U中小企業診断士試験範囲の中で
計算問題を出題してください。
財務・会計より、「経済的発注量」の計算問題を出題します。
経済的発注量の練習問題
ある小売店では、商品Aを年間12,000個販売している。
1回あたりの発注費用は3,000円である。
商品Aの1個あたり年間保管費用は600円である。
このとき、経済的発注量として最も適切なものはどれか。
ア 200個
イ 300個
ウ 346個
エ 600個
考え方のヒント
考え方のヒントです。
経済的発注量は、発注費用と保管費用の合計が最も小さくなる発注量です。
使う公式は次の形です。
経済的発注量 = √ 2 × 年間需要量 × 1回あたり発注費用 ÷ 1個あたり年間保管費用
まずは、選択肢だけで答えてください。
回答と解説



全然わかりません
大丈夫です。
これは、いきなり公式に入るとかなりわかりにくい問題です。
この問題は、商品を何個ずつ注文すれば、ムダなお金が一番少なくなるかを考える計算です。


商品Aは、1年間で12,000個売れます。
ただし、注文の仕方には2つの困りごとがあります。
少しずつ何回も注文すると、発注作業が何度も発生します。
そのたびに、事務作業・配送手配・注文処理などの費用がかかります。
これが発注費用です。
反対に、一度にたくさん注文すると、発注回数は減ります。
でも、倉庫に長く置くことになるので、保管場所・管理・劣化リスクなどの費用がかかります。
これが保管費用です。
つまり、この問題は、
少なく頼むと発注費用が増える。
多く頼むと保管費用が増える。
では、ちょうどよい注文量は何個か。
という問題です。
今回使う公式は、
経済的発注量 = √ 2 × 年間需要量 × 1回あたり発注費用 ÷ 1個あたり年間保管費用
です。
数字を入れると、
経済的発注量 = √ 2 × 12,000 × 3,000 ÷ 600
まず、かけ算から見ます。
2 × 12,000 × 3,000 = 72,000,000
次に、600で割ります。
72,000,000 ÷ 600 = 120,000
つまり、
経済的発注量 = √120,000
になります。
ここで、ぴったり計算しようとしなくても大丈夫です。
選択肢を見ると、
ア 200個
イ 300個
ウ 346個
エ 600個
346 × 346 は、だいたい119,716です。
√120,000 にかなり近いので、答えは
ウ 346個
です。
この問題で大事なのは、公式を丸暗記するよりも、
発注費用と保管費用は逆向きに動く
と理解することです。
一度に少なく注文する
発注回数が増える
発注費用が増える
保管費用は減る
一度に多く注文する
発注回数が減る
発注費用は減る
保管費用が増える
この2つがちょうど釣り合う量を求めるのが、経済的発注量です。





まだわかりません…
大丈夫です。いったん公式を忘れて、買い物の感覚で考えます。
この問題は、商品Aを「何個ずつ仕入れると、いちばん損が少ないか」を聞いています。
商品Aは、1年間で12,000個売れます。
ここで、お店には2つの費用があります。
ひとつは、注文するたびにかかる費用です。
たとえば、1回注文するたびに、注文書を作る、配送を手配する、事務処理をする、という手間がかかります。
これが1回あたり3,000円です。
もうひとつは、商品を倉庫に置いておく費用です。
たくさん仕入れると、倉庫に長く置くことになります。
そのぶん、保管場所代や管理費がかかります。
これが1個あたり年間600円です。
ここで大事なのは、注文量によって困りごとが反対になることです。
少しずつ注文すると、倉庫はあまり使いません。
でも、注文回数が増えるので、発注費用が増えます。
たくさん注文すると、注文回数は減ります。
でも、倉庫にたくさん置くので、保管費用が増えます。
つまり、この問題は、
少なすぎても損。
多すぎても損。
では、ちょうどよい量は何個か。
これを聞いています。


