生産計画の基礎——大日程・中日程・小日程を旅行計画で理解する | 中小企業診断士1次試験 運営管理

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「生産計画」と聞くと、工場の話で自分には遠い気がしていました。でも「旅行の計画と同じ3段階の構造だ」と気づいたとき、一気に整理できました。今回はそこから始めてみます。

全力で動いていたのに、なぜ間に合わなかったのか

ある部品工場のリーダーが、こんな場面を振り返っていました。「作業員は残業もして、手を抜かずに動いていた。なのに納期に間に合わなかった」。原因を調べると、問題は個人の頑張りではありませんでした。そもそも計画が壊れていたのです。

どの製品を、いつ、どれだけ作るか——この「地図」がなければ、どんなに速く走っても目的地にたどり着けません。生産計画とはその地図のことです。そしてこの地図には、3つの縮尺があります。

旅行の計画と同じ構造
年間の旅行プランを立てるとき、「今年は北海道と九州に行く」→「北海道は7月・九州は10月」→「7月15日は函館、16日は札幌、17日は小樽」という3段階で考えます。生産計画も同じで、年〜月〜日という3段階の計画が重なり合って機能しています。
目次

3階層の生産計画——大日程・中日程・小日程

生産計画は、計画の期間と精度によって3つの層に分かれています。上位の計画ほど長期・大まかで、下位の計画ほど短期・詳細です。

長期計画
大日程計画
期間:3か月〜1年以上
単位:月・週
「何を何個作るか」の大枠
設備投資・人員計画の基礎
旅行でいう「今年の旅行先と時期を決める」段階
中期計画
中日程計画
期間:1か月〜3か月
単位:週・日
工程別の生産割り当て
資材・部品の手配計画
旅行でいう「何日に移動して宿を予約する」段階
短期計画
小日程計画
期間:1週間〜1か月
単位:時間・日
作業者・機械の割り当て
実際の作業順序の決定
旅行でいう「当日の移動ルートと時刻」の段階

3つの計画は独立していません。大日程で決めた方針を受けて中日程が具体化し、中日程の割り当てを受けて小日程が現場レベルで指示を出す——上から下へと展開されていく仕組みです。

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「大日程が崩れると中日程・小日程も崩れる」という連鎖が、冒頭の「計画が壊れていた」問題の正体でした。上位計画が需要の急変に対応できていなかったために、現場の小日程計画が毎日のように修正され、作業員が混乱していたのです。

生産計画を支える3つの概念

生産計画を立てるうえで、試験でも押さえておきたい3つの概念があります。

01
生産能力計画(キャパシティ・プランニング)
「その計画は、そもそも実現できるか」を検証する工程です。機械の稼働時間・作業員の数・工場スペースに対して、計画した生産量が収まるかを確認します。
能力が不足するなら残業・外注・設備増強を検討します。
02
日程計画(スケジューリング)
「どの順番で作るか」を決める工程です。納期・段取り替え時間・設備の空き状況を考慮しながら、各作業を時系列に並べます。
ここで登場するのが、前回整理したPERT/CPMやガントチャートです。
03
余力管理
計画と実績のギャップを管理する工程です。「予定では今日5個できるはずが4個しかできなかった」という遅れを把握し、後の日程に反映させます。
余力 = 能力 − 負荷。余力がプラスなら余裕あり、マイナスなら過負荷状態です。
概念問い判断の軸
生産能力計画その量は作れるか?機械・人・スペースの上限
日程計画どの順番・いつ作るか?納期・段取り・設備空き
余力管理計画通りに進んでいるか?能力 − 負荷のバランス

生産形態と計画の関係——受注生産 vs 見込生産

生産計画の立て方は、受注生産か見込生産かによって大きく変わります。

生産形態特徴計画の立て方主な業種
受注生産(MTO)注文が入ってから作る。在庫リスクなし。納期対応が課題。受注ごとに個別に日程計画を立てる金型・装置産業・建設
見込生産(MTS)需要を予測して先に作る。在庫リスクあり。欠品防止が課題。需要予測に基づいて計画を先行して立てる食品・日用品・家電
受注組立(ATO)部品・半製品は先に作り、受注後に組み立てる。両方の長所を活かす。部品は見込計画、組立は受注計画PC・自動車(カスタム)

診断士試験では、各生産形態の特徴と適している業種・製品の組み合わせが問われます。

過去問で確認する

中小企業診断士1次試験 運営管理生産計画
生産計画に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 大日程計画は、作業者・機械ごとの具体的な作業割り当てを決める計画である。
  • イ 中日程計画は、1日〜1週間の期間を対象とした詳細な作業指示計画である。
  • ウ 小日程計画は、工程別・作業者別の具体的な作業順序・時刻を決める短期計画である。
  • エ 大日程計画は、週単位の資材所要量を算出して発注計画を立てる計画である。
解説
ウが正解。小日程計画は1週間〜1か月の短期で、作業者・機械ごとの具体的な作業割り当てと順序を決める計画です。

ア:作業者・機械ごとの具体的な割り当ては小日程計画の役割。大日程は3か月〜1年の長期で「何をいつ何個作るか」の大枠を決めます。
イ:1日〜1週間は小日程の範囲。中日程は1か月〜3か月で工程別の割り当てと資材手配を行います。
エ:資材所要量の算出は中日程(MRPなど)の役割。
中小企業診断士1次試験 運営管理余力管理
余力管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア 余力は「能力 + 負荷」で計算される。
  • イ 余力がマイナスの場合、その工程は過負荷(ボトルネック)の状態にある。
  • ウ 余力管理は大日程計画の段階でのみ行われる。
  • エ 余力がプラスであれば、必ず納期遅延は発生しない。
解説
イが正解。余力 = 能力 − 負荷。これがマイナスの場合、その工程に割り当てられた作業量が処理能力を超えており、過負荷(ボトルネック)状態です。

ア:余力は「能力 − 負荷」。足し算ではありません。
ウ:余力管理は中日程・小日程の段階で日常的に行われます。
エ:全工程トータルで余力があっても、特定の工程がボトルネックになれば納期遅延が起きます。

まとめ——生産計画の全体像

計画の種類期間主な内容
大日程計画3か月〜1年製品別・月別の生産量。設備投資・人員計画の基礎。
中日程計画1〜3か月工程別の割り当て・資材所要量(MRP)・外注計画。
小日程計画1週〜1か月作業者・機械への具体的な指示。作業順序・時刻。
  • 大→中→小と段階的に展開される。上位計画が崩れると下位も連鎖して崩れる。
  • 余力 = 能力 − 負荷。マイナス = 過負荷(ボトルネック)。
  • 受注生産(MTO)・見込生産(MTS)・受注組立(ATO)で計画の立て方が変わる。
  • 試験では「どの計画がどの期間か」「余力の計算式」が頻出。

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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