U企業経営理論の過去問を解いていたとき、「PM型リーダーシップ」という選択肢が出てきて、PとMって何だろうと思って調べてみました。そこから芋づる式に、マネジリアル・グリッドやSL理論まで出てきて、リーダーシップ論って思ったより体系的に整理されているんだなと。この記事では、試験に出る3つのアプローチをまとめて整理しています。
リーダーシップ論の全体像|3つのアプローチ
PM理論(三隅二不二)|日本発の行動理論
PM理論は九州大学の三隅二不二(みすみ じゅうじ)が提唱した理論で、リーダーシップを2つの機能の組み合わせで捉えます。P機能(Performance:目標達成)とM機能(Maintenance:集団維持)の強弱によって4タイプに分類します。
集団維持 強
集団維持 弱
目標達成 強
目標達成 弱
※ P機能(Performance):課題解決・指示・管理など目標達成に関わる機能
※ M機能(Maintenance):人間関係の維持・強化・配慮など集団維持に関わる機能
※ PM型が最も高い業績と成員満足をもたらすとされる(三隅の研究より)
マネジリアル・グリッド(ブレイク&ムートン)
ブレイクとムートンが提唱したマネジリアル・グリッドは、横軸に「生産への関心」(1〜9)、縦軸に「人への関心」(1〜9)を置き、5つの代表的なリーダーシップスタイルを示します。PM理論に似ていますが、こちらはアメリカ発で、より細かいグリッドで位置づけを表現するのが特徴です。
impoverished
authority-compliance
middle-of-the-road
team management



PM理論とマネジリアル・グリッドはかなり似た構造をしているので、試験で混同しやすいんですよね。大きな違いは、PM理論は日本の三隅先生が考案した独自理論で、マネジリアル・グリッドはアメリカのブレイクとムートンが提唱したもの。出典(誰が考えたか)まで問われることがあるので、セットで覚えておくと安心です。
SL理論(ハーシー&ブランチャード)|状況対応型
SL理論(Situational Leadership)はハーシーとブランチャードが提唱した条件適合理論の代表例です。部下の「成熟度(能力 × 意欲)」に応じて、リーダーは4つのスタイルを使い分けるべきだと主張します。
意欲:低
意欲:高
意欲:低〜中
意欲:高
| 成熟度 | 能力 | 意欲 | スタイル | アプローチ |
|---|---|---|---|---|
| M1 | 低 | 低 | 指示型(Telling) | 具体的指示・緊密な監督。何をどうするかをリーダーが決める |
| M2 | 低〜中 | 高 | 説得型(Selling) | 指示しつつ理由を説明し、意思決定の根拠を共有する |
| M3 | 高 | 低〜中 | 参加型(Participating) | 部下を意思決定に参加させ、自律性と意欲を引き出す |
| M4 | 高 | 高 | 委任型(Delegating) | 裁量を完全に委ねる。リーダーの介入を最小化する |
※ 成熟度が上がるにつれて、リーダーは指示的行動を減らし関係的行動を増やし、最終的に委任へと移行する。この「スタイルの変化方向」が試験でよく問われる。
変革型リーダーシップ(トランスフォーメーション型)
- ビジョン提示:将来への明確な方向性を示す
- 感情的鼓舞:メンバーの感情に働きかけ、高い目標への意欲を引き出す
- 知的刺激:既成概念を問い直し、創造的・革新的思考を促す
- 個別配慮:一人ひとりのニーズや成長に個別に対応する
- 条件付き報酬:成果を上げたメンバーに報酬を与える(アメ)
- 例外管理:問題や逸脱が起きたときのみ介入する(ムチ)
- 明確な役割分担:期待する成果と報酬の関係を明示する
- 短期的・安定的環境での有効性が高い
過去問で確認する
- ア P機能とは集団の人間関係を維持・強化する機能である。
- イ pm型リーダーは目標達成と集団維持の両方において最も高い成果を上げる。
- ウ P機能は生産・課題達成に関する機能であり、M機能は集団維持に関する機能である。
- エ pM型はP機能・M機能ともに低く、最も非効率なリーダーシップタイプである。
ア:P機能は目標達成(課題解決・指示・管理)、M機能が人間関係維持の機能。アはPとMが逆(×)。
イ:最も高い成果をもたらすのはPM型(P高×M高)。pm型はP・M両方が低く最も非効率(×)。
エ:pM型はP低×M高。P・M両方低いのはpm型(×)。
正解はウで、P機能とM機能の定義を正確に述べている。
- ア 部下の成熟度が最も低いM1段階では、委任型のリーダーシップが有効である。
- イ SL理論は、部下の成熟度にかかわらず同一のリーダーシップスタイルが有効だと主張する。
- ウ 部下の成熟度が高まるにつれて、リーダーは指示的行動を減らし関係的行動・委任へと移行する。
- エ M3段階(能力高・意欲低)には指示型が最も適している。
ア:M1(能力低・意欲低)には指示型(Telling)が有効。委任型はM4向け(×)。
イ:SL理論はまさに「状況(成熟度)によってスタイルを変える」ことを主張する理論(×)。
エ:M3(能力高・意欲低)には参加型(Participating)が適切。指示型はM1向け(×)。
成熟度が上がるほど指示的行動を減らし、最終的に委任へ移行するというウが正解。
Uのまとめメモ
- リーダーシップ論は「特性理論(生まれつき)→行動理論(行動で決まる)→条件適合理論(状況によって変わる)」という歴史的な流れで整理すると、各理論の位置づけが見えやすい
- PM理論は日本・三隅先生の理論、マネジリアル・グリッドはアメリカ・ブレイク&ムートン——出典の混同に注意。構造は似ているが別物
- SL理論のポイントは「成熟度が上がるにつれてスタイルを変える」こと。M1=指示型、M2=説得型、M3=参加型、M4=委任型の順番は確実に押さえる
- 変革型リーダーシップのキーワードは「ビジョン・感情的鼓舞・知的刺激・個別配慮」の4つ。取引型(アメとムチ)との対比で問われることが多い
- PM理論とマネジリアル・グリッドの「理想型」はどちらも両方高い(PM型 / (9,9)チーム型)——一致しているので覚えやすい









