在庫管理とABC分析 | 中小企業診断士1次試験 運営管理

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過去問を解いていて、在庫管理の問題で「ABC分析」という言葉が出るたびに、「これって結局、何をどう管理するんだっけ?」と手が止まっていました。整理してみると、ものすごくシンプルな発想の話で、むしろなぜ今まで難しく感じていたのか不思議なくらいでした。

「3,000品目の資材を管理してください」と言われたら、まず何をしますか?

全品目を毎日チェック?それとも重要そうなものだけ?

実際に製造現場で起きることは、こうです。担当者は全品目を均等に管理しようとして、結果として売上のわずか20%しか占めない品目に、管理工数の80%を使ってしまう。一方で、売上の大半を占める重要品目には、思ったほど目が届かない。

「重要なものを重点的に管理する」——当たり前に聞こえますが、これをデータで定量化する仕組みがABC分析です。

在庫管理を学ぶと、企業がなぜ資金繰りで詰まるのか、なぜ機会損失が生まれるのかが、具体的に見えてきます。

目次

コンビニのバックヤードで起きていること

近所のコンビニのバックヤードをイメージしてください。

飲料は1日に何十本も動く。一方で、特定の季節菓子は棚の奥に1ヶ月以上眠っている。もし両方を「同じ頻度で同じように」発注・管理したら、どうなるでしょう。

飲料は欠品してチャンスを逃す。季節菓子は過剰在庫で棚を圧迫する。両方の損失が同時に起きます。

在庫管理の基本問題は、突き詰めると2つです。

何を
どの品目を
重点管理すべきか(ABC分析)
いつ
どのタイミングで
いくつ発注するか(発注点・EOQ)

この2つを体系化したものが在庫管理の全体像です。順番に整理していきます。

ABC分析——全品目を3つのクラスに仕分ける

ABC分析は、品目を売上高(または使用金額)の大きさで3つのグループに分類する手法です。

A品目
上位 約20%の品目
売上への貢献約80%
管理方針厳密に管理
発注方式定量/定期どちらも
B品目
中位 約30%の品目
売上への貢献約15%
管理方針標準的に管理
発注方式定期発注が多い
C品目
下位 約50%の品目
売上への貢献約5%
管理方針簡略化して管理
発注方式定量発注が多い

これをパレートの法則(80:20の法則)と呼びます。品目数の20%が、金額の80%を生み出すという傾向は、多くの業種で観察されます。

さきほどのコンビニで言えば、コーヒーや飲料がA品目、日用品がB品目、特定の季節菓子がC品目です。A品目を欠品させると売上への打撃が大きく、C品目を抱えすぎると保管コストが膨らみます。

品目数 vs 売上金額の割合(パレート分布のイメージ)
A品目(品目数20%)
売上80%
B品目(品目数30%)
売上15%
C品目(品目数50%)
売上5%
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「品目数の20%が売上の80%を生み出す」という比率は、あくまでも目安です。実際には60:30:10になることもあります。重要なのは比率の正確さより、「重要度の高い品目を特定して重点管理する」という発想です。

発注のタイミングと量——定量発注と定期発注

「いつ」「いくつ」発注するかの方式は、大きく2つに分かれます。

定量発注方式 定期発注方式
タイミング 在庫が発注点まで減ったとき 決まった周期(毎週月曜など)
発注量 常に一定量(EOQ) そのときの在庫状況で変動
向いている品目 需要が安定したC品目など 需要が変動するA品目など
管理負担 比較的少ない やや多い(都度計算が必要)

発注点(Reorder Point)は「この水準まで在庫が減ったら発注する」というトリガーラインです。

発注点 = 調達期間中の平均需要量 + 安全在庫
例:1日10個売れる、調達に3日かかる、安全在庫5個
→ 発注点 = 10×3 + 5 = 35個

経済的発注量(EOQ:Economic Order Quantity)は、発注コストと在庫保管コストの合計を最小にする1回あたりの発注量です。

EOQ = √(2DS / H)
D:年間需要量 / S:1回あたりの発注費用 / H:1単位あたりの年間保管費用

発注回数を増やすと発注コストは上がりますが在庫保管コストは下がる。逆に回数を減らすと在庫コストが上がる。このトレードオフを最適化するのがEOQです。

安全在庫は、需要の変動や調達のばらつきに備えた「緩衝在庫」です。需要の標準偏差が大きいほど、安全在庫量は増えます。

MRPとJIT——在庫管理の考え方の違い

部品を使って製品を作る製造業では、「いつ何が必要になるか」を製品の生産計画から逆算する仕組みが必要です。それがMRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)です。