ここで使うのが、経済的発注量の公式です。
経済的発注量 = √ 2 × 年間需要量 × 1回あたり発注費用 ÷ 1個あたり年間保管費用
この公式は、覚え方としては、
年間で売れる量
注文1回の費用
保管する費用
この3つから、「ちょうどよい注文量」を出す式だと考えてください。
今回の数字を入れると、
経済的発注量 = √ 2 × 12,000 × 3,000 ÷ 600
ここで、まず600で割れるところを先に見ます。
3,000 ÷ 600 = 5
なので、式はかなり楽になります。
経済的発注量 = √ 2 × 12,000 × 5
2 × 12,000 × 5 = 120,000
つまり、
経済的発注量 = √120,000
ここで「√120,000って何?」となりますよね。
√は、「同じ数を2回かけたら120,000に近くなる数」を探す記号です。
選択肢は、
ア 200個
イ 300個
ウ 346個
エ 600個
それぞれを2回かけると、
200 × 200 = 40,000
300 × 300 = 90,000
346 × 346 = 119,716
600 × 600 = 360,000
120,000にいちばん近いのは、119,716です。
だから答えは、
ウ 346個
です。
この問題で試験中に考える流れは、こうです。
これは「何個ずつ注文するか」の問題。
発注費用と保管費用のバランスを取る問題。
だから経済的発注量の公式を使う。
数字を入れて、√の中を計算する。
最後は選択肢を2乗して近いものを選ぶ。
特に覚えておきたいのは、経済的発注量は「利益を出す量」ではなく、「発注費用と保管費用の合計を小さくする注文量」だという点です。


経済的発注量と混同しやすい論点



混同しやすい論点はありますか?
あります。
経済的発注量で混同しやすいのは、主に次の5つです。
経済的発注量は、売上や利益を最大にする計算ではありません。
ここをまず押さえると、かなり楽になります。経済的発注量は、発注費用と保管費用の合計を最小にするための注文量です。
売上を増やすために何個売るか、ではなく、仕入れるときに何個ずつ注文すればムダな費用が少ないかを考える問題です。
たとえば年間需要量が12,000個でも、12,000個を一度に注文すればよい、という話ではありません。一度に大量に仕入れると、発注回数は減りますが、在庫を抱える期間が長くなり、保管費用が増えます。
反対に、少しずつ注文すると在庫は少なくて済みますが、発注回数が増えて、発注費用がかさみます。
この2つのバランスを取るのが経済的発注量です。
混同しやすい論点のひとつ目は、年間需要量と発注量を同じものだと思ってしまうことです。
年間需要量は、1年間に必要になる総量です。今回なら12,000個です。
発注量は、1回の注文で何個頼むかです。今回求めるのは346個です。
つまり、12,000個は年間で売れる量、346個は1回ずつ注文する量です。ここを混同すると、問題の意味が見えなくなります。
ふたつ目は、発注費用と保管費用の動き方を逆に覚えてしまうことです。
発注量を増やすと、注文回数は減ります。だから発注費用は減ります。
発注量を増やすと、在庫は増えます。だから保管費用は増えます。
ここは反対方向に動きます。
少なく頼むと、発注費用が増えて、保管費用は減る。
多く頼むと、発注費用は減って、保管費用が増える。
この綱引きのような関係をイメージしてください。
三つ目は、発注費用を「1個あたりの費用」と勘違いすることです。
問題文の「1回あたりの発注費用3,000円」は、1個注文するごとに3,000円ではありません。
1回注文するたびに3,000円です。
100個頼んでも、300個頼んでも、1回の注文なら発注費用は3,000円です。
ここを1個あたり3,000円だと思うと、計算が大きくずれます。
四つ目は、保管費用を「1回あたりの費用」と勘違いすることです。
問題文の「1個あたり年間保管費用600円」は、1回注文するたびに600円ではありません。
1個を1年間持っていると600円かかる、という意味です。
つまり、保管費用は在庫を持つ量に関係します。たくさん在庫を抱えるほど増えます。
発注費用は「注文回数」に関係する費用。
保管費用は「在庫量」に関係する費用。
この区別が大事です。
五つ目は、平方根の計算で止まってしまうことです。
経済的発注量の公式では、最後に√が出てきます。
今回なら、
√120,000
です。
ここで正確な平方根を暗算しようとしなくても構いません。
選択肢を2乗して、120,000に近いものを探せばよいです。
200 × 200 = 40,000
300 × 300 = 90,000
346 × 346 = 119,716
600 × 600 = 360,000
120,000にいちばん近いのは346です。
だから、答えは346個です。
この論点で一番大切なのは、次の区別です。
年間需要量は、1年間に必要な総量。
発注量は、1回で注文する量。
発注費用は、注文するたびにかかる費用。
保管費用は、在庫を持つほど増える費用。
経済的発注量は、発注費用と保管費用の合計がいちばん小さくなる注文量。
この5つを分けて考えると、問題文がかなり読みやすくなります。





図解ふたつ出てきた!


