UIS-LMモデルを「閉鎖経済(外国との取引なし)」で学んだあと、「では日本のような開放経済ではどうなるの?」という疑問に答えてくれるのがマンデル・フレミングモデルです。変動相場制と固定相場制で結論がガラリと変わるところが試験の核心です。
マンデル・フレミングモデルの前提:開放経済とは何か
IS-LMモデルは外国との資本移動がない「閉鎖経済」を想定していました。マンデル・フレミング(MF)モデルはこれを開放経済へ拡張し、「資本移動が完全に自由」という前提を加えます。
政策効果の結論:4パターンを一気に整理
財政政策(拡張)
金融政策(拡張)
財政政策(拡張)
| 為替制度 | 財政政策 | 金融政策 |
|---|---|---|
| 変動相場制 | 無効(クラウディングアウト+為替高) | 有効(為替安→輸出増) |
| 固定相場制 | 有効(金利維持のためLMが追随) | 無効(為替維持のためLMが元に戻る) |



「変動相場制では財政政策が無効、金融政策が有効」「固定相場制ではその逆」という対称性がポイントです。どちらの制度も「一方が有効なら他方は無効」というパターンになっています。この対称性に気づくと選択肢を絞りやすくなりました。
メカニズムの詳細:変動相場制・財政政策が無効な理由
なぜ変動相場制では財政政策が「完全クラウディングアウト」されるのか、ステップを追って確認します。
| ステップ | 起きること | 結果 |
|---|---|---|
| ①財政拡大 | 政府支出増加 → IS曲線が右シフト | 所得・金利とも上昇圧力 |
| ②資本流入 | 国内金利 r > r*(世界金利)→ 外国資本が流入 | 外貨売り・円買いで円高に |
| ③輸出減少 | 円高により輸出競争力低下 → 純輸出(NX)が減少 | IS曲線が左シフトして元に戻る |
| ④結果 | IS曲線のシフトが相殺され、所得は変わらない | 財政拡大の効果がゼロ |
身近な場面で考える:日本の金融緩和と円安
アベノミクスの「第1の矢(大胆な金融緩和)」は、MFモデルで考えると「変動相場制下の金融政策」です。
円安 → 輸出品が海外で安くなる → 輸出量・輸出企業の収益が増加
→ 国内所得 Y が増加 → GDPが押し上げられる
MFモデルが示す「変動相場制下では金融政策が有効」という結論は、実際の政策にも現れています。ただし現実には輸入物価の上昇(悪い円安)という副作用もあり、モデル通りにいかない側面もあります。
過去問で確認しておきたいポイント
- 変動相場制:財政政策は無効(為替高→輸出減でISが元に戻る)、金融政策は有効(為替安→輸出増)
- 固定相場制:財政政策は有効(為替維持のためLM追随)、金融政策は無効(LMが元に戻る)
- MFモデルの前提:資本移動が完全に自由、r = r*(国内金利=世界金利)
- 変動相場制の財政政策:IS右→金利上昇→資本流入→円高→輸出減→IS左(元に戻る)
Uのメモ
MFモデルで最も混乱したのは「変動相場制・固定相場制それぞれでなぜそうなるか」のメカニズムです。表の結論だけを暗記しようとすると怪しくなるので、「為替レートが動く(変動)なら為替が調整弁になる→金融政策が有効」「為替が動けない(固定)なら中央銀行が為替を守るためにマネーサプライを調整→財政政策が有効」という論理で理解するようにしています。
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