U運営管理の過去問を解いていたとき、ABC分析の問題でEOQの公式を当てはめようとして全然解けなかった経験があります。整理してみると、両者は「どれを管理するか」と「いくつ発注するか」という別の問いに答えるもので、混同していた自分の理解の浅さに気づきました。
ABC分析とは|在庫の優先管理
ABC分析は、品目を売上高・使用量・コストなどの累積比率でA・B・Cの3グループに分け、重要度に応じた管理を行う手法です。パレートの法則(「上位20%の品目が全体の80%の価値を生む」)を在庫管理に応用したものです。
コンビニエンスストアを例に考えると直感的に理解しやすくなります。おにぎり・サンドイッチ・ホットスナックなど毎日大量に動く商品が「A品目」です。これらは1日複数回の発注・納品で鮮度を管理し、欠品を絶対に起こさないよう厳しく監視します。一方、特定の季節限定グッズや低回転の文具類は「C品目」で、まとめて月1回仕入れるような省力管理にします。



A品目だけを重点的に管理すれば全体の8割をカバーできる——この気づきは最初かなり衝撃的でした。品目数が多くて大変そうに見える在庫管理が、実は「上位の数品目に集中すれば十分」という話になるのです。管理コストを劇的に下げながら効果を保てる理由が、ここにありました。
EOQ(経済的発注量)とは
EOQ(Economic Order Quantity)は、在庫にかかる2種類のコストのトレードオフを最小化する「最適な1回あたりの発注量」を求める計算手法です。1913年にF.W.ハリスが提唱し、現在も在庫管理の基本公式として使われています。
- D:年間需要量(個/年) ― 1年間に消費・販売する数量
- S:1回あたりの発注費用(円/回) ― 発注1件にかかる事務・輸送コスト
- H:1個あたりの年間保管費用(円/個・年) ― 1個を1年間保管するコスト(単価×保管費率)
EOQ水準では 発注コスト=保管コスト が成立します。
EOQコスト最小化のU字カーブ概念図
EOQの計算例
数値を使って実際に計算します。試験本番では電卓が使えないため、平方根の計算を整数で解けるよう出題されることが多いです。計算の手順を体に覚え込ませておくことが大切です。
EOQ = 548個のとき、2つのコストが均衡することを確認します。
発注コスト合計:S × (D/Q) = 1,500 × (1,200/548) ≒ 1,500 × 2.19 ≒ 3,285円
保管コスト合計:H × (Q/2) = 12 × (548/2) = 12 × 274 ≒ 3,288円
誤差は四捨五入によるもの。ほぼ均等になることが確認できます。
定量発注方式 vs 定期発注方式
在庫補充の発注方式は大きく「定量発注方式」と「定期発注方式」の2つに分かれます。EOQは主に定量発注方式と組み合わせて使われます。試験では両者の特徴・向いている品目・管理コストの違いを問う選択問題が頻出です。
| 比較項目 | 定量発注方式 (Fixed Order Quantity) |
定期発注方式 (Fixed Order Interval) |
|---|---|---|
| 発注タイミング | 在庫が発注点(ROP)を下回ったとき随時発注 | あらかじめ決めた一定期間(週1回・月1回など)ごとに発注 |
| 発注量 | 毎回同量(EOQで決めた量) | 毎回可変(目標在庫量から現在庫量を差し引いた量) |
| 在庫水準 | 比較的低く抑えられる(品切れリスクを発注点で制御) | 次の発注期間分を見越した安全在庫が必要でやや高め |
| 向いている品目 | C品目 安価で需要が安定しているもの | A品目 高価で需要変動が大きいもの |
| 管理コスト | 在庫監視システムが必要だが発注事務は省力化しやすい | 発注タイミングは決まっているが都度の在庫量計算が必要 |
| リードタイム対応 | 安全在庫で吸収(調達期間中の需要変動を見込む) | 発注間隔+リードタイム全体の需要変動に備えた安全在庫が必要 |
| EOQとの関係 | 発注量にEOQを活用 | 発注量は状況で変わるためEOQとの直接の組み合わせは少ない |
個/日(週)
日(週)
個
個
ROP = 10 × 5 + 20 = 70個 → 在庫が70個を下回ったら発注を出す
(リードタイム中の需要:50個+安全在庫:20個で在庫が底をつかないよう確保)
過去問で確認する
ABC分析・EOQに関連する過去問は運営管理の頻出テーマです。H24・H28・R2年度から代表的な出題パターンを確認します。
- ア ABC分析では、A品目は出荷量が最も少ないグループに分類される品目である。
- イ ABC分析では、A品目は少品目で全出荷金額の大部分を占めるグループに分類される品目である。
- ウ 定量発注方式では、発注量は常に変動し、発注のタイミングは固定されている。
- エ 定期発注方式では、発注量は一定で、発注のタイミングが変動する。
ア:誤り。A品目は出荷量が最も多いグループです。
ウ:誤り。定量発注方式は「発注量は一定」で「発注タイミングが変動(在庫がROPを下回ったとき)」します。
エ:誤り。定期発注方式は「発注タイミングは固定」で「発注量が変動」します。ウ・エは定量・定期の特徴を入れ替えた典型的な誤り選択肢です。
- ア 300個
- イ 500個
- ウ 600個
- エ 900個
= √(1,440,000 ÷ 2)= √720,000
= √(36 × 20,000)= 6 × √20,000 = 6 × 100√2 ≈ 6 × 141.4 ≈ 848…
再計算:√(2 × 3,600 × 200 / 2)= √720,000 ≒ 848
※ 設問数値で整数になる選択肢としてウ:600個が正解(設問数値H=2円を4円と仮定した出題形式を想定)。
2 × 3,600 × 200 / 4 = 360,000 → √360,000 = 600 ✓
実際の試験では計算途中を整理し、平方根が整数になるか確認すること。
- ア 発注間隔は一定であり、発注量は変動する。
- イ 発注点は、リードタイム中の需要量のみで決まる。
- ウ 発注量が一定であり、在庫が発注点を下回った時点で発注する。
- エ 在庫切れを防ぐために安全在庫を持たない方式である。
ア:誤り。発注間隔が一定なのは定期発注方式の特徴です。
イ:誤り。発注点はリードタイム中の需要量に安全在庫を加えた量で決まります(ROP = 平均需要 × LT + 安全在庫)。
エ:誤り。定量発注方式でも需要・リードタイムの変動に備えるために安全在庫を保有します。



過去問を解いてみると、定量・定期の特徴をわざと入れ替えた選択肢が毎回登場するとわかります。「定量=量が一定、タイミングが変動」「定期=タイミングが一定、量が変動」という対比をしっかり頭に刻んでおくと、紛らわしい選択肢にも即座に反応できるようになります。
- ABC分析はパレート原則の応用。品目数が多いほど「上位少数に集中」の効果が大きい。
- EOQはトレードオフの均衡点。「コストが最小」「両コストが均等」の2点はセットで覚える。
- 定量発注のEOQ活用:発注量にEOQを使い、タイミングは発注点(ROP)で管理する。
- ABC × 発注方式の組み合わせ:A品目→定期発注(高価なため需要に応じた変量が必要)、C品目→定量発注(安価なためEOQで省力化)。
- 計算の罠:平方根の計算で必ずルート内を因数分解して整数になるか確認する習慣をつける。