今回の図解は、同じ「経済的発注量」の理解でも、次の2つの観点で作成しています。
ひとつ目は、試験で間違えやすい読解の観点です。
問題文を読んだときに、どの言葉をどの意味で受け取ればよいかを整理するためのものです。経済的発注量の問題では、計算そのものよりも、言葉の取り違えで止まりやすくなります。
年間需要量は、1年間に必要な総量です。
今回でいえば、12,000個です。
発注量は、1回の注文で何個頼むかです。
今回求めるのは、346個です。
発注費用は、注文するたびにかかる費用です。
1個あたりの費用ではありません。
保管費用は、在庫を持っていることでかかる費用です。
1回注文するたびにかかる費用ではありません。
つまり、この観点では、
「年間で必要な量」
「1回で注文する量」
「注文回数に関係する費用」
「在庫量に関係する費用」
を分けて読むために作成しています。
特に、診断士試験では「1回あたり」「1個あたり」「年間」という言葉が混ざると、一気に混乱しやすくなります。そこで、図解ではそれぞれを別の箱に分け、アイコンで記憶に残るようにしています。
ふたつ目は、費用の動き方をイメージする観点です。
経済的発注量は、公式だけ覚えても意味がつかみにくい論点です。大事なのは、発注費用と保管費用が反対方向に動くことです。
少なく頼むと、注文回数が増えます。
注文回数が増えるので、発注費用は増えます。
一方で、在庫は少なくて済むので、保管費用は減ります。
多く頼むと、注文回数は減ります。
注文回数が減るので、発注費用は減ります。
一方で、在庫を多く持つので、保管費用は増えます。
このように、
少なすぎると、発注費用が重い。
多すぎると、保管費用が重い。
その真ん中に、ちょうどよい発注量がある。
という関係を見せるために、シーソーや曲線の図を使っています。
この観点では、計算式よりも先に「なぜその計算をするのか」を理解することを重視しています。公式は、発注費用と保管費用のバランスが取れる点を求めるための道具です。
両方を合わせると、次のようになります。
読解の観点では、問題文の言葉を正しく分ける。
年間需要量は、1年間に必要な総量。
発注量は、1回で注文する量。
発注費用は、注文回数に関係する費用。
保管費用は、在庫量に関係する費用。
費用の動き方の観点では、発注費用と保管費用の反対関係を見る。
少なく頼むと、発注費用は増え、保管費用は減る。
多く頼むと、発注費用は減り、保管費用は増える。
その合計がいちばん小さくなる量が、経済的発注量。
つまり、今回の図解は、
言葉の混同を防ぐための図解
費用の動きを直感でつかむための図解
この両方の目的で作成しています。


経済的発注量は、中小企業診断士試験では主に「運営管理」の論点です。
特に、運営管理の中の「生産管理」または「在庫管理」に入ります。
会社や店舗では、商品や材料を必要な量だけ持つことが大切です。少なすぎると欠品し、多すぎると保管費用が増えます。経済的発注量は、その中で「何個ずつ発注すれば、発注費用と保管費用の合計が小さくなるか」を考える論点です。
科目で整理すると、次の位置づけです。
中小企業診断士試験
運営管理
生産管理
在庫管理
経済的発注量
ただし、計算問題なので、見た目は財務・会計のように感じやすいです。ここが混同しやすいところです。
財務・会計は、会社のお金の状態や利益、投資判断を見る科目です。
一方、経済的発注量は、現場で材料や商品をどれくらい発注するかを決める問題です。
つまり、計算はするけれど、論点としては「現場の在庫管理」です。
運営管理の全体像


