそのまま価格差・利益差に直結しています。強いブランドを持つ企業ほど、価格競争に巻き込まれにくいという構造が見えてきます。

過去問で確認する

企業経営理論 — ブランド戦略 令和3年度 第9問
D.アーカーが提唱するブランド・エクイティを構成する要素として、最も不適切なものはどれか。
  • ア ブランド認知
  • イ ブランド・アイデンティティ
  • ウ ブランド・ロイヤルティ
  • エ 知覚品質
  • オ ブランド連想
解説
アーカーのブランドエクイティの4要素は「ブランド認知・知覚品質・ブランド連想・ブランドロイヤルティ」です。「ブランド・アイデンティティ」はアーカーが提唱した概念ではありますが、ブランドエクイティの構成要素ではなく、ブランドが消費者に伝えたい自己像・約束のことを指します。正解は「イ」となります(設問によってはウが正解として提示されるケースも。本問では「最も不適切」=4要素に含まれないものを選ぶ点に注意)。

整理:4要素の頭文字を「認・質・連・忠(ロイヤルティ)」として記憶すると選択肢の絞り込みに役立ちます。
企業経営理論 — ブランド拡張 平成28年度 第11問
既存ブランドの名前を使い、現在とは異なる製品カテゴリへ参入するブランド戦略として、最も適切なものはどれか。
  • ア ライン拡張
  • イ ブランド拡張
  • ウ マルチブランド
  • エ 新ブランド
解説
「既存ブランド名を使う × 新しいカテゴリ」の組み合わせが「ブランド拡張」です。マトリクスで整理すると:

・ライン拡張:既存ブランド名 × 既存カテゴリ
・ブランド拡張:既存ブランド名 × 新カテゴリ ←今回の正解
・マルチブランド:新ブランド名 × 既存カテゴリ
・新ブランド:新ブランド名 × 新カテゴリ

問題文に「現在とは異なる製品カテゴリ」とあればカテゴリが変わる=ブランド拡張かnew brand。「既存ブランドの名前を使い」とあれば、ブランド拡張(イ)が正解です。
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マトリクスの4象限は、「ブランド名が同じか違うか」×「カテゴリが同じか違うか」で整理できると分かってから、ぐっと解きやすくなりました。同じような問いが表現を変えて繰り返し登場しているように思います。

U のまとめメモ
  • ブランドの3機能:識別・保証・想起(感情)。顧客の情報探索コストを下げる役割も持つ。
  • アーカーの4要素:ブランド認知 / 知覚品質 / ブランド連想 / ブランドロイヤルティ。
  • 「知覚品質」は実際の品質ではなく、消費者が感じる品質。イメージ・評判で形成される点が重要。
  • ブランド拡張マトリクス:カテゴリが変わるかどうかで「ライン拡張/ブランド拡張」、ブランド名が変わるかどうかで「マルチブランド/新ブランド」を区別する。
  • レクサスの事例(トヨタ → レクサス)は「新カテゴリ × 新ブランド名」=新ブランド戦略の典型例。
  • 強いブランドエクイティは価格支配力・競合からの防御・新製品展開の容易さにつながる。
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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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