01
MPS(主生産計画)を立てる
「今月、製品Aを100台生産する」という計画を決める。
02
BOM(部品表)で必要部品を展開
製品Aに必要な部品・材料をリストアップ。製品1台につきネジ8個・モーター1個…のように展開する。
03
在庫を差し引いて正味所要量を算出
既存在庫・発注済み数量を引いた「実際に調達・製造すべき量」を計算する。
04
発注時期と製造指示を決定
リードタイムを逆算して「いつまでに発注・製造指示を出すか」を自動的に導き出す。

一方、JIT(Just-In-Time)はトヨタ生産方式の核心にある考え方で、「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ」調達・生産する思想です。MRPが「計画から需要を押し出す(プッシュ)」なのに対し、JITは「需要に引き寄せられて動く(プル)」とよく表現されます。

過去問で確認する

令和元年度 第11問|運営管理 ABC分析・定量発注
ABC分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ア ABC分析では、品目をA・B・Cの3グループに分類し、A品目に対しては管理を簡略化する。
  • イ ABC分析は、在庫品目を金額や数量の重要度に応じて分類し、重点的に管理する品目を特定する手法である。
  • ウ ABC分析において、C品目は売上金額の割合が最も高いため、定期発注方式で厳密に管理する。
  • エ ABC分析はパレートの法則とは無関係であり、均等な管理を前提としている。
正解:イ
ABC分析は品目を金額的重要度で分類し、A品目(重要度高)を重点管理、C品目(重要度低)を簡略管理するための手法です。パレートの法則(80:20の法則)を応用しています。

ア:A品目こそ「厳密に管理」する対象です。管理を簡略化するのはC品目。
ウ:C品目は売上金額割合が最も低い品目です。
エ:ABC分析はパレートの法則(上位少数の品目が金額の大部分を占める)を応用した手法です。
令和3年度 第9問|運営管理 発注点・安全在庫
ある品目の平均日需要量が20個、需要の標準偏差が4個、調達リードタイムが5日である。在庫切れを防ぐために安全係数を1.65として安全在庫を設定するとき、発注点として最も適切なものはどれか。なお、リードタイム中の需要量は正規分布に従うものとする。
  • ア 100個
  • ウ 107個
  • イ 115個
  • エ 120個
正解:イ(115個)
安全在庫 = 安全係数 × √リードタイム × 需要の標準偏差
= 1.65 × √5 × 4 = 1.65 × 2.236 × 4 ≒ 14.8 ≒ 15個

発注点 = リードタイム中の平均需要 + 安全在庫
= 20 × 5 + 15 = 100 + 15 = 115個

まとめ

  • ABC分析:品目を金額的重要度でA/B/C分類。A品目を重点管理、C品目を簡略管理する
  • パレートの法則:品目数の上位20%が売上金額の80%を占める傾向
  • 定量発注:在庫が発注点まで減ったら一定量を発注。定期発注:決まった周期で在庫量に応じた量を発注
  • 発注点 = リードタイム中の平均需要 + 安全在庫
  • EOQ:発注コストと保管コストのトレードオフを最小化する1回あたり発注量
  • MRP:生産計画とBOMから部品所要量を逆算する仕組み(プッシュ型)
  • JIT:必要なものを必要なときに必要な量だけ調達・生産するプル型の考え方

他のツールページも合わせてご活用ください: PERT・CPM(クリティカルパス)財務計算ドリル暗記カード

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この記事を書いた人

中小企業診断士試験勉強中のアラフィフシングルマザーです。
大学卒業後から現在まで、数々の失敗をしながらずっと自営業として試行錯誤を重ねてきました。
もっときちんと経営やビジネスの知識を身につけて、将来は他の事業者の方のお役にも立てたらいいな、と思うようになり、中小企業診断士の試験に挑戦中です。

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