運営管理は、中小企業診断士試験の中でも「現場」を扱う科目です。
大きく分けると、次の2領域です。
生産管理…工場や製造現場で、どのように材料を仕入れ、どの順番で作り、品質を守り、ムダなく生産するかを扱います。
店舗・販売管理…小売店や商業施設で、どのように商品を並べ、売場を作り、物流を整え、販売効率を高めるかを扱います。
全体像としては、次のように整理できます。
運営管理
生産管理
工場・製造現場の管理
店舗・販売管理
小売店・売場・物流の管理
まず、生産管理の主な論点です。
生産形態
個別生産、ロット生産、連続生産などです。
何をどのように作るかによって、生産の進め方が変わります。
たとえば、オーダーメイド家具は個別生産に近く、同じ商品をまとめて作る食品製造はロット生産に近く、石油化学のように流れ続けるものは連続生産に近いです。
生産方式
ライン生産、セル生産、ジョブショップ生産などです。
人や機械をどう配置して、どの流れで作るかを考えます。
試験では、ライン生産は大量生産に向き、セル生産は多品種少量生産に向きやすい、というような特徴の違いが問われます。
生産計画
需要予測、生産計画、日程計画などです。
どの商品を、いつ、どれだけ作るかを決める論点です。
作りすぎれば在庫が増え、少なすぎれば欠品します。需要と生産能力をどう合わせるかが中心です。
資材管理・在庫管理
経済的発注量、発注点、定期発注方式、定量発注方式、安全在庫、ABC分析などです。
今回扱った経済的発注量もここに入ります。
「何個持つか」「いつ発注するか」「どの商品を重点的に管理するか」を考える論点です。
MRP
資材所要量計画のことです。
完成品を作るために、部品や材料がいつ、どれだけ必要かを逆算します。
たとえば机を100台作るなら、天板、脚、ネジがそれぞれ何個必要かを部品表から計算するイメージです。
JIT
ジャスト・イン・タイムのことです。
必要なものを、必要なときに、必要な量だけ作る考え方です。
在庫を減らし、ムダをなくす方向の論点です。かんばん方式、自働化、平準化などと一緒に問われやすいです。
IE
インダストリアル・エンジニアリングのことです。
作業を分析して、ムダを減らすための考え方です。
工程分析、動作研究、時間研究、標準時間、稼働分析などがあります。
人の動き、機械の動き、作業の順番を観察して、よりよい作業方法を考える論点です。
品質管理
QC7つ道具、新QC7つ道具、管理図、抜取検査、工程能力指数などです。
不良品を減らし、品質を安定させるための管理です。
パレート図、特性要因図、ヒストグラム、散布図などは頻出です。
設備管理
保全、TPM、故障率、バスタブ曲線などです。
設備を壊れるまで放置するのではなく、計画的に点検・修理し、生産停止を防ぐための論点です。
予防保全、事後保全、改良保全、保全予防などの違いがよく問われます。
生産統制
進捗管理、現品管理、余力管理などです。
計画どおりに作れているか、材料や仕掛品がどこにあるか、作業能力に余裕があるかを管理します。
計画を立てるだけではなく、現場で実際に回っているかを見る論点です。
次に、店舗・販売管理の主な論点です。
店舗施設管理
売場レイアウト、動線、ゾーニング、照明、陳列などです。
お客様が店内をどう歩き、どの商品を見つけ、どのように購買するかを考えます。
マグネット売場、ゴールデンゾーン、関連陳列などもここに入ります。
商品管理
商品構成、品ぞろえ、カテゴリーマネジメント、棚割、商品回転率などです。
どの商品を置くか、どれくらいの種類をそろえるか、どの棚に配置するかを考えます。
売れる商品だけでなく、利益率や回転率も見ます。
販売促進
POP広告、価格政策、インストアプロモーション、チラシ、クーポンなどです。
店頭で購買を促すための論点です。
マーケティングに近く見えますが、運営管理では「店舗内でどう売るか」という現場寄りの視点で問われます。
物流管理
物流センター、在庫拠点、配送、ピッキング、クロスドッキング、共同配送などです。
商品を仕入先から店舗や顧客へ届ける流れを管理します。
物流コスト、リードタイム、在庫削減などと結びつきます。
バーコード・ICタグ
JANコード、GTIN、POS、RFIDなどです。
商品情報を読み取り、販売・在庫・物流の管理に使う仕組みです。
POSは、販売時点情報管理のことで、レジで売れた情報を集め、品ぞろえや発注に活かします。
商業集積
商店街、ショッピングセンター、中心市街地、大規模小売店舗立地法などです。
店舗単体ではなく、地域や商業施設全体の運営を扱います。
まちづくりや商業政策に近い内容も含まれます。
法律・制度系
都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法などです。
経営法務のように見えますが、運営管理では店舗立地や商業施設運営に関係する制度として出題されます。
混同しやすい見方としては、次のように分けると理解しやすくなります。
工場の中を扱うのが、生産管理。
店の中を扱うのが、店舗・販売管理。
モノの流れを扱うのが、物流管理。
モノの量を扱うのが、在庫管理。
モノの品質を扱うのが、品質管理。
人や機械の動きを扱うのが、IEや設備管理。
運営管理は、暗記科目に見えますが、実際には「モノがどう流れるか」を追う科目です。
材料を仕入れる。
工場で作る。
品質を確認する。
在庫として持つ。
物流で運ぶ。
店舗に並べる。
お客様に売れる。
この流れのどこを管理しているのかを考えると、論点同士がつながって見えやすくなります。









